リニア残土 瀬戸の窯業団体が受け入れを検討 愛知県内の全量受け入れ

2014-06-30 16:50:28 | 桜ヶ丘リニア問題を考える会
リニア残土受け入れ、瀬戸が名乗り 愛知の全量 

2014/6/30 朝刊

リニア残土の受け入れが検討されている鉱山=愛知県瀬戸市で、本社ヘリ「おおづる」から(浅井慶撮影)
 二〇二七年の開業を目指し、今秋にも着工されるリニア中央新幹線の工事で大量に発生する残土を、愛知県瀬戸市の窯業団体が採掘中の鉱山の埋め戻し用に受け入れる検討をしていることが、関係者への取材で分かった。愛知県内で残土受け入れを検討している候補地が明らかになるのは初めて。

 JR東海によると、リニア工事のトンネル掘削で発生する残土は、沿線七都県でナゴヤドーム三十三杯分の五千六百八十万立方メートル。利用先のめどが立っているのは山梨県で半分、岐阜県で二割程度にとどまり、愛知県内ではまだ受け入れ先が白紙の状態だ。

 受け入れを検討しているのは、ガラス原料の珪砂(けいしゃ)を採掘する業者で構成する愛知県珪砂鉱業協同組合(瀬戸市)。瀬戸市の中心に位置し、珪砂や陶土などを戦前から採掘している通称「瀬戸のグランドキャニオン」と呼ばれる鉱山の南側部分四十八ヘクタールを候補地としている。

 県有地で組合が租鉱権を持ち、これまで累計で計二千四百万立方メートルの窯業原料が取り出された。十年以内に採掘が終わると見込まれている。採掘後は組合に埋め戻しの義務があり、千三百万立方メートルの土砂が必要。新東名高速道路の工事の残土などを受け入れ、一部は埋め戻しが始まっている。

 JR名古屋駅から春日井市までを通る愛知県内のリニア残土は六百五十万立方メートルで、鉱山の埋め戻しですべて受け入れられる計算。残土が排出される春日井、名古屋市の非常口までの距離が十~二十五キロと近く、コスト面や環境への配慮からも利点がある。

 珪砂組合の山中俊博理事長(63)は「鉱山は県有地で、公共性の高い残土を中心に受け入れている。リニアも受け入れに支障がない」と話している。

 事業を推進する愛知県リニア事業推進室の担当者は「土砂の活用先について現在はいろいろな可能性を探り、調整している段階。瀬戸市で残土を有効活用していただけるという点では良い話」と話している。JR東海広報部は「個別の受け入れ先の情報はコメントを差し控えたい」としている。

 リニア残土の受けれが検討されている鉱山

安易に集団的自衛権行使容認を閣議決定するな(可児市議会意見書 2014年6月26日)

2014-06-29 16:37:21 | 桜ヶ丘9条の会
集団的自衛権をめぐる憲法解釈に関する意見書

これまで歴代の政府は、従来からの集団的自衛権の行使を認めないという憲法解釈に 立って、体系的な議論を維持してきました。しかしながら安倍首相は、私的諮問機関で ある「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が提出した報告書を受けて、集団 的自衛権の行使容認を閣議決定する方向で与党協議が行われている。
今後、仮に従来の政府の立場を変えたいとするのであれば、なぜ変えることが必要な のか、どのように変えるのか、変えた結果が国民や同盟国、近隣諸国、国際社会にどの ような影響を及ぼしていくのかなどについて、深く、慎重に検討していく必要がある。 あわせて国民の理解を得る必要、国際社会に理解を促す努力が求められる。
時の政権によって憲法解釈の変更が安易になされてよいとするのであれば、憲法の国 家権力を規制するという最高規範としての存在意義すら危ういものとなる。
よって、集団的自衛権をめぐる憲法解釈に関しては、国民的議論抜きに政府による憲 法解釈の変更がなされることがないよう強く要望する。
以上,地方自治法第 99 条の規定により意見書を提出する。
                                  平成26年6月26日
                                           可児市議会
衆議院議長 伊吹 文明 様
参議院議長 山崎 正昭 様
内閣総理大臣 安倍 晋三 様

「戦後」のあとには (中日新聞2014年6月29日)

2014-06-29 08:16:29 | 桜ヶ丘9条の会
「戦後」のあとには 本紙社会部長・島田佳幸 

2014/6/29 朝刊
 もはや「戦後」ではない-。一九五六年、昭和で言えば三十一年の「経済白書」に記された言葉です。経済が戦前の水準を超えるまでに回復したことを受けた宣言であり、当時は流行語にもなりました。

