若者が、主婦が、憲法の価値再発見(2015年6月29日毎日新聞)

2015-06-30 17:18:37 | 桜ヶ丘9条の会
特集ワイド:護憲ってカッコイイ 若者が主婦が…憲法の価値再発見
毎日新聞 2015年06月29日 

「自由と権利、不断の努力で」「平和的生存権」…だから私は訴える

 若者でにぎわう東京・渋谷で週末の14日夕方。百貨店が密集する交差点でヒップホップ系音楽に合わせ、ラップ調の叫びが響いた。「ヘリクツこねるな」「命を守れ」。太鼓のリズムに合わせ、踊るように練り歩くのは、安保法案に反対する若者デモ。安保法案の国会論戦前に目標にした1000人を大幅に上回る約3500人(主催者発表、以下同)が参加した。

 共産党青年組織に加え、大学生団体など十数団体が企画。衆院憲法審査会で与党推薦の憲法学者を含む3人全員が法案を違憲と述べた4日、中谷元防衛相が「憲法を法案に適応させる」と答弁した翌5日あたりを境に、無党派学生の参加表明が急に増えたという。

 主催団体の一つ、「若者憲法集会」事務局の田中悠さん(34)は「憲法を無視する安倍政権は99条の憲法順守義務違反。憲法そのものが否定されているという危機感が若者に広がった表れだ」と手応えを語る。

 田中さんが指摘する憲法99条には、天皇、政府閣僚、国会議員や裁判官、公務員は「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と書かれている。国民は明記されていない。憲法前文で主権在民が宣言されており、国民は自由と権利を行使する主体だからだ。一方、12条では国民に自由と権利を「不断の努力」で保持するよう求めている。つまり、主権者である国民は、政府に憲法を守らせ、民主主義を維持するのが憲法理念。安倍政権の解釈改憲は、国民と政府の主従関係が逆転しているのではないかと、若者は敏感に感じ取っているのだ。

 若者デモで大きな役割を果たしたもう一つの団体は、2013年12月に成立した特定秘密保護法に反対した無党派の大学生ら100人余が、安保法案反対で5月に再び集まって結成した「SEALDs(シールズ)」だ。団体名は「自由と民主主義のための学生緊急行動」を意味する英語の頭文字。「デモはカッコイイと思わせる」のがモットーで、理想の民主主義を語る熱いスピーチの映像をネットに流し、新しい運動スタイルを目指す。6月から毎金曜日夜に国会前で続ける集会は、19日、26日には2500人にのぼり、政治を避けていた若者の主権意識を目覚めさせた。

 19日夜、小雨の続いた集会。「水着を買うついでに国会デモに来ました」「立憲主義もわからない政府に自由を奪われたくないんです」と、女子大生が相次いでスピーチした。集会で叫ぶコールは「民主主義って何だ」「何だ」とかけ合う。どのスピーチも叫びも、憲法や安保法案の勉強会を繰り返しながら一人一人が考えた表現だ。「護憲を型通り叫ぶのはダサい。参加者それぞれが自分の言葉にしてこそ、国民の『不断の努力』の意味がある」。中心メンバーの明治学院大4年の奥田愛基さん(23)は、立憲主義の危機だからこそ、若者の努力を表現したいという。

 神奈川県の市民団体「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会も、主権在民をどう実現するか、自問しながら安保法案反対の声を上げている。ノルウェーのノーベル賞委員会から9日、今年も「憲法9条を保持している日本国民」を候補に決定したという通知が届いた。ノミネートは昨年に続き2回目。昨年受賞を逃した後、受賞対象を特定の護憲団体や個人に変えたほうが受賞しやすいとの指摘もあった。しかし議論の末、「国民」のまま再申請した。共同代表の石垣義昭さん(73)はこう語る。「ノーベル賞が憲法を守ってくれるわけではない。国民自身が憲法の価値に目覚め、9条を生かした国づくりの一歩にしたいと考えました。安保法案で憲法が厳しい状況にあるだけに、再ノミネートは意義深いですね」

