2013年6月児童手当号「年に一度のおつとめを」はこちら。
とてもとても小さいテーブルがあります。家族全員が飲むミルクのコップを置くこともできません。
そこで賢い人は考えました。テーブルの上にわずかなコップをおき、そのコップにじゃぶじゃぶミルクを注ごう。そうすれば、コップのミルクを飲むことができる幸運な人もいるし、できない人もコップからあふれ、テーブルからしたたり落ちるミルクをすすることができるじゃないか。ミルクは人数分いらないし、なにより大きいテーブルを用意しなくてもいい!
あまりにあざといたとえ話ですが(笑)、これが経済学でいうトリクルダウン(こぼれおちる)理論とよばれるものです。
「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透する」
という、政府は小さければ小さいほどよしとする人たちに多い考え方。
この理論の信奉者は例外なく子ども手当をばらまきだと批判してきましたし、児童手当拡充よりも法人税減税を優先しています。企業がもうからなければ雇用も賃上げもありえないと。
ただこの理論の弱点は、今回あなたが受領した0,000円のお金が企業に回っていたとして、それ以上の果実を自分に用意してくれるとみんなが信じていなければならないことです。はて。はてはて。
※今号はちょっと社会派っぽく迫ってみました。画像は「エリジウム」
前作「第9地区」で、アパルトヘイトを“宇宙人VS地球人”の争いにシンボライズしてみせたニール・ブロムカンプが、今回は格差社会を“汚れた地球VS理想の宇宙コロニー”という図式で描いております。巨額の製作費を使って階級闘争を正面からとりあげるとは根性あります。主演はマット・デイモン(ハーバード中退)とジョディ・フォスター(イェール大卒)の超高学歴コンビ。
2014年2月児童手当号~「おフランスの事情」につづく。