日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

エアコン事業から撤退する日立、日本のメーカーの白物家電はどうなるのか?

2024-07-24 13:36:53 | ビジネス

昨日、日立がエアコン事業から撤退する、という報道があった。
Bloomberg:日立、JCIとの空調合併株の保有分をドイツボッシュに売却‐1950億円で 

Bloombergの記事を読むと、日立は既に空調事業について、米国の電機大手のジョンソン・コントロールズ・インターナショナル(JCI)と、空調事業において合弁会社をつくっており、その合弁会社の取得株40%を、ドイツのボッシュに売却する、というのが今回の株式売却の意味であって、日立が手掛けている空調事業を完全にドイツのボッシュに売却する、という訳ではない、ということが分かる。

日本の家電メーカーの中でも「モーター関連であれば、日立」と言われた企業が、合弁企業株とはいえドイツの企業に売却ということは、大きな話題になるのは当然だろう。
なぜなら、日本の家電メーカーの事業売却などが、これまで話題になることが多かったからだ。
理由はともかく、東芝は上場廃止と同時(だったと思う)に、展開をしていた事業の分割・売却をしている。
シャープは、台湾の企業の支援を受け、事業継続はしているが、それでも液晶テレビなどは撤退状態になっている。
家電の大手であっても、安泰ではない、というのが今の日本企業の状況なのかもしれない。
安泰ではないからこそ、日立は米国の大手電機企業と合弁会社をつくり、経営的な安定を目指していた、ということのようにも思える。

しかし、それほど簡単な話ではないかもしれない。
Bloombergの記事を読むと、事業としての協力関係は株式の売却先であるボッシュとブランド契約を結び製品提供を行う、ということになるからだ。
そしてこの株式の売却とブランド契約先が、ボッシュであった、ということに若干の安心とボッシュの目的のようなものが、わかるような気がしている。

「ボッシュ」という企業名を聞いて、何を作っている企業なのか?すぐに思い浮かべられる人は、どれほどいらっしゃるのだろう?
もしかしたら、男性よりも女性の方が「ボッシュは知っている」という方は、多いかもしれない。
というのも、「食洗器」のメーカーとして、日本でも人気があるからだ。
そのようなコトから、既にボッシュという企業名は、ある程度日本で認知され、信頼を得ている、ということになる。
何より、「質実剛健」という言葉が似合いそうなドイツの企業という点でも、株式の売却先とブランド契約先としては、日本の生活者に安心感を与えることができると思う。

それは株式を取得するボッシュ側にとっても、同様のことが言えるのではないだろうか?
日立の持つ企業イメージと日本の置けるボッシュの企業イメージが比較的近い、という点で日立のステークホルダーにとっても反対が起きにくいのでは?という、判断もあったのではないだろうか?
何より、某隣国の企業ではなくてよかった、という感覚をお持ちの日本の生活者もいるのでは?

日立のような日本企業の中でも創業が古く、日本経済を支えてきた企業がこのようなコトになると、「日本の白物家電は大丈夫なのか?」と生活者は不安になる。
しかし、これからより進んでいくと考えられる、経済のグローバル化は金融だけの問題ではなく、このような製造メーカーなども含まれることなのだ、ということだろう。
ただ、生活者として注目していかなくてはいけないのは、「相手企業はどんな企業なのか?」という点だ。
新興企業が悪いわけではないが、日本の技術を盗んでお払い箱!というような企業が相手なら、ますます日本経済は落ち込んでいくだろうし、そもそも生活者からの信頼も失いかねない。

これからの企業は、そのような生活者の反応も考える必要があるかもしれない。
それにしても、日本のメディアの見出しは、どうなのだろう?
あの見出しでは、日立が空調事業においてボシュに買収されるような印象になるのでは?と、心配をするのだ。





蓮舫さんの失敗から考える「応援される重要性」

2024-07-08 12:27:48 | ビジネス

一夜明けた東京都知事選。
秒速で現小池都知事が、当確を決めたことについては、昨日エントリをさせていただいた。
東京都の有権者が決めたことなので、これからの4年間は小池都政ということになる。
そして、今朝がたには最終的な各候補者の得票数が、判明した。

