日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「人を思うアイディア」が、企業を伸ばす

2016-06-30 16:40:07 | マーケティング

FBの友人が、とても興味ある動画をUpしていた。
その動画は、ペダルが付いた車いす。
COGY:あきらめない人の車いす
車いすにペダルを付けることによって、脚力をつけるという目的で創られた車いすのようだ。
実際の動画を見てみると、事故などにより下半身を動かせなくなった方だけではなく、生まれつき障害を持った方でも、ペダルを踏み・車いすを自分で動かすことができるようになるらしい。

これまで、「車いすを動かす」ということを考えたとき、使う人が手を使って動かす、車いすを他の人が押すもしくは電動で動かす、という発想でつくられてきた。
車いすを使う本人が、自分の足で漕いで動かすという発想は、なかったような気がする。
この動画を見たとき、「目から鱗」という印象を持ったのは、これまでの発想とは全く違ったアプローチで、障害を持った人の行動を変えている、という点があったからだと思う。

まず第一に、「歩く機能を失っている人がペダルを漕ぐ力がある」とは、思っていないのではないだろうか?
この車いすのアイディアの中心となった、東北大学医学系研究科の半田康延先生が「人が足を動かすメカニズム」の研究があってのことだとは思うのだが、それを研究だけに終わらせずに「(障害を持った)人の行動範囲を広げるためには?」とか「リハビリに結びつけるには?」という、「人を思う」気持ちが発想の素となっているような気がしたのだ。

そして、このような「人を思う」発想というのは、実は日本人の得意な分野なのでは?という気がしている。
随分前に話題となった「痛くない注射針」が、グッドデザイン賞を受賞した。
この「痛くない注射針」をつくる切っ掛けとなったのは、糖尿病に苦しむ子供たちが、インスリン注射をする姿を見て「少しでも注射をする痛みを軽減したい」という、思いがあったと言われている。
そしてこの注射針は、日本国内だけではなく米国デモ販売されるようになっている。
作ったのは、岡野工業という中小企業だ(この話は有名な話なので、ご存じの方も多いと思う)。

企業規模によって、それぞれ得意なことがあるにせよ、「日本のものづくり」の原点というのは、「人を思う」ことから始まっているのでは?という気がしていると同時に、このように何かに特化できるモノを持つことで、企業は伸びるのではないだろうか?






小池百合子さんは、ガラスの天井を壊すことができるのか?

2016-06-29 16:24:28 | アラカルト

舛添さんの東京都知事の辞任が決まった直後から、次の都知事選びが始まっていた。
まず最初に名前が挙がったのは、人気アイドルグループの「嵐」のメンバー櫻井翔さんのお父さんだった。
マスコミには「桜井パパ」という紹介のされ方もされていたが、総務省のキャリア官僚としての活躍をされてきた人物。
自民党都議連側としては、ご子息の人気もあり期待が高かったようだが、ご本人は否定をされている。
とはいうモノの、一部報道では自民党都議連側からの要請は、あるようだ。

そこへ今日突然、自民党衆議院議員の小池百合子さんが都知事選の出馬を発表した。
自民党都議連側にとっては寝耳に水だったらしく、Yahoo!のトピックスは「都議連混乱」という記事を取り上げている。
小池百合子さんなら、国会議員としての実績は舛添さんよりもはるかにある。
元々ニュースキャスターなどの経験もあり、それなりに「華のある」人物だ。
その点では、桜井パパよりも「東京都の顔」として、適任かもしれない。

ただ小池さんの場合、桜井パパよりも様々なハードルが高いような気がする。
その一つが「都議会」という場だ。
東京都という訳ではないが、地方議員さんの大多数は男性でしかも年齢的にも高い方が多い。
最近は、随分減ったのかもしれないが、国や地方関係なく年齢の高い「オジサン議員」の口の悪さは、耳を覆いたくなるようなことが多い。
特に女性を相手に議論をするような場面では、議題とは関係のない心無いヤジを飛ばして悦に入っている方も、昨年から今年にかけ、問題になった。

