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日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「和風」にすることが、道徳につながるわけではない

2017-03-31 19:43:49 | 徒然

先日、道徳の教科書の一部が訂正されたことで、教科書認定がされやすくなった、という内容の記事が新聞各紙に掲載されていた。
朝日新聞:パン屋「郷土愛不足」で和菓子屋に 道徳の教科書検定
パン屋さんから和菓子屋さん、アスレチック施設から和楽器店という変更をした教科書が、認定されたという内容の記事で、同様の報道は他紙でもされていた。

おそらくこの記事を読まれた方の多く(であってほしい)は、パン屋に「郷土愛が不足しているの?」という、疑問を持たれたのではないだろうか?
というのも、焼き立てパンを販売するパン屋さんだけではなく、最近では製パン会社もこぞって「国内産小麦」の商品を積極的に展開しているからだ。
その中でも特に北海道産の「ゆめちから」という品種の小麦を使ったパンは、ここ2,3年人気となっている。
この「ゆめちから」という品種は、北海道の農業研究センターが13年もの歳月をかけて作った、強力粉用の小麦だ。
それまでパン用の小麦粉(=強力粉)の多くは、輸入に頼らざる得ない状況だった。
同じ強力粉を使って作る「うどん用」の小麦の生産も低下しているようだが、製パン用の強力粉用の小麦粉は、日本で栽培するコト自体が難しい、と言われてきた中で誕生したのが「ゆめちから」という品種だった。

それだけではなく、今の人気パン屋さんに行くと「米粉パン」など、日本の主食である「米」を使った商品も数多くある。ホームベーカリーの機種によっては、「ごはんからパンを作る」という機能もある。
ハンバーガーショップの一つモスバーガーには、「ライスバーガー」というバンズ(=パン)の代わりに焼きおにぎり風のごはんを使った商品もある。
パンの「日本風食化」は、随分進んでいるのだ。
和菓子店で使っている原材料の一部は、輸入に頼っているものもあるはずなのだ。
そうなると、「パンとパン屋」に「郷土愛がない」とは言えないような気がするのだ。

もう一つの「アスレチック施設」を「和楽器店」に置き換えたコトも、視点がずれているような気がする。
そもそも「アスレチック施設」と「和楽器店」とでは、どちらのほうが親しみがあるのだろう?
おそらく多くの人にとっては「アスレチック施設」なのでは、ないだろうか?
「和楽器」そのものを市中の楽器店でも扱ってはいないし、和楽器を見たコトがあるという児童・生徒はどのくらいいるのだろう?
それほど、遠い存在である和楽器なのに、あえて和楽器店とする意味はどこにあるのだろう?

「道徳」という授業でどのようなコトを教えるつもりなのかは、よくわからないが、「パン屋⇒和菓子店」のような枝葉末節の部分ばかりに注目し、肝心な幹となる部分が見えてこない。
一番の問題は「郷土愛」というモノを、学校の道徳の授業で教える、ということだと思う。
「郷土愛」というモノは、地域社会の中で子供たちが自然に身に着けるようなモノではないのか?
他にも「社会科」の授業などで、地元の産業や社会見学などを通して、地域社会の事を学ぶことで身に付いていくのでは?
それをあえて「道徳」という授業で、やろうとすることのほうが、無理があるような気がする。




 


イメージと現実、データと実勢

2017-03-29 15:50:08 | マーケティング

「ヒョウ柄」と聞いて、思い浮かべるのはどのような人物だろうか?
やはり、コテコテの大阪のおばちゃんだろうか?
実際は、そうでもないらしい・・・という、記事がHuffington Postに掲載されていた。
Huffuington Post:ヒョウ柄購入、1位は「大阪のおばちゃん」ではなかった

記事を読むと、どうやら埼玉県での購入額が一番多いらしい。
次いで2位が大阪という点では、イメージ通りと言える。
個人的に注目したのは、3位以下で岐阜、東京、福岡という順位らしい。
中でも、東京の場合購入者の中心が「おばちゃん」ではなく、若い女性らしい。
しかも彼女たちは「可愛い柄、おしゃれ」として、ヒョウ柄を着ているらしいのだ。
どうやら、大阪のおばちゃんのような「派手さ」とは、一線を期すような感覚での選択のようだ。

