日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

視点を変えると、市場は広がる ーシャープの「TEKION」保冷グローブー

2019-09-17 20:14:28 | ビジネス

朝日新聞のWEBサイト内に「apital」という、医療情報のページがある。
「apital」に、おそらく来年の東京オリンピックに向けた商品として位置づけられて開発されたのでは?という、商品の紹介があった。
朝日新聞 apital:熱中症、手からクールに防ぐ シャープが冷却グローブ

確かに、来年開催予定の東京オリンピック、パラリンピックは、大暑の頃から開催される。
今年の暑さを考えれば「殺人的オリンピック、パラリンピック」と言われかねない状況での開催だ。
本来であれば、もっと涼しくなった10月ごろの開催のほうが、選手にとっても大会関係者にとってもベストだとは思うのだが、いわゆる「大人の事情」で、開催そのものが7月の猛暑真っ盛りの頃と決まってしまったようだ。

決まってしまったものは仕方ない。
対策を取るだけだ。
その一環として、降雪機を設置による暑さ対策を実施したようだが、効果は見られなかったようだ。
デイリー:五輪会場で”前代未聞”降雪実験も気温は変わらず・・・組織委「清涼感を与えるもの」

WEBニュースで知った時は「子どもの雪遊びイベントじゃないんだから・・・」という気がしたのだが、「清涼感を与えるもの」という組織委の言葉はどこか言い訳じみているように感じる。
この他にも、様々な方法で酷暑に開催されるオリンピック、パラリンピックを乗り切る為の策が、考えられているはずだが、決め手となるような策はまだ無いのでは?

そのような状況の中で、今回のシャープの新製品はマラソンなどの選手などにとっては、有効な「冷却アイティム」になるかもしれない。
何より、この「冷却アイティム」は、蓄冷剤とボックスを併用することで、ミニ冷蔵庫のような使い方もできる。
マラソンだけではなく、フィールド競技やサッカーなどの競技などでも活用することは十分に考えられるだろう。
一般向けとしても、キャンプなどのアウトドアでも市場があるのでは?と、考えられる。

そしてHPで紹介されてはいない用途があるのでは?と、思っている。
それは「抗がん剤治療」という医療の現場だ。

現在「抗がん剤治療=化学療法」そのものは、入院ではなく日帰り(正しく言うと、仕事帰りなどの短い時間)で治療が受けられるようになってきている。
「がん拠点病院」と呼ばれる病院の多くは、「化学療法室」という専用の病室を持ち、治療している。
治療そのものは、患者負担が軽減されるようになってきているのだが、副作用となると軽減できないものもある。
その一つが、「抗がん剤による手などのしびれ」という副作用だ。
全ての抗がん剤でこのような副作用が起きるわけではないのだが、この「手のしびれ」なども既に「冷やす」ことで軽減されるということが分かってきている。
そのため、保冷剤を用意している病院もあるはずだ。
しかし、大きな保冷剤では重さの問題、小さな保冷剤であれは時間の問題などがあるようだ。
とすれば、このような目的でつくられて保冷グローブなどは、患者ニーズ(=医療ニーズ)が潜在的にある商品、と言えると思う。

このような視点は、がん患者さんにとっては必要だ!と感じるアイティムだとすぐ感じるはずだが、そのような状況に無い人にとってはなかなか見つけづらいニーズだと思う。
だからこそ、より多くの人に「ニーズを聞く」ということから始め、自分たちでは持っていない視点を持つ人を探すことも重要だと思うのだ。
それが企業における「ダイバーシティ」へと繋がっていくような気がする。

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ケロッグの業務提携解消とブランド力

2019-09-06 23:05:15 | ビジネス

今日の日経新聞WEBサイトに、味の素が日本ケロッグとの独占販売契約を解消する、という記事があった。
日経新聞:味の素、日本ケロッグと独占販売契約を解消 20年3月で