もちろん、この程度のコトでひるむような小池さんではないと思うが、そのような意識を持っている生活者も少なからずいる、という点だ。
国会議員としての実績についても、決して良い印象を持っている人ばかりではないはずだ。
もう一つは、同性である女性からどれだけ支持を受けられるのか?という点も、気になる。

これまでも、しばしばいわれてきたことだが「女の敵は女」という言葉がある。
同性だからこその「嫌悪感」というモノがあるのだ。
特に「子育て政策」などに関しては、子育て経験のない小池さんが何と言おうと「子育て経験がないのに、分かったようなことを言って・・・」という、批判が起きる可能性はあると思う。
それくらい、冷ややかな見方をされる可能性もあるはずだ。

国会議員のように、自分たちの暮らしや生活とやや離れたところでの話であれば、「女性も国会で活躍すべき」と思っている人が、地方自治になると「女で大丈夫か?」と言う見方をすることは多い。
確かに、北海道や滋賀県などでは女性知事が誕生している。
だがそれは、北海道や滋賀県だからできたのでは?と、思っている。
なぜなら、東京という都市は案外保守的なところがあるからだ。
大きく物事を変えなくては!という時には、革新的な考えや人物を支持する傾向がある。
しかし東京という都市は、経済的にも安定した財源があり、その財源も小さな国の国家予算並みにある。
すなわち、革新的なことをあえて起こす必要がない都市でもあるのだ。
だからこそ、自民党都議連は桜井パパを都知事選に担ぎ出そうとしたのだと思うし、それは当然のような気がする。

米国の大統領選では、民主党代表はヒラリークリントン氏に決まった。
その彼女ですら「ガラスの天井」があり、それを打ち破るのは大変・・・と話している。
小池さんはその「ガラスの天井」を打ち破るコトが、できるのだろうか?


「梯子を外された?」支持者ーイギリスのEU離脱ー

2016-06-28 20:06:48 | 徒然

イギリスのEU離脱が決まってから、意外なことがいくつか起こっている。
例えば、離脱が決まってから「EU」についての検索アクセスが急激に増えた、という話題。
投票前に「EUとは何か」ということくらい知っていて、投票したのかと思いきや、そうではない人が思いのほか多かったようだ。

もう一つは、今日の朝日新聞に掲載されている「バラ色の離脱」と言っていた旗振り役が「公約」を反故し始めた、という話題だ。
朝日新聞:EU離脱、バラ色のはずが・・・旗振り役が「公約」反故

オイオイ、離脱が決まってから数日も経たない間に、いきなり「公約」を反故するというのは、あんまりなんじゃ・・・という気がするのだが、1か月後は、日本でも同様のことが起きるかもしれない。
もっとも、日本の場合「公約はあってないもの」という感覚のほうが強いかもしれないので、「いつものこと」で終わってしまうかもしれない。

ただ、EU離脱が決まった直後から、「もう一度離脱か残留かの国民投票を!」という動きがあったので、もしかしたらこの離脱という結果に不安を覚える人たちが多いのだろう。
そこへ、旗振り役の「公約反故」。
離脱そのものが「自分の生活をバラ色に変える」と思っていた人たちからすれば、いきなり梯子を外された気分なのではないだろうか?

有権者として考える必要があったのは、「EU」という枠組みによって得られていた「経済メリット」という点と「政治のグローバル化」だったような気がする。
「政治のグローバル化」というと「国際政治」と考えがちだが、今の「政治」は国内政治が他の国にも影響を与える(与えられる)時代になっている。
にも拘わらず、国内にある不満や不安だけに目を向けてしまうと、自国と他国との関係性の中で生まれている、自分の生活に影響を与える様々な出来事を見失ってしまうのだと思う。