確かに、大阪のおばちゃんの「ヒョウ柄」というのは、柄というよりも「ヒョウ」という動物そのものが、プリントデザインされている、という印象がある。
記事にあるような、ベージュにヒョウ柄という感じではなく、色のコントラストもハッキリしているような気がする。
それが、必要以上に?強い印象を与えているのかもしれない。

その視点で考えてみると、案外、埼玉や岐阜、東京、福岡以外の地域でも若い女性は「ヒョウ柄」の服を着ているような気がしてくる。
「ヒョウ柄」ではないが、最近若い女性の間で「迷彩柄」もよく見かける。
「迷彩柄」と言えば、男性の専売特許のようなイメージがあるが、本来の「迷彩柄」とは違う配色のトーンの柄のパンツや、バッグなどを持っている若い女性は確かに多い。
配色や色のトーンを変えるコトで、それまでの男性的でヘビーデューティーな柄が、おしゃれな柄へと変化する、というお手本なのかもしれない。

ただ、このデータはECサイト「ZOZOTOWN」がまとめたものである、という点で注意する必要がある。
記事の最後のほうにもあるが、「ヒョウ柄好きな中高年の女性が、ZOZOTOWNで買い物をするのか?」ということなのだ。
少なくとも、大阪のおばちゃんが「ZOZOTOWN」で、「ヒョウ柄」の服を積極的に購入しているとは、考えにくい。
そもそも大阪のおばちゃんたちには、「ヒョウ柄ファッション」が充実した、行きつけの洋品店があるのではないだろうか?
とすれば、当然このデータからは漏れた客層である、ということになる。
「おしゃれ感のあるヒョウ柄が好きな若い女性が、ZOZOTOWN」で購入したデータだと、考えれば「ヒョウ柄」と一言で括るコトができないような「方向性の違い」が含まれている、と考える必要がある。
それは2位の大阪についても、言えるコトだ。
2位の大阪で購入している女性は、1位の埼玉やほかの地域と同様に「おしゃれなヒョウ柄が好きな若い女性」である可能性が高いからだ。

ビジネスで「データを読み解く」ということは、日常的に行われているはずだ。
ただ、単に数字だけを見ていると、見当違いなことにも陥りやすい。
それはイメージだけで考えるコトも、同様に見当違いな結果を生みやすい、ということを考えさせる記事だと思う。


  


労働人口構成から見る愛知のジレンマ

2017-03-27 19:16:56 | ライフスタイル

朝日新聞のWEBサイトに、興味深い記事が掲載されていた。
朝日新聞:愛知県全体は人口増なのに・・・若い女性、首都圏に続々転出

ご存じの通り、愛知県と言えばトヨタ自動車を中心とした、製造業中心という印象があると思う。
そしてその印象は、間違ってはいない。
そのような自動車産業に従事をする人達の多くは男性であり、バブル崩壊~リーマンショックの頃には中止をしていた「期間限定雇用社員」という、繁忙期を中心に雇用する社員募集も最近復活してきた。
募集に応じるのは、当然のことながら(?)男性ばかりだ。
単なる「転入者数」という視点で見れば、愛知県全体で見れば転入者は増加傾向ということになる。

記事中にあるように、女性が働きたい!と思う職場は、本当に少ないというのが現状だ。
というのも、トヨタ自動車をはじめとする製造業で女性を必要としている職場は、限られているからだ。
他にある職場となると、いわゆる「支社・支店勤務」ということになる。
「支社・支店勤務」採用となると、狭き門となり現実には大学の新卒女子が勤める先は、思ったほど多くはない。
あっても「縁故採用」というケースも、少なくないはずだ。
その結果、就職先を求めて首都圏へと転出する若い女性が、増えているということなのだ。
私が就職した時でさえ、数名の募集に対して30人くらいの応募があった、と記憶している。
当時に比べ事務仕事のIT化が進んだことで、もっと厳しい状況になっているのでは?と。想像している。