結果はご存じの通りだ。
選挙戦中は、「小池VS蓮舫」という構図をつくり上げていたメディアだったが、開票してみたら「小池VS石丸」だったようだ。
石丸氏は、安芸高田市の市長を辞めての都知事選だったことを考えれば、その知名度は蓮舫さんに比べ高いとは言い難かった。
しかし、蓮舫さんを破るほどの得票数を得た、ということは、それだけの支持(=期待と応援)を集めることに成功した、と考えるべきであろう。

では、知名度もあり小池さんのライバルとされてきた蓮舫さんが3位という結果に終わってしまったコトについて、その敗因を考える必要があると思う。
石丸氏に対する得票数のうちその多くが、小池都政を変えてくれるのでは?という、期待があった、ということは想像ができる。
その「期待」が大きければ大きいほど、「期待」ではなく「応援したい」という、気持ちへと変化していったのではないだろうか?
そのような有権者の気持ちを変えさせることができなかったのが、蓮舫さんということになる。

「期待が持てない⇔応援したくない」という気持ちが起きたのは、蓮舫さんの街頭演説などが「小池都政に批判」が目立ったからなのでは?という気がしている。
これはビジネスにも通じるのだが、「批判をするだけでは、人の心は動かない」と、言われている。
では何が必要なのか?
「批判」ではなく「提案とビジョン」ではないだろうか?

「批判をする」ということは、最悪な場合「揚げ足を取る」ということに終始してしまう危険性がある。
それに対して「批判すべき対象に対して、提案やビジョンに置き換える」と、その言葉は「期待」へと変わる。
「期待」という気持ちは、「応援」という行動へと変化しやすいのではないだろうか?

何故なら「提案」の具体的な話が「ビジョン」となり、それが「計画・実行されるのでは」という、期待感へと変わるからだ。
その要素が無く、ただただ相手を批判するだけでは、その言葉は無責任ととらえられてしまう。
特に蓮舫さんのような「紋切型の話し方(=決めつけた言い方)」は、批判をする相手に付け入るスキを与えないだけではなく、語調そのものがきつい為に、不快感を覚える日tも多い。
特に女性の場合、勇ましさばかりが強調され「女のくせに」と、言われてしまう懸念もある。
今更「女のくせに」などと言えば、セクハラ!と言われそうだが、日本の社会は今でもそのような認識である、という現実を考えれば、言葉選び一つも注意を払う必要がある(という経験済み)。

物事なんでも白黒はっきりさせれば良いわけではないし、多くの人たちはそのようなコトを求めてはいないだろう。
「どのような考えで、政治を変えていきたいのか?その為にどんな政策を考えているのか?」そのような、わかりやすく「期待が持てる言葉」を待っているのではないだろうか?

石丸さんの街頭演説をしっかり見た訳ではないので、明解なコトは言えないのだが、少なくとも蓮舫さんよりもそのような言葉が多かったのでは?だからこそ、蓮舫さんよりも得票が多かったのではないだろうか?


殺暑の夏に考える、エネルギー問題

2024-07-05 20:16:12 | ビジネス

今日も1日暑かった。
名古屋ではないが三重県松坂市では最高気温40度に迫る、暑さだったようだ。
日本気象協会:三重県松坂氏では今年最高39.7℃ 土日も災害級の暑さ 40℃超えの恐れも 

今週は、このような猛暑もあり梅雨明け前でありながら、梅雨明け後のような猛暑(というよりも殺暑)が続いている。
この猛暑の前に刄、線状降水帯が発生し大雨に見舞われた地域がいくつもあった。
年々気象が暴力的になってきているように感じるのは、私だけではないと思う。

これほどの猛暑が続くと、つい頼りたくなるのは「エアコン」だ。
とはいえ、昨今の円安傾向により、光熱費もぐんぐん上がっている。
Webの政府広告で「定額減税で、消費を促し良い経済循環」等と言われても、光熱費の高騰で定額減税分くらい吹き飛んでしまうのでは?という気すらしてくる。
そのような背景があるからだろう、プレジデントオンラインには「エアコン節約でバタバタと人が倒れる」という内容の記事が、挙がっている。
PRESIDENT On-line: 「エアコン節約で人がバタバタ倒れる国 ニッポン」国民負担率5割&物価高で“中流完全崩壊”という漆黒の絶望 

