事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「放送禁止歌」森達也著 解放出版社刊

2007-12-08 | 音楽

Hosokinnshiuta まずは下の表を見ていただこう。

ああ関東流れ者 /松方弘樹 A
I LOVE YOUはひとりごと /原 由子 A
犬殺しの唄 /唐 十郎 A
S.O.S /ピンク・レディ C
おそうじオバチャン/ 憂歌団 A
怪傑黒頭巾 /つぼいノリオ A
極めつけお万の方 /つぼいノリオ A
金太の大冒険 /つぼいノリオ A
ゴッド・セイブ・ザ・クイーン /セックス・ピストルズ A
ザ・サムライ/ あのねのね A
しおふき小唄/ 窪園 千枝子 A
ジュテーム・モア・ノン・ブリュ/ ジェーン・バーキン B
シンボル・ロック/ 梅宮 辰夫 A
戦争小唄 /泉谷しげる A
先天性欲情魔/ 泉谷しげる A
セントベジタブルデイ/ さだまさし C
朝刊 /さだまさし C
番長ブルース/ 梅宮 辰夫 B
悲惨な戦い/ なぎらけんいち A
びっこの仔犬/ 加山 雄三 A
びっこのボーの最後 /友部 正人 A
梵坊の子守歌/ 野坂 昭如 B
まっくろけ節 /越路 吹雪 C
丸の内ストーリー/ 畑中葉子・ビートたけし A
水づくし /雪村 いづみ C
娘の便り/ 高石 ともや B
れ・い・ぷフィーリング /まりこ A

※ 取り扱いの区分
A.放送しない
B.旋律は使用してもよい。
C.不適当な個所を削除または改訂すればよい。

Jacks_3 他に、時間帯・視聴対象により要配慮とされる段階があり、山下達郎の「YELLOW CAB」やジャックスの「からっぽの世界」などが該当している。

この表は1983年12月10付で、日本民間放送連盟(民放連)が出した要注意歌謡曲一覧表の抜粋だ。要注意歌謡曲……つまりは放送禁止歌である。

自分が聴いたことのある曲、あるいはおなじみのアーティストだけをとりあげたのだが、全体でも70曲しかない。同じ曲の別バージョンもカウントしてだから、私の印象では、意外に数は少ない。第一、放送禁止歌として有名な(と聞いていた)「イムジン河」や頭脳警察の一連の作品、「網走番外地」や「ヨイトマケの唄」が入っていないではないか。これはいったいどういうわけだ……。

森達也の労作「放送禁止歌」は、ドキュメンタリー作家である森が、フジテレビの深夜番組で、放送禁止歌を追った作品がもとになっている。放送のなかで放送禁止歌を扱う、この二律背反に挑んだ森と、その企画にゴーサインを出したフジがまずえらい。

そして追っていく過程で、実は放送禁止歌という概念自体が現存していないのだという驚きの事実が露わになっていく。

Zunou まず、上記の表だが、この20年以上前の一覧が、なんと最新のものであることが民放連関係者によって明かされる。これ以降、まったく刷新していないというのだ。しかも、これはあくまで字義どおり“要注意”なものであって、放送するかしないかの判断は各局に委ねられており、放送したからといってペナルティが発生する性格のものでもないのだという。本質として、強制力や拘束力を持たない単なるガイドラインにすぎなかったのだ。
これには私も驚いた。それでは今まで数多くのアーティストが“放送禁止”の名のもとに発表の機会を奪われてきた経緯はなんだったのだろう。
以下次号。

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2 コメント

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最近は自主規制で発売禁止や放送禁止に追い込まれ... (群馬のゆーちゃん)
2008-01-04 09:22:09
最近は自主規制で発売禁止や放送禁止に追い込まれているため、このリストが増えないんじゃないでしょうか。私の大好きな吉田拓郎の「ペニーレーンでバーボンを」も、差別用語があるということで自主規制らしいです。ちなみに問題の歌詞は、「見ているものはいつもつんぼさじき」というところ。2005年のつま恋でもこの部分を変えて歌っていました。この「つんぼさじき」という言葉は 広辞苑を始めほとんどの辞書に掲載されていますが、放送局や新聞社などが自主規制している放送禁止用語となっています。
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「つんぼさじき」ねぇ……。 (hori hiroshi)
2008-01-04 21:26:34
「つんぼさじき」ねぇ……。
年末に見た「霧の旗」(山田洋次版ね)では“ぎっちょ”の連発にギクッとなりました。事件の真相解明にかかせないフレーズだけど、もうテレビ放映は無理かも。こうやって言葉は死んでいくんでしょうね。「片手落ち」はもちろん「めくら縞」もダメだし。「巨人の星」再放映はピー音さえ入らず、ブツ切れのセリフのオンパレード。「土方」「キチガイ」えーとあと何だっけ。
それがすべてダメだと言い切る自信はないんですよ。その言葉に不快になる人がいる背景は確かにあるんでしょうから。でも、とりあえず遠慮しとこうというテレビ局の姿勢は、かえって差別を助長しているはず。
「女中」という言葉を、時代性を無視して圧殺するというなら、それなりの覚悟をテレビ局はもつべきだし、それができないなら少なくとも使う側の性根をためすぐらいの根性があってほしい。あ、無理な相談かも。「女中っ子」ももう観れないのか……
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