第22回はこちら。
今回はいつも以上にオンエアを楽しみにしていた。というのも、映画「国宝」を観たばかりだから。
この大河と同じように横浜流星と渡辺謙が共演するあの作品で、流星は名門の出でありながら、その重圧につぶされそうになり、しかし復活を遂げる。だが……という展開。
実は吉沢亮の方も原作では悲劇的な人生を送るのだが、映画では少しアレンジを加えてあって、まあメジャー作品だからわからないではない。
それはともかく「国宝」の主演ふたりはすばらしかった。演目と彼らの人生がシンクロしていく具合が、ビジュアルがあるとやっぱり強い。曾根崎心中で泣かせた横浜流星が、こちらではあいかわらず軽快なアクションを見せてくれる。
東京でいちばん商売のセンスがある男、というように、蔦重の耕書堂は絶好調だ。しかしあくまで吉原の金で回っている商売であることで、日本橋にある大手との差も痛感させられる。全国展開が望めないのだ。
そして、蔦重は決心する。日本橋に出ると。もちろん吉原者たちは激怒する。この恩知らずがと。だが、葬儀で同席することすら忌避され、雨の中を外にいなくてはならなかった屈辱も彼らにはある。さて。
何度も言っているけれども「正直不動産」のあのOLが、と絶句させられる福原遥。松前藩主の弟にロシアとの抜け荷をけしかけ、「わたしを身請けして」としなだれかかりながら、眼は障子の隙間からのぞいている田沼意知(宮沢氷魚)に向かっている……あのぉ、絵的にもこれほどインモラルな場面はそうはない。おみそれしました。
第24回につづく。