この記事を読んで、「ケロッグ」というブランドの行方が気になった。
確かに「ケロッグ」によって、日本のシリアル市場はできてきた、と言っても過言ではないと思う。
長い間、シリアル市場はケロッグの独占状態であった、ということも事実だ。
というのも、長い間シリアル市場に参入する企業が無かったからだ。
逆に言えば、シリアルという食品が日本の生活者に受け入れられるようになったのは、ここ20年経つか経たないかということなのだ。
受け入れられるようになったのは、いわゆる「グラノーラ」と呼ばれる、ドライフルーツやナッツが入ったコーンフレークスが登場し、「朝食を手軽に食べられる」という、生活者への新しいベネフィットを訴求させることに成功したからだろう。
「ケロッグ」の主力商品である、コーンフレークス(シュガー)という商品の位置づけは、大人の朝食ではなく子どもの朝食向けだったように思う。
少なくとも、コーヒーを飲みながらコーンフレークス(シュガー)に牛乳をがけを食べて出勤する、という方はあまり多くはなかったのではないだろうか?

確かに、米国でのシリアル市場におけるケロッグのブランド力は、とても力強いものがあると思う。
最近の米国でのシリアル市場そのものは不明だが、20代の頃に行った米国のスーパーでは「シリアル=ケロッグ」というほど、圧倒的な売り場面積を占めていた。
一度の買い物でも、複数の種類のケロッグ商品を購入する人も多かったように思う。
何故なら、子ども用、大人用と使い分けていたからだ。
しかし、日本の市場ではそこまでの種類を販売していなかった、という記憶がある。
日本人の健康志向の高まりによって登場した「小麦胚芽シリアル(商品名:オールブラン)」が、日本で発売されるようになったのは、随分後だったような記憶がある。

この健康志向を受けて登場した「小麦胚芽シリアル」だったが、当時の日本では「朝食=シリアル」という生活スタイルが定着していなかったことと、それまで子ども向けと思われていたコーンフレークスに新しい機能(=栄養価+食物繊維)というベネフィットを加えたものの、「どうしたら美味しく食べられるのか?」という、提案がCMなどではなかったような気がする。
日本スナック・シリアルフーズ協会によると、平成16年度では「コーンフレークス(シュガー)」の売り上げが圧倒的だった。
それが平成26年度になると、「コーンフレークス(シュガー)」そのものは、平成16年度とさほど変わらないのに対して、「グラノーラ」が飛躍的に伸びている。
日本スナック・シリアルフーズ協会:出荷実績の推移(会員合計)(注意:PDFファイル)

注目すべきは、平成25年度から平成26年度の「グラノーラ」の飛躍的な伸びだ。
前年度の倍とは言わないまでも、相当な伸びを示している。
うろ覚えで申しわけないのだが、この頃に登場したのが「フルグラ」という名称で登場した、カルビーのシリアルだったような気がする。
この「フルグラ」の登場によって、一気に「(朝食で(大人も)食べるシリアル」という一つのスタイルが、できたのではないだろうか?
そしてこの「フルグラ」にヒットにより、「グラノーラ=カルビー」というイメージも生まれたのではないだろうか?
もちろん、シリアルの老舗・ケロッグも同様の商品を発売しているのだが、「フルグラ」のブランド力には及ばないのでは?という印象すら持ってしまうほどの、大ヒットだったと思う。

今回の独占販売の業務提携解消は、ケロッグにとってプラスになるのだろうか?
今の「シリアル市場」を考えると、かつてのような「シリアル=ケロッグ」とは言い難いように思えるのだが・・・。




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美容意識と多様性、過去からの考察

2019-08-29 21:49:57 | ビジネス

定期的にチェックをするファッション誌・VOGUE Japan。
その中に「VOGUEにしては、珍しいくポイントを押さえていないのでは?」という印象の記事があった。
VOUGE Japan:「美白」はもう古い? 肌は「多様性」

