国土交通省が引き起こした「東海環状道トンネル掘削残土による水質汚染事件(3)

2013-12-25 17:00:47 | 桜ヶ丘9条の会



7.応急対策について
 本汚染事件が発覚した後、直後の措置としてストックヤード下部の排水場所に炭と粗朶を敷設した。そして、3週間以上経った5月20日、国土交通省によって応急の水処理プラントが設置された。しかし、苛性ソーダを注入する単なる中和装置であったために、硫酸成分を中和してpHを中性に戻すことは出来たが、重金属を除去することが出来ないでたれ流し状態が続いた。なんという無知であろうか。国土交通省ともあろうものが、何故にかくも無知なのか理解に苦しむ。
 6月10日になって、ようやく重金属にも対応出来る処理プラントが稼働をはじめた。さらに、これが改良されて石灰投入型の処理プラントが7月15日に稼働を開始し、今日に至っている。目新しい汚染でもなければ、処理が難しい汚染でもない。最低限の基礎知識さえあれば、簡単に対応出来たはずである。コンサル任せで、国の役人自身は何もやらないという我が国公務員体制の根本欠陥を露呈したようにも思われる。
 さらに、この汚染問題については可児市もれっきとした汚染当事者であるが、こうしたクライシス発生局面では主体的な行動がほとんど見られなかった。国土交通省にすっかりお任せになってしまうのは、国と地方との上下関係によるものなのであろうか。

8.汚染の実態と対策工としての覆土の効果について
 ストックヤードに搬入されたトンネル掘削残土は100万トンに近く、巨大な量の堆積物が谷を埋め尽くしている。降水や地下水がその内部に浸透し、すでに述べたような化学反応や物理反応の結果として酸性を帯びてカドミウムや鉛、銅、亜鉛などの重金属類を含有した浸出水が浸みだしてくる。ストックヤードが土砂崩れなどを起こさないように防災対策として設置されていた2本のコルゲート管(各々分岐しているが)から排水されてくる他に、ストックヤード基部埋設管から排水されてくるもの、ストックヤードの下流にある調整池の底のあちらこちらから湧き出してくるものがあり、その多くがpH3~5(最悪の時の値はpH2に近い)の酸性を示し、重金属類を含有している。
 東西コルゲートからの浸出水、および、ストックヤード基部埋設管からの浸出水はポンプアップされて、水処理プラントで処理され、処理水は調整池下流に放流されている。それ以外の浸出水は調整池を経て下流へ流れている。
 こうした状態がいつまで続くかは誰にも予測がついていない。何故ならば、ストックヤード地下で起きていることの全体がいまだに把握されていないからである。なかでも地下水の動きが全く解明されていないのが最大の問題である。国土交通省は追加調査のために数10本のボーリングを行ったが、その分析結果についての考察には合理的でない矛盾点が多々あり、「新滝が洞池水質異常に係る対策協議会」(以下協議会という)の席上で専門委員等から再三の指摘を受けている。
 にもかかわらず、国土交通省からストックヤード天端部を遮水材ベントナイトで覆土するという対策工が提案され、2004年11月から工事が開始され、2005年3月までに全面覆土が完了した。この対策工が提案された際に、国土交通省多治見砂防国道事務所長後藤氏から、「ストックヤード内部のメカニズムに不明の点があることは認めるが、覆土工によって雨水の浸透を止めれば、浸出水の硫酸イオン濃度や水量が減少しpHが低い状態も軽減されることは間違いないだろうから工事をやらせてほしい。もしそれでも汚染がおさまらない時には、汚染残土の全面撤去をも視野に入れた対策のやり直しを考える」旨の発言があった。この時国土交通省が出した見通しでは、天端部の3分の1を覆土すれば浸出水の水量の減少と、重金属を溶かし出さない程度まで硫酸濃度が下がるだろうということであったが、天端部の覆土が完成して約1年間が経過しても、水量は減少したが強い酸性水の浸出は止まっていないし、改善の兆しもない。2006年1月にいたっても、pHが2点台に低下するという事態が再び発生しているのである。
 添付資料に示す図1、図2に最近の浸出水のpHの変化を示した。始末の悪いことには、まとまった降雨があった翌日あたりからpHが急激に下がり、10日あるいは20日間程度低いままで推移するということが繰り返されている。天端部は完全に覆土されているのであるから、横方向からの地下水がストックヤード地下に浸入して、硫化鉱物と新たな化学反応を起こしているのであろう。このことによって、浸出水量は減少したが、有害な酸性浸出水が発生し続ける期間はかなり長くなった可能性がある。
 浸出水の水量について、国土交通省は降雨直後の最大水量を覆土工施工の前後で比較して約10分の1になったとしている。これをそのまま信じれば、酸性浸出水が発生し続ける期間も10倍に延びてしまったことになる。但し、浸出水量が10分の1になったかどうかは定かではない。何故なら,国土交通省が水量を測定しているのは東西コルゲートおよび基部埋設管からの浸出水に限られているのであって、それ以外で湧き出している浸出水、とりわけコルゲート管に集水されない浸出水量を把握できていないからである。
9.事故
 現在稼働中の水処理プラントは、これまでに2回の事故を起こしている。まず、2004年2月に暴風によって電源が切れ、ポンプが停止して浸出水の汲み上げが止まって、酸性浸出水が無処理で調整池に流入した。2006年3月、今度は水処理プラントのpHセンサーが故障して、処理水の中和がされないままに汚染水の放流が行われてしまった。
 こうした事故は現状のプラントが事故時のバックアップシステムを持っていないこと、あるいは、センサー類のきちんとしたメンテナンスが出来ていなかったことなどによって発生した。しかし、そうしたことがきちんと行われてさえも、事故は必ずいつかは発生するものである。つまり、現ストックヤードに約90万トンに近い硫化鉱物含有残土が存在し続ける限り酸性水が出続け、その処理をし続けなければならない限り、なんらかのミスが事故を引き起こす可能性が常に存在するのである。まして、東海環状自動車道路工事が終わって、国土交通省多治見砂防国道事務所の人員と予算が減少し、水処理プラント稼動体制がおろそかになった場合には、これまで以上にこの種の事故が頻発するようになることが懸念される。
 さらには、地震や大規模な風水害によって、ストックヤードそのものが崩落する可能性も将来的には否定しがたい。
 これらの理由から、汚染残土の全面撤去を我々は求めているのである。

