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2016-12-31 13:53:01 | 桜ヶ丘9条の会

(2016年12月27日付中日新聞)

安倍首相の真珠湾訪問を前に、映画監督のオリバー・ストーンさんを含む日米韓加中英豪沖台の歴史学者ら53人が公開質問状を発表しました。



真珠湾訪問にあたっての安倍首相への公開質問状

2016年12月25日
親愛なる安倍首相、
安倍首相は先日、1941年12月8日(日本時間)に日本海軍が米国の海軍基地を攻撃した際の「犠牲者を慰霊する」目的で、12月末にハワイの真珠湾を訪問する計画を発表しました。
実際のところ、その日に日本が攻撃した場所は真珠湾だけではありませんでした。その約1時間前には日本陸軍はマレー半島の北東沿岸を攻撃、同日にはアジア太平洋地域の他の幾つかの英米の植民地や基地を攻撃しています。日本は、中国に対する侵略戦争を続行するために不可欠な石油や他の資源を東南アジアに求めてこれらの攻撃を開始したのです。
米日の開戦の場所をあなたが公式に訪問するのが初めてであることからも、私たちは以下の質問をしたく思います。
1) あなたは、1994年末に、日本の侵略戦争を反省する国会決議に対抗する目的で結成された「終戦五十周年議員連盟」の事務局長代理を務めていました。その結成趣意書には、日本の200万余の戦没者が「日本の自存自衛とアジアの平和」のために命を捧げたとあります。この連盟の1995年4月13日の運動方針では、終戦50周年を記念する国会決議に謝罪や不戦の誓いを入れることを拒否しています。1995年6月8日の声明では、与党の決議案が「侵略的行為」や「植民地支配」を認めていることから賛成できないと表明しています。安倍首相、あなたは今でもこの戦争についてこのような認識をお持ちですか。
2) 2013年4月23日の国会答弁では、首相として「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」と答弁しています。ということは、あなたは、連合国およびアジア太平洋諸国に対する戦争と、すでに続行していた対中戦争を侵略戦争とは認めないということでしょうか。
3) あなたは、真珠湾攻撃で亡くなった約2400人の米国人の「慰霊」のために訪問するということです。それなら、中国や、朝鮮半島、他のアジア太平洋諸国、他の連合国における数千万にも上る戦争被害者の「慰霊」にも行く予定はありますか。

首相としてあなたは、憲法9条を再解釈あるいは改定して自衛隊に海外のどこでも戦争ができるようにすることを推進してきました。これがアジア太平洋戦争において日本に被害を受けた国々にどのような合図として映るのか、考えてみてください。




もんじゅ廃炉 原発依存にサヨナラを(2016年12月22日中日新聞)

2016-12-22 17:50:07 | 桜ヶ丘9条の会
もんじゅ廃炉 原発依存にサヨナラを 

2016/12/22 中日新聞
 高速増殖炉がだめなら高速炉-。それではあまり意味がない。もんじゅだけのことではない。原発依存の仕組み自体が、実は“金食い虫”なのだ。サヨナラもんじゅ、そしてその背景の原発依存。

 莫大(ばくだい)な費用がかかる。危険なナトリウムを大量に使っているのに管理はずさん、だから動かせない-。国民の側から見れば、もんじゅを残す理由はない。

 廃炉の決定はむしろ遅すぎた。

 何度も書いてきたように、トラブル続きで長年ほぼ止まったままのもんじゅの維持に、毎年二百億円もの費用をかけてきた。

 建設費と運転・維持費を合わせると一兆四百十億円にも上る。廃炉にも三千七百五十億円かかるという。そのすべてが税金だ。

 さらに大きな問題は、政府の意図が廃炉というより、高速炉への置き換えにあることだ。

 政府がもんじゅの“後継”に位置付けるのが高速炉。もんじゅとの違いは、核燃料を増やせないことである。しかし、高速中性子を使って使用済み核燃料を燃やすことはできるという、ハイレベルの原子炉には違いない。

