事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「チェ / 39歳 別れの手紙」Che: Part Two Guerilla (2008 ギャガ=日活)

2009-02-17 | 洋画

Che2guerilla 「28歳の革命」はこちら

まるで「トラフィック」のときのように時制をあやつった前作と違い、後篇は静かに時系列を追う(ラストに、まことにおしゃれなフラッシュバックはある)。今回ははっきりとゲバラの敗戦を描いている。キューバ革命の成功の果実をむさぼることなく、ゲバラは次にボリビアに革命の花を咲かせようとする。しかし……

消耗戦の過程においても、ゲバラはあくまでゲバラ。山地に兵士を展開し、圧倒的に少数な戦力を背景に“しのぐ”。まさしく、ゲリラ戦だ。ボリビア共産党の支援がうけられず、農民も食料をなかなか供出してはくれない。日本における農地改革に似た政策が“革命政府”によって既に行われていたことが原因らしい。日本の農民が自民党支持層になっているのとほぼ同じ構図。

ゲバラにあるのは、カストロから送られた資金と、革命の神様という伝説のみ。そんな彼にとどめをさしたのが、自らの軍の退廃にあったあたりは哀しい。

革命と反革命の差はあれど、ゲバラ人気は土方歳三のそれに類似しているように思う。自らがたてた旗に殉じた男。ゲバラをとらえたボリビア軍は「今お前がこうしている間にも、フィデル(カストロ)は豪華なディナーを楽しんでるぞ」と吐き捨てる。この男に、革命=チェ・ゲバラは最後まで理解できない。

キューバを訪れたことのある読者によれば、あの国は昭和の日本を思わせるような、静かで、同時に貧しい国であるようだ。もちろんラム酒に代表される熱情の国でもあるとか。

キューバがこれからどのような変移を見せるかはわからない。でも、チェ・ゲバラという男の物語は死に絶えることはない。おそらくは彼の物語を利用しつくしたであろう(考えすぎ?)カストロが死んだあとでも。

監督ソダーバーグが、別にゲバラのファンでもなんでもなかったことが幸いしたか、静謐であるがゆえに心に残る映画。結果的に二部作になった構成もいい。ソダーバーグの映画なだけに、笑える特別出演もあります。いやそれにしたってベニチオ・デル・トロってどんだけすげー役者なんだ!

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