公園で生物調査をしているときのこと。刈り取られた草が腐りかけて,近頃の雨でじとっと湿っているところに,小さな動くものがいることに気づきました。見ると,イモリの子どもです。別名ニホンイモリ,下部が赤い斑模様をしているのでアカハライモリとも呼ばれています。
わたしがまだ小さかった頃,イモリは水田や溝,野井戸にいくらでもいました。その風景がくっきり脳裏に刻まれています。両性類なのではじめはエラ呼吸,やがて肺呼吸・皮膚呼吸に代わります。つまり,カエル同様にからだが乾いては生きていけません。水中に棲息しているイモリを思い浮かべると,ときどき水面に出て来てプクッと息をして,また潜っていました。
そのニホンイモリが水の流れも,池もない,公園の湿った草の上にいるのはかなりおもしろいことです。どこで繁殖して,どこからここまでやって来たか,とても気になります。
そんなこともあり,きちんと撮影することに。
この際なので,ニホンイモリについてくわしい生態を知りたくなり検索してみました。要約すると,次のようになります。
「日本のイモリがイモリ類の棲息としては緯度上の北限。沢から遠く離れたところにも棲息する。繁殖力は強くはない。腹の赤色は毒を持つことを知らせる警戒色。毒成分は体内にある,フグと同じ成分テトロドトキシン。手で触るぐらいでは被害に遭うことはないが,触った後手を洗うのがよい」
わたしの知らない生態が見えて来ました。調べてみることのたいせつさっていうことでしょうか。思わぬ場所での,思わぬ出合いでした。