 しかも、原型炉のもんじゅよりワンランク上の実証炉をめざすという。さらに莫大な費用を要することは、想像に難くない。

 フランスが計画中の高速炉「アストリッド」は、現時点で最大一兆円の建設費が見込まれており、日本に共同研究、つまり費用負担を求めているのが現状だ。

 文部科学大臣は「国民の皆さまに納得していただけるもの」と繰り返す。

 だが、国民の過半が原発再稼働に異議を唱える現状で、看板を掛け替えただけで、新型原子炉に巨費を投入し続けることに、納得できるはずもない。

 高速炉開発の背景には、既に破綻が明らかな核燃料サイクル、つまり使用済み燃料を再処理して再リサイクルする仕組み、ひいてはごみ処理にめどを付け、原発依存を維持したいという意図がある。

 経済産業省は、再処理事業の総費用を十二兆六千億円と見積もっていた。その一部は電気料金にすでに転嫁されている。

 燃やすだけの高速炉ではリサイクルはなりたたない。破綻を繕う文字通りの弥縫策(びほうさく)にも、納得できるわけがない。

 繰り返す。高速炉計画も白紙に戻し、核燃料サイクルは中止して、安全で安価なもんじゅの廃炉と、核のごみ減量の研究に、地元福井で専念すべきだ。 

辺野古判決 沖縄の声を聞かぬとは (2016年12月21日中日新聞)

2016-12-21 09:18:18 | 桜ヶ丘9条の会
辺野古判決 沖縄の声を聞かぬとは 

2016/12/21 中日新聞
 沖縄の声を聞かずに結論を出すとは…。米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる最高裁判決は「沖縄敗訴」だった。国と地方は対等という地方自治の精神を踏みにじる判断と言うべきである。

 地方自治とは何だろうか。憲法の条文には、地方公共団体の組織や運営については「地方自治の本旨」に基づき法律で定めるとしている。では「地方自治の本旨」とは何か。その地域の住民自らが自分たちの要望に沿った政治を国から干渉を受けることなく実現することだと解されている。

 だから、「地方自治は民主主義の学校」と言われる。中央政府が一手に強大な権力を握らないよう、権力を地方に分散させる意義があるとも説明されている。明治憲法にはなかった規定であり、戦後の民主主義社会では十分に尊重されねばならない条文だ。

 だから、沖縄県側は「民意に反する新基地建設の強行は憲法が保障する地方自治権の侵害だ」と憲法違反を訴え上告していた。

 この観点からすれば、最高裁は大法廷に回付し、十分に審理したうえで、憲法判断に踏み込むべきだったと考える。だが翁長雄志(おながたけし)知事の言い分を聞く弁論さえ開かず、「国の指示に従わないのは不作為で違法」と退けた。

 米軍基地という政治的・外交的な問題には、確かに国の裁量が働くであろう。だが、全面的に国の政策の前に地方が従順であるだけなら、地方自治の精神は機能しない。当然、米軍基地の大半を沖縄に押しつける理由にもならない。

 別の問題点もある。基地の辺野古移設に伴う海の埋め立て承認が今回の訴訟のテーマだった。つまり前知事による埋め立て承認の判断に違法性がなければ、現知事はそれを取り消すことができないのかというポイントだ。

 選挙という「民意」が現知事の主張を支持すれば、政策を変更できるのは当然ではないか。

 この点について、最高裁は「前知事の承認を審理判断すべきだ」「(現知事が)職権により承認を取り消すことは許されず、違法となる」と述べた。大いに疑問を抱く判断である。

 それでは選挙で民意に問うた意味がなくなってしまうからだ。県民の合意がないまま埋め立てを強行しては「民意より米軍優先」そのものにもなる。

 高裁は「辺野古しかない」と言い切った。その言葉はなくとも、最高裁の思考回路も「辺野古ありき」だったのではなかろうか。
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オスプレイ 飛行再開、理解できぬ(2016年12月20日中日新聞)