 確かに、あの戦争からの経済復興期を意味する「戦後」はとうの昔に終わったのでしょう。でも、戦争と社会の関係でいう「戦後」は七十年が経(た)とうという今でも、もちろん、続いています。

 ここに、それをよしとしないらしい一人の宰相がいます。その人、安倍晋三首相は「戦後レジームからの脱却」を自身の政治指針に掲げて、その路線を猛進しています。

 国民の「知る権利」を脅かす特定秘密保護法を成立させたかと思えば、武器輸出三原則を緩和して、武器の国際ビジネスを日本の成長戦略に組み込む。そしてついには、憲法九条、ではなく、その解釈を、国民の投票、ではなく、閣議決定という“簡便”な方法で変更し、他国の戦争に巻き込まれかねない集団的自衛権の行使を可能にしようとしています。

 いずれも、あの戦争で、私たちの親や祖父母の世代が途方もない犠牲と引き換えに得た教訓に基づく原則の改変といって構わないでしょう。いわば、多数の無名の日本人の悲しみと悔恨の上に築かれた「戦後」を、首相は軽々と、しかも大急ぎでかなぐり捨てようとしている印象です。

 しかし、考えてもみてください。「戦後」とは決して後ろ向きなものではない、どころか、「平和」とは、永遠に「戦後」が続くことでしょう。むしろ「戦後」は続ける、守るべき状態のはずです。首相は「戦後」を脱して、どんな状態へと国民を導くつもりなのでしょうか。「戦後」の後に来るのは、一体…。

 隣国との関係緊張を意に介さないように見える首相の振る舞いと考え合わせ、うすら寒いものを感じるのは心配症が過ぎるでしょうか。日々、夏の気配が濃くなっていく中、ずいぶん前に詠まれたこんな一句が一層の切実さをもって今、思い浮かぶのです。

 <蝉(せみ)しぐれもはや戦前かもしれぬ>攝津幸彦

リニアと環境 住民との対話深めよ  朝日新聞社説(2014年6月26日)

2014-06-28 10:06:09 | 桜ヶ丘リニア問題を考える会
(社説)リニアと環境 発車前に対話深めよ
2014年6月26日
 「沿線の自治体や住民が十分関われるように」。品川―名古屋間で2027年開業を目ざすJR東海のリニア中央新幹線計画に、環境相がこう注文した。

 JR東海はつねに、環境面への最大限の配慮を強調する。ただ、これまでの環境影響評価(アセスメント)の流れを見ると、異論に耳を傾け、計画を柔軟に修正する姿勢が乏しい。

 ある意味あたりまえの指摘が出されたことを、重く受け止めるべきだ。

 アセスは本来、環境影響を最小限にするのが目的だ。ただ、この事業に関してはそれにとどまらぬ意義がある。

 リニア中央新幹線は、整備新幹線の法律に基づいてつくられる。ただ、JR東海は、総額9兆円超の建設費を全額自己負担する。政府の金が投入されない半面、これほどの大事業なのに、国会の議決さえ得る必要がない。

 法的根拠に基づいて国民の声を反映しうるのが環境アセスである。すでに多くの疑問や批判が出た。ていねいに答えて理解を広げてこそ、事業を進める資格がある。

 例えば、名古屋開業時で27万キロワットと想定されるリニアの電力消費について、原発停止に伴う需給への影響や二酸化炭素(CO2)排出増加を懸念する声が多い。

 ところが、JRは「電力は十分まかなえる」「CO2の排出量は航空機より少ない」と繰り返すばかりだ。経営陣は原発再稼働への強い期待感すら示す。とても、納得できる態度とは言い難い。

 大事なのは、すれ違いに終わらぬ対話である。そこで一つ、JRに提案したい。

 静岡県は4月、リニア建設に伴う環境問題を専門家らがチェックする連絡会議を設けた。この考え方を一歩進め、沿線の全都県との間で公的な協議機関を設けるよう、JRから申し入れてはどうか。

 必要に応じて住民も参画できるようにする。オープンな場で意見を交わせば、理解も得やすくなるだろう。

 環境相意見も踏まえて、リニアを主管する国土交通省が7月22日までにJRに意見を出す予定だ。

 残土置き場や橋梁(きょうりょう)の設置をめぐる災害の恐れ、河川水量への影響など、特に関心が高い問題について、環境相意見は具体的な言及が少ない。

 これらの多くは国交省の所管業務である。国交相は、沿線住民が納得できるような意見をきちんと示すべきだ。