事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

極私的大河ドラマ史PART32 「翔ぶが如く」その1

2018-11-01 | 大河ドラマ

その31「春日局」はこちら

さて、「翔ぶが如く」までたどり着いた。1990年の作品。いま「西郷どん」を見ている人にはおなじみの題材。西郷隆盛と大久保利通のお話なのである。

原作は司馬遼太郎。初版が発売されたのは1975年。朝日新聞の2面下段(出版界でもっとも信頼されるスペース)にでかでかと広告が載っていたのをおぼえている。全7巻。大長編だ。

実はこの原作には大久保と西郷の他にもうひとり、キーとなる人物がいて、それが日本の警察の祖となった川路利良だ。開巻に登場するのは彼だし(とんでもないことを彼はしでかす)、物語の終わりは彼の死である。

ただ、川路はこの大河では大きくあつかわれない。

大河ドラマと朝ドラはNHKの受信料徴収対策という性格を持っている。だからなるべく全国すべてを舞台にしたいわけ。「翔ぶが如く」は当然鹿児島県が舞台なのだけれども、川路利良は薩摩で決して好かれているわけではない(気をつかった表現)。

薩摩人がいまでも敬愛する西郷隆盛を自刃に追いこんだ存在とされていて(大久保利通も似たようなものだけれど、さすがにスルーはできない)、ドラマでは西田敏行(西郷)、鹿賀丈史(大久保)とはランクがちょっと違う塩野谷正幸がキャスティングされている。

さて、原作からの改変はそれだけではない。明治のきわめて政治的なストーリーなので、それでは視聴者がついてこないだろうと、大久保と西郷の若いころを、「花神」や「酔って候」など、司馬の作品を集めて第一部にしたのだ。

ちなみに、大村益次郎役は平田満、山内容堂は前進座の嵐圭史。脚本は「徳川家康」につづいて起用された小山内美江子。

近所に生まれ、幕末から明治への歴史を主導した西郷隆盛と大久保利通。この、薩摩のレノン=マッカートニー(笑)を、この大河はどう描いたか。以下次号

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