「珍しいな~」と感じたのは、美容の世界では「美白ブームが続いてきた」という視点で書かれているからだ。
ライターをされている方が、私の子どもくらいの年齢の方なので仕方ないのかもしれないが、「美白ブーム」というのは古くからあるモノではない。
例えば1970年代~1980年代前半、アメリカのセレブと呼ばれる人たちは「小麦色の肌」が、人気だった。
理由は、長期のバカンスを昼間は海辺の海岸や湖のほとりのリゾートでゆっくり過ごすことができる、一つの象徴が「小麦色の肌」だったからだ。
背景には、欧米では年間を通して日照時間が短い為、「小麦色の肌=日焼け」する時間と経済的余裕が、富を表す一つとなっていたからだ。
その後「皮膚がん」などの発症の警告があり、「日焼けをする」こと自体がステイタスの象徴ではなくなっていった、という経過がある。
日本では、昨年引退をされた安室奈美恵さんの健康的な肌に憧れる若い女性が「日焼けサロン」に通っていた、という時代もあった。

もちろん、この記事にあるようにアジア特に東アジアでは「肌が白い」ことが、一つの富みの象徴のような受け止め方がされていたことがあるとは思う。
日本でも「色の白いは七難隠す」という言葉があるように、「色白である」ということが一つの美容価値という価値観が、長くあったことも事実だ。

だが、今の「美白ブーム」というのは「色白にする」ということが目的なのか?と言うと、それもまた違うのでは?という気がしている。
むしろ「シミやそばかすを防ぐ」ということが目的であって、「自分本来の肌の色を白くする」という目的ではないのでは?と、考えているからだ。
実際、様々な美白商品がテレビだけではなく、通販やネット通販などで見ることができるが「美白」と謳ってはいるものの、そこには「シミ・そばかすを防ぐ」とか「本来の自分の素肌」と言ったキャッチコピーがついている。

言い換えれば、単純な漂白的美白を目指すのではなく「自分らしい肌色美白」を目指しているのが、今の日本の女性の意識なのではないだろうか?
それが「一人ひとりの個性」として表現されたのが、資生堂の「My Crayon Project」という企業CMであり、今年カンヌライオンズという広告コンペティションで、評価されたのではないだろうか?

もっともこの記事を書かれた女性が、日本人ライターではないということを考えると、日本の美容事情というよりもアジアの美容事情として書かれたのかもしれないのだが、女性の「美容意識」そのものは、女性の社会進出と地位の変化、経済力などによって時代とリンクしながら大きく変わってきている、という過去からの考察を含めた内容であれば・・・と思うのだ。



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原点回帰の「ストロー」

2019-08-28 11:13:49 | ビジネス

「ふるさと納税」と言えば、その返礼品が楽しみにしている、という方も少なくないだろう。
理由を改めて説明するまでもなく、納税をした自治体の名産品がもらえるからだ。
もちろん、納税額に合わせて贈られる品々も変わるが、その自治体ならではの名産品、特に農水産物はとても魅力的だ。
自治体側も、何とか魅力的な返礼品にしようと様々な商品を提供しようとしているようだが、泉佐野市をはじめとするいくつかの自治体の返礼品が「返礼品としてふさわしくない」と、指摘されるような事例も出てきている。

そんな「ふるさと納税の返礼品」だが、福井市がチョッと変わった返礼品を新しく加えて話題になっている。
中日新聞:福井市のふるさと納税返礼品 大麦ストロー加わる

今年になってから、海洋汚染の元凶と指摘されているプラスチック製品から他の製品への切り替えが話題となっている。
その中でも特に「プラスチックストロー」は、海洋汚染の主役のような扱われ方をされスターバックスをはじめとするいくつかの飲食店は「紙製ストロー」への切り替えなどを発表している。
これらの報道を読んだとき、どこかモヤッとした感じがあった。
海洋汚染で問題になっているのは、「プラスチックストロー」よりも「マイクロプラスチック」と呼ばれる、目に見えるか見えないかというサイズの粒子状のプラスチックだからだ。
例えば冬場活躍するフリースなどを洗濯することで、汚れといっしょにフリースのプラスチック繊維が削られ(という表現が良いのか分からないが)、排水といっしょに海洋に流れ出て、それが汚染していると言われているからだ。
そして「紙製ストロー」と言っても自然分解されるのか?という、疑問もあったからだ。