しかし、このような現象は、愛知に限ったコトではないような気がするのだ。
例えば、地方自治体が企業誘致を考えるとき、多くは製造業の誘致を考えている場合が多い。
確かに若い男性の職場は増えるが、女性の職場は増えるわけではない。
女性の職場が増えない限り、若い男性が「婚活」をしようとしても、対象となる若い女性がいない、ということになる。
働き場所が無いところへ、わざわざ移り住む女性がどれほどいるのだろう?
それは、先日帰省した時、活気のない街を歩いてみて感じたことでもある。

問題はそれだけに留まらない。
愛知をはじめとする中部地方は、女性の管理者が他の地域よりも各段に少ないのだ。
中日新聞:女性管理職 中部進まず
記事には「リケジョの積極的採用と登用」とか「女性を活用する成長ストーリーが描けていない」とあるが、もともと保守的な地域で、男性は当然、女性側も「仕事をバリバリ、キャリアを積みたい」という希望も強くないという社会文化的要素もあると、感じている。
今でも「名古屋生まれ・名古屋育ちのお嬢様は、大学卒業と同時に結婚。お相手は医者か弁護士、もしくはトヨタ社員」が、「人生の勝ち組」という都市伝説さえある。

もう一つ指摘させていただくなら「リケジョ」にこだわる発想だ。
あくまでも、記事を書かれた記者さんの考えなのだと思うのだが、「リケジョの活用」という発想の中には、やはり製造業で働くという視点があるからだと思う。
女性が働く場所というのは、もっと様々な場所があるはずだ。
それは男性であっても同じはずなのだが、どこか活躍しやすく注目されやすい象徴的な場所を限定的にしているように思える。
そのような発想では、若い女性の転出は止められないと思うのだ。




自動運転とITの関係は、もっと身近な問題にある?

2017-03-20 21:38:34 | ビジネス

実家の父から連絡があり、急遽帰省している。
元々体の不調(と言っても、生死にかかわるようなコトではない)があったのだが、日常生活に不便を来すことになり、手術をするということになり、そのための帰省だ。

帰省するとき、大阪から高速バスを利用した。
バスの車窓から様々な車種の自動車を見ながら、「『自動運転』になると、この風景はどのように変わるのだろう?」と、思ったのだ。
ご存じのように、自動車の自動運転については、自動車メーカーだけではなくGoogleなども積極的な動きを見せている。
特にGoogleが考えている自動運転というのは、運転者が全くハンドルを握らない「自動運転」だ。
おそらくこのシステムで重要になっているのは、GoogleMAPなどを基にした地図データだと思う。
その「地図データ」が、最新のものであれば問題はないと思うのだが、最新のものでなかったとしたら・・・?と、思ったのだ。

というのも、朝のFM番組など通販番組があり、時折「最新カーナビ」の紹介があるからだ。
その「最新カーナビ」のセールスポイントは、「最新地図データを搭載している」とアピールしている。
ということは、カーナビを買っても毎年のようにデータ更新を保有者がしなくては、カーナビのデータはどんどん古いものになり、カーナビの役を果たさなくなる可能性がある、ということになる。
あくまでも通販でのカーナビ販売の話なので、その実態はわからないのだが、以前、友人の車に同乗させてもらったときにも「うちのカーナビ(データが)古いから、道、間違えるかも?!」と、いわれ向かった場所には目的の建物が無く、焦ったコトがあった。

一方、スマホなどを利用して、目的地までの道順や乗り換えの案内などをするサイトがある。
東京の地下鉄のように、複雑な乗り換えに利用されている方も、多いのではないだろうか?
そう考えるとスマホにできてカーナビができないのは、何故だろう?と、考えたのだ。
もしかしたら、スマホのナビシステムをカーナビ代わりに利用している人も、案外多いのでは?

