日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「渋谷」が何故、野放図な野外パーティー会場となったのか?

2023-10-29 21:10:54 | アラカルト

今年も、「ハロウィン」がやってくる。
「コロナ禍」で、様々イベントが自粛されていたとは言え、何故か「渋谷」ではイベントごとに若者たちが集まっていた。
「コロナ禍」以前は、半ば「騒乱」状態だったように、報道されていた。

そもそも「ハロウィン」は、日本のようなパーティーとしてのイベントであったのか?というと、決してそうではない。
これは散々、いろいろなところで言われてきているように、一種の「様々な収穫に対する感謝のお祭り」だったはずだ。
日本でいうところの「新嘗祭」と、同じ位置づけだと考えても良いかもしれない。

それが米国では、家族が集まる(理由)としてのお祝いのパーティーとなり、子ども達がお化け等の仮装をしながら「お菓子をくれないと、いたずらするぞ!」と、収穫の一部を分け与えてもらう代わりにお菓子をもらいに練り歩くようになっていった。
少なくとも、「お菓子を頂戴!」と言って歩く子ども達から随分成長した大人たちが、路上で騒ぐような「お祭り」ではない。
にもかかわらず、1990年代後半から日本で「ハロウィンパーティー」なるモノが、若い世代の間で定着し始め、メディアがその騒ぎを報道するようになると、より拍車がかかったように「ハロウィンは、バカ騒ぎを路上でしても良い」という、意識へと変わっていった。
まるで伝言ゲームで「りんご」であったものが、「焼肉」に変わっていったような感じだろうか?

その中でも、特に若者たちが集まり騒ぐ場所となったのが東京・渋谷だ。
今回、渋谷区では「渋谷はハロウィンイベント会場ではありません」と大看板を、騒ぎの場所となっているスクランブル交差点に掲示するようになったようだ。
朝日新聞:警戒ハロウィン、渋谷は「来ないで」 定番の広場に異例の大看板 

ここで考えたいのは、何故「渋谷なのか?」という点だ。
極端なことを言えば、自然発生的に、人が集まり騒ぐということだけを考えれば、国会議事堂前であっても問題はないはずだ。
にもかかわらず、若者たちは渋谷に集まり、騒ぐ。
いくら警備を厳重にしても、それは変わることが無い。

とすれば、何故若者が渋谷に集まるのか?ということを考える必要がある。
現在のような「渋谷」の街が形成されてから、「若者の街」と言われるようになった。
切っ掛けとなったのは、「ハチ公前」という待ち合わせ場所としてのランドマークがあったことだろう。
そこから徐々に若者の街となっていったのだが、2002年サッカーW杯での日本代表の躍進が、一番の切っ掛けだったような気がしている。
当時、日本サッカー協会の事務所が、渋谷にあったのだ。
だからこそ、サポーターたちは渋谷に集まり祝杯を上げたい、という気分になったのだろう。
サッカー日本代表の躍進とともに、サポーターたちの渋谷での騒ぎに何も知らない一般の人達も加わり、メディアに取り上げたことで、「渋谷ではイベントで騒いで良い場所」という、認識が定着したのでは?と、考えている。

2002年の渋谷での騒ぎについて、故ナンシー関さんは「気持ちが悪い」という趣旨コトを、自身のエッセイで書かれていた記憶がある。
それほど、その時に騒ぎは異常なモノであったのだ。
その「異常さ」が、あっという間に定着し、日本の季節行事でもなかった「ハロウィン」が、無礼講の野外パーティーイベントと化したのが、今の状況だと思う。

「騒ぎたい」という心理の中には、「日ごろから鬱積したモノを発散したい」という願望、あるいは欲求があるとも言われている。
だからと言って、集団化して迷惑をかける行為は、大人でも子どもでも寛容されるべき行為ではない。
そのような行為がまかり通るとすれば、日本(人)の未成熟さの表れと考える必要があるのかもしれない。


日々自分をバージョンアップ!

