事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「暴動島根刑務所」(1975 東映)

2012-08-08 | 邦画

E0124490_14443795 東映やくざ映画、特に実録路線をリアルタイムで観ていた立場から言わせてもらおう。

「人斬り舎弟」や「仁義の墓場」のような、観客の神経をキリキリに絞り上げるような作品群のイメージで捉えられがち。なにしろ実録だから。でも実際にはこの作品や、同じ中島貞夫監督作品「狂った野獣」そして「資金源強奪」(監督ふかさくきんじ←ほんとにこう表記されていました)のような、過剰であるがゆえに思わず笑ってしまう作品もまた多かったのだ。

象徴しているのが主演の松方弘樹。とっぽいチンピラがどうして刑務所全体をゆるがす大暴動を起こすに至ったかを、愛敬たっぷりに演じて納得させてくれる。犬の交尾を見ているうちに欲情してしまい、逃亡先の友人(川地民夫)の妹(なつかしの賀川雪絵!)を犯してしまうくだりなど、図式的だけど笑える。

脱獄もので定番なのが、看守側の憎々しさ。「ロンゲスト・ヤード」や「暴力脱獄」を思い浮かべていただければ。この映画でも、佐藤慶・室田日出男・戸浦六宏など、んもう顔からしてぴったり。おそらくは史上最も殴り合いの効果音を使ったのではないかと思うくらい肉弾戦がつづき、しかし暴動へのきっかけは『飯を出さなかったこと』なのは納得できるなあ。

仮釈放を勝ち取るために、看守の横暴に必死で耐えていた北大路欣也がぶち切れるのは任侠パターン。手錠でつながれた松方と北大路が、線路上を逃亡するのは網走番外地。

定型をつなぎながら、悪相の男たちの狂宴がうれしく、スカッと見終えることができる。まあ女性にはおよそおすすめできる作品じゃないけれど、むしゃくしゃしている時にぜひお試しを。

コメント (2)
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