1960年代~1970年代のころ、日本の生活者は「一億総中流」と言われていた。
コトバンク:一億総中流 

この言葉の意味するところは、国民の75%くらいの人達の経済格差がほとんどない、という経済状態であった、ということだ。
しかし、その後バブル経済の崩壊に始まり、日本経済は約30年以上落ち込んだままだ。
その結果生み出されたのが「経済格差」だ。
それは都市部と地方という「地域格差」をも生む結果となった。
このような経済状況の中で、国民の経済負担率が5割となりながらも「公的支援」を実感できない状況にある。
何故なら、菅前首相は「公助の前に自助」という言葉を発した通り、「公的支援を受ける前に自分で何とかせよ」と、国民を突き放したからだ。
結果として国民負担率5割という現実では「自助にも限度がある」ということになる。
その結果として「光熱費の高騰でエアコン使用を我慢して、人がバタバタと倒れる国」になってしまった、という訳である。

勿論、再び政府はエネルギー関連事業者に対して、援助をすることで「光熱費を下げる」という政策を打ち出しているのだが、それもこの猛暑の間の話ではない。
元々、日本のエネルギー政策そのものが、未来志向のモノであったのか?というと、多いに疑問なところがある。
例えば、現在地方で問題になっている「山間部の太陽光発電パネル設置」だ。
太陽光発電そのものは、火力発電や原子力発電に比べ効率が良いとは言えない、という指摘はされていた。
しかし世界的な循環型社会への切り替えや自然エネルギーへのシフトなどがあり、日本も太陽光発電をはじめとする自然エネルギーへシフトしようとしている。
その中で注目された一つが「太陽光発電」だったのだ。

しかし上述したように「太陽光発電」そのものは、決して発電効率が良いわけではない。
まして、山間部から都市部へと送電する過程で、失われる電力などを考えると、山間部に太陽光発電パネルを設置する、というのは非効率極まりないのだ。
その意味で「太陽光発電」は、塩漬けになった工業団地用地や都市部の建物などに設置する「地産地消型エネルギー」と言える。
そのようなコトが分かっていながら、何故か非効率な地域での太陽光発電パネル設置を認めてしまう、というおかしな状況が発生し、環境問題だけではなく土砂崩れまで起きるような事態になっている。

そう考えると「エネルギー問題」は、「国土保全と生活」という視点で考える必要があるだろう。
それだけではなく、地球温暖化という壮大な問題ではなく、「いかに、猛暑とならない環境(=光熱費を安くする生活環境)をつくるのか?」という、身近な問題なのかもしれない。


モヤモヤする「NHKの赤字」

2024-06-29 09:39:22 | ビジネス

今月25日に、NHKの2023年単体決算報告の発表があった。
東洋経済:NHK「赤字でも黒字でも批判殺到」が意味すること 

記事としては4頁ほどあるのだが、是非読んでいただきたい。
「NHKの受信料を値下げたから、赤字になった」という指摘がされているのだが、「受信料の値下げ」が赤字になったというよりも、受信料そのものの不払いが増えたことで、赤字になった、とみるべきではないだろうか?
とすれば、「なぜ不払いが増えているのか?」と、考え・対策を取る必要がある、と考えるのが多くの民間企業だろう。

実は、NHKは国会で予算が決定されるため「国が行っている事業」と思われがちだが、「放送法」に基づいて設立された公共的目的でつくられて企業なのだ。
この「放送法」が、「受信料不払い」で問題になっていることは、ご存じの方も多いだろう。
NHK側は、「テレビ放送の受像機を設置していることは、NHKと受診契約をしなくてはいけない」という理由を盾に、受信料の不払いに対して法的措置を取るようになってきたからだ。
この「放送法」に疑問を持つ人達にとって「テレビを買った時、NHKとの受信契約書なんて書いていない」というのが、理由になっているのではないだろうか?

このようにNHKそのものは、「放送法」によって守られた企業ということになる。
その反面、実はNHKには関連子会社と呼ばれる企業をいくつも持っている。
NHKHP:NHK関連団体について (関連子会社を含むリスト)

文化事業としてNHK交響楽団があるのは、ご存じの方も多いと思うのだが、関連子会社の数が多いことに驚かれるのではないだろうか?
例えばNHKエンタープライズ等は、NHKで放送した国内外のドラマ等をDVDやブルーレイソフトとして販売をしている。
NHKが受信料で制作をしたドラマをDVDやブルーレイソフトにして販売することは、著作権等を保有しているので、問題はないと思うのだが、受信料と販売利益の関係は?という、疑問が出てくるのではないだろうか?
民放が人気ドラマをDVDやブルーレイソフトとして販売をしているのだから、問題はない、という考えもできるのだが、その制作原資はどこから出ているだろう?
それは広く「皆さまのNHK」として徴収した、受信料からなのでは?
朧気な記憶で申し訳ないのだが、NHK単体では赤字であっても連結決算で見ると、大幅な黒字だったような記憶がある。
公共放送としてのNHK単体は赤字でも、グループ会社を含めると黒字なのだが、「放送法」のもとでは「赤字」でも関連会社を含むグループ全体では、黒字というのがNHKの実態ということなのだ。