10.我々住民が求める解決とは
 これまでなにもなかった河川上流に、住民に対して何の相談も交渉もなく、突如降ってわいたようにストックヤードが出現し、環境基準をはるかに超える酸性汚水を垂れ流し始めたのである。この問題の解決とは、もとの何もなかった頃の谷川の水に回復させることである。環境基準などの各種水質基準は議論や検討をするときの参考値とはなっても、目指すべき問題解決のゴールとすべき値ではない。
 また、河川上流に常に監視や点検を怠ってはいけない水処理プラントのような施設が存在し続けなければならない状態も、我々が目指すゴールとは程遠い。地震や風水害による決壊、崩壊を憂慮しなければならない状態もゴールではない。

桜ヶ丘ハイツ住民の意見書を可児市長等へ送付

2013-12-25 14:44:48 | 桜ヶ丘9条の会

 「リニア問題を考える桜ヶ丘ハイツ住民の会」は、2013年12月24日に可児市長、12月25日以降順次、可児市議や、関係自治会、自治連合会、まちづくり協議会などにも、意見書の写しを送付しました。
 なお、中日新聞(12月25日付朝刊岐阜県版)によると、JR東海は24日、岐阜市内で開かれた岐阜県環境影響評価審議会で、可児市長や可児市議会が、可児市内の美濃焼関連史跡のある久々利大萱地区を地上で、1・2キロにわたり地上を走る計画になっているのを、地下トンネルに変更するよう求めているのに対し、計画を変更しない考えをあらためて示した。



可児市長 冨田成輝 様

「リニア・桜ヶ丘ハイツ中央部(欅ヶ丘地区)通過計画に関する意見書」
                 「リニア問題を考える桜ヶ丘ハイツ住民の会」
                  2013年12月21日  代表 加藤正吉
 