2023-10-28 12:23:19 | ライフスタイル

先日、久しぶりに経営関連の講演会へ出かけた。
「コロナ禍」の頃、様々な講演会が中止になっていたので、4年ぶりくらいだろうか?
特に、経営関連の講演会となると、10年以上ぶりだったような気がする。

登壇されたのは、ユニリーバ日本支社等でマーケティングの責任者を歴任され、現在アース製薬等の社外取締役をされているハロルド・ジョージ・メイ氏。
テーマは「これからの経営戦略とリーダーシップ」だった。
元々マーケティング畑出身の方なので、その話の内容は(私にとって)とても興味深いモノではあった。
その中でも「日々、自分のスキルをアップさせる為に、勉強を欠かさない」という点だ。
この「日々スキルアップ」という考えは、外資系であれば当然かもしれないが、純正日本企業ではなじみがないかもしれない。
というのも、日本の場合は「幹部候補となる社員ほど、ゼネラリスト」として、複数の部門経験を優先されるからだ。
それに対して、米国を中心として外資系企業は「専門職集団」として、企業組織が成り立っている。
「専門集団」のトップが集まりそれぞれの責任者集団が、企業経営に携わるというスタイルをとっている。
その違いが、企業全体文化の違いを生み、育てている。

その違いで優劣を決めることはできないが、今の日本経済の状況を考えると、よりグローバルな市場に居続ける為に、日本型組織を断捨離をして欧州型を受け入れる必要があるのでは?と、感じたのだ。
その第一歩となるのが「日々自分をバージョンアップする」ということのような気がしたのだ。

「日々自分をバージョンアップ」と言っても、仕事に関連したことだけを指しているのではない。
日本でのマーケティングの一人者と言われる、慶応大学商学部名誉教授であった故村田昭治先生は、毎晩奥様と一緒に「今日新しく覚えた言葉」を教えあうということをしてきた、とエッセイに書かれていた。
例え新しい言葉を一つ覚えたとしても、お二人で1日2つ、それを1年繰り返せば365✕2=700以上の知らない言葉を知り・覚える、ということになる。
勿論、忘れてしまう言葉もあると思うが、1年でそれなりの新しい言葉を覚える、ということはなかなかできることではない。

新聞を読んで気になる言葉に出会えば、意味を調べ、ノートに書きとる。
ネットの新しい機能を試してみる。
普段入らないようなお店に、入ってみる。
等々勉強と身構えることなく、新しいことに挑戦してみることも、バージョンアップするということになると思う。
そのような「新しいことに出会う努力」をしているビジネスパーソンであれば、新しい視点を持つこともできるだろうし、普段から様々なモノ・コトに注意し、時代の変化を敏感に感じ取れるようになるのでは?

その蓄積ができている人達が集まって、一つの組織となれば、その組織からは「イノベーション」が生まれる環境ができやすい、と思う。
言葉で「イノベーション」ということは簡単だ。
実際、バブル経済が崩壊し日本経済が低迷し続ける中で、30年余り言われ続けてきた言葉の一つが「イノベーティブ」だった。
その「イノベーティブ」が生まれない社会文化、企業文化の背景には「ビジネスパーソン自身のバージョンアップする努力」が無く、新たなことへ挑戦するような機運そのものが無かったからではないだろうか?

今回の講演では、そのほかにいくつも気づかされたことがあったが、今のビジネスに必要なことは何か?と考えた時、この「日々自分をバージョンアップする努力」のような気がしたのだ。


岸田首相の「減税策」は、人気回復策?

2023-10-27 19:38:08 | アラカルト

「増税メガネ」という言葉が、一般週刊誌等を中心に使われるようになってきている。
まさか!と思うのだが、今年の「流行語大賞」を狙えるのでは?という勢いだ。
ご存じの通り「増税メガネ」とは、岸田首相を揶揄した言葉だ。
そしてこの「増税メガネ」という言葉に対して、岸田さんはとても敏感になっているようだ。

それを示すこととして、今月に入ってから次々と「減税策あるいは減税策に変わる給付金案」を次々と打ち出している。
今年の初め頃だったと思うのだが、「防衛費増」等が話題となり、当然増える防衛費を賄う為には「増税するしかない」と、言われていた。
問題なのはその「増える防衛費」の原資だった。
日本の財政は既に「赤字」となっており、頼みの綱は「赤字国債の発行」と言われ、随分経つ。
その状況を十分分かったうえで、「防衛費増」とその財源が問題となるのは、当然のコトだった。