もう一つ考える必要があるのでは?と、感じるのは、かつてNHKが受信料徴収目的としていた「受信難視聴地域の解消」という点だ。
「受信難視聴地域」というのは、山間部や離島等でも公共放送としてのNHKが視聴できる設備投資の必要がある、という意味なのだ。
しかし、インターネットやスマホの普及により、旧来の受信設備投資の意味がほとんどなくなってきている。
代わりに言われるようになってきたのが「Web視聴に対する受信料徴収」ということなのだ。
このWeb視聴に関しては、既に民間企業が整備した設備のタダ乗りなのでは?という指摘もされている。
何故なら、NHK側が必要とするのは、NHKの設備であって山間部や離島に対する受信設備の投資ではないからだ。

「テレビ離れ」と言われて久しいが、今のような受信料の徴収方法を取っている限り、テレビ受像機であるテレビそのものを持たなくなる人達が増えることで、「受信料の減少」ということになるだろう。
実際、「テレビを視聴しなくても全く生活に困らない」というのが、テレビが壊れ廃棄した私自身の感想だからだ。


世界が注目する日本のポップカルチャー

2024-06-25 22:56:52 | ビジネス

日経新聞のWebサイトに、面白い試みだな~と思う記事があった。
日経新聞:漫画、AI翻訳で世界同時配信 集英社や小学館が新興出資 

ご存じの方も多い、日本の漫画の市場は世界的だと言われている。
漫画からアニメ放送され、そのアニメ放送が海外の放送局に売られるようになり、世界的な人気を博すようになった、ということを改めて説明をする必要はないだろう。
そのアニメに感化され、アニメに登場するキャラクターのコスプレも当たり前の様になってきている。

このアニメ等の世界的人気に政府が目を付けたのが、「COOL Japan事業」だった。
ところが、いつの間にか迷走し始めいつの間にか、累積赤字が365億円にふくれあがってしまっている。
ABEMA TIMES: 「クールジャパン」は356億円赤字から再起できるのか?“政府が本当にすべきこと”を考える 

政府の「クールジャパン事業」は、大赤字なのに日本のアニメ人気は、変わらず高いままだ。
それを表すように、昨年YOASOBIの「アイドル」はビルボード誌のグローバルチャートで1位を獲得し、今年は「マッシュル‐神覚者候補選抜試験編」の主題歌となったCreepy-Nuts「Bling-Bang‐Bang‐Born」も世界的なヒットとなっている。
Creepy-Nutsをご存じない方であっても、この「Bling‐Bang‐Bang‐Born」は、どこかで聞いたことがあるのではないだろうか?
YouTube:Creepy-Nuts「Bling‐Bang‐Bang‐Born」 

これらの2曲は、アニメ主題歌として世界的に人気となった楽曲なので、アニメ人気に引っ張られて世界的なヒットをしたのでは?と、思われる方も多いかもしれない。
しかし今年に入り、女性グループの「新しい学校のリーダー」が、米国のレーベルと直接契約を結ぶなど、日本のJ-popそのものが人気となってきている。

そのような状況の中で、藤井風が米国で「死ぬのがいいわ」が、ゴールドディスクを受賞する、という快挙があった。
ENCOUNT:藤井風、初の米ゴールドディスク認定授与 NYでのパフォーマンス後にサプライズ 

藤井風の「死ぬのがいいわ」のリリースそのものも昨年よりも前で、日本語での楽曲。
勿論、アニメ主題歌ではない。
その意味では、坂本九さんの「上を向いて歩こう(=SUKIYAKI)」のような、快挙かもしれない。
米国のチャート誌・Billboardの米国内チャート1位ではないにせよ、日本人ミュージシャンの楽曲がゴールドディスク認定をされる、ということはJ-popにとって大きな転換となるかもしれないほどの、出来事だろう。

政府肝いり事業は、ことごとく失敗をする反面、今日本のポップカルチャーの一つであるJ‐popは注目を浴び、世界進出しようとしている。
このような動きを止めない為にも、政府肝いり事業と結びつけないで欲しい、と願っている。


