地下化今後要望せず リニア、可児市長が一転!(中日新聞2014年3月28日付)

2014-03-29 21:01:52 | 桜ヶ丘9条の会
突然の変身である。
市長自らも、可児市議会も、地元大萱地区住民も、桜ヶ丘ハイツ住民も、一致していた大萱地区の地下化要求が、わけもなく突然、地上橋による通過を容認するのだという。




地盤沈下や振動心配(中日新聞2014年3月26日付)

2014-03-28 18:38:43 | 桜ヶ丘9条の会


「地盤沈下や振動心配」 リニア工事予定地の周辺住民 

2014/3/26 紙面から

 リニア中央新幹線の建設に向けてJR東海が実施した環境影響評価(アセスメント)に関し、大村秀章知事が二十五日に同社へ提出した意見書は、春日井市の亜炭採掘跡でのトンネル工事の事故防止や、ルート近くの文化財、生態系への影響の低減などを求めた。工事予定地周辺の住民らからは「どのぐらい影響が出るのか…」と不安の声も漏れる。

 県内ルートは名古屋市と春日井市を通る二十五キロ。ルートの大半が地下四十メートルより深い大深度地下トンネルとなる。

 リニアのトンネル工事が予定されるエリアで、地下に亜炭採掘跡がある春日井市不二ガ丘の区長稲垣修さん(71)は「工事によって地盤沈下が起きないか心配です」と話す。

 稲垣さんによると、JR東海側は地元住民への説明会で、大深度地下にトンネルを掘ることは示しているが、具体的な建設計画はまだ明らかになっていない。稲垣さんは地盤沈下だけでなく、工事に伴う振動なども心配する。

 「地下のことは目に見えないから、もやもやした気持ち。工事の安全性などの情報はしっかり提供してほしい」と求めた。

 名古屋市内では名古屋城南の地下を通過する。ルート上の近くには国の名勝「名古屋城二之丸庭園」、推定樹齢六百年とされる国の天然記念物「名古屋城のカヤ」など貴重な文化財がある。

 名古屋市教委の文化財保護室は「リニアが文化財の真下を通るわけではないので、どの程度影響があるのか何とも言えない」とした上で、「地下を掘削することで、地盤が弱くなってしまったら文化財にも影響が出かねない。きちんと確認しながら事業を進めてもらいたい」と話した。

可児市長 裏切りだ 何故地下化要求を断念したのか 何が会ったのか 説明責任あり

2014-03-28 08:41:26 | 桜ヶ丘9条の会
岐阜県知事意見書が出された日、可児市長は、これまで主張していた久々利大萱地区のリニア地上高架橋計画の地下トンネル化を翻意した。
何があったのか。
久々利大萱地区の史跡や古窯群の破壊をさせないというのは、単に地元住民だけの問題ではない。
日本の歴史と伝統、文化を守ろうとする日本人全体の要求である。
しかも、この要求は、市長のみでなく、地元住民、自治会、可児市議会などの総意なのである。
翻意したのは何が原因なのか、市長はちゃんと説明する責任がある。

2014年3月28日付 中日新聞記事をを載せる。


リニア地下化断念「裏切りだ」 可児市長翻意に地元 

2014/3/28 紙面から
 「今後地下化を要望することはない」。リニア中央新幹線で、可児市の冨田成輝市長は二十七日、一転してJR東海の地上ルート案を受け入れる意向を表明した。美濃焼関連史跡の保全を理由に地下化を求める趣意書を市長名で出し、賛同者を募ってきただけに地元からは「裏切り行為」「理由を聞きたい」との声が上がった。

 地上ルート一・二キロが計画される久々利地区。窯や作業場を持つ陶芸家吉田喜彦さん(78)は「市長に期待していたのに、裏切り行為だ」と怒りをにじませた。

 県史跡「大萱古窯跡群」や周辺の保全のため、美術館長や日本文学研究者ら三十人の趣意書への同意署名を集めた。「あの署名は何のためだったのか。市長に会えるなら会って直接、地下化を求めていく」

 久々利自治連合会の田口誠一会長(73)は「まだ国の対応も出ていない段階なのに…、住民としてはこれからどうしたらいいのか」と困惑する。「地元では東海環状自動車道の工事から流出した黄鉄鉱問題が十年以上も続いている。今度はリニア。協力できないと言い続けるしかない」