にもかかわらず、岸田首相は海外に行く度に、相当額の「経済支援」を約束してきていた。
増える防衛費、海外諸国への経済支援、これらの原資は何か?という、疑問符が生活者の中に出てくるのは時間の問題だった。
そして使われるようになった言葉が「増税メガネ」という言葉だったのだ。
そして今月に入ってから、次々と「経済対策」として、「非課税世帯に対する給付金」や「定額減税」等の「経済政策」を打ち出してきたのだ。

「非課税世帯に対する給付金」や「定額減税」そのものは、景気対策という目的があり、恒久的な制度ではない。
有権者がこれらの政策に対して、懐疑的なのは「その財源はどこにあるの?」ということなのだ。
財源が無いのに、給付金や減税を行う、ということは誰もが「無謀な作」ということが分かる。
確かに「税収が増えた分を還元」と言えば、聞こえは良い。
しかし日本の財政は「赤字」なのだ。
国民から借金をしているのに「国民に還元」というのは、どこか可笑しな話で「還元する前に赤字を解消しましょう」というのが、健全財政の為には必要なことのはずだ。
赤字を垂れ流す一方で、国内外にお金をバラ撒くというのは、より日本の経済全体を悪くするだけなのでは?

おそらく多くに生活者は「給付金や期間限定の定額減税」ではなく、二重課税となっているガソリン税や食品を中心とした生活必需品に対する消費税の減税の方が、遥かに有効な経済対策だと考えているのでは?
税収が増えたのは、物価が高騰した為、スライド的に消費税による税収が増えたのが要因なのでは?
とすれば、「税収が増えた分の還元策」というのであれば、そのスライド的に増えた消費税の還元の方が、生活者にとって遥かにメリットがあり、経済対策としても有効なのではないだろうか?

しかし、消費税に手を付けると、物価高騰分スライドして増えた税収を失うこととなる。
何となくだが、この「物価高騰分スライド増収分」よりも「給付金+定額減税」の方が、増収分額よりも費用として少なく、話題性もあり「増税メガネ」という、ネガティブなニックネームが使われなくなる、という思惑を岸田首相とそのブレーンが持っているように感じるのだ。

今、企業では「クリーンな財務報告」が求められるようになっている。
それは企業だけではなく、地方自治体を含む全ての行政機関に求められていることでもあるのだ。
そろそろ「人気取り」の為の経済政策から、脱却し健全なお金の使い方に方向転換して欲しい。
そうすれば、岸田首相の人気は飛躍的に回復するような気がするのだが…。


人はまだ、ネット社会との付き合い方が、分からないのかもしれない

2023-10-25 22:24:31 | ライフスタイル

朝日新聞のWebサイトを見ていたら、Meta社に対して米国の41州が提訴をする、という記事があった。
朝日新聞:インスタ・FBは「ドーパミン分泌を操り若者誘導」米41州が提訴 

見出しの言葉が、センセーショナルすぎる気がするのだが、そのような研究もあるようなので、間違っているとは言いきれないのかもしれない。
Forbes:インスタグラムが若い女性に良くない「精神科学的」理由 

この記事が書かれているのが2019年なので、4年ほど前の記事ということになる。
確かに、この記事が書かれる数年前から、世間ではやたらと「リア充」という言葉とともにインスタグラムが、若い女性を中心に人気となっていた。
そして「リア充」演出をする為、いろいろな手段をとっている若者がいたことも明らかになっていた。
と同時に、「何故若者たちは、インスタグラムで『リア充』写真を載せるのか?」という考察等も、されるようになっていった。
それらの考察の中で語られたのが、「『承認欲求』と『孤独感』」ということだったように、記憶している。

