第15回はこちら。
平賀源内という人が、実はわたしはよくわからない。発明家であり、イベントプロデューサーであり、コピーライターで作家、そして学者でもあった。という知識を集めても、果たしてどうして後世にこれほど名が伝わったのか。
実はどれかの専門家であれば、むしろ当時から幸福な生活を送れたのかもしれないとも思わせる。
考えてみれば蔦谷重三郎にしてからが、自らの作品と言えるものがないとも考えられる。しかし彼には圧倒的な商売のセンスと、自らが売り出した多くの作品が彼を縁取っていたわけだから、むしろわかりやすい。
ほんとに、平賀源内とは何だったのだろう。
何度もふれたように、わたしが彼のことを刷り込まれたのは早坂暁脚本のNHKドラマ「天下御免」によってだ。山口崇さんが演じた源内は、仲間の林隆三、秋野大作(当時は津坂匡章)、中野良子とつるみながら、破天荒なドラマを引き起こした。田沼意次は仲谷昇、杉田玄白は坂本九だったので、彼らのイメージはそのまんま天下御免のそれだ。面白いドラマだったなあ。
そんなイメージが覆ったのは、山本昌代の「源内先生船出祝」を読んだためだ。晩年は悲惨で、しまいには獄死してしまう結末は暗澹たるものだ。この大河で描かれたのはほぼ史実みたい。
そして、そんな結末を見届けた翌日、山口崇さんの訃報が。
なんてことだ。しかしこのことでわたしは決心した。安田顕の名演があったとしても、わたしは平賀源内のことを山口崇さんでいつまでもおぼえておこう。陰惨な末路があったからこそ、早坂暁は気球に乗って源内たちが日本を脱出するラストを用意したのだろうし。
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