アパレル労組 雇用守ろう ブランド店女性販売員ら結成 (2021年12月22日 木)中日新聞

2021-12-23 11:59:53 | 桜ヶ丘9条の会

アパレル労組、雇用守ろう ブランド店女性販売員ら結成 

2021年12月22日 中日新聞
 クリスマスムードが漂う東京・南青山。特に華やかなのが海外のファッションブランドを扱う店舗だが、そんな空気とは別世界のような取り組みが女性店員たちによって始められた。労働組合の活動だ。アパレル業界はかねて非正規のスタッフが多く、コロナ禍が直撃すると雇用はさらに不安定になった。店員たちが労組結成に踏み切った決意とは。異彩を放つ試みは、似た立場の人にとって希望の光になるか。 (木原育子、中沢佳子)
 大きなウインドーに、ハイセンスな服や靴、ジュエリーを身に着けたマネキンが並ぶ。東京・南青山では、海外などの一流ブティックが軒を連ねる。見る人の目を飽きさせない。
 そんな一角にあるのが、あるイタリアブランドの青山店。ハイブランドと比べ、お手ごろな価格設定で人気だ。ここで働く女性スタッフ四人が四日、労働組合を結成し、「全国一般労働組合東京南部」(港区)の支部として、ブランド名を冠したユニオンとして新たな一歩を踏み出した。
 支部長になった青山店店長の塩田純子さん(58)は「普段の会話で、『組合』という言葉を発する日常はなかった。こんな日が来るとは夢にも思わなかった」と話す。
 塩田さんは二十代からショップを経営するなど、アパレル業界に身をささげてきた。一九九六年には有名インポートブランド企業に入社。吉祥寺や銀座、青山で店長を歴任するなど、手腕を発揮してきた。二〇一七年三月には知人を通じ、今働く人気ブランド店の店長の話があり、引き受けた。
 労組を結成するきっかけは、新型コロナだった。
 外出自粛も長引き、アジア屈指のファッション街も空き店舗が目立つように。塩田さんの店で扱うブランドもアジア各地の店舗を次々と閉店し、日本支社も撤退したが、青山店の事業は継続した。
 「大好きな仕事を続けられる」と塩田さんらは一瞬喜んだが、事態は予期せぬ方向へ進んだ。
 塩田さんによると、昨年十二月に新しく変わった店舗の運営会社との雇用形態は、正社員から一年間の有期契約の非正規社員になった。その後も雇用を巡るトラブルがあったという。本紙が運営会社に事実関係を尋ねたところ、雇用を巡る処分は「撤回しており、結果として行われていない」とコメントを寄せた。
 そんな経緯がある中、塩田さんは顔見知りだった秋田一恵弁護士に相談。秋田弁護士を代理人とし、会社側とやりとりを重ねた。
 今後の雇用形態を含めて、良好な労使関係を築く方法を秋田弁護士と話し合った結果、団体交渉などができる労組の結成に踏み切ることになった。
 「組合活動に対して正直、ネガティブなイメージがあった。自分の権利を主張したり、こぶしをあげたり…。自分たちには関わりない世界だと思っていた」と塩田さんは打ち明ける。
 別の女性スタッフ(46)も「組合に入って、自分の労働環境を守るという発想が全くなかった」と話す。
 スタッフ同士でも「海外の組合活動は…」「今日テレビで組合のニュースをやっていた」などの会話が日常的に生まれているという。
 塩田さんは「権利とか平等とか、憲法とか…。会社からの言いなりではなく、自分の権利を守るために闘うことが、こんなに大事なことだったとようやくわかった」と前を見据えた。
 アパレル業界で働く人たちは、難しい状況に置かれてきた。
 人材派遣会社パーソルグループでアパレル人材の転職を支援する「クリーデンス」が2018年9月〜19年8月に行った調査では、店長や販売員の3割が契約社員という有期雇用。さらに20年の販売員の平均年収は300万〜346万円で、パーソルグループが調査した同年の全業種の平均409万円を下回る。
 ある労組関係者は「衣料販売店は営業時間が長く、長時間労働になりやすい。客が途切れないと、休憩もとれない。といって従業員を増やせず、アルバイトやパートといった短時間で働く非正規を雇うことが目立つ」と指摘する。
 業界全体も厳しい。矢野経済研究所によると、国内市場の規模は18年に9兆2349億円だったが、20年は7兆5158億円まで縮んだ。
 コロナ禍で倒れる企業も続出している。
 東京商工リサーチによると、負債1000万円以上の経営破綻は2476件(今月15日現在)あり、業種では飲食、建設に次いで多いのが、アパレルの199件だ。
 実際、昨年5月にはレナウンが経営破綻し、ワールドも今年2月、不採算店舗の閉鎖や希望退職者の募集に踏み切った。オンワードホールディングスは21年2月期連結決算で純損益が231億円の赤字。三陽商会も49億円の赤字を出した。
 近年、大量生産で低価格を売りにしたファストファッションが伸び、インターネット通販も台頭していた。しかし、老舗アパレルは主な入居先の百貨店の集客力が落ちて、低迷。そこへ、コロナ禍が追い打ちをかけた。店舗休業や訪日客の減少、ネット通販利用の増加を受け、店で服を買わなくなった人が目立つ。
 消費動向に詳しいニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員は、とりわけ「中間層向けアパレル」が厳しいと見る。
 「流行を押さえつつ低価格のファストファッションが、程よい質のオフィス着も扱うようになっている。ハイブランドは、コロナ禍で海外旅行を控えた富裕層の消費が向かっている。中間層向けはそのはざまで、価格でも質でも勝てない状態だ」
 働く人を守るのが労組だが、アパレル業界では数少ないという。
 労働問題に詳しい棗(なつめ)一郎弁護士は「個人店や小規模店が多く、従業員が少ない上に店も分散しているため、組合をつくりにくい。結成したくてもどこに相談すればいいか分からない」と説明する。
 そんな中で労組をつくる意義は大きいと見る。「不当な労働や解雇に泣き寝入りするケースも多い業界。組合という団体で交渉しなければ、対抗できない」
 今回の労組結成を支援した秋田弁護士は期待する。「ファッション業界は一見華やかだが、女性や非正規労働中心の低賃金という労働環境。しかし、横断的な組合がなく、組合をつくる風土もないままだった。今回をきっかけに、この業界で働く人が立ち上がってほしい」
 