自動運転で目的地にたどりつくためには、まず最新の地図データをクルマ自体が受信できなくては意味がない。
とすれば、今のカーナビはその役割を果たしているのだろうか?
今やPCなども自動的にシステム更新がされる時代に、わざわざ販売店などに出向いてカーナビのデータ更新をしてもらう・・・というのは、いかがなものだろう?
私が友人のクルマに乗せてもらったのは数年前の事で、今ではスマホの道案内システムのように、自動的にデータ更新がされるようになってきているのかもしれないのだが、自動運転を実用化するためには「自動停止」の技術は当然のことながら、目的地への最新ナビゲーションデータが常に更新されていなくては意味がないような気がするのだ。
特に災害時のような時には、通行止めとなっているルートを外し、たとえ遠回りとなっても確実に目的地にたどりつくようなナビゲーションが必要になるはずだ。

もしかしたら、IT企業が考える「自動運転」だけでは、実用化は無理かもしれないし、既存の自動車メーカーや現在カーナビを製造・販売しているメーカーだけでも、実用化は難しいかもしれない。
日本の地図製作会社と自動車メーカー、通信事業者など、産業の枠を超えたチーム作りができたところが、もしかしたら自動運転を可能にさせるかもしれない・・・そんなコトを高速バスと並んで走行するクルマを見ながら考えたのだった。

お知らせ:上述した通り、現在帰省をしております。
     そのため、拙ブログの更新ができないかと思われますので、しばらくお休みをいただきます。
    



コトラーがトランプ氏を評する内容が刺激的で面白い(?)

2017-03-19 20:02:42 | 徒然

Huffington Postに、P・コトラーの記事が掲載されている。
P・コトラーと言えば、多くのマーケティングに携わる者にとって、常に何かを示唆してくれる存在だ。
マーケティングの大家として、度々来日をし多くの日本の企業人たちを対象に講演もしている。
そんなP・コトラーが、冷静かつ客観的な文でトランプ氏を評している言葉が「ホワイトハウスの中のテロリスト」だ。
Huffington Post:ホワイトハウスの中の「テロリスト」

内容は、しっかり読んでいただければ良いと思う。
トランプ氏が大統領に就任して以来、「アメリカン・ファースト」を掲げ数多くの大統領令を出してきた。
しかしその内容は、「アメリカン・ファースト」と呼ぶには程遠い政策ばかりが、目立っているような気がしている。
コトラーが指摘している通り、トランプ氏の大統領令というのは、アメリカという国の成り立ちそのものを否定している部分が数多くある。

確かに、アメリカという国は「人種のるつぼ」だが、その多様性が多角的な視点を生み出し、産業革命以降の欧州とは全く違うダイナミックな経済発展をしてきた。
もちろん、人種差別などマイナスな部分も数多くあり、今だに警察官が無防備な黒人を殴るなどの暴行が、ニュースなどで取り上げられたりしているのも事実だ。

ただ経済だけではなく、アメリカの文化なども多様な価値観があったからこそ、生み出されたモノだということは忘れてはいけないことだろう。
今日訃報が伝えられたC・ベリーがいなければ、今の「ロックン・ロール」という音楽は生まれてこなかっただろうし、アメリカから発信され続け、世界中の音楽シーンに影響を与え続けられることも無かっただろう。
それは映画なども同じはずだ。
エンターティメントという分野でも、アメリカという国が持っている「多様性」による発展が大きい。

何よりコトラーが指摘しているのは、トランプ氏がSNSなどを通して発信し続けている内容が、「独裁者」の要素がとても強いという点だ。
トランプ氏が「独裁者」というのは、ピンとこないかもしれないのだが、マスコミに対する敵対的態度や時には自らが「フェイクニュース」を平気で流しているという点。挙句の果てには司法にまで、自分の思い通りにならないと攻撃をしたり、罷免をするような脅迫じみた行動をとっている。
それは、アメリカ経済を支えている企業にも、及んでいる。
いうなれば「自分のいうことを聞かないなら、脅してでも良い」という、発想であり行動なのだ。