そこへ「バラ色の話」を言う人物がいれば、その話を信じてしまう(というよりも「信じたい」という気持ちかもしれない)のは、ある意味仕方のないことなのかもしれない。
既に一部の人たちが言っている「バラ色の話」は、イギリス国民のポピュリズムを扇動し、EU離脱へと導いたということになるのだと思う。
そしてこのポピュリズムは、イギリスだけではなく、トランプ氏に熱狂する米国にも通じるところがあるような気がしている。
そして、トランプ氏もまた「梯子を外す」可能性があるのでは?と感じている部分もある。
あくまでも想像の範疇だが、そうなると米国は政治も経済も相当混乱し、全世界に影響を及ぼすのでは?と、怖い想像までしてしまうのだ。


「選挙」を、文字の意味から考えてみる

2016-06-26 23:14:55 | 徒然

週末の朝の楽しみの一つに、あるFM番組がある。
感じて漢字の世界」という、番組だ。
元NHKアナウンサー・山根基世さんがナレーションをされている番組で、季節折々の言葉や時の話題となる言葉の漢字一文字を取り上げて、その漢字の成り立ちや意味などから、漢字一文字から様々なイメージを広げることができる番組だ。

今日の漢字は「選」だった。
イギリスのEU離脱となった「国民投票」も一つの「選挙」だろうし、アメリカの大統領を選ぶ「選挙」もある。
何より身近なところでは、7月10日には参議院選挙がある。
このタイミングで「選」という漢字をテーマにしたのは、制作者側の何等かの意図があるのかな?と、思いながら聞いていた。

改めて「選」を、白川静博士の文字学の視点で読み解くと、「選ばれる人」が大切なのではなく「選ぶ人」のほうが大切なのでは?という気がしてきた。
白川博士の「選」という漢字一文字の考えは、「巽」と「行く」ということを示す部首「しんにょう」から成り立っている、という。
「巽」という漢字そのものも二つの「己」の下に「共」という構成で、成り立っている。
確かに、「選」という漢字を分解すると、その通りだ。

白川博士は、「神様に奉納舞するために選ばれた巫女たちの姿(というか状況?)」を「選」という文字の由来と解釈されたようだ。
そんな話を聞きながら、勝手に自分なりの解釈をしてみると、また違った意味を持っているような気がしてきた。

それは白川博士が分解した「選」という個々の文字の意味だ。
二つ並ぶ「己」は、私たち生活者ともう一人の相手。
そして「共」は、一緒になる。
それらの文字が、一つになって部首である「しんにょう」の意味である「行く・歩く=進んでいく(あるいは未来を創っていく)」ということなのでは?と、思ったのだ。

私たちは、普段の生活でも様々な選択をしている。
これは番組の中で言っていることだが、「選ぶ」ためには自分とその相手(やモノ・コト)が必要だ。
そして、それらを手にしたときが終わりではなく、始まりでもある。
だからこそ、「選ぶ」時には慎重に様々な情報を得ようとするのでは?
もちろん「一目ぼれ」という言葉があるように、直感的な判断をする時も少なくはない。
ただ、「選ぶ時間がある」ということは、様々な情報を得たり、他者の意見を聞いたりすることができる時間がある、ということだと思う。

丁度、「帰ってきたヒトラー」という映画が上映されている(音声付き予告編が流れます)。
ヒトラーという独裁者を作り上げたのは、実は民衆が「選んだ」結果であった・・・という事実に、改めて「選挙」の意味を考えなくてはいけないような気がする。
私たち自身が、どのような未来を創りたいのか?その時一緒に歩いていける相手は、どのような人物なのか?それを選ぶのが「選挙」なのでは?と、改めて考えたのだった。


イギリスのEU離脱を考える

2016-06-25 19:29:46 | アラカルト

昨日、イギリスのEU離脱が国民投票によって、決まった。
この結果を受け、市況が大きく動いたのは、ご存じのとおりだ。
確かに、イギリスのEU離脱が与える影響は、大きいと思う。

EUという「経済圏」はとても大きく、グローバル経済に与える影響はとても大きい。
ただ、イギリスは「EUの経済圏」にありながら、EUの通貨である「ユーロ」を使っていない国でもあった。
イギリスはEUに参加してからも、自国通貨である「ポンド」を使っていた。
そう考えると、「EUの経済圏」と言いながら、ポンドがユーロに与える影響は、どのようなものなのか?ということを、考えなくてはイギリスのEU離脱が与える経済的な影響はわからないと思う。