「名品」が終わりを告げる‐ホンダ スーパーカブ50㏄の生産終了‐

2024-06-22 20:35:01 | ビジネス

今日のYahoo!のトピックスにも取り上げられていたのだが、ホンダが50CC 以下の原付の生産を終了する、というニュースがあった。
讀賣新聞:ホンダ、50CC以下の原付の生産終了へ…「スーパーカブは世界で最も売れたバイク」 

今でもホンダの50CCのスーパーカブは、街中でよく見かけるバイクの一つだ。
そして、65年以上前に製造が始まった原付バイクが、デザインを変えることなく作り続けられてきた「バイクの名品」と言っても、過言ではないと思う。
確かに似たようなデザインで長い間親しまれ続けているイタリアの「VESPA」等もあるが、アジアを中心にホンダの「スーパーカブ50CC」は、「働くバイク。生活のバイク」として、親しまれてきた。
Yahoo!オリジナル:本田宗一郎の夢がベトナムで走るー生産1億台、徹底した「お客さん」視点

販売台数だけではなく、その使い勝手の良さという点でも、ホンダの技術者は「スーパーカブを超えるバイクづくり」が、夢であり目標だという話を聞いたことがある。
勿論その後には「越えられないんですけどね」とも話していたような記憶がある。

自動車等は、ある一定のサイクルで「モデルチェンジ」をすることで、買い替え需要を促進させ、市場規模を維持・拡大してきた。
それに対して、バイクは大幅なモデルチェンジをしているのだろうか?
バイクや自動車と縁のない生活をしているので、あくまでもコマーシャル等の情報でしか判断できないのだが、大型バイクと呼ばれるタイプは、それなりにCM等が制作されるが、「スーパーカブ」のような「働く生活のバイク」は、大々的な広告が打たれることがほとんどない。
私の記憶の中では、1970年代に「女性向けのバイク」として「ロードパル」という小型バイクを発売した。
YouTube:【昭和CM・1976年】ホンダロードパル 

ホンダの「ロードパル」のライバルとして同時期にヤマハ発動機も「パッソル」という小型バイクを発売しているのだが、この時ほどCMで小型バイクのCMを見ることは無くなっていると感じている。
YouTube:ヤマハ発動機パッソル(1979年) 

この当時と比べ女性の普通免許の取得率が上がったことや、交通事故等での身体的ダメージ、電動アシスト自転車等の普及等で、企業側が積極的にCMを打つことが亡くなったのかもしれない。
ただ、スーパーカブに関しては、大々的な宣伝もモデルチェンジをする必要もなく、コンスタントに国内外で売れ続けていた、ということは特筆すべきことだろう。
そのスーパーカブの50CCの生産終了は、時代の流れから言えば仕方のないことなのかもしれない。
ただ個人的には、EVバイクとして復活して欲しい、と願っている。
それだけ「スーパーカブ」という原付バイクは、プロダクトデザインとしてもバイクとしての性能も名品である、と感じるからだ。


農作物の指名買いが始まる

2024-06-20 21:08:34 | ビジネス

今年は、スーパーに行っても「梅」の入荷がとても少なく、「梅仕事(=梅干しづくり)」を諦めた。
そんな時、「梅ボーイズ」というYouTubeを見つけた。
YouTube:梅ボーイズ 

彼のプロフィールを読むと、北大大学院で薬学を学んでいたようだ。
そのまま就職をすれば、製薬企業で新薬・創薬の研究をしていただろう。
その彼が、実家の梅農家を引き継いだのは、梅農家が抱える問題を解決し、よりよくしていきたい!という思いからのようだ。

「梅ボーイズ」の彼だけではなく、「米利休」という名前でInstagram等を始めた若者もいる。
Instagram:米利休

名前の通り、米農家である祖父の後を引き継ぐ為、東大卒業後農業に携わることを決めた、という若者だ。
彼らに共通しているのは、一般的には「企業のエリートコース」に進める条件をもちながら、農業に携わるということを決めた、という点だ。
地方出身の彼らだからこその選択、ともいえるのかもしれないが、彼らに共通しているのは「自分の選択に迷いが無い」ということと「これまでの農家のイメージを一新したい」という、思いの強さを感じられる事だ。
その為にSNSを活用して、自ら様々な情報を発信しつつ、「ファンを増やす(=応援してくれる人を増やす)」、農家のイメージアップのような取り組みをしているのだ。