そんなモヤッとした感じを、この「大麦ストロー」が解消(と言っては大袈裟だが)してくれた。
「ストロー」の由来が、「麦わら」ということを思い出したからだ。
そしてプラスチックストローが普及する前、「大麦ストロー」を当たり前に使っていた、ということも思い出したからだ。
いうなれば福井市の「ふるさと納税」の「大麦ストロー」は、ストロー本来の素材に戻っただけなのだ。
何も「紙製ストロー使用」と謳って、エコ企業アピールをする必要などは無いのだ。

確かに、現在の六条大麦の生産量とストローへの加工ということを考えると、「高いストロー」となるだろう。
夏の飲み物として定番の「麦茶」を、通年の飲み物へと変えていくアイディアが必要だろう。
子どもの頃「麦茶+牛乳+砂糖」という組み合わせで飲んだ「コーヒー牛乳もどき」ではなく、「麦茶ラテ」という名前に変更することで、新しい「麦茶ファン」を獲得することができる可能性もある。
コーヒーとは違い、カフェインなどが含まれていないので、子どもや妊婦さんなども気軽に飲める飲み物という、位置づけもできるかもしれない。
麦茶の消費量をあげるコトによって、「大麦ストロー」の生産量を上げていく、という一つのアイディアだ。
それが、古くなったと思われていた地域産業の活性化に、つながる可能性もある。

今はやりの「タピオカドリンク」やマクドナルドのシェイクには向かないかもしれないが、「大麦ストロー」は環境に優しいというだけではなくストローの原点回帰と言えると思う。



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キム・カーダシアンの「KIMONO」騒動に思う

2019-08-27 22:26:34 | ビジネス

2カ月前、日本で話題となった一つに、キム・カーダシアンの「KIMONO」商標登録騒動があった。
少なくとも今の日本社会や日本のビジネスパーソンの間では、話題にも上らなくなった「騒動」だった。
そして今日のHuffpostには、この「KIMONO」から新しいブランドネームを発表した、という記事が掲載されている。
Huffpost:ブランド名「キモノ」が物議をかもしたキム・カーダシアン、新名称を発表

「KIMONO」という名称については、7月1日時点で使用しないと明言をしていたので、日本では一気に収束した騒動だったのだがキム自身はこの時商標登録を取り下げる、とは一言もいっていなかった。
むしろ問題なのは「KIMONO」という商標登録を取り下げない、ということだったはずなのだが「ブランド名変更」で、人の関心が薄れてしまったのは、とても残念な気がした。

だが、関心を持っていた方がいらっしゃったようだ。
Yahoo!:キム・カーダシアンがブランド名KIMONOを変更すると共に商標登録出願も放棄

キム側が商標登録出願を放棄したことで、日本の着物産業関係者の思いは通じた、ということになるのだが、今後このような騒動を起こさない為にも、着物だけに限らず着物産業に関わる全ての人達が主導的に「KIMONO」という商標出願を考える必要があると思う。
その意味では今回のキム・カーダシアンの「KIMONO」騒動は、良い教訓となったのではないだろうか?
もし、日本の関係者がここで日本文化と密接に関係がある「KIMONO」関連の商標登録出願に動かなければ、第二・第三のキム・カーダシアンが登場するだろう。
だからこそ、今という機会を「日本の衣装文化」を世界に発信し、商標登録などの法的保護が必要なのではないだろうか?