 市長とともに趣意書への同意を募ってきた市議会。川上文浩議長は「市長から直接聞いていないのでコメントできない。市の方向性を確認した上で議会としての対応をしっかり話し合っていきたい」と述べた。

 趣意書にサインした他市の議会関係者は「可児だけでは大変だろう、と協力したが、少し驚いた。考えが変わった理由を聞いてみたい」と話した。

 (遠藤康訓、畑間香織)

リニアアセスに対する愛知県知事の意見書要旨(中日新聞 2014年3月26日)

2014-03-26 22:28:38 | 桜ヶ丘9条の会
知事意見書というのは、ただ出せばいいという無責任なものではない。出した意見については、その趣旨が守られなかったら、工事を停止するとか、事故が起きれば、JRに損害賠償をさせるとか、県民に対して知事として意見についての責任が課されているものである。
まして、リニアアセスに対する知事意見というのは、法的なものであり、単なる政治的な発言ではないのである。
同じことは、住民が発言した公聴会での意見も、法的な重みを持った意見であって、単なる要望ではない。
公聴会による住民意見の聴取は、法的根拠に基づいたものである。軽く扱えるようなものではないのである。
知事意見書を受け取った事業者も、その意見書の重みを受け止めなければ、企業の事業そのものの根拠を失う。
何よりも、県民の生活や意向を最重要施策として、対策を考えるのが、知事の責務である。県民はそれを前提として、選挙で知事を選んだのである。
住民が深刻な疑問や、不安を抱くような施策は、本来知事が出来ることではない。


リニアのアセスはやり直しが避けられない

2014-03-25 23:23:27 | 桜ヶ丘9条の会
ブログ「リニア中央新幹線 南アルプスに穴を開けちゃっていいのかい?」2014年3月23日によると、山梨県と長野県の知事が、リニアに関する意見書を出したが、両県とも要するにリニアアセスのやり直しを求めている。沿線各県知事から、神奈川、岐阜、静岡、愛知などの各知事から、アセスの不十分さを指摘されている状況で、国が工事許可などは到底出せない。
JRは、リニアアセスのやり直し考えるべきである。


22日に、山梨県と長野県の知事意見がJR東海に提出されました。

どうせたいしたことは書かれないだろう…と思っておりましたが、目を通して驚きました。

新聞報道では「厳しい意見」「追加調査を要求」というように、わりと冷静な表現となっていますが、受け取る側としてはおそらく冷静さを保ってられる意見書ではありません。事実上、「アセス やり直しを要求」になっており、はっきり言って、環境影響評価としては失格の烙印を押されたのに等しいといえます。

わたくし、アセス(環境影響評価)などドシロウトですので、リニア中央新幹線の環境影響評価手続を考えるために、予習として法対象アセスとなった道路建設事業の環境影響評価数事例と、閣議アセスにおける100件ぐらい(1995~1996年)の知事意見概要にざっと目を通してみました。閣議アセスというのは法律に基づかない古い手法で、環境保全も不十分な時代であり、現在と比較するのはどうかとも思いますが、さすがにここまで言われているのは見当たりませんでした(事業者=知事という事例も多かったためでもありますが)。

また、知事意見&評価書を受けて出される環境大臣意見(後述)についても、1997年度の数十件の事例(法に基づくアセス対象事業)に目を通しましたが、やはりここまで厳しい扱いを受けたであろうものは見当たりませんでした。

というわけで、1997年の環境影響評価法施行以降では、例外的なケースじゃないかと思われます。

もっとも、厳しい意見が出るのは当然と言えば当然なんですが…

というのも、前回述べたように、リニア中央新幹線建設事業は、地上の鉄道設備よりも、トンネル工事にともなう水環境への影響と、5000万立方メートル以上に及ぶ残土の処分地造成に伴う環境への影響とが主要な争点になります。影響を受ける規模も範囲も、こっちのほうが広範囲・深刻・予測困難だからです。


ところがJR東海が今までに環境影響評価で取り扱ってきたのは地上設備に関する部分ばかり。何度も指摘してきたとおり、水環境については調査地点が乏しく、残土処分については「9割リサイクルを目指す」と、実現性に乏しく具体性のない目標を掲げただけにとどまっています。