政府は「自給率を上げよう」と、農協等をとしてPRをしているが、自給率を上げるために刄、農業に携わる人たちも増えなくては、維持することができない。
そこで政府が考えたのが「農地の集約化による、農業の機械化」だった。
一見この政策は、効率的に生産量を増やす為には、効果的なように思えるのだが、現実はそれほど甘くはない。

農業そのものは、時間と手間がかかる割に、収穫時期はとても短い。
今年のように、雹が振ったために出荷できる梅が傷つき、出荷量が減ったりして、出荷量そのものが減ってしまう、
おそらく米農家さんである米利休さんも、天候次第で出荷量が激減してしまうだろう。
「天候に左右される=安定的な生産ができない」ということは、市場価格の安定化が難しい、ということでもある。
それは「農家の収入の不安定さ」ということになり、農業従事者を減らす要因の一つとなったはずだ。

それだけではなく、農業をはじめとする第一次産業の多くは「3K(=きつい・汚い・危険)の職場」と言われている。
今現在は、第一次産業に限らず「3K」と言われる職業に従事する人は、減少傾向にあると言ってよいだろう。
そのようなマイナス要素を打開するための策として「6次産業化」ということ、10数年前から言われるようになってきたのだが、この6次産業化そをする為には、様々なアイディアや投資が必要になる、という現実がある。
その為6次産業化をする為に行われているのが「法人化」ということになるのだろう。

第一次産業と言っても、一つの分野だけに特化するのではなく、総合的な第一次産業化から6次産業化することを目指すことで、起きることが「生活者からの指名買い」という、新しい生活者と生産者の結びつきのような気がしている。
実際、「梅ボーイズ」は、YouTubeで様々な情報を発信するだけではなく、HPを開設し通販も行っている。
おそらく「米利休」さんも、Instagram等のSNSを通して、通販等を始めるのでは?と、想像している。
当然そのような「生活者と生産者が結びつく」という関係が起きることで、消費の変化が起きてくる。
関係としては「生産者のファン(あるいは推し)」という関係だ。
この関係について、マーケティングでは「インテマシー・ロック(親しみに鍵をかける)」と呼ぶ関係性なのだが、大企業であってもこの「企業のファン(あるいは推し)」づくりには、苦心している。
というのも、この関係は生活者という個人との信頼関係によるものだからだ。
一旦ファンとなった生活者が、何等かの理由で「期待外れ」と感じた瞬間、この信頼関係は崩れ去ってしまう。
まして現在のようなSNS社会であれば、悪い評判はあっという間に拡散されてしまう。

そのようなリスクを十分、若い彼らは理解しているはずだ。
その中で「指名買い」をしてもらうような生産者になる!という意識の高さは、これから先の農業を変える力となるかもしれない。




花粉症と森林資源

2024-06-07 22:48:53 | ビジネス

拙ブログに来てくださる方は、ご存じだと思うのだが、毎朝支度をするときのお供となっているのが、FM番組だ。
朝のラジオ情報番組は、何気なく聞き流すことができ、その中で「あ!」と感じる話題に出会うことも少なくない為だ。
先日も、「花粉症」の話題があり、林野庁が中心となり「花粉の少ないスギやヒノキへの植え替えを進めている」という話があった。
林野庁:花粉の少ない苗木を植えよう

今や「国民病」と言われるほど、潜在的患者を含め日本人の多くが罹患していると思われる「花粉症」。
その主な原因となっているのが、戦後住宅建材用として植林されたスギやヒノキだと言われている。

そこで考えだされたのが「花粉が飛散しないスギやヒノキ」だ。
単純に「花粉症の要因がスギ花粉やヒノキ花粉なのだから、花粉が飛散しない品種を植林すれば、花粉症は激減する」ということになる。
その考えはもっともなのだが、林業という視点で考えた時それほど単純な話ではないのでは?という、気がしたのだ。

まず「花粉の飛散が少ないスギ・ヒノキの植林」を進める為には、現在植林されているスギやヒノキを伐採する必要がある。
1970年代から始まった安価な輸入木材の普及により、日本の木材価格は暴落し、今や林業に携わる人材そのものが激減している。
おそらく、農家よりも激減しているのでは?と、想像している。
木材価格の暴落だけではなく、林業そのものが危険を伴う仕事ということも、就業者の激減に繋がっているのでは?と、考えられる。