2016-12-20 09:27:31 | 桜ヶ丘9条の会
オスプレイ 飛行再開、理解できぬ 

2016/12/20 中日新聞
 海岸に「墜落」して停止されていた垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの飛行を米軍が再開した。安全性の確認は十分とは言えず、沖縄県民の反対も無視した飛行再開だ。全く理解できない。

 米海兵隊のオスプレイが十三日に沖縄県名護市の海岸に不時着、大破してから六日。事故後停止していた同型機の飛行を再開した。在日米軍は飛行再開について「安全手順や機体を徹底的、慎重に見直した。安全な飛行運用を継続できると高い自信を持っている」と説明する。

 今回の「墜落」は、空中給油訓練中、事故機のプロペラが乱気流で給油ホースに接触して破損、飛行が不安定になったため起きた。空中給油は引き続き停止するものの、機体自体の原因ではないとして飛行を再開するのだという。

 しかし、開発段階から実戦配備後まで墜落事故を繰り返し、安全性に懸念が残る機種である。同じ十三日には別の機が米軍普天間飛行場に着陸する際、脚部の故障で胴体着陸する事故も起きた。

 ヘリコプター機能も持つオスプレイは、通常の固定翼機よりプロペラが大きい。空中給油を行えば乱気流時に給油ホース切断の危険性は高まる。操縦の難しさに加え構造上の問題も無視できまい。

 米側の説明を受けた菅義偉官房長官、稲田朋美防衛相はそろって「飛行再開は理解できる」と述べたが、日米地位協定の制約があり日本独自の機体捜査をしたわけではない。米軍はもちろん、日本政府の対応も全く理解できない。

 米軍基地が集中し、オスプレイの危険に、より深刻に直面している沖縄県では翁長雄志県知事ら多くの県民が飛行再開に反対し、撤去を求める。なぜ反対を押し切って強引に飛行再開を急ぐのか。

 二十二日には政府主催の米軍北部訓練場の部分返還式典が行われる。返還条件として新設されたヘリパッドは、当初は想定されていなかったオスプレイも使用する。

 飛行再開を急いだのは、返還式典を前に、オスプレイの飛行を既成事実化するためではないのか。

 オスプレイは陸上自衛隊も十七機導入し、千葉県の陸自木更津駐屯地では普天間に配備された米軍の二十四機の定期整備も始まる。米軍横田基地(東京都)にも米空軍特殊作戦用機が配備される。

 オスプレイは日本の空を飛び回る。危険にさらされるのはもはや沖縄県だけではない。すべての国民が直視すべき現実である。


除染、国民に数百億円ツケ 「東電に求めず」指針 

2016/12/20中日新聞

事故処理に国民の負担が増すばかりの東京電力福島第一原発=11月22日
 東京電力福島第一原発事故で立ち入りが制限されている帰還困難区域に設ける「特定復興拠点」の除染費用として、政府は二〇一七年度予算に数百億円を計上する。東電には負担させない。除染廃棄物の中間貯蔵施設の整備で一兆六千億円の国費負担が既に決まっており、国民の負担は増すばかりだ。一方、避難者への住宅無償提供(年間総額七十億円)は来春、打ち切られる。

 「福島復興の加速のための基本指針」が二十日にも閣議決定される。指針案には「特定復興拠点」の除染費用を「東電に求償せずに国が負担する」と記されている。一七年度の予算額は約三百億円で調整中という。

 「特定復興拠点」とはどういうものなのか。

 まず、帰還困難区域について確認しておく。福島県内の三つの立ち入り制限区域のうちで、空間放射線量が最も高い。事故後六年を経過しても年間二〇ミリシーベルトを下回らない恐れがある。

 国の原子力災害対策本部会議と復興推進会議は今年八月末、この区域の取り扱いに関する「考え方」を発表し、「復興拠点」を設置する方針を明らかにした。

 「帰還困難区域のうち、五年をめどに、線量の低下状況も踏まえて避難指示を解除し、居住を可能とすることを目指す」「各市町村の実情に応じて適切な範囲で設定し、整備する」。約五年間、国費で除染し、住民が戻れるエリアを確保するという意味だ。

