沖縄県知事選 「期日前投票」を報告要求 県選管「好ましくない」(2028年9月27日沖縄新報)

2018-09-29 16:07:03 | 桜ヶ丘9条の会
沖縄県知事選 「期日前投票」を報告要求 県選管「好ましくない」
2018年9月27日 10:47


 30日投開票の沖縄県知事選で各陣営の支援企業や団体が期日前投票の実績を報告させる動きが広がっている。ある企業は従業員に、投票した人の名前や人数を報告させる「実績調査票」を配布している。県選管は「憲法で保障された投票の秘密の観点からすると、報告が強要されているとすれば好ましくない」と話す。

 県内大手のあるホテル会社の名前が入った、期日前投票を促す「連絡書」は10日付で、総務部門の部長らの名前と印鑑が押され「全スタッフ」宛てに発信されている。そこでは「期日前投票を済まされた方は、所定の報告様式にて『期日前投票調査票』の提出をお願い致します」と呼び掛ける。目標は「従業員1名につき8名以上」で「毎日15‥00までに報告」させる。「調査票」はホテル名が書かれ、人数と投票所、実行日の欄があり、左肩に候補者名が記されている。

 ある事務所でも、期日前投票を呼び掛ける電話で報告を受けて確認リストを作成する場面が目撃されている。労組は組合員の1割を目標に、人数を報告させる。関係者は「強制力はない。自分や家族が投票し、隣近所にも呼び掛けるようにと指示が来ている」と話した。

大分・伊方決定 社会通念というリスク(2018年9月29日中日新

2018-09-29 09:53:49 | 桜ヶ丘9条の会


2018年9月29日

大分・伊方決定 社会通念というリスク

 司法はまたしても「社会通念」という物差しを持ち出して、四国電力伊方原発(愛媛県)の運転差し止めを求める住民の訴えを退けた。原発リスクにおける「社会通念」とは、いったい何なのか。

 伊方原発は、四国の最西端、日本一細長い佐田岬半島の付け根にある。

 対岸は、豊後水道を挟んで九州・大分だ。最短で約四十五キロ。半島の三崎港から大分側の佐賀関港へは、フェリーを使えば七十分。古くから地理的に深く結び付いており、人や物の行き来も頻繁だ。

 伊方原発に重大な事故が起きたとき、原発の西側で暮らす約四千七百人の住民は、大分側に海路で逃げることになる。

 細長い半島には、ほかに逃げ場がないのである。

 伊方原発は「日本一再稼働させてはいけない原発」と言われてきた。

 わずか八キロ北を半島に寄り添うように、長大な「中央構造線断層帯」が九州へと延びており、南海トラフ巨大地震の震源域にある。

 さらに、伊方原発は阿蘇山から百三十キロの距離にある。

 原子力規制委員会の「火山ガイド」も指摘する、噴火による火砕流や火山灰の影響が心配される距離感だ。

 両岸の住民は、巨大地震と巨大噴火という原発事故の“二大要因”を共有する間柄、原発事故は「対岸の火事」ではないのである。

 大分地裁は、やはり四国電力側の主張を丸のみにするかのように「原発の耐震性評価は妥当」と判断し、「阿蘇山の破局的噴火が生じることが差し迫っているとは言えない。破局的噴火に相応の根拠がない場合、社会通念上無視できる危険である」とした。

 三日前の広島高裁と同様、またもや「社会通念」という、科学でもない、法律でもない、あいまいな“物差し”を持ち出して、大分地裁も、住民側が主張する具体的な不安を退けた。

 重ねて問う。「社会通念」とは、いったい何なのか。

 地震や噴火のリスクは確かにそこにある。しかし、確率は低く、取るに足らないものであり、そのようなことに不安を覚える人たちが、非常識だということなのか。

 だから、備えを図る必要もないという判断なのか。

 このような「社会通念」が定着し、原発が次々と息を吹き返していくとするならば、「安全神話」の復活以上に危険である。



権力の内幕 検証・加計疑惑 第2部(1)(2018年7月29日中日新聞)