今のようにネットで様々な人と繋がることができるようになると、現実的な人間関係よりも気軽な関係ではあるのだが、現実的な人間関係よりもネット上での人間関係の方が、気楽さであるが故に「良く見せたい(=承認欲求)」という心理が働くのでは?という、コトだった(ように思う)。
確かに人は「自分を良く見せたい・好感度の高い人物でありたい」という気持ちが、大なり小なりある。
現実での友人関係を構築するためには、時には無様な姿を見せることもあるだろうし、人間関係を構築する過程で様々な葛藤がある。
それは誰しもが、経験するコトだ。

そして、米国の41州で提訴理由となっている「ドーパミン分泌」との関係とは何か?ということになるのだが、おそらく「承認欲求が満たされることで、『満たされた快感』というドーパミンが分泌される」ということなのだと思う。
何故なら、ドーパミンそのものは「脳内報酬系」と言われる脳の部分から発せられるモノだからだ。
いわゆる「依存症」と呼ばれるモノの多くが、この「脳内報酬系」と呼ばれる部分と関係しており、過剰なドーパミンの分泌は「依存症を招く」ということが分かっているからだ。
(参考)りずみんの健康管理コラム:依存症はドーパミンが原因?! 

見出しだけではわからなかったが、提訴した41州が問題としたのは「ドーパミンの分泌」というよりも「インスタグラム依存症(あるいはSNS依存症)」ということを、懸念している、ということのようだ。
その背景にあるのが、上述した「承認欲求」であったり「孤独感」からくる、「人間関係性の構築の難しさ」ということなのだろう。
そのように考えると、私たちはネット社会における「人間関係構築」をつくるのには、まだまだなのかもしれない。
それは「手軽さの中に潜む、架空の人間関係と現実社会の人間関係」、「(手軽さゆえの)ネット上の万能感」のような問題に対する理解や危険性の不足ということのような気がする。



「GDP4位」という意味を考える

2023-10-24 19:33:26 | アラカルト

今朝、ネットニュースなのでも取り上げられていたのでは?と思うのだが、「日本のGDPが55年ぶりにドイツに抜かれ4位になった」、という報道があった。
私は、朝のFM番組を聞いている時にこの話題を知ったのだが、驚きというよりも厳しい現実を改めて知らされた気がした。
Bloomberg:GDP規模で日本は4位に転落、ドイツに抜かれる‐IMF23年予測 

今の日本の経済状態を考えれば、「GDP4位」というのも納得してしまう部分はある。
それほど長い期間「景気が良い」と、実感することもなく、逆に「景気低迷」という言葉ばかり、ここ30年近く聞いてきた気がするからだ。
もはや「景気低迷」という言葉は、日本経済を表す枕詞のようになってしまっているのかもしれない。
そんな感覚を持っている方も、少なくないのでは?
バブル経済が崩壊以降に生まれてきた人たちは、「生まれて一度も「好景気」という言葉を聞いたことが無い」ということになると思う。
それほど長い間、日本の経済状況は衰退の一途をたどっている、と言っても過言ではないかもしれない。
逆に、30年以上もGDP3位であったことの方が、奇跡かもしれない。

勿論GDPはドルベース換算なので、円安傾向にある今日本にとって不利な面もある。
ドルだけではなくユーロに対しても、円安傾向となっているのも、ドイツに抜かれた原因の一つと、考えても良いだろう。
問題は「円安だから」という理由ではない。
日本が、国際経済の潮流から遅れを取り始めている、という見方もある、ということだ。
例えば「グリーンエコノミー」と呼ばれる「循環型社会を支える産業への投資」の遅れ、「非課税世帯に象徴されるような、生活弱者の経済的自立を促す」ことが不十分等が、あるのでは?ということだ。
「生活弱者の経済的自立を促す」と言った時、日本では「給付金や税の軽減・免除」を選択しがちだが、これらの社会保障費の原資が「税金」である、ということを考えると、今の生活者の中には「不公平感」を持ちやすい、という状況なのでは?と考えられる。

一部統計によれば「非課税世帯」の多くは、65歳以上の「高齢者世帯」であるという指摘がある。
「定年退職後も働かせるのか!」とか「今まで一生懸命に働き、納税してきたのだから、これくらいの恩恵があっても良いだろう」という、気持ちは分かる。
分かるのだが、「高齢者にとって望む暮らし方」を改めて洗い出し、見直すことも必要なのではないだろうか?
場合によっては「福祉の充実」ということで、「非課税世帯」を減らすことも、視野に入れる必要があるかもしれない。