と同時に、本当にキム側は「KIMONO」の商標登録出願を放棄するつもりだったのだろうか?という、疑念も感じている。
というのも「KIMONO」の商標登録放棄がされたのが8月21日だったからだ。
おそらく、新しいブランド名が決まり、商標登録などの準備ができたので放棄したのでは?という気がしたからだ。
そのように考えると、キム・カーダシアンという女性は、相当したたかなビジネスセンスを持っている、ということになると思う。
「KIMONO」騒動によって、自分の新しい「補正下着ブランド」を炎上商法によって宣伝をし、世間がこの時の騒動を忘れた頃に騒動が無かったかのようにシレっと新ブランド名を発表する・・・もともとの戦略としてこのようなコトを考えていたのでは?という気すらしてくる準備の良さを感じる。
それだけではなく、今回も自分の名前「KIM」を入れていることを考えると、自己愛の強い女性という印象を持っている。

ところで、肝心な「補正下着」だが・・・写真で見る限り「補正」というよりも一般的なボディースーツ(というブラジャーとウェストニッパー、ガードルが一体になった下着)やブラジャーやガードルなどの下着と変わらないような印象だ。
確かにブラジャーやガードルなどは、ファッション用語では「服をきれいに見せる下地」という意味の「ファンデーション」と言われているが、ワコールやトリンプなどのメーカーであれば、もっと柔らかな補正機能がある「補正下着」が作れるのでは?という気もした。

 

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よりローカルな地域資産が、地域の活性化のトレンド?

2019-08-25 20:26:30 | ビジネス

お盆休みで帰省していた実家(鳥取県・米子市)から、名古屋へ戻る時はJRを利用した。
そして在来線(=伯備線)が、時折遅れることがある為通常の乗り継ぎよりも1本遅い新幹線の座席指定を購入していたのだが、予定通り岡山駅に到着した為、前日の台風10号の影響で大混雑の岡山駅構内でも少しお土産品販売のコーナーを見て回ることができた。

そのお土産品販売のコーナーの一つが、とても小さなブースで立ち止まって商品を見る人も少なかったので、どんなお土産を販売しているのだろう?と思い、覗いてみるとなかなかの名産品が並んでいた。
JR西日本の岡山支社とのコラボでつくられた「おつまみ」の数々だったのだ。
JR西日本岡山支社 ふるさとおこしプロジェクト:岡山の美味しいおつまみ
店頭には「おつまみ」だけではなく「おやつ」もあり、どれもが美味しそうだった。

そしてパッケージを見て気づいたのだが、岡山と言っても岡山県内の様々な地域の名前+キャッチフレーズが付けられているのだ。
今回私が購入した「高梁(「たかはし」と読む) 雲海ドライピオーネ」は、JR伯備線の「備中高梁」が最寄り駅となると思うのだが、山間の小さな駅で、車窓からは典型的な日本の田舎の風景が見えるところだ。
確か「備中松山城」という山城があったように思うのだが(上下線のすれ違いの為、停車時間が長く、車窓から観光案内の看板を読んだりする楽しみがある駅でもある)、おそらくその山城の風景を含め「雲海」が見られるのだろう。
その「雲海」という言葉がキャッチフレーズとして使われると、単なる「セミドライのぶどう」がいきなり旅情感あふれるものになる。
使われているぶどうが、ぶどうの中でも高級とされるピオーネということもあり、高級感というか特別感が出てくる。

他にも「岡山の名産」ではなく、個々の産地の名前+αの商品名にすることで「特別感(最近の言葉を使うなら「プレミアム感」か?)」が出てくる。
と同時に、「産地に行ってみたい」とか「加工されていない果物や海の幸・山の幸を食べてみたい」、という気持ちがわいてくるのでは?
生産地と生活者の心理的距離をグッと縮めるだけの魅力が、この「ふるさとおこしプロジェクト」にはあるような気がするのだ。

何より、このプロジェクトをサポートしているのがJR西日本の岡山支社ということも注目すべき点だと思う。
かつて鉄道は、日本の物流の中心だった。
それが全国各地に高速道路が整備されるようになると、トラック輸送に取って代わられた。
それは物流というだけではなく、利用客という点でも同じだろう。
確かに東海道・山陽新幹線は、乗降客の多い路線だが、在来線の多くは厳しい状況に陥っている。
その在来線利用者の活性化をする一歩として、在来線沿線の名品の加工品を駅構内で販売をする、というのは挑戦的な試みかもしれないが、埋もれてしまった地方を知ってもらう良い方法だと思う。
何より、生産者の顔が見え、車窓を眺めながらポケットサイズのウィスキーを飲むという、昔ながらの旅情感も楽しめる。