2018-09-28 09:26:16 | 桜ヶ丘9条の会
【権力の内幕 検証・加計疑惑】

第2部(1)内閣改造機に官邸攻勢 強まる「早くしろ」

2018年7月29日中日新聞


 二〇一六年八月三日、首相官邸。赤いじゅうたんが敷かれた階段に勢ぞろいした新閣僚の中に、特区制度を所管する地方創生担当相だった石破茂(61)の姿はなかった。首相安倍晋三(63)の内閣改造に文部科学省の担当者は身構えた。「いよいよ獣医学部開設の動きが本格化するかもしれない」
 学校法人「加計(かけ)学園」の計画に基づき、愛媛県と今治市が国家戦略特区で獣医学部を開設しようと国に申請してから一年余り。文科省は学部開設に慎重な姿勢を崩していなかった。
 「残念だが仕方ない」。日本獣医師会顧問の北村直人(71)は、石破が閣外に出たことに複雑な思いを抱いていた。「獣医師は足りている」と学部新設に否定的だった獣医師会にとって、石破はよき理解者だった。県と市が一五年六月に特区を申請した直後、獣医学部新設に必要な四つの条件を設けたのが石破だった。
 いわゆる「石破四条件」は、学部新設の際、既存の獣医学部では対応が困難なことや獣医師の新たな需要があることなど、その必要性の証明を求めるものだった。獣医師会の理事会では、北村が「石破大臣と折衝をし、一つの大きな壁を作っていただいている」と発言している。
 安倍はライバルの石破を別の閣僚ポストで引き留めようとしたが、石破はポスト安倍をにらんで閣外を選んだ。後任には安倍に近い衆院議員の山本幸三(69)が就いた。北村は「四条件がある限り、大臣が代わったぐらいで簡単に学部新設が認められるわけがないと思っていた」と振り返る。
 内閣改造から一週間後、山梨県内の別荘に滞在していた安倍は、加計学園理事長の加計孝太郎(67)らと夕食を共にし、翌朝はゴルフに興じた。加計はその後、大臣就任祝いとして山本と文科相の松野博一氏(55)、農林水産相の山本有二氏(66)を相次ぎ訪問する。三人とも学部開設に関係する所管庁のトップだった。
 時を同じくして官邸サイドは規制突破へ向け、文科省への圧力を強めていく。
昨年7月の国会で顔を合わせた和泉首相補佐官(左)と前川前文科次官(右)。「背後に官邸の圧力があった」と証言した前川氏に、和泉氏は真っ向から反論した
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◆迫る期限…首相側近 文科省に圧力
 首相安倍晋三(63)のブレーンの一人、内閣官房参与の木曽功(66)が、文部科学省事務次官室に、同省事務方トップの前川喜平(63)を訪ねてきた。二〇一六年八月下旬のことだった。
 木曽は同省で局長級の国際統括官を務めたOBで、前川の先輩に当たる。この年の四月、加計(かけ)学園傘下の千葉科学大の学長に就任、学園理事にもなっていた。
 たわいない話の後、木曽が最後に切り出した。「獣医学部新設の手続きを早く進めてもらいたい」。さらに「国家戦略特区の諮問会議で決定したことに、文科省は従えばいい」と畳み掛けた。
 木曽は働き掛けを否定するが、前川は学園からの要請と受け止めた。獣医師会が後ろ盾としていた地方創生担当相の石破茂(61)が閣外に去った内閣改造から三週間。木曽の来訪は、始まりにすぎなかった。
 その翌月九日、安倍が議長を務める特区諮問会議が官邸で開かれた。同会議は特区選定の最高機関。民間委員の八田達夫(75)は「獣医学部の新設は極めて重要だが、岩盤が立ちはだかっている。強力に解決を推進したい」と意気込んだ。
 その二時間前、前川は首相補佐官和泉洋人(ひろと)(65)から官邸に呼び出された。和泉は国土交通省の元技官。地方創生や国土強靱(きょうじん)化を担当する首相の側近だ。官邸で重要政策を企画立案する首相補佐官は、首相の威光を背景に各省の事務次官をしのぐ力を持つようになっていた。
 前川が四階の補佐官の執務室に入るなり、和泉は前置きもなく早口でまくしたてた。「総理は自分の口から言えないから私が代わって言う。獣医学部新設について文科省の対応を早く進めろ」。時間にして五分足らず。「総理は言えない」という和泉の言葉に、前川は圧力とともに政権の後ろめたさをかぎ取った。
 問題発覚後、和泉は国会で「次官として、しっかりフォローしてほしいと申し上げた」と述べたが、「総理は言えないから」というくだりは否定した。本紙は改めて和泉に質問状を送ったが、回答はない。
 和泉は民主党政権時から官邸に入り、三年余り構造改革特区に携わった。前川は和泉を「特区制度のエキスパート」と評し、「国家戦略特区で獣医学部を開設しようという知恵を付けられる人は彼しかいない。学部開設のキーパーソンだ」と指摘する。
 前川は一カ月後、再び和泉に呼び出され、進捗(しんちょく)状況の説明を求められた。「とにかく早く開学したいという焦りを感じた」
 学園を誘致する愛媛県今治市はこのとき、獣医学部の開学時期を一八年四月と見据えていた。開学の準備期間を逆算すれば、年度内の一七年三月末までに文科省に設置認可を申請しなければ間に合わない。
 タイムリミットが半年後に迫っていた。北里大以来、半世紀ぶりの獣医学部開学に向け、文科省にさらなる圧力がのしかかった。(敬称略、肩書は当時。この連載は、中沢誠、池田悌一、池内琢、井上靖史、中野祐紀、伊藤隆平、小坂亮太が担当します)
(2018年8月14日)


伊方運転容認 ”常識”は覆されたのに(2018年9月27日中日新聞)