 実際、実行委は運動の中で「平和的生存権」の価値に気づいた。憲法前文の「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有する」とある一文だ。国連人権理事会では08年から、国連加盟国にこの権利の立法化を求める決議を採択できないか議論が続いている。実行委は8日、この動きを支持する署名を始めた。

 9条に平和賞を与える運動を提案した主婦、鷹巣直美さん(38)は「世界が日本国憲法を評価し、その水準に追いつこうとしている時に、憲法は時代遅れと言われ本当に悔しい」と、9条とともに平和的生存権を広めたいという。

 武力による紛争解決を放棄した憲法9条に基づく日本の対話努力は、紛争地で好感を持たれていると再評価する動きも出ている。

 日本国際ボランティアセンター(JVC)、日本イラク医療支援ネットワーク(JIM-NET)など数団体の代表は7月2日、東京・築地本願寺で、安保法案に反対する国際ボランティア組織でつくる「非戦ネット」を再結成する予定だ。02年に対テロ戦争と武力攻撃事態法に反対したネットワークが、安保法案反対のため再結集するものだ。

 メンバーに加わるヒューマンライツ・ナウの伊藤和子事務局長は「対テロ戦争の現場では、テロリストが民間人に紛れているという前提で米軍などによる無差別攻撃が容認され、多大な民間人被害を生みました。その結果、地域の対米感情が悪化し、報復の連鎖や泥沼の紛争を招いています。この15年で武力が平和を生まないことは明らかになりました。テロを根絶するには、対話を積み重ねるしかないのです」と指摘する。

 武装勢力にも対話努力が通じるのか。日本が試みた事例はある。12年に同志社大がアフガニスタンのタリバン幹部を招いて和平会議を主催した際、日本政府は彼らにビザを発給した。アフガンへの武力攻撃に加担した欧米が動けない中、日本だからできるユニークな努力として注目された。

 「平和憲法に基づいて日本が対話努力、中立的な支援をしたことはアフガンのNGO関係者には知られているんですよ」。05~12年にアフガンで医療支援活動を行っていたJVCの長谷部貴俊事務局長はこう解説し、力説する。「自衛隊が何をしたら違憲かという議論だけでなく、日本が取り組んだ非戦の対話努力がどんな効果をもっているか、前向きに議論することが大切ではないでしょうか」

 憲法を再評価する人々は、国民が政府や世界にどうすればパワーを発揮できるかを、憲法前文や条文の端々で見つけた。集団的自衛権を巡る安保論議では脇に置かれがちな民主主義の原点を再発見し、生活の中で実践している。


安保(戦争)法案の廃案を求める法律家6団体共同アピール

2015-06-30 08:01:15 | 桜ヶ丘9条の会
安保法制(戦争法案)の廃案を求める法律家6団体の共同アピール

安倍晋三内閣は、本年5月15日、武力攻撃事態法、自衛隊法など既存10法を一括 して改正する「平和安全法制整備法案」と新設の「国際平和支援法案」を国会に提出し た。この二つの法案は、以下に述べるとおり、上程までの手続きが憲法に違反するとと もに、内容においても、これまで政府が違憲としてきた集団的自衛権の行使を可能とし、 自衛隊が米国等の他国軍隊とともに、地理的限定なく、有事平時を問わず緊密に協力し て武力を行使することも解禁する内容となっており、憲法第9条が定めた戦争放棄・戦 力不保持・交戦権否認の平和主義を根底から覆す「戦争法案」そのものに他ならない。

私たち法律家6団体は、憲法違反の戦争法案の即時廃案を強く求めるものである。

1.立憲主義・民主主義に違反する手続き

昨年7月1日の閣議決定は、「集団的自衛権の行使は憲法違反」という60年以上に わたって積み重ねられてきた政府解釈を、一内閣の判断で覆す暴挙であり、さらに、日 米両政府は、本年4月27日、「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)を、現 行安保条約の枠組みさえも超える「グローバルな日米同盟」をうたうものに改定し、同 月29日、安倍首相は、米国上下両院議員の前での演説の中で、法案の「この夏までの 成立」に言及した。
安倍政権のこうした一連の政治手法は、立憲主義に違反し、国民主権を踏みにじり、 「国権の最高機関」たる国会の審議をないがしろにするものである。