駅の構内で販売をするから、大量生産する必要があるのか?と言えば、1日の販売数量は多い必要はないと思う。
むしろ、毎日数量限定で販売されることで「あの時は買えなかった」という悔しさ(と言うと大げさだが)と「今日は買えて良かった!」という、気持ちを起こさせるはずだ。
地方の小さな地域だからこそ、このような地域活性化という方法もあるのではないだろうか?

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AIの時代が到来するからこそ、人について考える

2019-08-20 20:18:13 | ビジネス

定期的にチェックをしているサイトの一つに、広告代理店の博報堂のサイトがある。
博報堂が調査し、まとめたレポートが読めるので、よく利用させていただいている。
その博報堂のサイトに、今年のカンヌライオンズ(=世界で一番大規模な広告の賞)で、博報堂が行ったセミナーの内容がUpされていた。
博報堂special:カンヌライオンズ2019レポートVol.6  博報堂セミナー「人間について語ろう」レポート

このレポートを読みながら、AIの登場によってますます「ひとの力」がクローズアップされてくるのでは?という、気がした。
その理由の一つが「感情」だ。
「人は感情」によって行動を起こす、ということは随分前から指摘さえていることだと思う。
だからこそ、日本の広告は「性能などの具体性」よりも、「感性に訴える」広告が多いと言われている。
特にバブル経済の頃は、この「感性に訴える広告」が多すぎて、逆に「何を言いたいのか分からない」という広告も多かった。
バブル経済崩壊後は、その反動を受けたかのような「性能・機能重視」の広告が目立つようになったのは、実感としてあるのでは?

このレポートでは、そのような「感性に訴える広告」という視点ではなく、AIが苦手とする分野は何か?そこから見えてくる「ひとの力」という内容になっている。
例えば、今後AIの独壇場になるのでは?と言われている(?)健康診断などの分析。
確かに、分析を行うことにかけては人間よりもAIのほうが、的確だろう。
ただし、的確な分析・判断をするためには、人が行ってきたデータの蓄積があってのことだ。
何より、健康診断の結果を通知されるだけなら、AIでも十分だと思うが、対面で結果を知るという場面になれば、やはり医師からの丁寧な説明がを受けたいという方は多いのでは。
逆に言えば、医師だからこそ患者の揺れ動く気持ち(=感情)を察知し、的確な言葉を選びながら話をする力が必要とされる時代であり、そのような力がある医師が求められるようになってきている、ということになると思う。
違う言葉を使うなら「信頼関係をつくれるか否か」ということが、求められる時代になるということになると思う。

ルーティンに近い作業や情報の提供などは、AIが得意とすることだろう。
しかし人と人との繋がりの中から生まれる「信頼」や「安心」などは、AIが苦手とするところだと考える。
社会が殺伐とする中においては、尚更「人との繋がり」が大きな安心となり、信頼をつくっていくはずだ。
そのような社会形成の為に、何が必要なのか?
そのようなことを真剣に考える時代が、今なのかもしれない。


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ファッションをつまらないものにさせたのは、誰だ!

2019-08-03 21:06:03 | ビジネス

Yahoo!のトピックスに、日本のアパレル産業の不振の理由の一つが分かるような記事があった。
元となった記事は、プレジデントに掲載されている。
プレジデント:”安い服”にこだわり続ける日本人の残念さ 似たり寄ったりで没個性が加速する

バブル経済が崩壊してから、日本の生活者の意識は「守り」に入ったと思う。
冒険をしない、堅実で安定感のあるモノ・コトを求め、価格そのものにもシビアになった。
それがファッションの世界でいうなら、ファストファッションの台頭ということになるのだろう。