 可児市が、「桜ヶ丘に関する意見として、概略ルートの上には約1万人が居住する閑静な住宅団地があることから、磁界の人体への影響を始め、騒音、振動、微気圧波の予測には詳細な調査を行うことを求めています。また、JR東海は予測方法として山梨実験線の事例の引用や解析からとしていますが、どのように予測、評価し、市民生活に影響を夫及ぼさないような手法をとるかを求めてまいりました。」と市議会で回答したが、この秋に発表された環境影響評価準備書に、桜ヶ丘ハイツの関係は一切記載がないということは、可児市としての意見がJR東海によって無視されたということである。無視されたことに、なぜ可児市は反論しないのか、反論どころか、準備書に対する可児市長の意見書にも、桜ヶ丘ハイツ地区の問題(大住宅団地はルートから避けるという大前提)がまったく入っていない。
 このまま住民に対する振動や騒音、磁界、自然環境、などに対する納得できる説明もなく、技術的科学的疑問点の解明もなしに一方的に手続きを続けていくようなことになれば、現時点では、「安全・安心なリニアであれば国民全体の利便のためならば受忍もやむを得ないのかも、」という条件だが、それが、リニア建設計画そのものに反対という方向に向かってしまうことになる。
 可児市は、岐阜県知事とJR東海に対し、大萱地区の史跡群保護のために地上高架橋から地下トンネルに変更せよという市長意見の中に、「リニアルートは、桜ヶ丘ハイツとして閑静な住宅地化が想定されている桜ヶ丘ハイツの中央部(欅ヶ丘地区)を回避すべきである」という意見を追加すべきである。
                    
                以 上

健康を脅かす電磁波ー小児白血病や脳腫瘍など子供への影響大(安全食品連絡会)発表者宮崎恵子

2013-12-23 00:17:51 | 桜ヶ丘9条の会
強力な電磁波を発生させて爆走するリニア、JRは、科学的な根拠もなく、「健康に影響ない」と主張するばかりだが、2002年国立環境権研究所は、「送電線近くで、小児急性リンパ性白血病が4・7倍、脳腫瘍が10・6倍になった」という調査結果を発表したが、7億2125万円かけたこの調査結果に対し、国の評価委員会は最低の、C評価を付け、続いて3年間を予定していた調査研究費はカット、調査も打ち切られその結果は報道されなくなってしまったのだという。この研究は、「兜研究」と言われている。
この研究は、2007年6月には、WHO(世界保健機構)は高く評価した。
日本ほど電磁波が問題視されていない国はなく、マスコミがほとんど電磁波の危険性を報道しないのは問題である。
報告の一部を載せる。

健康を脅かす電磁波 ―小児白血病や脳腫瘍など子どもへの影響大―
安全食品連絡会
(発表者) 宮崎 恵子
◇はじめに
日本の携帯電話(PHSを含む)の普及率は 90%(1人1台として)、携帯基地局周辺の住民に頭 痛、不眠症、高血圧等の症状が報告されている。また、携帯電話を 10 年以上使用し続けると,脳腫 瘍になる恐れの指摘もある。イギリスなどでは 16 歳未満は携帯電話使用の禁止を勧告している。
電気毛布や電子レンジ、電磁調理器等からの電磁波被曝も心配されている。
2002 年、国立環境研究所は「送電線近くで、小児急性リンパ性白血病が 4.7 倍、脳腫瘍が 10.6 倍 になった」という調査結果を発表。ところが、7 億 2125 万円かけたこの調査結果に対し、国の評価 委員は最低のC評価をつけ、続いて 3 年間予定していた調査研究費はカット、調査も打ち切られ、 その結果は報道されなくなってしまった。(54~55 ページ参照)
ところが、2007 年 6 月、WHO(世界保健機関)はこの調査研究を高く評価した。日本ほど電磁 波が問題視されていない国はない。日本のマスコミが殆ど報道しないのも問題である。

2002 年、EUは危険性が確定していない場合も予防的処置として対応する「予防原則」を取り入 れた。日本でも「予防原則」を早期に取り入れ、電磁波過敏症患者の方々の被害を減らす活動を続け ていきたい。また電磁波について知り、危険性を避ける方法も考えた