イギリスの場合、自国通貨であるポンドを使いながらEUに参加していた、ということはEU圏内における「関税」などに関連する部分での影響、ということがまず考えられると思う。
EUから離脱することで、他のヨーロッパ諸国への輸出・輸入という部分での影響がまず考えられる。
それはイギリスの企業が、他のヨーロッパ諸国へ企業進出するときなどにも、影響があるだろう。
逆に他のヨーロッパ諸国がイギリスへ企業進出するときも、同じように影響が出るはずだ。

ニュースなどで報じられている内容の多くが、経済に関する内容ばかりなので、どうしてもそちらに目が行きがちだが、本当のイギリス国民が経済のことばかりを考えて、投票をした訳ではないのではないだろうか?
Yahoo!のトピックスに、「地べたから見た英EU離脱」というタイトルの記事が取り上げられている。
Yahoo!:地べたから見た英EU離脱:昨日とは違うワーキングクラスの街の光景
イギリスのEU離脱が決まった時、米共和党大統領候補となったトランプ氏は、「正しい選択」と評したようだが、本当のところはイギリス国内にある「格差」による不満の結果だったのでは?

移民が増えることによって、職を奪われる不安を持つワーキングクラスの人たちにとって、EUに残ることは自分たちの職を無くすことにもつながっていると、感じたのではないだろうか?
その意味で、トランプ氏の指摘は的がずれているような気がする。
決してトランプ氏が掲げる「アメリカン・ファースト」のような、「イングランド・ファースト」という単純な考えではなかったように思うのだ。
それが投票結果として、あらわれたという印象を受ける。

また、記事中にあるように国民投票では「投票地域」によって、結果が大きく異なるコトがある。
以前大阪の橋下さんが行った「住民投票」でも、「投票地域差」が顕著に表れていた。
「イギリス国民の総意」としてのEU離脱ではなく、今の社会に対して「肯定的か否か」という部分に影響された結果だと、考えたほうが良いのでは?と、考えるのだ。
だからこそ、非常に拮抗した投票結果だったのでは?

EUというと「経済」という視点で考えがちだが、本当のところはEUに参加している国々の人たちの「生活や暮らし」の上に成り立つ一つの共同体であると考えると、イギリスの離脱は違った意味を含んでいるのではないだろうか?


「本を聴く」時代がやってくる?!

2016-06-23 20:07:03 | ビジネス

ネットにはテレビとは違う「広告」が。数多く表示されている。
中にはいかがわしい?健康食品や、情報源のわからないゴシップもどきの「広告」もある。
テレビCMとの大きな違いは、大手広告代理店を使わなくても「広告」が出せ、それなりの効果があるということだろう。

その一方、ネットだからこその「広告」というモノもある。
Amazonなどの広告は、テレビCM向きというよりもネット向きの「広告」という気がする。
理由は、Amazonのユーザーそのものがネットユーザーだからだ。
そのAmazonが、新しい事業を始めるらしく「広告」が表示されていた。
広告の内容は「本を聞く」というモノ。
Amazon:Audible(オーディブル)・自由に本を聴こう

「本を聴く」というと、視覚障害を持っていらっしゃる方向けのサービスのように思えるが、決してそうではない。
もちろん、視覚障害を持っていらっしゃる方の利用も含めてのことだと思うが、Amazonが想定している利用者は普通の健常者だ。
「本を読む」のではなく「本を聴く」というサービスに、違和感を感じる方も多いと思うのだが、おそらく「本を読む時間が無い」という人向けに考えられた新しいサービスなのでは?という気がしている。

というのも「(本を)読む」という行為は、その行為に熱中する(というか集中する)ことが必要だからだ。
それに対して「聞く」いう行為は、「ながら」でできる。
「ながら」で聞いて、どれだけ内容を理解できるのか?という疑問はあるが、一応「聞いた」という満足感は残る。
「読了」という満足感ほどではないが、ある一定の満足があるという点は、大きいかもしれない。
また「聞き返す」ということも、本のページを繰るよりもラクなことかもしれない。