そのような背景を考えると、丁度伐採時期に成長しているスギやヒノキを計画的に伐採をするだけではなく、市場に出すということも考えなくてはならない。
「コロナ禍」の頃、海外からの木材輸入が停まり「ウッドショック」と呼ばれる、国内の木材取引価格が暴騰した時があったが、それも一時期的なことだったようだ。
反面、ここ3、4年海外では「高層木造建築」が造られるようになり、その傾向は日本でも見られる。
Impress Watch:日本橋に国内最高層の木造ビル 地上18階高さ84m 

もちろん、このような高層木造建築ができるようになった背景には、「建築法」等の改正があってのことだが、このような「高層木造建築」は、あくまでも「木造建築の新しい姿」というシンボリックな存在だろう。
まして、「高層木造建築ができるようになる=国内の木造消費が増える」とも限らない。
花粉の飛散が少ないスギやヒノキの苗木を植える為には、住宅建築を増やす必要があるのだ。

とすると新たな問題が浮上することが、わかるだろう。
全国的に問題となっている「空き家問題」だ。
人口減少が進む中、空き家が増えるのは当然と言えば当然なのだが、その一方で東京を中心に都市部ではタワーマンションの建設が目立つ。
今の日本の住宅事情というのは、空き家が増える一方で大規模マンションの建設も進んでいる、というなんともチグハグな状況にあるのだ。

となれば、国や自治体の政策としてタワーマンション等の建設を抑制させながら空き家を取り壊し、日本の環境にあった価値の下がらない木造住宅を進めることが必要となってくるのでは?
それは都市計画にも影響を与える問題でもあるはずだ。

「花粉の少ないスギやヒノキの植林事業の推進」は、都市計画と生活する人のライフスタイルにも影響を与える問題でもある、という視点が必要だと考えるのだ。


「半導体」とNVIDIA

2024-06-06 20:19:51 | ビジネス

今朝、FM番組を聴いていたら「半導体メーカーのNVIDIA」の話があった。
私にとって、知らない半導体メーカーだったので、どのような半導体を作っているのか?と、興味が引かれた。
普段私たちが使うPC等に搭載されている半導体の大手と言えば、Intelだが、Intel等が作っているタイプとは違うらしい。
NVIDIAが作っている半導体は「GUP」と呼ばれる、画像処理半導体で、PC等に使われる演算機能等に対応していない、という話だった。
そして、このGUPの半導体が現在主に使われる場面というのが「生成AI」だという。
NVIDIA HP:人工知能コンピューティングで世界をリードするNVIDIA 

しかもこの「生成AI」の半導体市場における占有率は90%以上らしい。
生成AIの半導体市場における寡占状態にある、ということになる。
当然、「生成AI」に力を入れようとしている企業の多くが、NVIDIAのGUPを使っているということになるのだが、寡占状態が良いわけではない。
そこに競争というモノがあれば、切磋琢磨しより良い製品づくりの原動力となっていく、というのがこれまでの考えだからだ。

そして日本の半導体メーカーもGUPの半導体製造に向け、動き始めているようだ。
NVIDIAのような、特定分野に強いメーカーが、時代の需要にマッチすることで大きく企業が伸びる、ということになるのだが、NVIDIAという企業がこれほどまでに急速に注目され、飛躍してきたのは「時代を読む」ということに長けていただけではないのでは?という気がしている。

1980年代、日本の半導体は世界市場を席捲するほどだった。
しかしながら、同じことを繰り返していたため、市場価格と技術力で台湾等の半導体メーカーに負ける様になってしまった。
問題なのは「同じことを繰り返す=一点集中」あるいは「成功体験から変化を受け入れられなかった」ということが、背景にあるのでは?と、考えている。

NVIDIAが大きく伸びた理由の一つに、スマホ等の情報ツールが文字から映像・画像へと変わっていった、ということがあるだろう。
もう一つは、GUPという半導体は、PCに搭載されているIntelの半導体とは違い、シンプルなモノであり、そのシンプルな集合体がGUPという。
「人と組織」という関係に例えるなら、PCに搭載されている半導体は「一人でなんでもできる、オールラウンダー的人材」、それに対してGUPは「個性と特技を持った個性派集団」という感じのようだ。
しかも「個性派集団」だからこそ、「時度に合わせ、自由に組み替えることができる」、という特徴を持っているのでは?と、FMを聴きながら考えていた(AIや半導体について、詳しいとは言えないので間違い等があれば、ご指摘を頂きたい)。