そのコトは一体何を示しているのか?というと、民主主義の崩壊だけではなく資本主義の崩壊を指している、と考えるのだ。
経済活動が自由に(もちろん、反社会的な経済活動や利己的な経済活動は許されるものではない)できるのは、多くの人が等しく、生産と消費、そのための技術や教育、健康維持ができるという前提があっての事だ。
「資本主義」は「様々な格差」という問題を含んではいるが、それでも多くの市井の人達によって支えられる経済の形態である、という点で「民主主義」と重なる部分が多いのだ。

トランプ氏を支持した人の中には、トランプ氏のビジネス経験に期待した人も多かっただろう。
だが、本当にトランプ氏はビジネスパーソンとして、優れた才を発揮していたのだろうか?
そんな疑問をコトラーは、投げかけているようにも思える。


トランプさんは、大きなビジネスチャンスを逃しているかもしれない

2017-03-17 21:15:32 | ビジネス

Yahoo!のトピックスにも取り上げられているが、トランプさんは「温暖化研究を税金の無駄」と、切り捨てている。
讀賣新聞:温暖化研究「税金の無駄」・・・米政権が方針強調
元々、トランプさんの考えは、石油などの化石燃料を使うエネルギー政策だ。
そのため、カナダからパイプラインの建設促進、という大統領令に署名をしている。
ロイター:トランプ氏、パイプライン建設促進 大統領令に署名

トランプさんの頭の中では、どうやら今でも「エネルギー=石油(と化石燃料)」ということらしい。
しかし、石油産出国であるサウジアラビアの王様が、1,000人の随行員を連れて「脱石油」の為に、日本に協力を求めてくるような時代になっている、ということもまた事実だ。
むしろ石油産出国だからこその、危機感だったかもしれない。
世界全体を見ると「循環型社会」というか、脱石油・脱化石燃料へと変わりつつある。
その時代の変化から逆行するのが、トランプさんらしいと言えばらしいということになるのかもしれない。

トランプさんはそれで満足かもしれないが、トランプさんが掲げる「強いアメリカ」という視点で考えると、どうなのだろうか?
「税金の無駄」と切り捨てるのはたやすいが、他の先進諸国では「循環型社会に適したエネルギー研究」が、ドンドン進められている。
違う言い方をすると、アメリカだけが遅れを取る可能性が高くなっている、ということなのだ。
先進諸国で研究が進んでいる、ということは「国際特許」などの取得によってその国の企業や研究所が、有形無形の利益を上げるコトができる、ということでもある。
それは言い換えれば、「国の経済的強み」を導くことにもつながる、ということになるはずだ。

何も今回の「温暖化研究」だけにとどまらない。
確かに「基礎研究」そのものは、お金にはならないが、「基礎研究」が無くては進展しないのも事実だ。
2000年代に入ってから、日本が医学・生理学をはじめ科学の分野でノーベル賞の受賞者が増えてきている、というのは「基礎研究」が評価されているからだともいえる。
その基礎研究には様々な「国際特許」が含まれていて、その特許料が次への新しい研究の原資となっている部分もあるのだ(これは、名古屋大学の躍進を見ると実感する)。
基礎研究による特許料が、新たな研究を支え、その研究がまた新たな特許を生み出す・・・という「循環」が、生まれるということにもなっているはずだ。

そう考えると、トランプさんの科学に対する冷遇は、米国の産業界全体の未来を暗くさせるのでは?という、気がしてくるのだ。
まして「温暖化研究」の分野は、様々な国が競っている分野でもある。
その分野で「後れを取る」ということは、米国全体の大きなビジネスチャンスを切り捨てている、ともいえるのでは?
「アメリカン・ファースト」を掲げるトランプさんだが、本当に「アメリカン・ファースト」の政策なのだろうか?