 東電の責任で除染をする決まりだが、任せていては帰還困難区域の除染は進まない。最近明らかにされた事故処理にかかる東電の負担額は十五兆九千億円。東電への支援の形になるが、政府が肩代わりする。

 では、福島県のどこが特定復興拠点に指定されるのか。帰還困難区域を抱える七市町村が、県と整備計画を策定した後、政府が認定するという。

 各市町村の反応はさまざまだ。

 立地自治体の大熊町(帰還困難区域に住んでいた人の割合が全体の96%)の担当者は歓迎の一方、「町内で放射線量が下がっている場所を(帰還困難区域より一段階下の)居住制限区域に再編して除染を進めてほしかった」という。今回決まったやり方では、「除染面積が減ることにつながるのでは」と危ぶむ。

 大熊町と同じ境遇の双葉町は、特定復興拠点ができることで、「帰還困難区域という名称が残り、風評により地域の復興が遅れることが心配だ」という。

 富岡町(30%)は「区域には市街地と田園地帯がある。地域分断の恐れがあり、慎重に拠点を設定しなければ」。浪江町(17%)は「区域のほとんどは山間部で、拠点をつくると言われても」と話した。

 反応が異なる自治体もある。南相馬市は帰還困難区域の住民は一世帯だけで、「人がほとんどいない山林を開発するわけにもいかない」と戸惑う。葛尾村は「区域は村の中心部から外れており、拠点を設けるということは難しい」。飯舘村は「対象は(区域が広い)双葉町と大熊町だけになるのではないか」と危ぶむ。

 そもそも、放射能汚染のひどい地域であり、除染は順調に進むのか。復興推進会議の担当者は「環境省がモデル除染も行っている。できないという前提には立っていない」と説明。内閣府原子力被災者生活支援チームの担当者は、「指針がきちんと決まった時点でお話ししたい」と述べるにとどまった。

◆自主避難者への無償住宅は終了

 帰還困難区域の除染に国費を投入することが決まる一方、被ばくを避けるため自主的に避難している人たちへの住宅の無償提供は打ち切られる。二つの政策からは、避難者の早期帰還を求める政府の思惑が浮かび上がる。

 昨年六月、政府の同意を得て、福島県の「新生ふくしま復興推進本部会議」は、来年三月末で自主避難者への住宅無償提供を打ち切ると決めた。「除染が進み、食品の安全も確保されるなど、生活環境が整いつつあるため」と県生活拠点課の担当者は話す。

 無償提供は、災害救助法や政令などに基づき二年間実施し、その後一年ずつ延長されてきた。県外避難の場合でも、各自治体から避難者の住宅費の請求を受け、福島県が支払う。昨年十月時点で対象は約一万二千世帯(約三万二千人)。一五年度の費用は推計七十億円で、国庫負担金などでほぼ全額が賄われてきた。

 来年四月以降も月額所得二十一万四千円以下の約二千世帯には県が家賃を補助する。だが、二年限りで、額は一年目が家賃の二分の一、二年目は三分の一。「激変緩和措置の意味合いがある。これまで通りの全額補助は、県独自に続けるのは財政的にも難しい」(同課の担当者)

 しかし、特定復興拠点の除染に何百億円もの予算を計上できるのなら、自主避難者への住宅無償提供の予算も政府は計上できるのではないか。

 福島県いわき市から東京都内へ自主避難している鴨下祐也さん(48)は特定復興拠点について、「帰還困難区域で除染を行っても、人が安心して住めるようになるのか疑わしい。そんな効果が定かでない政策に巨額の予算を充てる一方で、自主避難者が『継続してほしい』とはっきり求めている事業の予算を切るのは納得がいかない」と訴える。

 避難者らでつくる「ひなん生活をまもる会」として来年早々にも、避難先の住宅に住み続けたいという意思を記した文書を、東京都に提出するという。

 昨年十月に発足した「『避難の権利』を求める全国避難者の会」の中手聖一共同代表(55)は「避難するか帰還するかは、各自の判断に委ねられるべきだ」と話す。「住宅支援を打ち切る一方で、福島では帰還者向けの公営住宅の建設が進んでいる。金の使い方が帰還一辺倒でバランスを欠いている」と疑問視している。