すなわち、必要なアセスの半分も行っていないのです。

しかも地上設備のアセスについても、主観的な評価・根拠のない評価が相次いでいます。

例えば…生活道路となっている1本道を1日1700台の大型車両が通行しても「問題がない」というのは(長野県大鹿村)どう考えても無茶だし、工事終了後の完成予想図も出さずに「景観への影響はない」なんていうのは(静岡県)、論理的におかしい。長野県では事業者自らが「調査範囲」と定めた範囲での調査を行っていなかったことも判明しました。

こういう論理的におかしな内容がズラリと並べられているのです。

これだけひどい準備書をスルーしたとなると、自治体として後々責任問題に波及しかねません。そういう意味でも厳しい意見を出さざるを得なかったのでないでしょうか。

※どれだけひどいかというと、静岡市在住の方でしたら、静岡県立中央図書館にリニアのアセス図書および最近の道路建設のアセス図書が並べられていますので、見比べてくださいませ。

このあと今月25日までに残る都県からも意見書が出されますが、知事意見案や審議会の答申書をみたところでは、概ね同様に厳しい内容になりそうです。


この後JR東海は、各都県の知事意見をもとに準備書を修正して評価書を作成し、知事意見を添えて環境大臣に提出することになっています。評価書の作成に期限はありません。

JR東海は今年10月にも着工したいとしていますが、そのスケジュールだと、4~5月には評価書を作成しなければ間に合いません。信濃毎日新聞でも「JR東海は4月にも評価書を作成する見込み」と報じられていました。

ところが知事意見では、様々な項目において現地における追加調査を求めていますし、斜坑の数や残土処理・運搬計画など、事業計画そのものの見直しを求めている項目も多岐にわたっています。

環境影響評価をやり直す必要があるとJR東海自らが認める場合は、環境影響評価法第21条の規定に基づき、再び方法書段階から行わねばなりません。生物相や河川の流量等の再調査には、調査自体に1年かかります。猛禽類調査については2年が必要です。すなわち、知事意見に真剣に対応すると、今後1年半から2年は着工できません。

4~5月に評価書を作成することは、こうした知事意見を完全に無視することになります。ほぼ無修正・追加調査なしのまま環境大臣に提出するのでしょうか?

仮にこの準備書内容のまま評価書として提出した場合、知事意見で「問題がある」とされた点が修正されていないのですから、環境省としても「問題がある」という意見を出さねばなりません。

法律の規定では、環境大臣意見をもとに再度、評価書を検討し、最終的に許認可権者である国土交通大臣に修正版評価書として提出されます、10月着工を目指すのであれば、ここでの再検討も無視しなければなりません。

その場合、知事意見・環境大臣意見ともに無視した評価書がそのまま国土交通大臣に提出されることとなります。環境大臣意見で「問題がある」とされた評価書に基づいて、許認可権者である国土交通大臣はそのまま事業認可するのでしょうか?

「問題がある」という環境大臣意見を無視して国土交通大臣が事業認可したら、仮に裁判沙汰になった場合、「許認可権者の権利濫用」として環境影響評価法上の違法性を問われる可能性があるようです(環境法関連の多数の文献で指摘されている)。

もっとも、そこまでおかしなアセスの事例はこれまでほとんどなかったようですね。アセスにおける騒音基準のあり方等から裁判に発展し、一審判決で事業認可を取り消されたという事例(圏央道あきる野IC問題など)はありますが、全面的に問題のあることが自明な評価書に基づく事業認可について、裁判の争点とした例はないようです。

つまり、問題のある準備書・評価書であった場合は、どうにかクリアできるように準備書段階・評価書段階で事業内容を修正してきたわけなんですね。それが環境影響評価というものだからです。

というわけで、いくら国交省がJR東海とベタベタくっついていたとしても、さすがにこんなリスクのあることはしないでしょう。

というわけで、仮にJR東海が強引に知事意見を無視しても、許認可の前段階で事業内容の修正を要求される可能性が高いと思われます。すなわち、アセスやり直しは避けられない…。

つまり、少なくとも今年度中に着工することは不可能といえます。