2018-09-27 08:55:05 | 桜ヶ丘9条の会
伊方運転容認 “常識”は覆されたのに

 四国電力伊方原発の運転差し止め決定が、同じ広島高裁に覆された。しかし例えば、どの原発の直下でも巨大地震は起こり得るという北海道地震の新たな教訓は、十分に考慮されたと言えるのか。

 「(阿蘇山の)火砕流が原発敷地内に到達する可能性が十分小さいと評価することはできない」-。

 原子力規制委員会の「火山ガイド」を引きながら、同じ広島高裁は昨年十二月、伊方原発3号機の運転を差し止めた。

 阿蘇山から伊方原発までは約百三十キロ。大噴火による火砕流や火山灰が原発に及ぼす影響を否定できないとの判断だった。

 福島第一原発事故後、高裁レベルとしては初の運転差し止め決定は、いともあっさり覆された。

 今回、広島高裁は「大規模な破局的噴火が起きる可能性が根拠を持って示されておらず、原発に火砕流が到達する可能性は小さい」と指摘した。昨年末とは真反対。「運転期間中に破局的噴火を起こすという可能性は極めて低い」と強調する四国電力側の主張をそのまま受け入れた形である。

 争点は火山だけではない。原発が耐え得る地震の強さについても、住民側は「過小評価」だとして争った。この点に関しても「詳細な調査で揺れの特性などを十分把握した」とする四国電力側の評価が判断の基本にあるようだ。

 だがたとえそうだとしても、それらは過去の知見になった。北海道地震が、地震そのものの“常識”をご破算にしたのである。

 これまで、地震に対する原発の安全性は、重要施設の直下に活断層があるか否かが、基準にされた。ところが活断層のあるなしにかかわらず、原発の直下でも震度7の大地震が起こり得るということを、北海道地震は知らしめた。

 活断層の存在は一般に地表に現れる。だが、北海道地震の震源は、今の科学では見つけようのない地中に埋もれた断層だった。

 北海道で起こったことは、日本中どこでも起こりうる。地震に対する原発の規制レベルも大幅に引き上げるべきだということだ。

 地震国日本は、世界有数の火山国。巨大噴火は予知できないというのは、それこそ学会の常識だが、大噴火のリスクに対する考え方も、そろそろ改めるべきではないか。

 “活断層なき大地震”の教訓が十分に反映されていない以上、古い地震科学や社会通念に基づいて原発の再稼働を認めることは、あまりに危険と言うしかない。



安倍政権に注文する 「原発ゼロ」への転換を(2018年9月24日中日新聞)

2018-09-24 08:17:53 | 桜ヶ丘9条の会
安倍政権に注文する 「原発ゼロ」への転換を

 原発、エネルギー問題は、総裁選の争点にされなかったと言っていい。

 告示前日、地震による停電で全北海道が闇に包まれ、北海道電力泊原発の外部電源が一時途絶えた。一極集中電源の危うさや、3・11を経てなお脆弱(ぜいじゃく)な原発の防災体制が露呈して、国民の不安と関心は一層高まったというのにだ。

 原発の“持続可能性”は、おのずと怪しくなりつつある。

 膨大な「国費」を投じた高速増殖原型炉「もんじゅ」が廃止に追い込まれ、使用済み核燃料サイクル計画は、事実上破綻した。核のごみの処分場は、一向に決まらない。二〇三〇年代には一時保管の施設から放射性廃棄物があふれ出すという。国際社会は、核兵器のエネルギー源にもできる大量の余剰プルトニウムの処分を迫る。膨らむ維持費や廃炉費用に耐えかねて、電力会社と原子炉メーカーは提携に動き始めている。

 極め付きは、事故に備えた賠償金の上限引き上げを、政府が断念したことだ。

 原子力損害賠償法は、電力会社の賠償責任に上限なしと定める一方で、原発一カ所に付き千二百億円を用意するよう電力会社に義務付けている。

 福島の賠償費用はすでに八兆円を超えている。少しばかり積み増したところで焼け石に水ではあるものの、上限引き上げを断念するということは、原発は民間企業の手に負えないと、国が正式に認めたというに等しくないか。

 福島の賠償費用は不足分を国が立て替え、一部はすでに電気料金に転嫁されている。いずれにしても、ツケは国民に回される。

 もはや原発は、国家の意思と力がなければ、管理も廃棄もできない状態に陥っている。なのに、国民の多くが抱く不安や疑問に国は答えてこなかった。

 世界が再生エネルギーへのシフトを進め、国民の過半が原発再稼働に反対する中で、なぜ原発を主力電源と位置付けたままなのか。核燃料サイクルをなぜ断念できないか。福島のような事故が再び起きたとき、誰が、どのように責任をとってくれるのか。そもそも責任がとれるのか-。恐らく答えられないのだろう。

 原発事故の責任は、政府にも負いきれるものではない。福島の現状を見れば明らかだ。だとすれば「原発ゼロ」への転換を「国策」として明確に示すべきなのだ。