リニア トンネル残土問題どうなる?

2014-05-28 07:25:43 | 桜ヶ丘9条の会
リニア残土、終着駅は? 3都県工事で中部空港島25%分 

2014/5/28 朝刊(中日新聞)

JR東海が住民や事業者向けに開いた大深度地下計画の説明会=4月22日、名古屋市東区で
 東京・品川-名古屋間で二〇二七年の開業を目指すリニア中央新幹線。列島を横断する新たな大動脈は九割が地下で、特に人口密集地の首都圏と中部圏では地上から深さ四十メートル以上の「大深度地下」にトンネルを通す。事業主体のJR東海は早ければ今秋の着工を計画するが、前例のない巨大工事となるだけに課題も残る。

 リニアの総延長は二百八十六キロ。このうち約五分の一近い約五十五キロが大深度地下になり、中部圏では愛知県春日井市の国道19号から名古屋市中区の堀川をほぼ直線のトンネルで結ぶ約二十キロが予定されている。

 大深度の掘削は地下鉄工事などで使われる「シールド工法」を採用。地中に立て坑を掘り、そこから掘削機を入れて横に掘り進める手法だ。JRは立て坑掘削などに三年、トンネル掘削に八年かかるとみている。

 早稲田大の小泉淳教授(トンネル工学)は「軟弱な地盤を扱ってきた日本の掘削技術は世界一。大深度地下は地盤が固く、技術的な問題はない」と太鼓判を押す。一方で「最大の問題は掘り起こした大量残土の処理」と指摘する。

 JRの予測では、東京、神奈川、愛知の三都県で実施される大深度工事を中心としたトンネル工事で発生する残土の総量は千六百万立方メートルで、愛知県常滑市の中部国際空港の空港島(面積五百八十ヘクタール)を埋め立てた土砂量の四分の一。愛知県内分だけでも五百十万立方メートルになる。一二年度に愛知県と、名古屋市を除く県内五十三市町村の発注工事で発生した残土は、大深度工事で見込まれる愛知県分の半分以下の二百十四万立方メートル。うち土地造成や道路整備など他の工事への再利用は六割にとどまる。

 JRは残土処理をめぐり沿線の各都県に再利用を打診しているが、まだめどは立っていない。処理先が難航すれば、一時保管する仮置き場の設置を迫られるほか、工期の遅れにつながりかねない。愛知県リニア事業推進室の担当者は「現状でもすべての残土を再利用できていないので、県だけで受け入れるのは難しいだろうが、できるだけ対応したい」と話す。

 残土を運搬する工事車両で都市部の交通に影響はないのか。JRは「工事車両台数から試算すると、愛知県内で増加する交通量は最大でも6%」と説明。車の排ガスによる環境への影響も小さいと予測する。

 春日井市内のJR中央線神領-春日井間の立て坑で運搬ルートとなる幹線道路では、ピーク時で一日当たり八百台の通行を見込む。現状でも朝夕は渋滞する道路のため、JRは「通勤時間帯は避けるような工夫をする」と配慮を見せる。

 JR東海中央新幹線建設部の関戸淳二担当部長は「工事実施にあたっては、今まで以上に細かい単位で説明会を開き、沿線住民の理解を求めたい」と話す。

海外委託の核のゴミ処理費、3倍に高騰(朝日新聞2014年5月26日)

2014-05-26 08:35:04 | 日記


青森県六ケ所村に4月、英国から返還された高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)の輸入価格が、1本あたり1億2800万円だったことが税関への申告でわかった。過去最高額で、海外に処理を委託した廃棄物の返還が始まった1995年の3倍。管理や輸送の費用がかさんだとみられる。費用は電気料金に上乗せされる。

 原発から出る使用済み核燃料を再処理して再び燃料として使う「核燃料サイクル政策」について、政府は4月、閣議決定した新たなエネルギー基本計画のなかで「推進」するとしたが、再処理で出る核のゴミの費用もかさむことで、サイクル政策の非経済性が改めて浮かんだ。

 再処理事業では新たな燃料のほか、利用不可能で強い放射線を出す高レベル放射性廃棄物も発生する。六ケ所村にある日本の再処理工場はトラブル続きで完成しておらず、電力各社でつくる業界団体・電気事業連合会によると、日本は69年以降、英仏両国に送って再処理を依頼してきた。

 再処理でできたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料などは英仏から日本の各原発に順次運ばれて一部は使われてきた。一方で、高レベル放射性廃棄物を固めた「ガラス固化体」も95年以降、六ケ所村に返還されている。固化体は円柱形で直径約40センチ、高さ約1・3メートル、重さは約490キロ。地下深くに埋める地層処分を目指すが、処分場の候補地は決まっておらず、六ケ所村の施設内で保管されたままの状態だ。

 固化体の返還は今年4月が16回目で、132本が入った。固化体を所有する各電力会社は「私企業間の契約のため」として価格を明らかにしていない。

 だが函館税関八戸支署への届け出によると、4月に管内に入った固化体の輸入総額は169億3800万円で、1本あたり1億2800万円になる。13年2月の前回は1億2200万円で、95年4月の1回目は4400万円だった=グラフ。

 固化体はテロ対策などのために管理や輸送に厳重な警備が必要となる。また、再処理を委託した英国の工場でトラブルが相次ぎ、事業費もかさんだとみられる。固化体は英国に約640本残っており、19年までに順次運ばれる予定だ。

 使用済み燃料の再処理費用について、各電力会社は電気料金算定のもととなる経費「原価」に組み入れている。東京電力福島第一原発事故後に相次いだ電気料金値上げの際も原価に入れて申請し、認められた。(大谷聡)