玄関脇に壺を置いています。それは昔,味噌づくりに使っていたもので,今は傘立てにしています。その壺の上部縁にウラギンシジミがとまっているのが目にとまりました。
近寄ると,敏感に察知したらしく舞い上がりました。そうして,近くの地面に降りました。見ていると,また舞い上がってその辺りを飛び回って,また壺にやって来ました。なんだか,訳がありそうです。
こんどはもっと慎重に近づいて行きました。もちろん,カメラを構えながら。すると,妙な行動が目に飛び込んできたのです。口吻を壺の表面に付けて,ペタペタと舐めるような行動を続けたのです。ふしぎでもあり,びっくりでもあります。表面になにかが付着しているのでしょうか。味噌の名残りなんて,とっくの昔に消えてなくなっています。
なのに,盛んにペタペタとやっています。
すこしずつ前に移動します。口吻がこんなに遠くにまで伸びることも。
とにかく口吻があちこちを舐め回しています。
不用意にもカメラが手から落ちかけました。その動きを察知され,チョウは舞い上がりました。「しまったー!」。
ところが,しばらくして,また舞い戻って来ました。前と同じ,壺口の縁に。執着心がありそうです。前と同じように口吻を伸ばす行動を始めました。
チョウは,また舞い上がりました。これはわたしの気配を感じたというより,成り行きでたまたまそうしたという感じでした。そうしてまた戻って来ました。こんどは側面に。やはり訳があるのです。ウラギンシジミは壺の側面でも同じ行動をしました。
ほんとうに妙に思える行動です。秋の日差しが照り付け,すっかり乾いた焼き物で起こった出来事です。わたしにはその訳を解釈できません。