 


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1 コメント

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平和主義は戦争を招く (佐野田 孝)
2021-12-24 11:55:22
はじめて投稿します。失礼があったら許していただきたい。

<戦争に備えない平和主義は逆に戦争を招く>
 9条の会の皆さんは、憲法9条の改悪阻止と同時に、現実の日本においても憲法通りの国にしようと、自衛隊の解散運動、米軍の撤去運動などをしているだろうと思います。しかし皆さんの運動を徹底し日本が憲法9条の通り完全非武装になったらどうでしょう。あなた方はそれで平和になると考えているでしょうが、日本の近隣諸国は軍事力を梃子にして外交を展開しています。領土の紛争が存在するなかで無防備になれば、適当な理由をつけて軍事力を使って日本領土を侵食して、それに激高した日本人との紛争状態になる可能性があります。
社会学者でもある小室直樹博士は、「平和主義者が戦争を引き起こす」と喝破しています。これは、第2次大戦後ヒットラー政権が台頭しヨーロッパが戦雲に覆われた時に、時のイギリス首相チェンバレンが、ヒトラーに融和政策(平和主義)で対応したため、ヒトラーの増長を促し欧州全体が戦争に突入したことを例に挙げているのです。

<憲法平和条項は米軍駐留に道徳的根拠を与える>
皆さんの運動を徹底し、憲法9条の通り日本が完全非武装になったとする。そうすると多くの日本国民が皆さん方に反対すると思います。こんな最低限の軍事力もない国では不安で住めないと。そういう国民心理のわかっている米国はわざとこの平和条項の入った憲法を作らせたのです。そうすることで、日本国民の多くが、安全のために占領軍に頼らざるを得なくなり駐留継続が可能となったのです。
 この米軍の長期駐留で、日本はアメリカに属国支配を受けることになり、さまざまな困難を抱え今に至っているのです。すなわち憲法の平和条項に固執することは、米軍駐留に根拠を与え、アメリカの支配体制を継続させ国民の苦痛を長引かせることになっているのです。
 この体制によって日本国民の冨が強制的に米国に流出し多くの国民が窮乏化し、民主主義も大きく損なわれ国民の最大の権利である国政選挙がアメリカ主導で不正操作されている可能性があります。国民無視の自民党政権が長期に続くのもこのためです。
 日本国民の様々な困難を解決するには日本が独立した民主国家にならなければなりません。そのためには米軍にどうしても出て行ってもらう必要があります。
 米軍撤退が終了した段階で、それを多くの国民に納得してもらうため最低限の国軍を認める憲法に改正する必要があります。ただ注意しなければいけないのは、現在自民党政府の進める憲法改正を後押しするようになってはいけないということです。
最後に一言述べておきます。平和憲法に固執して米軍の駐留を間接的に支援する皆さん方の活動は、後世の日本人から評価されることはないでしょう。
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