とすれば、「生成AI」を動かす人もまた「個性派集団」の方が、有利なのでは?という気がしたのだ。
人の考えは一つではない。
バブル期によく言われた「一人十色」というくらい、一人の人の中に、様々な感性や感情、思考があり、その時々で私たちは考え、決断をし行動をしている。
1人のマルチプレーヤーではなく、様々な障害を持った人達、男女の性差だけではなく、生きづらさを抱えている人達等、様々な人達を組織の中に取り込むコトで、「生成AIを動かす組織」そのものがより充実し、時代の変化に対応できるようになるのでは?
生成AIの時代だからこそ、企業という組織もまた変化していかなくてはいけないのでは?ということも、感じられた内容だった。


個人データ‐マイナンバーカードは大丈夫?‐

2024-05-10 22:05:50 | ビジネス

朝日新聞に、「マイナンバーカードの偽造が相次いでいる」という、記事があった。
朝日新聞:偽造相次ぐマイナンバーカード 河野氏が注意喚起 IC読み取りアプリ検討 

ご存じのように、今年12月に健康保険証をマイナンバーカードと一体化する、ということが決まっている。
元々マイナンバーカードについては、様々なトラブルが起きており、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に対しては、様々な問題が解決してからでも良いのでは?という、意見が出ていた(と思う)。
にもかかわらず、河野デジタル大臣は強引に推し進めようとしている。
そこに、このような「偽造問題」が起きている、という状況になってしまっている。

私自身は、現在起きているマイナンバーカードについての問題が解決してから、取得を考えていたので健康保険証との一体化に関しては、とても困っている。
そこに「偽造」という問題が浮上してきているのだ。
ますます、マイナンバーカードに対する信頼度は、ダダ下がり要因と考えてもよいのでは?と、思っている。
マイナンバーカードそのものに興味が無かったので、知らなかったのだが「個人情報へのアクセスが可能」なマイナンバーカードのICチップの読み取りアプリを検討する、という手際の悪さに、驚いている。

と同時に、政府が検討するような読み取りアプリは、大丈夫なのか?という、不安の方が先に立つのだ。
何故なら、これまでのマイナンバーカードをめぐる政府のグダグダな対応を見ていると、不安しかないからだ。
何より、健康保険証と一体化したマイナンバーカードを偽造される、ということは偽造された方の病歴を含む個人情報が流出する、と考える必要があると思う。

個人情報の中でも「病歴」は、究極の個人情報なのではないだろうか?
政府は、単に、風邪やケガの治療で病院を受診。処方薬を購入した程度に考えているのかもしれないが、遺伝と関係のある病気や難病、がん等の治療歴等の個人情報は、その重要性が全く違う。
だからこそ、慎重な議論が必要になるだろうし、今更ICの読み取りアプリの開発という後手後手には、政府自体が「マイナンバーカード」に対する考えが、とても軽いモノだった、という印象しか持てないのだ。

そのような不安な状況の中で、日経新聞が「個人データの越境移転」という話題を記事にしている。
日経新聞:個人データの越境移転、円滑に日英米等10ヵ国・地域 

増え続けるECサイト等で購入した個人データを企業間で流通させ、電子取引を簡便化する、ということを目的しているのだが、商品やサービスを購入した本人があずかり知らないところで、個人データが企業間で流通する、ということに不安を持つ生活者もいるのではないだろうか?
実は、このような仕組みは既に存在しており、情報サイト等にアクセスすると表示される「cookie」が、それにあたる。
「cookie」が表示され、同意をするとアクセス者の情報が広告代理店等のプロモーション等に、使われることに同意する、ということになっている。
「cookie」が表示される度に、そのような文章が表示されるのだが、この表示文をどれだけの人が注意深く読み、同意をしているのだろう?
広告等のプロモーションに使われる程度(と言っても、個人データが勝手に使われるという意味では、嫌悪感を覚える人もいると思うのだが)とは違い、ECサイトでの購入歴から「年齢・居住地域・購入額・クレジットカード情報」等が勝手に違う企業に流出してしまう、という意味も含んでいるのでは?

これらは、生活者にとって便利なコトなのだろうか?
今一度、デジタル化(というよりも「DX推進」)と個人データ保護という問題を、考える必要があるのではないだろうか?