電磁波とは。
 電磁波は太陽の光の仲間で、エネルギーの高いガンマー線、X線、紫外線(一部)等の「電離放射 線」とエネルギー
の低い可視光線、赤外線、家電製品の交流波等は「非電離放射線」の電気の波である。
1秒間に 60 回波を打つと 60 サイクル(ヘルツ)で低周波、電子レンジは 24.5 億サイクル、携帯 は 10 億とか 20 億サイクル・高周波である。
エネルギーが高いほど周波数が高く波長 は逆に短い。どの電磁波も身体に影響を及 ぼすが、エネルギーの高い電磁波のみが危 険とはいえない。私たちの身のまわりにた くさんある電気製品から漏洩する低周波の 電磁波も今問題になっている。
高周波と低周波の変調(混ぜ合わせ)さ れたりするのがよく利用される電磁波のデ ジタル(パルス)波で、低周波と高周波の 両方の悪影響の可能性がある。
◇電磁波と脳
1975 年、米カリフォルニア大学で 16 サイクル周辺の変調電磁波をニワトリの脳細胞に照射する と細胞内からカルシウムイオンが抜けていくという予想もしない事実を発見した。体液のカルシウ ムの濃度は一定に保たれていて、神経伝達と精子卵子の活動に関わるので、カルシウム漏洩は大変 重大である。
また 1975 年、米マサチュセッツ工科大学で、バクテリアが小さな磁石を持っていることを発見。 その後伝書バト、ミツバチ、サケ、イルカ、アユ、渡り鳥などにも発見され、1992 年カリフォルニ ア大学で人間の脳にも発見された。白血病や脳腫瘍などはこの磁石が扉の役目をして、ホルモンや 免疫機能をコントロールしているのではないかという仮説が発表された。
 脳には血液脳関門という機能があり、有害物質の侵入を排除し、必要な栄養素や酸素だけを通す が、電磁波に被曝すると、脳関門の機能が低下し、有害物質が脳内に移行することがスウェーデン の動物実験で示されて問題になっている。
 さらに、脳内ホルモンの中でメラトニン、セロトニン、ドーパミンが電磁波被曝の影響を受けて いるという研究もある。メラトニンが、電磁波の影響で減少すると、卵巣ホルモンが増加して乳が んになるのではないかといわれている。メラトニンはカルシウムとも関連し、睡眠を左右し、ガン を抑制するNK細胞を活性化し、体の酸化を防止し、痴呆を予防し、紫外線から身を守ると考えら れている重要なホルモンである。とくに電磁波の侵入しやすい子どもの脳への悪影響が心配され、 切れやすさ、多動性障害(ADHD)などとの関係が議論されている。セロトニン、ドーパミンは うつ病と関係し、自殺の増加との関係が心配される。最近異常発生したバッタはセロトニンが 3 倍 になっていたという。
◇ ウイーンの医師会が定めた「携帯電話使用に関する健康ルール 10 か条」(2005 年)
 1.原則として、携帯電話の使用はできるだけ少なく、簡潔にすること。 16 歳以下の子どもは絶対に使ってはいけない!
 2.通話中、絶対に携帯電話を頭の近くで持ってはいけない!
 3.絶対に交通機関の中で使ってはいけない(自動車、バス、列車...電磁波が強くなる)!
 4.メールを送る時は、携帯電話をできるだけ体から離すこと!
 5.周囲の人を被曝させないため、通話中はいつも他の人から数メートル離れること。
 6.絶対にポケットに携帯電話を入れてはいけない。電磁波は男性の生殖能力に影響を与えるかも。
 7.夜間は携帯電話の電源を切り、絶対に枕元に置かないこと。
 8.ゲームをするために携帯電話を絶対に使わないこと。
 9.イヤホンマイクも安全ではないだろう。ケーブルが放射線を誘導するかもしれない。
  10.全ての無線ネットワーク、ローカルネットワーク、WiFi,UMTSは高レベルの電磁波を発生させる。