日守麟伍の和歌(うた)日記 Ringo Himori's Diary of Japanese Poetry

大和言葉の言霊の響きを求めて Quest for the sonancy of Japanese word

「あからむ森」再録

2017年03月17日 | 日記
 2014年3月30日に詠んで、4月02日に推敲した一首を、再録します。

芽ぐんだ木々で、森が一面に赤みを帯びて、風も吹かず、まだ色の薄い青空を背景にして、壁のように立っています。しばらく見ていると、緩やかに空気が動いて、ため息のような静かな風が吹きすぎました。

めぐむきに あからむもりの うすあおき そらにそばだち かぜにふくらむ
めぐむ木に あからむ森の
薄青き 空にそばだち
風にふくらむ

(芽ぐんだ木々で森が一面に赤らみ、薄い青空を背景に壁のように立っているところへ、ため息のような風が静かに吹いて、森を膨らませます)


 この歌は、姿、調べが、やや落ち着かなく感じられて、つぎのように推敲しました。ことさら技巧を凝らすというわけではなく、「ふくらむ」は、「森が膨らむ」と「吹く風」の掛詞になっております。ため息のようなひと吹きの風で、森が柔らかく膨らむ情景が、よく出ているように思います。音の響きも、ずっと柔らかくなりました。

めぐむきに あからむもりの うすあおき そらにふくらむ かぜのためいき
めぐむ木に あからむ森の
薄青き 空にふくらむ
風のため息

(芽ぐんだ木々で森が一面に赤らみ、薄い青空を背景に静かに立っていたところを、風が木々を膨らませて、ため息のように吹きすぎました)

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日守麟伍『くりぷとむねじあ歌物語』
日守麟伍『くりぷとむねじあ和歌集』
日守麟伍『古語短歌への誘い』
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