事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「リップヴァンウィンクルの花嫁」(2016 東映)

2017-03-18 | 邦画

気弱な中学の非常勤講師、七海(黒木華)。彼女はSNSで男性と知り合い、あっさりとベッドをともにし、あっさりと結婚を決める。男は教員で、母親(原日出子)と“親密”。結婚式に向けて準備が始まるが……

こういうタイトルなのだから、この結婚に至る過程のお話なのかと誰だって予想する。確かにふたりの関係は危うい。実は七海の両親は離婚しており(母親役の毬谷友子がぶっこわれていておかしい)、親戚も少ないことから、うさんくさい役者くずれ、安室(綾野剛)の紹介でエキストラをやとってその場をしのぐ。

この、披露宴が(わたしにとっては)拷問。流れが妙に達者なため、逆に居心地が悪い。うわあおれはよくこんなイベントをこなしたよな。

ということで、ここまでで見るのやめようかと思いました。マジ。

ところが、ここから話は急展開する。七海の夫が自分の妻と浮気をしていると主張する男が登場し、その男に襲われそうになったところを安室に助けられ……これらの動きの、どこからどこまでが誰によって仕組まれたものなのかで観客はとまどい、そしてヒロインがどん底に落ちるのは誰の意図だったのかが次第に明らかになる。ちょっと、面白くなってきました。

結論としては、ここまではすべて前ふりだ。

あまりに気弱なためにイライラさせられる七海が、真白(ましろ)という女性と知り合い、真の意味での花嫁となるまでがすばらしい。真白を演じたのはCocco。こんなすごい演技ができる人だったのかっ。ふたりがウェディングドレスを着てからむシーンはため息がでるほど美しい。岩井俊二が本当に撮りたかったのはここだろう。SNSや結婚式出席代行業などにコーティングされているが、本気は真白という名前にこめられた思いだ。

天使(黒木)と悪魔(綾野)のせめぎ合いの果てに、弱っちい天使を何者も汚すことができなかったというエンディングもすばらしい。序盤のたるさにめげないで見てね。後半は素敵だから。にしても、東映の番線にこんなタイプの作品がのるなんて。

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