事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察~その35「リンゴォ・キッドの休日」矢作俊彦著 角川文庫

2010-09-05 | 日本の警察

Longtimenoseeringokid その34「同期」はこちら

横須賀の朝、高台の洋館で高級クラブに勤める女の死体が発見された。そして米軍基地内の桟橋沖に沈んだワーゲンからは男の死体が引き揚げられた。無関係に思える二人だが、同じ拳銃で射殺されていたことがわかり、非番だった神奈川県警捜査一課の二村永爾は、署長からの電話で捜査にかりだされることに。所轄と公安、そしてマスコミの目を欺きながら、二村は事件の真相を追うが…。二村永爾シリーズ第1弾。

二村永爾シリーズの輝ける第一作(78年)。第二弾は「真夜中へもう一歩」(85年)、そしてあの「THE WRONG GOODBYE」(04年)につづく。

米軍に凌辱され、しかしそれゆえに愛される街、横須賀を二村はワイズクラックをふりまきながら歩行する。「日本の警察」シリーズとしてとりあげたけれど、二村ほど日本の警察にそぐわない存在もめずらしい。だいたい、アイヴィーを着崩している刑事というのは(笑)

刊行当時、これほど警察内部の事情に通暁した作品はあったのだろうか。そんなバックボーンがあるからこそ、日活ムードアクションへのあからさまなオマージュが絵空事になっていない。傑作、というより既に古典。ぜひ。

次回は「夕暴雨」(今野敏)

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