サウジの王様ご一行来日で、考えたコト

2017-03-15 18:20:31 | ビジネス

サウジアラビアの王様ご一行が来日され、今日韓国へと旅立たれた。
随行員?約1,000名とまで言われた、大団体であったがその目的は「脱石油産出国」だったと言われている。
確かに、サウジアラビアのような石油産出国は、今後石油そのものの産出量が減少すれば、国そのものの経済が成り立たなくなる。
その前に手を打ちたい、という考えは理解できる。
新しい産業を創り出す必要があるだろうし、そのためのパートナー探しという視点で、日本に来日したということもうなずける。

ただ、サウジアラビアをはじめとする中東諸国について、どれだけ知っているのか?となると随分怪しいと、今朝のFM番組を聞いていて知った気がした。
FM番組に出演されていたのは、エジプト出身のタレント・フィフィさん。
中東諸国と言っても、フィフィさんの出身であるエジプトでは、サウジアラビア王様ご一行のような、白い民族衣装で生活している人はいないらしい。
少なくとも仕事に行く時は、普通に背広だそうだ。
もちろん、イスラム教の国なので女性はヒジャブと呼ばれるスカーフで頭を被っているようだが、国によって女性であっても随分ファッション傾向が違うらしい。

その番組で、これから先中東諸国とのビジネスが密になっていくとすれば、日本(人や企業)も中東諸国をもっと知る必要があるのでは?という、当然と言えば当然の指摘をしていた。
例えば、サウジアラビアのような石油産出国は、余りスポーツが盛んではない、ということ。
サッカーなどはW杯に出場しているので、意外な気がしたのだが、確かにオリンピックなどでは中東諸国の選手というのは、余り聞いたコトが無い。
スタジアムなどでのスポーツ観戦が、禁止されていることは知ってはいたが、スポーツ人口そのものも少ない、という現実があるようだ。
理由は、イスラム教独特の服装。
それを打開する(?)かのように、先日新聞にナイキがイスラムの女性向けスポーツウェアを発売する、というニュースがあった。
朝日新聞:ナイキ、イスラム教徒の女性アスリート用ヒジャブ発売へ

既にユニクロなどは、イスラム教徒の女性向けに「ヒジャブ」をはじめとする、商品を東京の他インドネシアなどのイスラム教徒が多い地域で、発売をしている。
イスラム教圏の女性であっても、おしゃれはしたいのだ。

忘れてはならないのは、1日に5回あると言われる「礼拝」対策だろう。
オリンピックなどの国際大会に選手が参加する・しないではなく、観客として受け入れることを考えるなら、宿泊施設などには、そのような簡易でも良いので施設が必要になるはずだ。
当然、「ハラール」と言われる食事の提供も必要だろう。

先日、近くの公立高校の入試日の朝、ヒジャブを身に付けた受験生に出会った。
イスラム諸国は遠い国だと思っていたのだが、案外身近になりつつあるのかもしれない。
そして、ビジネスパートナーとしてWin-Winの関係づくりが、急がれているのかもしれない。


稲田さんは、安倍政権のウイークポイントになるのか?

2017-03-14 20:52:13 | 徒然

森友学園の問題が、意外な?ところにまで波及している。
ご存じの通り、稲田防衛大臣が森友学園が起こした民事裁判で原告側の代理弁護人として、出廷していたということを認めたからだ。
讀賣新聞:稲田氏、答弁訂正し謝罪森友裁判に出廷認める

この森友学園については、安倍総理の奥様である安倍昭恵さんが、新設予定であった小学校の名誉校長に就任していた、ということもあった。
小学校の認可そのものが下りなかったので、名誉校長も辞退されたとは思うのだが、それにしても政権運営などの失敗や「政治と金の問題」ではなく、このような「政治権力との癒着」という問題で、叩かれるとは安倍さん自身、思っていなかっただろう。

ところで、稲田さんは防衛大臣に就任して以来、様々なところで「問題」を起こしてこられた。
昨年暮、安倍さんがパールハーバーで献花をしている時に、靖国神社へ参拝したり、自衛官の海外派遣の視察として出かけた先で、視察とは思えぬ服装であったりなど、「大臣としての資質に疑問がある」という、指摘がされてきた。
今回の森友学園の問題でも、教育勅語について称賛とはまでは言わないが、「重要なコトもある」といった趣旨の発言もしている。