2.歯止めのない集団的自衛権行使
自衛隊法と武力攻撃事態法の改正は、集団的自衛権の行使を認めるもので違憲である。 「存立危機事態」、「対処基本方針」に規定されたいわゆる新3要件は、極めて漠然不 明確であり、なんらの歯止めにもならない。秘密保護法とのセットにより政府の裁量ひ とつで、集団的自衛権を行使する道を開く危険がある。また、その際の対処措置を、国 だけでなく地方公共団体や指定公共機関にも課すことも重大問題である。

3.米軍等に対し地球のどこでも戦争協力(後方支援)
他国軍隊に対する自衛隊の支援活動としての、重要影響事態法案における「後方支援 活動」と国際平和支援法案における「協力支援活動」は、いずれも、活動領域について 地理的な限定がなく、「現に戦闘行為が行われている現場」以外のどこでも可能となり、 支援の内容も「弾薬の提供」も解禁するなど、憲法第9条1項が禁ずる「武力の行使」 そのものである。「支援活動」中の自衛隊は、当然に相手(国)の攻撃対象となるほか、 戦闘現場で展開中の米軍等が、相手(国)から攻撃されれば、その場でなし崩し的に集 団的自衛権の行使(戦闘状態に突入)となる危険性が大きい。

4.PKO法の大幅改変~テロとの戦争に日本が参戦も
改正法案は、国際社会の平和と安全確保の名目で、国連決議がない場合でも、関連機
関、地域的な国際機関から要請があれば、自衛隊が、米軍及びその他の国の軍隊ととも に、紛争終結後の治安掃討作戦(治安維持活動)や駆け付け警護活動を行うことを可能 とし、且つ、任務遂行のための武器使用を解禁する内容となっている。これは、国際平 和支援法案とともに、今後自衛隊が、アフガン戦争での ISAF やイラク戦争での多国籍軍 等に参戦することを可能とするものであり、また、米国の主導する「テロとの戦争」に 日本が積極的に加担する道を開くものである。武力による制圧が、テロを抑止するもの ではなく、国際平和の維持には逆効果であることは歴史が証明している。

5.平時から米軍等と「同盟軍」関係を構築・米軍等防護のため武器使用
自衛隊法改正案は、「自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事してい る」米軍等の武器等防護のために自衛隊に武器の使用を認める。これは、自衛隊が米軍 等と警戒監視活動や軍事演習などで平時から事実上の「同盟軍」としての行動をとるこ とを想定するものであり、周辺諸国との軍事的緊張を高め、偶発的な武力紛争を誘発し て、なし崩し的な米軍等との集団的自衛権の行使にも繋がりかねず、日本を戦争に巻き 込む危険性を飛躍的に増大させるものである。

6.結語
安倍首相は、「専守防衛は変わらない」「戦闘行為を目的にして外国の領土に上陸す ることはない」「戦争に巻き込まれることは絶対にない」「自衛隊がかつての湾岸戦争 やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、今後とも決してない。」などと答弁す るが、不誠実であり、欺瞞というべきである。また、自衛隊員の生命のリスク、日本人 がテロの標的とされるリスクを一切語らないことは、国民の命よりもアメリカの利益を 重視すると批判されてもやむを得ない姿勢である。
私たち法律家6団体は(構成員延べ7000名)は、広範な国民とともに、平和主義、 立憲主義、民主主義に反し、日本を戦争する国にし、自衛隊員をはじめとする国民およ び他国民の命を危険にさらす本法案の即時廃案を求めて、今後とも一層の努力を尽くす 決意であることをここに表明する。
                                                              以上
2015年6月2日 法律家は安保法制を許さない6・2院内集会

