「絶滅の始まりによくも経済成長のおとぎ話でいるわね」トウンベリさん演説詳報(2019年9月24日 中日新聞)

2019-09-24 21:42:59 | 桜ヶ丘9条の会
「絶滅の始まりによくも経済成長のおとぎ話できるわね」 トゥンベリさん演説詳報
 二十三日の「気候行動サミット」でグレタ・トゥンベリさんが演説した内容は次の通り。
 私たちはあなたたちを注意深く見ている。それが、私のメッセージだ。
 こんなことは、完全に間違いだ。私はここに立っているべきではない。私は海の反対側で学校に戻っているべきだ。それなのにあなたたちは、私たち若者のところに希望を求めてやってくる。(そんなことが)よくもできるものだ。あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢と子ども時代を奪い去った。でも私は運が良い方だ。人々は苦しみ、死にかけ、生態系全体が崩壊しかけている。私たちは絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話だけ。何ということだ。
 過去三十年以上、科学は極めて明瞭だ。目をそむけ続け、必要な政策も解決策も見当たらないのに、ここに来て「君は十分やっている」なんてよくも言えるものだ。あなたたちは私たちの声を聞き、緊急性を理解したと言う。でもどれだけ悲しみと怒りを感じようと、私はそれを信じたくない。なぜなら、もし本当に状況を理解しそれでも座視し続けているとしたなら、あなたたちは悪だからだ。そんなことを信じられない。
 十年間で(温室効果ガスの)排出量を半減するというよくある考え方では、(気温上昇を)一・五度に抑えられる可能性は50%しかなく、人類が制御できない不可逆的な連鎖反応を引き起こす恐れがある。
 あなたたちは50%で満足かもしれない。でもこの数字は、あなたたちが空気中に出した何千億トンもの二酸化炭素(CO2)を、私たちの世代が、(現時点で)ほとんど存在していない技術で吸収することを当てにしている。だから、50%の危険性は私たちにとって単に受け入れられないというだけではない。私たちはその結果と共に生きていかなければならない。
 地球の気温上昇を一・五度に抑える確率を67%にするには、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最善の見立てでは、二〇一八年一月一日時点で世界に残されたCO2排出許容量は四千二百億トンだった。現在では三千五百億トンを下回った。よくも従来通りの取り組みと技術的な解決策で何とかなるなんて装うことができたものだ。現状の排出レベルでは、残されたCO2排出許容量に八年半もたたずに達してしまう。
 現在、これらの数字に沿って作られた解決策や計画は全くない。なぜなら、これらの数字は都合が悪すぎるからだ。そしてあなたたちはまだ、このようなことを口にできるほど成熟していない。
 あなたたちには失望した。しかし若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている。全ての未来世代の目はあなたたちに注がれている。あなたたちが私たちを失望させる選択をすれば、私たちは決して許さない。あなたたちを逃がさない。まさに今、ここに私たちは一線を引く。世界は目を覚ましつつある。変化が訪れようとしている。あなたたちが好むと好まざるとにかかわらず。
 (ニューヨーク・共同)





パワハラ対策 労使で意識の共有を (2019年9月24日 中日新聞)

2019-09-24 09:38:11 | 桜ヶ丘9条の会
パワハラ対策 労使で意識の共有を 
2019/9/24 中日新聞
 パワハラ防止を定めた女性活躍・ハラスメント規制法が今年五月に成立した。来年から順次、事業主に防止策が義務付けられる。実効性ある対策となるよう各企業は取り組みを進める必要がある。
 働きやすい職場にするにはパワハラやセクハラ、妊娠出産を巡るマタニティーハラスメントなどの被害防止は不可欠だ。
 厚生労働省の二〇一八年度の労働相談状況によると「いじめ・嫌がらせ」など、パワハラ関連の被害者などからの相談は八万件を超え、過去最高を記録した。各相談内容の中でも最も多い。
 セクハラやマタハラ対策は既に義務付けられているが、パワハラ防止策が義務付けられたのは初めてだ。パワハラは働く人の尊厳を傷付け、健康被害も招く。退職を余儀なくされる場合もある。被害実態を考えると法制化は当然だ。
 規制法は事業主に相談体制の整備などの防止策を義務付けた。大企業は二〇二〇年四月から、中小企業は二二年から適用される。
 パワハラは(1)優越的な関係を背景に(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により(3)就業環境を害する-の三つをすべて満たすことが要件とされた。
 使用者側は「パワハラと上司の適切な指導との線引きは難しい」と主張するが、被害を防ぐには、何がパワハラに当たるのかを明確にする必要がある。
 明確な線引きについて労使双方が認識の共有に努めるべきだ。労使が納得して防止に取り組まなければ、被害はなくならない。
 厚労省はパワハラの具体例や企業が講ずべき措置などは指針で定める方針だという。雇用関係のないフリーランスなども含めて幅広く保護の対象に位置付け、指針をまとめてほしい。
 規制法の課題は、パワハラを罰則を伴う禁止規定にしなかったことだ。実効性が問われる。
 六月、国際労働機関(ILO)総会で、職場のハラスメント禁止条約が採択された。どんなハラスメントも許さないとの考えが国際基準だろう。
 日本政府は、条約の批准には禁止規定などを講じる必要があるとして慎重姿勢だ。ILOは日本政府に早期の批准を求めており、批准に向けた国内法整備などの検討を避けて通るべきではない。
 パワハラ被害は企業にとっても損失である。職場からどうやって被害をなくすのか、その意識の共有が進めば、罰則を伴う禁止規定などへの理解も広がるはずだ。