事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

極私的大河ドラマ史PART33 「翔ぶが如く」その2

2018-11-02 | 大河ドラマ

その1はこちら

西郷隆盛は明治維新における最大のスターだ。これは文句ない。

いまわたしは村松剛の「醒めた炎」という木戸孝允の評伝を読んでいるんだけれど、彼がどこかシニカルでタイトルどおり醒めているのに対して、西郷には熱がある。圧倒的な熱量というか。

江戸城の無血開城など、ドラマ的にも文句ない。激発する薩摩人にかつがれて、こころならずも“自分の作品”でもある明治政府に抵抗したあたり、宗教者としての風格すら。わたしの住む山形県庄内において、戊辰戦争後の寛大な措置のためにすでに彼は神様あつかいなんですけど。

大久保利通はその逆だ。理とチカラに加え、岩倉具視と暗躍するなど、汚れ仕事もこなして維新を実現し、政敵江藤新平を排除、内務卿としてさまざまな改革を……不平士族(つまりは守旧派だ)から暗殺されるのも無理はないかも。

西郷、木戸、大久保が維新の三傑として知られている。人気は西郷が圧倒的(司馬遼太郎は西郷を“大きな器”のように描いた)。しかし、わたしはこの原作をきっかけに大久保利通のファンになった。なんだかんだいって革命を完遂することができたのは大久保のおかげだろうと。実は脆弱で外国から攻められれば一発で倒されたに違いない、ひな鳥のような明治政府を強靱にしたのは大久保だと思う。

あ、大河ドラマの話でしたね。いまでもわたしは、大久保利通といえば鹿賀丈史が頭にうかぶくらい刷りこまれました。他には緒形直人(西郷従道)、加山雄三(島津斉彬)、高橋英樹(島津久光)、草笛光子(由羅)、杉本哲太(桐野利秋)、三田村邦彦(徳川慶喜)、林隆三(勝海舟)、富司純子(天璋院篤姫)、佐藤浩市(坂本龍馬)、隆大介(江藤新平)、小倉久寛(伊藤博文)、三木のり平(新門辰五郎)と豪華版。

しかし幕末もの&司馬遼太郎原作は視聴率がとれない、というジンクスは今回も打破できなかったみたい。それでも平均視聴率は23%超だったので立派なものだが。

さあ次は大河ドラマ史上最高傑作の登場だ!

コメント
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