PART2はこちら。
呪術師トロガイに、4時間もかけてメイクした高島礼子(美人である彼女を起用した意味が最後に理解できます)、聖導師に平幹二朗(急逝したのでシーズン3は鹿賀丈史に交代)、戦闘能力的にバルサに引けをとらないシハナに真木よう子……
強力なキャストと大森脚本があり、4K画像とCGで、およそ日本で撮影されたとは想像もできない映像がありつつ、どうにも面白くないんですよ。
それは一にも二にも展開が遅すぎるから。ドラマが進んでいかないの。あふれるほどの分量の原作がありながら、どういうことかしら。しかもシーズン2「悲しき破壊神」はお話が陰惨すぎてどうにも。オープニングが壇蜜の処刑シーンというのはちょっとうれしかったけど。
ところが、最終章にいたって爆発的に面白くなる。っていうか感動。どんな部分だったかというと、ジグロ(吉川晃司)とバルサ(綾瀬はるか)が親子として真の意味で和解する展開。
「わたしさえいなければと思ったはずだ。殺せ」
とジグロに迫るバルサへ
「お前とすごしたことを後悔したことは一度もない」
と抱擁するジグロ(の亡霊)。いやー、ドラマの王道とはいえ、これは泣けたな。そして長期シリーズのエンディングがひたすら静かであるのもすばらしい。
役者でうれしかったのは、あきらかにナチスドイツもモデルにしたタルシュ帝国のラウルをクールに演じた高良健吾。「横道世之介」の彼もすばらしかったが、あのルックスを存分にいかしていた。同様に、Dragon Ashの降谷建志が「八重の桜」の齋藤一役につづいてけっこうでした。
「STAR WARS」(一作目)や「ひまわり」(ソフィア・ローレン)などの要素もとりこみながら、少なくとも最終章は傑作。見続けてよかったよかった。そして、原作にもこの金言はあるのかな。
「誰かのために生きるなら、顔も知らない者のために生きろ」
為政者たるもの、こうでなくっちゃ。