このようなサービスが可能になったのは、音楽の聴き放題サービスが昨年あたりから充実してきたことが、大きいだろう。
事実、このオーディブルというサービスは、月額定額制だ。
どれだけのタイトルの本をダウンロードしても、定額なので安心できる。
場合によっては、電子書籍を購入するよりも安く済むかもしれない。
日本では、イマイチ普及しているとはいいがたい電子書籍の普及という点でも、期待をしているようにも思える。

提供されるサービスの中で「マンガ」が含まれていない点にも、注目する必要があるかもしれない。
「音声で文章(あるいは文脈)から場面を想像する」ことが必要なサービスだと考えると、「マンガ」はマッチングしない。
ということは、このサービスを利用する側に要求されるのは「文章(あるいは文脈)から、場面を想像する力」かもしれない。

眠る前のひととき、本を聴く・・・ということが当たり前になるのだろうか?


企業イメージは、「資産」の一つ?

2016-06-21 19:57:55 | マーケティング

世界各地で「選挙」が、行われている。
イギリスでは、EUから脱退するのか?残るのか?という国民投票。
日本でも、参議院選挙の告示が明日に迫っている。
そして、昨年から長い予備選を繰り広げ、やっと候補者2名が決まったのが米国の大統領選だ。

以前から言われているのでご存じの方も多いと思うのだが、米国の大統領選で使われる「資金」の多くが「寄付」によって集められている。
小口の個人もあれば、有名ミュージシャンや映画俳優などが数千万という額の場合もある。
もちろん、企業からの寄付も候補者にとっては大切な「活動資金」だ。
これまで一般的に、民主党への寄付が目立ったのは有名ミュージシャンやハリウッドセレブだった。
それに対して、共和党は大企業や富裕層への優遇政策を打ち出すことが多いこともあり、優遇政策で恩恵を受けやすい企業や富裕層が「寄付」をする傾向が強いと言われていた。
わかりやすく言うなら「リベラルな民主党VS保守的な共和党」という、政党色に準じた人や企業からの「寄付」が集まりやすい、ということだ。

このコト自体、おそらく世界各国どこでも同じような傾向があると思う。
自分たちにとって有利な政策を打ち出す政党を応援したくなるのは、万国共通だと思う。
しかしトランプ氏が共和党の候補となってから、共和党への寄付を取りやめる企業が出てきているようだ。
中日新聞:アップル、共和党大会に協力せず 機器提供見送り「反トランプ」

最初、appleが共和党に対して協力的である、ということに驚いたのだが、記事をよく読むと共和党だけではなく民主党大会でも機器提供をしているので、「公平」な協力ということだろう。
記事を読んで気になったのは、米国を代表とする企業の一部が「反トランプ」を掲げ始めたことだ。
これまで数々の暴言を吐き続け、むしろ米国のブルーカラー(に近い)中間層から圧倒的支持を受け、大統領候補にまで上り詰めたトランプ氏だが、それらの発言が災いして大口の寄付が逃げ始めている、ということらしい。

「反トランプ」の動きが企業に広がってきている最大の理由は「企業イメージを悪くさせない」ためだろう。
「企業イメージ」によって、生活者がその企業の商品やサービスを購入する・しないを単純に判断するわけではない。しかし、「選ぶ」という場面においては「クリーンなイメージ、社会から信頼されているイメージ」のある企業を選びたい!と、生活者が感じることはある。それは「社会からの信頼」の証拠だからだ。
言い換えれば、それらの企業イメージは企業にとっての「無形の資産」と言ってよいだろう。

この「無形の資産」というのは、一瞬で無くなるコトはあっても、簡単に創られるモノではない。
だからこそ、米国の企業の中で「暴言を繰り返すトランプ氏から離れる」という動きが出ているのだ。
いくら自分たちにとって優遇策を打ち出す政党であっても、トランプ氏に寄付をする=トランプ氏のような乱暴な企業というイメージを生活者に植えつけさせないようにするためだ。

