奇跡への絆

図師ひろき

雑感103

2011年03月08日 23時02分30秒 | Weblog


 小学校4年生のとき、夏休みの宿題でローマ字を勉強した記憶があります。

 夏休みが明け、ローマ字の授業があり、一人ずつ音読をさせられました。

 しかしなかなか読めない・・・

 もじもじ立ちすくんでいると、容赦なくビンタが飛んできました。

 「次!」

 「・・・」

 「バシッ!」

 「次!!」「・・・」「バシッ!」

 が、繰り返され、体が小さい女子はビンタの勢いで倒れ、鼻血を流すほどでした・・・それでも

 「保健室に連れて行け!」

 ではなく

 「後ろで寝かせてろ!」

 でした・・・

 結局、ほとんど読むすすむことができない不甲斐ない私たちに、とうとう先生は

 「もういい!出て行け!!」

 と、授業中にかかわらず、私たちは運動場に叩き出されました。

 運動場に出された私たちは、しょげかえっていましたが、そろそろと数人のグループを作り、地面に石ころや木の枝でローマ字を書いて、けなげに勉強を始めました・・・

 そうしていると、一人の女子が

 「こんな事をしていても先生は許してくれんよ・・・先生にちゃんと謝ろうよ!」

 と言って、校舎に向かい、地面に正座をしました。

 一人、また一人、その女子の隣りに正座で並び、全員一列になたところで

 「先生、ごめんなさい!ちゃん勉強します!」

 と、みんなで頭を下げました。

 しばらく何の反応もなかった校舎の窓が開き

 「もういいあがって来い!」

 それから私たちのクラスが、ローマ字で優秀な成績をとるようになったことは言うまでもありません。

 夏休みの間、水泳の指導をしてくださったり、スポーツ少年団の応援に来てくれ、誰よりも大声で勇気づけてくださった先生は、ビンタにも愛情がこもり、惜しげもなく愛情を注いでくださいました。

 そのおかげで30年前の出来事が、色あせないまま笑顔とともによみがえって来ます。

 今、学校ではビンタはおろか、ゲンコツすらできない状況とか・・・

 現場の先生方は苦労が多いこととは思いますが、ビンタはなくとも、愛情と威厳を持って、生徒たちを伸ばしていってほしいと思います。