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当時のウルトラマンは、つまるところは着ぐるみなので、背中にジッパーがついているし、スーツアクターの視界を確保するために目にのぞき穴もある。さらに成田が嫌ったのはあのカラータイマーだったそうで、だから今回は除かれている。
「シン・ウルトラマン」におけるウルトラマンは完全にCGで造型されているので、そのあたりはクリアできている(カラータイマーの代わりに、身体の色が変わることでエネルギー消費を示している)。しかもソリッドな体型になっているので、女性的と言ってもいい感じになっている。
身体表面の質感は流麗そのもの。そしてスペシウム光線や八つ裂き光輪はオリジナルにわざと近づけてある。
ドラマ的に希求されているのは、なぜ異星人であるウルトラマンがこれほどまでに人間に肩入れしてくれるのか、だ。これは考えてあったなあ。それに、なぜ日本にだけ怪獣がやってくるかの理由も周到。
「シン・ゴジラ」と同様に、ポリティカルスリラーの色彩も濃い。
「(怪獣に)なんでそんな名前つけたの?」
「防災大臣の趣味らしい」
こんなギャグまで仕込んであるのだ。おまけに「シン・ゴジラ」にも登場したあの人が“政府の男”としていきなり登場。うれしい。
さて、この映画は確かにハードで緊迫した政治映画、アクション映画ではあるけれど、もうひとつの側面も持っている。
一種の、“変態映画”でもあるのだ。それは、長澤まさみの描き方が極端に異様であることでわかる。以下次号。