ファストファッションが悪い、という気はない。
ただ、日本の生活者の思考が「安価でみんなと同じファッション」に凝り固まってしまっている感が、ファッションをつまらないものにしている、ということだと思う。
それが顕著に表れるのが、「リクルートスーツ」と呼ばれる就職活動用のスーツでありヘアスタイルやバッグ、靴だろう。
まるで「制服」のように、同じようなデザイン、色、ヘアスタイルで「(企業側からの)就職活動の同調圧力でもあるのか?」という、印象すら受ける。

この記事にあるように、ファッションデザイナーも若手と呼ばれる人たちが登場しにくくなっている傾向は、ニューヨークだけではなくファッションの中心地・パリでも同じかもしれない。
若手デザイナーの一人ステラ・マッカートニーなど、キャリアから言えば若手というよりも既に中堅と言ってもおかしくはない。
日本人デザイナーに関していえば、残念としか言えないほど20代、30代のデザイナーが登場していない感がある。
「東京ガールズコレクション」などが、華やかに取り上げられるコトが多いが、コレクションと言いながら実は即売会だ。
「売れる服をガール(=若い人たち)に即売する会」なので、パリやミラノ、ニューヨークなどで発表される「デザイナーがファッションとして提案したい服」とは大きく違う。
そもそも、パリやミラノ、ニューヨークなどのコレクションは、「大人の(経済的にも豊かな)女性」を想定したデザインの発表をする場面であり、若い女の子たちからはすれば「いつか、あのような服が似合う女性になりたい」という、憧れを持たせるようなデザインが中心にる。
パリコレなどでは、突飛もないデザインで「誰が着るの?」というデザインもない訳ではないが、コレクションとして発表されるデザインの中で7割程度は、実際に販売に結びつくものではない、とバブルの頃ですら言われていた(と記憶している)。
突飛なデザインであっても、デザイナーのファッション思考や次の時代感を表現している、という点が重要で、そのデザインテイスト(デザインの雰囲気から何を受け止め、トレンドを創っていくのか?)ということを見極めるバイヤーも数多くいたのは確かだろう。

しかし、ファストファッションが主流になっていくと、このようなトレンドを創るバイヤーは必要ではなくなり、コンサバティブと言えば聞こえが良いが、ファストファッション側が提案しているコーディネートが、安心ファッションとして受け入れられるようになってしまった。
それが「ファッションをつまらなくさせた」と要因なのだと思う。





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7Payの終了は、何をもたらすのか?

2019-08-01 20:32:25 | ビジネス

運用初日から、大トラブルが起きた「7Pay」を9月で終了すると、セブンイレブンが発表をした。
日経新聞:セブンペイ、9月末終了を発表 副社長「心よりおわび」

運用開始初日から、大トラブルが発生していたにもかかわらず、利用者への注意喚起の内容は利用者側に負担を強いるモノだった。
それから数日後(だったと思う)、やっとシステムの急ごしらえの為に起きた初歩的なミスが重なり、大きなトラブルへと発展したとしての説明があった。
おそらくこの時点で、生活者の多くはセブンペイに対して信頼も期待も無くなっていたのでは?という気がする。
何故なら、大トラブルが起きた時点での対応そのものが、利用者に大きな負担と損害を与えるばかりで、利用者側のメリットが感じられるような企業対応ではなかったからだ。

そして7月30日には、大トラブルが発生した時よりも衝撃的な対応をセブンイレブンがしている。
全会員のパスワードを強制リセットしたのだ。
日経新聞:セブン、全会員のパスワードを強制リセット 1650万人

この強制リセットによって、会員は7Payが使えなくなってしまった、ということになるのだが、初期段階でのトラブルを解決することができない為の対応だとしても、利用者側に対しては一体どのような案内をしたうえでの「強制リセット」だったのだろう?
このニュースを聞いたとき「一斉強制リセットで、7Payそのものをなかったことにするのかな?」という、印象を持ってしまった。
図らずも、その印象はあたったようだ。
このような経過があっての来月末終了というのは、仕方のないことというか当然のような気がする。
むしろ、発表そのものが遅いくらいなのでは?という、気がしている。
ベストなタイミングだったのは、運用初日のトラブルが発生した時だったのではないだろうか?

