事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

いだてん 最終回 時間よ止まれ

2019-12-15 | 大河ドラマ

第46回「炎のランナー」はこちら

ああ、ついに終わってしまった。一視聴者として、伴走者のような気持ちでゴールインできたことが素直にうれしいです。

伏線を刈り込むことが得意技の宮藤官九郎。冷水浴、カラーテレビ、ストップウォッチ(だから「時間よ止まれ」なんだ!)などを最終回にもってきて面目躍如。

しかもなんとなんと本人登場(笑)。しかも現代の車引きであるタクシードライバーとして。大河ドラマに、書いている脚本家が登場したことってあったのかな。ジェームス三木さんあたりはやってましたっけ?いちばんやりそうな三谷幸喜を市川崑役で起用していたのがここで効いている。

この大河は、金栗四三と田畑政治の物語であることはもちろんだけれど、意外なほど落語のお話だったことは記憶されて然るべきだ。

オリンピックの聖火台への点火と、富久の火事をシンクロさせるなんて大技は、作り手たちだって最初は想定もしていなかったはず。もしも実在の人物をあつかうことが多い大河でなかったら、このドラマの主役はどうしようもなく五りん(神木隆之介)だったわけであり、彼の娘が1964年10月10日に生まれたあたり、架空の人物を描くことに宮藤官九郎がうれしがっていたことがうかがえる。

さて、なによりも低視聴率で有名になってしまった「いだてん」だけれど、ちゃんと見ている人は評価していたわけじゃないですか。途中から、低視聴率をバッシングすることを喜んでいるような報道が増えて、わたしはとても残念に思っていた。

だって近ごろの世間は、高視聴率が喧伝されれば一斉に見ることになり、低視聴率なら見向きもされない傾向があるから。結果的に最後までつきあったのは、宮藤官九郎のルールを理解できた層だけ、というのはあまりにさみしい。主役たちの死をいっさい描かないというあたりもすばらしい。ラストがビートたけしのあの表情なのは最高。

何度でも言います。極私的大河ドラマ史をやっているわたしにとっても、あの「太平記」を凌駕して「いだてん」は最高の大河でした。今日は妻が実家にいたからひとりで見ていたんだけど、ずーっと涙が流れてました。テレビドラマって、実はすごいんだなとつくづく。

日本人は、まだまだ面白いことがやれるんじゃんねえ

総集篇特集につづく


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3 コメント

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面白かったじゃんねー (mumioli)
2019-12-15 21:42:01
日曜午後6時、(うちはBS視聴)テレビの前で待ち構えてた1年でした。従前の大河に比べ視聴率が悪い、というのは結局今までNHKを漠然とつけてた人が多いってことなんでしょうね 。確かに情報量が多いから、ついてこられない人も多かったと思います。
スポーツから見た現代史も面白かったし、旧国立競技場はラグビーで何度か行ったのですが、こんなドラマがあったとは。
まだ言い足りないですが、年末の総集編を楽しみにしたい思います。あ、美川はどうしたんだろう・・

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違う!、いや、そう! (たんぽぽ)
2019-12-16 09:32:42
オリンピックに懸ける熱い思いが伝わる力作でした。最低の視聴率にして、最高のドラマだったと私も思います。各所にちりばめられたコメディで何度も笑わせられながら、熱すぎる人々の心に打たれました。クドカンのタクシー運転手にビートたけしの乗客、CMの逆をついたのもしゃれていますよねえ。64年の東京オリンピックは、私は小学生で記憶にあり、そのときの感慨がよみがえりました。また、奇しくも、新国立競技場の竣工式の日。来年のオリンピックにも思いが馳せます。2020年東京オリンピックまでのドタバタを、クドカンならどのように描くでしょうか。それもまた見てみたい気がします。嘉納治五郎先生は、空の上からどのように眺めていることかしら。
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ああよかった。 (hori)
2019-12-16 17:48:32
見てる人は見てるわけだよね。
宮藤官九郎はそれでもせいいっぱい我慢
したんだと思う。
もっともっとギャグを思いついていたに
違いないのに(笑)。
総集篇の時期には、いだてんアカデミー賞を
やるのでよろしく(^o^)
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