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イギリスのEU離脱を考える

2016-06-25 19:29:46 | アラカルト

昨日、イギリスのEU離脱が国民投票によって、決まった。
この結果を受け、市況が大きく動いたのは、ご存じのとおりだ。
確かに、イギリスのEU離脱が与える影響は、大きいと思う。

EUという「経済圏」はとても大きく、グローバル経済に与える影響はとても大きい。
ただ、イギリスは「EUの経済圏」にありながら、EUの通貨である「ユーロ」を使っていない国でもあった。
イギリスはEUに参加してからも、自国通貨である「ポンド」を使っていた。
そう考えると、「EUの経済圏」と言いながら、ポンドがユーロに与える影響は、どのようなものなのか?ということを、考えなくてはイギリスのEU離脱が与える経済的な影響はわからないと思う。

イギリスの場合、自国通貨であるポンドを使いながらEUに参加していた、ということはEU圏内における「関税」などに関連する部分での影響、ということがまず考えられると思う。
EUから離脱することで、他のヨーロッパ諸国への輸出・輸入という部分での影響がまず考えられる。
それはイギリスの企業が、他のヨーロッパ諸国へ企業進出するときなどにも、影響があるだろう。
逆に他のヨーロッパ諸国がイギリスへ企業進出するときも、同じように影響が出るはずだ。

ニュースなどで報じられている内容の多くが、経済に関する内容ばかりなので、どうしてもそちらに目が行きがちだが、本当のイギリス国民が経済のことばかりを考えて、投票をした訳ではないのではないだろうか?
Yahoo!のトピックスに、「地べたから見た英EU離脱」というタイトルの記事が取り上げられている。
Yahoo!:地べたから見た英EU離脱:昨日とは違うワーキングクラスの街の光景
イギリスのEU離脱が決まった時、米共和党大統領候補となったトランプ氏は、「正しい選択」と評したようだが、本当のところはイギリス国内にある「格差」による不満の結果だったのでは?

移民が増えることによって、職を奪われる不安を持つワーキングクラスの人たちにとって、EUに残ることは自分たちの職を無くすことにもつながっていると、感じたのではないだろうか?
その意味で、トランプ氏の指摘は的がずれているような気がする。
決してトランプ氏が掲げる「アメリカン・ファースト」のような、「イングランド・ファースト」という単純な考えではなかったように思うのだ。
それが投票結果として、あらわれたという印象を受ける。

また、記事中にあるように国民投票では「投票地域」によって、結果が大きく異なるコトがある。
以前大阪の橋下さんが行った「住民投票」でも、「投票地域差」が顕著に表れていた。
「イギリス国民の総意」としてのEU離脱ではなく、今の社会に対して「肯定的か否か」という部分に影響された結果だと、考えたほうが良いのでは?と、考えるのだ。
だからこそ、非常に拮抗した投票結果だったのでは?

EUというと「経済」という視点で考えがちだが、本当のところはEUに参加している国々の人たちの「生活や暮らし」の上に成り立つ一つの共同体であると考えると、イギリスの離脱は違った意味を含んでいるのではないだろうか?