しかし、セブンイレブン側は当初「(根拠の無い?)強気さ」で、ユーザー側に不便を強いた。
上述した通り、この時点で「7Pay」に対するキャッシュレス利用の信頼は、大きく崩れ去ってしまっていたと思う。
そして「7Pay」から、他のキャッシュレスサービスの乗り換えた人も多かったのでは、無いだろうか?
しかし世間ではそのような見方をする人ばかりではないらしい。
産経新聞:セブンペイ廃止 キャッシュレス後進国脱却に打撃

運用初日からトラブルばかりだった7Payということを考えれば、ユーザーの多くは他のサービスへの乗り換えをしたか、「しばらく様子見」ということで、淘汰されるのを待っているだけなのでは?
何故なら、今の「〇〇Pay」と呼ばれるモバイル決済には一長一短があり、利用者によってはメリットが感じられない、と思っている人も多いのでは?
単にキャッシュレス決済、というのであればプリペイ式カードなども含まれることを考えれば「打撃」というほどではないと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「大手だから、良い」というわけではないらしい。

2019-07-31 12:25:14 | ビジネス

「クーリエジャポン」という雑誌が、以前あった。
今は、WEBのみとなってしまったのが残念だが、これも時代の流れということか?
そのクーリエジャポンに、ブルームバーグの記事があった。
日本の「クールジャパン」構想も、外から見ると随分的外れなところがあるようだ。

クーリエジャポン:日本はいま最高にクールなのに自国文化の売り方を知らない

副題に「電通や博報堂に任せた『クールジャパン』の失敗に学べ」とある。
この指摘の元となっているのは、「クールジャパン機構」の投資を含めた失敗のことを指しているのだと思う。
拙ブログでも指摘させていただいているのだが、クールジャパン機構の累積赤字は、2018年11月時点で97億円に膨れ上がっている。
そして再建の目途が立っていない事業もいくつかあるようだ。

電通や博報堂のマーケティングや事業戦略が、現実的なものではなかった、という指摘についてはなんとも言えない部分があるが、クールジャパンと言っても、様々なモノ・コトが「クールジャパン」だとすれば、個々の事業にあったマーケティングや事業戦略を立てる必要はあっただろう。
記事にある資生堂の戦略と飲食の戦略は、同じではないし、アニメなどとも違うはずだ。
何故なら、ユーザーとなる生活者が違うからだ。

日本のアニメファンが多いからと言って、そのマーケットと日本食のマーケットは違うはずだ。
大手広告代理店では、そのような「小回りの利いた」マーケティングや戦略が立てられず、「クールジャパン」のマーケティングとなっていたのでは?という指摘のようだ。

確かに指摘されているように「クールジャパン」の大枠のマーケティングは、電通や博報堂のような世界各国に支社を持っているような大手広告代理店は有利だと思うし、現地での市場調査などもお金をかけて実施することができる。
企業の持つスケールメリットが、このような場合有効になると思う。
にもかかわらず「失敗」してしまった理由は、上述した通り「クールジャパン」に含まれる様々なモノ・コトの市場が一つではないからだ。
総花的なマーケティングではなく、より細やかな視点と「何を伝えたいのか?」という強い考えを持つことが大切、ということなのだ。
何故なら「クールジャパン」は、商品を売るのではなく「カッコ良い日本文化を売る」のが、目的だからだ。

「文化を売る」ということと「商品を売る」ということは、単なる市場調査では難しいはずだ。
何故なら「文化を売る」ということは、売りたい文化の社会的背景や発展、今と未来という「設計図」のようなモノを描く必要があるからだ。
このような「設計図」を描くことができるのは、それぞの業界の人たちでなくてはできない。
逆にスケールメリットがある大手では、描ききれないということになる、というのがこの記事の指摘だ。

一番の問題は、日本では「大手広告代理店」の力が強すぎる、ということなのかもしれない。




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