前から気にはなっていた。大物俳優やアーティストを起用して「ポストに返却」だの「延滞金なし!」だのと積極的なパブリシティ展開をしている宅配DVD(or CD)レンタルのことを。
会員数は激増しているらしいし、確かに便利な存在だろう。でも既にかなりの数の店舗を展開しているわけだし、自分の首をしめる結果になるのでは?とも。
顧客にとっては、いいことだらけである。
1.特に田舎の店舗は品揃えが悪いため、観たい聴きたい作品がないことが多い。その弱点を克服できる。
2.ビデオ屋が街のいたるところにあった時代と違い、店舗数は減少しているので、宅急便で届き、ポストに返却するシステムは(これも特に田舎では)便利。
3.捻挫して気づいたけれど、痛めた足を引きずってビデオ屋の棚の間を回るのはかなりしんどい。障害者や高齢者など、在宅傾向が強い人にとっては必須。特に高齢者は映画の黄金時代をすごした人たちなので、新たな顧客層を掘りおこしたといえる。
……まずは品揃え。田舎の棚はひどいもんです。たとえば「古畑任三郎を全部観る」シリーズをやるためにどれだけ苦労したか。わたしが会員になっている店はTSUTAYA2軒、GEO2軒。そのなかで古畑が全部そろっている店はわずか一軒だけなのである。田舎の人間は、品揃えが悪いことが当然だと思っているせいで「あの作品が観たい」と意識してビデオ屋に行くことはめったになく、「あるものから選ぶ」というなさけない気持ちで行くしかなかったのだ。
店舗数減少の問題はもっと深刻だ。ビデオ屋はGEOとTSUTAYAの寡占化がすすんでいる(ほぼ半分がこの二店でしめられています)。最大の理由はVHSからDVDへの移行にめちゃめちゃ金がかかることだったらしい。大資本がひかえていないと、DVD、そしてBlue-rayへ品揃えを取っ替えることは至難の技。だから寡占化はこれからも進むと見てまちがいはない。となると、どこも似たり寄ったりの棚になってしまうわけだ。以下次号。