上述した通り、日本ではあからさまな「政党支持」を打ち出す企業は無い。
その意味で「政治による企業イメージ」を左右されることはないが、「企業イメージ=無形の資産」という視点を持たないと、三菱自動車のようなことになってしまう。


選挙は、日ごろの発言に注目

2016-06-20 20:59:50 | アラカルト

街中を歩いていると、「参議院選挙立候補者掲示板」が目に付くようになった。
まだ誰のポスターも貼られていない掲示板を見ながら、選挙権が引き下げられて初めての選挙は、どのような選挙戦になるのだろうか?と思う。

辞任をされた東京都知事の舛添さんの例を見るだけではなく、選挙となったときにはどうしても「著名人」を選びやすい部分は否めない。
なぜなら「親しみ」や著名人としてのイメージが、すでに多くの人にあるからだ。
それを利用して立候補者として、「客寄せパンダ」のような選挙戦を繰り広げる政党は、どの政党にもある。
そのような選挙戦を繰り広げないのは、共産党くらいかもしれない。

だからこそ、「客寄せパンダ」となる立候補者を含め、冷静な判断をしなくてはいけないのが選挙だともいえる。
もちろん「客寄せパンダ」候補者すべてが、悪いわけではない。
政治に対してのシッカリとした考えやビジョンがあって、立候補をする方も中にはいらっしゃると思う。
ただ総じて「客寄せパンダ」候補者というのは、政党にとっては「政治活動に熱心な立候補者」であっては、余りよろしくない部分がある。
理由は「政党の広告塔」という部分だけを、担当してくれれば問題はない、と政党幹部が考えている傾向があるからだ。

とすれば、何を基準に考えればよいのだろう?
おそらく選挙が始まる前の数々の発言や候補者の行動などが、その候補者の政治信条やビジョンを表しているのではないだろうか?
実際前回の選挙で地元選出の自民党の立候補者は「アベノミクスで経済を元気にし、日本を元気にする」とは言っていたが、「安保法案を成立させたい」とは一言も言ってはいない。
しかし安倍さんは、選挙前から「安保法案を成立させたい」と、いろいろな場面で話をしていた。
そう考えると、安倍さんの「安保法案成立」というのは、日ごろから話していた安倍さんの考えを貫き通した結果であり、公約違反だとは思っていないはずなのだ。

日本の(古い)政治家の中には「公約と政治で実現することは、別問題。公約を守らなくても仕方ないと、選挙民は見てくれている」と、思い込んでいる方もいらっしゃるようだ。
それが、数々の失言・暴言となって表れている。
また「政治家は、選挙で落ちればただの人(以下)」とも言われる。
だからこそ、雨の中ずぶ濡れになってでも演説をし、時には家族を巻き込んでの土下座もいとわず、選挙民の「同情」を引こうとするのだ。

確かに理だけでは人は動かないし、人の心に響かない。
それだけでは「冷たい政治」という印象を持たれるだろう。
政治家だって、人の子。普段の発言の数々にその人の「人となり」が現れている。
新しく選挙権を得た若い人たちには、情ではなく「日ごろの発言」に注目して立候補者を見てほしいと思っている。


バーゲン体質化しているのは、アパレルだけ?

2016-06-19 19:47:25 | ビジネス

先日、讀賣新聞にアパレル業界に対する「不合理」な商習慣についての記事が、掲載されていた。
讀賣新聞:アパレル業界の不合理な商習慣、改善を・・・経産省

記事にある通り、アパレル業界では短いサイクルで「バーゲンセール」を実施する。
その理由は、商品サイクルというよりもファッショントレンドのサイクルが、短くなってきているからだと思う。
特に、婦人服はファッショントレンドのサイクルが短く、前シーズン流行したものを店頭に並べるわけにはいかない、というのが現状だろう。

実は、数年前ファッショントレンドの発信地の一つである「パリコレ」では、これまでの「春・夏」と「秋・冬」という2シーズンではなく、「春・初夏」「盛夏」「秋・冬」とコレクションの発表を変えようとした時期があった。
理由の一つは、これまでの「春・夏」だけでは「盛夏」には向かないのでは?という考えがあった、と記憶している。
「秋・冬」にしても「真冬」向けのトレンドを発表するほうが、良いのでは?と言われたこともあったようだ。