稲田さんと同世代である私からすると、「なんとも、奇異な人だな~」という印象しかない。
戦後の高度成長期に育ってきた世代からすると、学校教育の場では「教育勅語」などは学んだ記憶はない。
学んでいないのだから、その内容が「良い・悪い」という判断はできない。
もちろん、大人になってから「教育勅語」を読んで、「素晴らしい!!」と感じられたのかもしれないが、それにしても発言そのものが「焼き付け刃」のような印象しかないのだ。
むしろ、その場の空気を読んで「愛国心溢れる人」というイメージづくりをしたかったのでは?という、気がするくらいなのだ。
その傾向は、防衛大臣に就任してからより目立つようになってきた、という印象すらある。

それに対して、今回の「(森友学園の)弁護士として出廷していた」というのは、これまでとは全く違う問題だと思う。
なぜなら、稲田さんにとって「弁護士」という仕事は、ご自身の仕事だったからだ。
いくら「ご主人の代わり」と言っても、「弁護を引き受ける」ということは、その問題についてある程度理解をしていたはずだ。何より弁護を依頼してきた森友学園に対して、「どのような依頼者なのか?」ということぐらい知って、依頼を受けているはずだと思うからだ。
これでは、「2時間サスペンスドラマの悪徳弁護士」のような、印象を多くの人にもたれても仕方ないような気がするのだ。

政治家に「聖人君子であれ」ということは、期待していない(人は多いと思う)。
しかし、何も考えずに「頼まれたから、引き受けました」という、発想の人では困ってしまう。
まして大臣という職は、国民の暮らしや命が関わっているのだ。
少なくとも現在の稲田さんは、「自衛官の命を預かる」という立場にあるはずだ。
そのような覚悟が感じられない大臣を任命したとなると、安倍さんの任命責任が問われ、政権そのものを危うくさせるような気がする。

私からは「網タイツ」だけは、止められた方が良いと、アドバイスを送りたい。
「網タイツ」を好んで穿かれるのは、「地元の地域産業振興のため」とのことだが、「網タイツ」は若くて足が綺麗なお嬢さんが穿いてこそ!魅力的なのであって、50代になった女性が穿いても綺麗に見えない。
「地域産業振興」には、役立っていないと思うからだ。


生活者と「つくる」ブランド

2017-03-13 11:59:19 | マーケティング

毎日新聞のWEBサイトを見ていたら、「老舗ブランドのつくられ方」の見本のような記事が掲載されていた。
毎日新聞:みそ 顧客からの呼称がブランドと社名に マルコメ

マルコメと聞いて思い浮かぶのは、何だろうか?
おそらく多くの人にとっては、「マルコメ坊や(キャラクターの名称は「マルコメ君」のようだ)」ではないだろうか?
坊主頭の男の子で、イメージ的には小学校低学年くらいだろうか?
とにかくその「坊主頭」が可愛らしく(というのも変だが)、商品イメージの好感度を上げる要因の一つとなっていたと思う。

転勤族であった父のおかげ(?)で、関東から中部地方、山陰と食文化の違う地域で育ってきた私は、「味噌」にこだわりがない。
しかし、多くの人にとって「育ってきた地域のお味噌汁」というのは、案外食生活に影響を与えている。
そのコトを知ったのは、名古屋で友人ができてからの事だった。
名古屋生まれ・名古屋育ちという友人たちは、「お味噌汁は絶対!赤だし。赤だし以外のお味噌汁はお味噌汁ではない!!」とまで、言い放ったことがあったからだ。
ところが、名古屋以外の地域で生まれ・育った友人は「赤だしのような辛いお味噌汁は、頂けない」という。
原料の一つである麹にも麦と米があり、麦味噌と米味噌とでは随分味が違う。
それほど、食生活に影響を与える「味噌」という商品で、全国シェアを取るというのは、とても難しいことだと思う。
もちろんマルコメ自体、信州みそだけを作っているわけではないはずだが、全国各地の食文化を考えた「味噌」を作るというのは、大変なコトだと思う。
そのような企業努力はもちろんなのだが、記事を読むと「マルコメ」という企業名だけではなく、ブランドそのものが、「生活者と共につくってきた」ということがよくわかる。

