日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「選挙」を、文字の意味から考えてみる

2016-06-26 23:14:55 | 徒然

週末の朝の楽しみの一つに、あるFM番組がある。
感じて漢字の世界」という、番組だ。
元NHKアナウンサー・山根基世さんがナレーションをされている番組で、季節折々の言葉や時の話題となる言葉の漢字一文字を取り上げて、その漢字の成り立ちや意味などから、漢字一文字から様々なイメージを広げることができる番組だ。

今日の漢字は「選」だった。
イギリスのEU離脱となった「国民投票」も一つの「選挙」だろうし、アメリカの大統領を選ぶ「選挙」もある。
何より身近なところでは、7月10日には参議院選挙がある。
このタイミングで「選」という漢字をテーマにしたのは、制作者側の何等かの意図があるのかな?と、思いながら聞いていた。

改めて「選」を、白川静博士の文字学の視点で読み解くと、「選ばれる人」が大切なのではなく「選ぶ人」のほうが大切なのでは?という気がしてきた。
白川博士の「選」という漢字一文字の考えは、「巽」と「行く」ということを示す部首「しんにょう」から成り立っている、という。
「巽」という漢字そのものも二つの「己」の下に「共」という構成で、成り立っている。
確かに、「選」という漢字を分解すると、その通りだ。

白川博士は、「神様に奉納舞するために選ばれた巫女たちの姿(というか状況?)」を「選」という文字の由来と解釈されたようだ。
そんな話を聞きながら、勝手に自分なりの解釈をしてみると、また違った意味を持っているような気がしてきた。

それは白川博士が分解した「選」という個々の文字の意味だ。
二つ並ぶ「己」は、私たち生活者ともう一人の相手。
そして「共」は、一緒になる。
それらの文字が、一つになって部首である「しんにょう」の意味である「行く・歩く=進んでいく(あるいは未来を創っていく)」ということなのでは?と、思ったのだ。

私たちは、普段の生活でも様々な選択をしている。
これは番組の中で言っていることだが、「選ぶ」ためには自分とその相手(やモノ・コト)が必要だ。
そして、それらを手にしたときが終わりではなく、始まりでもある。
だからこそ、「選ぶ」時には慎重に様々な情報を得ようとするのでは?
もちろん「一目ぼれ」という言葉があるように、直感的な判断をする時も少なくはない。
ただ、「選ぶ時間がある」ということは、様々な情報を得たり、他者の意見を聞いたりすることができる時間がある、ということだと思う。

丁度、「帰ってきたヒトラー」という映画が上映されている(音声付き予告編が流れます)。
ヒトラーという独裁者を作り上げたのは、実は民衆が「選んだ」結果であった・・・という事実に、改めて「選挙」の意味を考えなくてはいけないような気がする。
私たち自身が、どのような未来を創りたいのか?その時一緒に歩いていける相手は、どのような人物なのか?それを選ぶのが「選挙」なのでは?と、改めて考えたのだった。