 中手氏は福島市から札幌市に自主避難して借り上げ住宅に入居し、住宅支援を受けていたが、「打ち切り話は毎年のように持ち上がっていた。早く生活を安定させたいと、一五年末に札幌で家を買った」という。自身はいま、住宅無償提供を受けていないが、今後の生活を見通せない自主避難者の相談に乗る。

 「福島の子どもたちを守る法律家ネットワーク」共同代表の福田健治弁護士は「帰還困難区域を除染しても実際、何人の人が帰還を選ぶのか」と話す。

 復興庁などが今年九月、双葉町民に行った意向調査では、回答した千六百二十六世帯のうち13・4%しか「戻りたい」と答えていない。「戻らない」(62・3%)「判断がつかない」(22・9%)が多く、二十九歳以下では「戻りたい」は2・3%だけだった。

 福田氏は「被災者の多くが避難を望んでいるのに、戻そうとするために予算を計上しようとしている。二〇年までに避難者をゼロにして『原発事故は終わった』とアピールするために、帰還困難区域の除染が優先的に扱われるのだろう」と話した。

 (佐藤大、白名正和)



高速炉開発会議 サイクルは切れていた(2016年12月7日中日新聞)

2016-12-07 08:41:58 | 桜ヶ丘9条の会
高速炉開発会議 サイクルは切れていた 

2016/12/7 中日新聞
 増殖炉がだめなら高速炉、「もんじゅ」がだめなら引退した「常陽」を引っ張り出せばいい。そんな簡単なものなのか。核燃料サイクルの輪は、二十年以上も前に切れていた。もう元には戻せない。

 何か勘違いしてないか。

 そもそも「高速炉開発会議」という名称が、おかしくないか。

 トラブル続きで働けず、「金食い虫」の汚名をまとう高速増殖原型炉の「もんじゅ」(福井県敦賀市)。第一に問われているのは、そのもんじゅを中心とする核燃料サイクルの“進退”だ。

 多くの人は“引退”、つまり廃炉を求めている。

 たとえばもんじゅ、あるいは核燃料サイクルの対策会議というなら、まだ分かる。

 開発会議の議論は、明らかに核燃料サイクルの存続が前提だ。

 経済産業省と文部科学省、電気事業連合会、そして原子炉メーカーなど、核燃料サイクルを維持し、原発を存続させたい役所、企業ばかりが顔を並べるメンバー構成からも、あからさまなほどに明らかだ。

 核燃料サイクルを断念すれば、使用済み核燃料は、ただのごみ。青森県六ケ所村の関連施設で保管してもらえなくなり、宙に浮く。核のごみに対する世論の風当たりが強くなり、原発の再稼働に支障を来す。だから断念はしたくない-。思惑が透けて見えるようではないか。

 ところが、エネルギーを増やしてくれる増殖炉、もんじゅなしではサイクルはなりたたない。

 高速炉は核のごみを燃やす単なる“バーナー”だと言う学者もいる。家庭ごみの焼却処理を「リサイクル」と呼ぶ人はいないのと同じである。

 核のごみの処分技術を研究するのはいい。だが、六ケ所村の再処理施設も、もんじゅ同様、莫大(ばくだい)な国費を投入し、歳月を費やしながら、失敗と稼働延期を繰り返す。もんじゅを廃炉にするのなら、当然、核燃料サイクル全体を断念すべきではないか。

 もんじゅは、科学の夢だった。だが、核燃料サイクルが破綻したのは現実だ。これ以上、傷を深めるべきではない。

 立地地域の福井県や青森県ともよく話し合い、もんじゅと核燃料サイクルをまず円満な“引退”に導くべきだ。

 そして、核のごみの処分をどうするかという緊急課題に議論を切り替えて、正面から取り組むべきである。