社会文化法律センター 代表理事宮里邦雄
自由法曹団 団長荒井新二
青年法律家協会弁護士学者合同部会
日本国際法律家協会
日本反核法律家協会
日本民主法律家協会
議長 原和 良 会長 大熊政 一 会長 佐々木 猛 也 理事長 森英 樹

自民の報道批判 民主主義への挑戦だ(2015年6月27日中日新聞)

2015-06-29 09:13:19 | 桜ヶ丘9条の会
自民の報道批判 民主主義への挑戦だ 

2015/6/27 中日新聞
 自民党議員からまた「暴言」が飛び出した。広告主に働き掛けて自分たちの意に沿わない報道機関を懲らしめるのだという。民主主義の根幹をなす言論の自由への重大な挑戦であり、看過できない。

 その発言は二十五日、安倍晋三首相に近い自民党若手議員が党本部で開いた勉強会であった。出席議員が、安全保障法制を批判する報道機関について「マスコミを懲らしめるには広告料収入をなくせばいい。文化人、民間の方々が経団連に働き掛けてほしい」などと、講師として招いた作家の百田尚樹氏に呼び掛けたのだ。

 勉強会は冒頭以外は非公開だったが、本紙を含めた報道を受けて安保法制関連法案を審議する衆院特別委員会でも問題視された。浜田靖一委員長が発言はあったと確認し、「甚だ遺憾」と述べた。

 発言の背景には安保法案への反対が依然、国民の多数を占めることへのいら立ちがあるのだろう。

 しかし、「憲法違反」と指摘される法案を国民に理解しろということ自体、無理がある。法案に批判的な報道機関に責任転嫁するような愚を犯すのではなく、なぜ自らの非を認めようとしないのか。

 報道機関の重要な収入源である広告の出稿を、広告主に要請して止めれば、報道側が音を上げ、権力が意のままに操れる。そう考えているのなら勘違いも甚だしい。

 表現や言論、報道の自由は民主主義社会の根幹をなす。権力による言論統制や言論弾圧が日本を破滅的な戦争へと導いたことを忘れてはなるまい。自民党に限らず、政治に携わる者すべてが歴史を学び直すべきである。

 首相は遺憾の意を示したが、発言があったのは「党の正式な会合ではない」とも釈明した。

 そもそも国会議員は全国民を代表する公人であり、勉強会も党本部という公の場で開かれた。正式な会合でないから、何を発言しても許されるわけではあるまい。認識が甘すぎるのではないか。

 勉強会では百田氏が、米軍普天間飛行場の「県内移設」に反対する沖縄県の地元紙、琉球新報と沖縄タイムスを「つぶさないといけない」とも述べた。冗談では済まない。一作家の発言だが、反論しなかったのなら同意したと受け取られても仕方があるまい。

 報道の自由に対する挑発、挑戦である。平和国家として歩み続けてきた戦後日本が重大な岐路に立たされている今だからこそ、沖縄の二紙のみならず、報道機関全体で抗議すべきことである。

ハチ公前で安保反対集会 大学生ら数千人→

2015-06-29 08:13:26 | 桜ヶ丘9条の会
ハチ公前で安保法案反対集会 大学生ら数千人
2015年6月28日朝日新聞
 若者であふれる東京・渋谷で27日夕方、大学生らが安全保障関連法案に反対の集会を開いた。SNSで知ったという人や、買い物帰りの人も加わって参加者は数千人規模に。「本当に止める」などと書かれたプラカードを掲げて、ハチ公前を埋め尽くした。

安全保障法制
 主催したのは、都内の大学生らでつくる「SEALDs」(シールズ)。毎週金曜に国会前で抗議行動をしているが、「関心がない同世代にも知ってほしい」と渋谷集会を企画した。菅直人元首相や共産党の志位和夫委員長らも参加した。

