中日春秋
2014/11/27 中日新聞
これこそ、堂々巡りではないか。私たちは、よりよい政治を求めて票を投じる。だが選挙自体が、一票の不平等で歪んでいる。そうして選ばれた国会で選挙制度が根本的に正されないまま、選挙が繰り返される
▼この悪循環から抜け出すために裁判に訴えると、最高裁は言う。「確かに一票の不平等は著しいが、国会の裁量の範囲内だ」。これでは、出口は見つからない
▼昨年の参院選をめぐる裁判で、きのう最高裁はまた同様の判断を示したが、「憲法の番人」の間でも「さすがにそろそろ悪循環を断たねば」という危機感は強くなっているのだろう。少数意見ながらも、内閣法制局長官も務めた裁判官が「このままでは国民主権は絵に描いた餅となる」とまで断じた
▼それにしても、なぜここまで一票の不平等は放置され続けるのだろうか。外務省条約局長なども務めた福田博・元最高裁判事の見立ては、注目に値する
▼福田さんは自著『世襲政治家がなぜ生まれるのか?』で指摘している。<(今の選挙制度の)目的は何か? あけすけに言ってしまえば、主として、二世、三世議員の既得権確保のためという面が強いのではないでしょうか?>
▼なるほど、選挙区割りが大きく変わらなければ、既得権で有利な立場にある世襲政治家が増えるのは、自明の理。「これではまるで江戸時代中期」とは、福田さんの嘆きである。
2014/11/27 中日新聞
これこそ、堂々巡りではないか。私たちは、よりよい政治を求めて票を投じる。だが選挙自体が、一票の不平等で歪んでいる。そうして選ばれた国会で選挙制度が根本的に正されないまま、選挙が繰り返される
▼この悪循環から抜け出すために裁判に訴えると、最高裁は言う。「確かに一票の不平等は著しいが、国会の裁量の範囲内だ」。これでは、出口は見つからない
▼昨年の参院選をめぐる裁判で、きのう最高裁はまた同様の判断を示したが、「憲法の番人」の間でも「さすがにそろそろ悪循環を断たねば」という危機感は強くなっているのだろう。少数意見ながらも、内閣法制局長官も務めた裁判官が「このままでは国民主権は絵に描いた餅となる」とまで断じた
▼それにしても、なぜここまで一票の不平等は放置され続けるのだろうか。外務省条約局長なども務めた福田博・元最高裁判事の見立ては、注目に値する
▼福田さんは自著『世襲政治家がなぜ生まれるのか?』で指摘している。<(今の選挙制度の)目的は何か? あけすけに言ってしまえば、主として、二世、三世議員の既得権確保のためという面が強いのではないでしょうか?>
▼なるほど、選挙区割りが大きく変わらなければ、既得権で有利な立場にある世襲政治家が増えるのは、自明の理。「これではまるで江戸時代中期」とは、福田さんの嘆きである。