このようなファッション業界の動きから、アパレル会社はシーズンごとの衣料品を積極的に市場へと送り出してきた。
しかし「在庫」が増えてしまえば、それは「売り上げ=利益」とはならない。
不要となった「在庫」を早く出して、少しでも売り上げにつなげようとすれば「バーゲン」などの方法を取るコト自体仕方のないことだと思う。
ファッション全体が「ファストファッション化」したコトも、アパレル業界全体の「バーゲン体質」になった原因かもしれないが、そもそもそんなにファッションに振り回される生活者が、どれほどいるのだろう?
経済に対して不安がある状況であれば、なおのこと慎重に買い物をする生活者が増えるのも当然だろう。

むしろ問題なのは「バーゲン」が常態化してしまうと、生活者側は「定価」で購入するコトに抵抗感を感じるようになることなのでは。
このような傾向は、何もアパレルに限ったことではないと思う。
ネット通販の大手の一つである「楽天」なども、「バーゲン(や「ポイント倍セール」)」の回数が、以前よりも増えているような気がするからだ。

在庫を減ら目的で「バーゲン」をするのは、一つの手段としてあるだろう。
上述した通り「常態化」することが、問題なのだ。
なぜなら「バーゲン」そのものは、在庫を減らす一つの手段だが、利益をあげるコトにはならないからだ。
バーゲンに頼らない生産体制や、「価格以外で生活者を引き付ける努力」、何より「コスト意識」ではなく「適正価格による利益意識」を企業側が持つ必要があるのではないだろうか?



ディズニーランドのイメージダウンになったか?ワニのいた池

2016-06-17 19:57:17 | ビジネス

今週、ディズニーランドに関する話題が2つあった。
一つは、16日営業が始まった「上海ディズニーランド」。
もう一つは、フロリダの「ディズニー・ワールド園内の池に幼児が落ち、ワニに襲われ亡くなった事件 (ニュース動画のため、音声に注意)」だ。

丁度「上海ディズニーランド」の開業と同じ日と、フロリダのディズニー・ワールドでの事故が重なったこともあり、お祝いムード(?)のあった「上海ディズニーランド」よりも、フロリダのディズニー・ワールドのほうが、ニュースとして取り上げられることが多かったように思う。

ディズニー・ワールドのアトラクション施設の映像が使われるため、アトラクション施設で起きた事件という印象があったのだが、どうやら併設されているゴルフ場内での出来事だったようだ。
確かに、フロリダあたりではワニの目撃は多いとは聞くが、まさか施設管理が行き届いているというイメージが強いディズニー・ワールド内で、このような事件が起きたこと自体信じられない方は、多いのではないだろうか?

ディズニー側としては、「ゴルフ場内の池にワニがいた」ということよりも、このような事件によってディズニー・ワールド全体のイメージが、悪くなることを懸念しているのではないだろうか?
なぜなら多くの人にとって、「ディズニー=夢の国」というイメージがあるからだ。
だからこそ、幼児~高齢者までディズニーランドをはじめとする、「夢の国」に行くのだと思う。
「夢の国」であると同時に、「安全」や「安心」ということも、行く人の多くは無意識に期待をしていると思う。
もちろんディズニー側もそのコトを十分理解しているからこそ、様々なアトラクションだけではなく、ゴミ一つ落ちていない園内を作り上げてきたと思うのだ。

そう考えると今回のこの事故は、「あの、ディズニーでそのような事故が起きるのか?!」という驚きと、ディズニーがこれまでに作り上げてきた「夢の国」のイメージを落とす可能性があるのでは?という気がしている。
もちろん、偶発的に起きた事故とはいえディズニー側にも「施設管理責任」ということは、問われる可能性はあるだろう。

果たしてディズニーは、この事故をどのように乗り越えるのだろうか?
複合的な意味での「リスク管理」という視点で、注目する必要があるかもしれない。