 中心メンバーの大学生が街宣車に立ってスピーチをするたびに歓声が上がり、周辺はライブ会場のような雰囲気に。筑波大3年の本間信和さん(20)は「政府は大切な議論のプロセスをすっ飛ばし、自分たちに反対する言論を締め出し、国民の意見に耳を貸さぬまま、憲法を解釈によって変えようとしている。国民主権という言葉を思いだそう」と訴えた。



「争いを葬れ」喪服の行進 名古屋で安保法案反対デモ
2015年6月28日朝日新聞
 喪服で無言の集団が繁華街をゆく。そんなデモが27日、名古屋・栄であった。葬送を思わせる行進の狙いは、安全保障関連法案への反対。人が亡くなる戦争につながるという趣旨だ。

安全保障法制
 自営業者や主婦らがネットなどで呼びかけ合い、愛知県や岐阜県から約40人が集まった。「平和を手放すな」「戦争立法はいらない」という横断幕やプラカードを持っての静かな抗議に、買い物客が足を止めスマホで撮影していた。

 参加した岐阜県羽島市の理学療法士、松崎哲郎さん(36)は安倍政権の出方が気になる。首相に近い議員らでつくる勉強会で報道機関を威圧するような発言があったことには「メディアへの攻撃を許してはいけない」。勉強会代表の自民党青年局長は更迭されたが、「党の役職を解かれるだけ。幕引きを狙ったんでしょう」と話した。



百田氏発言をめぐる琉球新報・沖縄タイムス共同抗議声明(2015年6月27日琉球新報)

2015-06-28 11:41:05 | 桜ヶ丘9条の会
<社説>百田氏発言 開いた口がふさがらない
2015年6月27日 6:02



 ものを書くのをなりわいとする人間が、ろくに調べず虚像をまき散らすとは、開いた口がふさがらない。あろうことか言論封殺まで提唱した。しかも政権党の党本部でなされ、同調する国会議員も続出したのだ。看過できない。
 安倍晋三首相に近い自民党若手国会議員の勉強会「文化芸術懇話会」で、作家の百田尚樹氏が「沖縄の2紙をつぶさないといけない」と述べた。
 出席した議員も「マスコミを懲らしめるには広告収入がなくなるのが一番だ。経団連などに働き掛けて」と述べた。気に入らない報道は圧力でつぶすということだ。
 国会でこの問題をめぐる質疑が出たが、自民党総裁である安倍首相はおわびを拒否し、発言議員の処分も拒んだ。言論封殺に対する首相の認識を疑わざるを得ない。
 百田氏は米軍普天間飛行場について「もともと田んぼの中にあった。まあなんにもない。基地の回りに行けば商売になるということで人が住み出した」とも述べた。事実誤認も甚だしい。
 戦前の宜野湾村役場があった場所は現在の滑走路付近だ。周辺には国民学校や郵便局、旅館、雑貨店が並んでいた。さらに言えば琉球王国時代の宜野湾間切の番所(村役場に相当)もここだ。有史以来の地域の中心地なのである。
 ここは沖縄戦のさなか、米軍が地元住民を収容所に閉じ込めている間に建設を強行した基地だ。民間地強奪を禁じたハーグ陸戦条約違反だが、戦後も居座った。土地を奪われた住民が古里の近くに住むことを金目当てであるかのごとく言うのは、誹謗(ひぼう)中傷に等しい。
 しかも日本復帰までは落下傘降下訓練が主で、今のような運用ではなかった。1974年に滑走路が整備され、76年に岩国基地から海兵航空団が移駐してきて今のような運用になったのだ。62年には既に市制に移行し、75年に人口は5万人を超えていた。市街地に航空団の方がやってきたのである。
 この情報は宜野湾市のホームページにある。少し調べれば分かる話だ。百田氏はそれすらせずに虚像を拡散させたのである。軍用地主が「みんな大金持ち」というのもうそだ。極めて悪質と言わざるを得ない。
 「
沖縄2紙をつぶす」発言について、百田氏は翌日になって「冗談として言った」と述べたが、言い訳は通用しない。言論封殺を望む考え方自体が問題なのである。