随分前から「企業ブランディング」ということが、言われるようになっているが、その実、生活者を置いてきぼりにした「自己満足のブランディング」が、多くなってきているのでは?という気がしている。
それは「私たち(企業)は、〇〇である」という、大上段に構えたブランドの情報発信をしている、と感じるコトが多いからだ。
確かに、自分たちが目指す理想(や経営理念)を基に、「ブランディング」をしていくコトは大切なコトだ。
問題なのは、そこに生活者の共感を得られているのか?という、点だと思う。

マルコメのように、長い間一つのイメージでCMを作り、そのCMキャラクターの愛称が社名へと変わっていく、というケースは少なくない。
それは生活者の「親しみ」という点を、重視した結果だからだ。
企業や商品に対する「親しみ(度)」というのは、生活者から揺るがない価値をもらっている、ということになる。
そのようなブランドは、とても強い。

随分前、アオハタジャムのCMに「ベストセラーよりもロングセラー」というキャッチコピーがあったが、この「ロングセラー」の要因となるのが「ブランド」の力なのだ。
「ブランド力」を生活者と一緒につくり上げるコトのできる企業は、やはり強い企業だといえると思う。



東芝と3.11

2017-03-11 19:27:43 | ビジネス

6年前の今日、東日本大震災が起きた。
「復興」途中とは言われながらも、時間の経過は容赦なく被災地以外に住む人たちから、震災の記憶を薄れさせている。私も記憶が薄れつつあるその一人だ。
しかし「復興」の目途さえついていない所がある。
東京電力福島第一原子力発電所を中心とした、原発事故により強制退去をさせられた地域だ。
一部地域では、既に解除をされたとはいえ、全ての住民が戻ってきているわけではない。
原発事故により、ふるさとに帰ることを諦めた人達もまた多いのだ。

今日のタイトルを見て「なるほど」と、思われた方もいらっしゃると思う。
再建中の東芝だが、東芝の経営危機を招いたのが「原子力発電事業」であった、ということはご存じの方も多いと思う。
そしてその「原発事業」の中心であった、アメリカの企業・ウエスチングハウス(WH)の法的整理を進めたい意向がある、というニュースが昨日あった。
MSNニュース:東芝原発 米WH「法的整理」加速 将来損失リスク遮断へ
東芝という日本の優良企業であったはずの企業が、膨大な損失を出すコトになった「原子力事業」は、実は東京電力福島第一原子力発電所にも関わりがある。
東芝:原子力事業部 プラント納入実績
実績表の中を見ると、東京電力福島第一原子力発電所、1号機、2号機、3号機、5号機の名前があるの事がわかる。
そのうちの1、2、3号機が、水蒸気爆発をしたのだ。
もちろん、施設そのものの管理・運用についての責任の多くは、東京電力にあることには違いないのだが、いつ収束するとも見当がつかない今の状況から考えれば、東芝もプラント納入事業者として、相当の事故処理費用を負担しているのでは?と思うのだ。

東芝という、企業の再建には原子力事業の切り離しが、最優先と言われてきたが、本当に切り離してしまうことができるのか?
もちろん、WHの法的整理とは関係なく、事故処理は進めなくてはいけないコトだが、原子力事業の一部分は残す必要があるはずだ。
そしてそのための費用もまた、東芝に重くのしかかっているような気がするのだ。

東日本大震災が起き、福島第一原子力発電所事故が発生する前まで、私たちが享受してきた「豊富な電力が与える生活の便利さ」のツケは、やはり私たちの世代が支払う必要があると思う(もちろん、東芝や東京電力に支払うという意味ではない)。
その一方で、最近聞かれなくなってきた「脱原発による自然循環型エネルギー」の普及を進める必要があると思うのだ。
事故処理と事故の収束が全く見えないまま、処理費用だけが膨大に膨らみ続けている、東京電力福島第一原子力発電所事故を考えると、原発の輸出は輸出国にとっても、日本にとってもプラントを輸出する企業にとっても、ハイリスクな事業輸出だと思う。
3.11は、そのコトをまざまざと突き付けたことを、改めて感じるのだ。