何よりIMFが示しているデータの中で注目すべき点は、「ドイツが前年比8.4%増」なのに対して、「日本は前年比0.2%減」ということだ。
金額ベースでみると、差額ばかりに目を奪われてしまうのだが、「増減」という視点で見ると、「日本とドイツの差は8.6%」あるということになる。
この差を上述したように、単純に「円安だから」という言葉でかたずけられるのか?という、ことなのだ。
ジワリジワリと、日本の生産力が落ちてきている、とも読み取れるし、日本の産業構造が今のような国際市場に合わなくなってきている、とも考えられる。
これから産業界が求められるのは、「生産する」ということだけではなく「時代にあった、何を国際市場の中で生き抜けるモノ・コトを創り出していくのか?」ということかもしれないし、政治はそれを後押しするような経済政策を行う必要があるのでは?
いつまでも「バラマキ型経済政策」では、行き詰ってしまうのは目に見えているように思う。



あるプロモーターの訃報 -日本に本場のロックを届けた人‐

2023-10-23 19:47:34 | 徒然

大手新聞社には、その訃報が掲載されていないようだが、音楽関係やスポーツ紙のネットニュースに、ある人物の訃報が伝えられている。
Oricon Music:「ウドー音楽事務所」創業者・有働誠二郎さん死去 クラプトンやエアロスミスなど海外アーティスト招聘 

1970年代からの洋楽ファンであれば、ウドー音楽事務所という名前は当然聞いたことがあるだろう。
リンク先の記事にあるように、洋楽の中でも「ロック」の分野で数多くの大物ミュージシャンを日本に招聘してきたプロモーターだからだ。
有働さんが最初にこの業界に入ったきっかけとなった「共同企画」とは、現在の「キョードー東京」を中心に、全国にある「キョードー」のことだ。

キョードーは、どちらかと言えばポピュラー音楽中心で、ロックといえばウドー音楽事務所が招聘する、という「すみ分け」のようなモノがあった。
そのような「すみ分け」がある中、ウドー音楽事務所は大物ロックミュージシャンに限らず、若手と呼ばれるミュージシャンも積極的に招聘をしてきた。
その一つが、Queenだった。
初来日をした頃、Queenの注目度は高いとは言えなかった。
当時のロック系音楽雑誌「ミュージックライフ」の掲載を切っ掛けに、10代の女性から人気が出て、それがロックファンにまで広がっていった。
そのような経緯があり、亡くなったフレディー・マキュリーをはじめ、Queenのメンバーは親日家になっていく。
チープトリックも「Live at 武道館」というライブアルバムのヒットによって、全米人気を獲得する。

音楽プロモーターとして、決して大物ミュージシャンだけではなく、音楽雑誌等と連動しながら若いロックミュージシャン(特に英国出身)を日本に招聘するコトで、彼らは世界的な人気を獲得する切っ掛けをつくっていった、というのもウドー音楽事務所の特徴でもあったのだ。
だからこそ、大物となった彼らからの信頼度はとても高く、「ウドーが招聘するなら」と、来日公演をしたロックミュージシャンも少なくない。

その中でも、エリック・クラプトンは海外のミュージシャンとしては初めて、武道館公演を100回行っている。
クラプトンの辛い時期もプロモーターとして、寄り添い続け信頼を得ていたからこそ、クラプトン自身が武道館という「日本におけるロックミュージシャンの憧れの場」に100回立つことができたのだと思う。

勿論、それなりの苦労はあったと思う。
今でも伝説的に言われている某英国バンドは、来日記念で贈られて模造の日本刀で宿泊ホテルの部屋で暴れまわり、相当額の損害賠償をウドー音楽事務所が支払った、という話もあるほどだ。
破天荒な行動をすることも多かった1970年代のロックバンドのメンバーたちにとっても、ウドー音楽事務所からの招聘は親日家になる切っ掛けづくりとなっているのだ。

海外からミュージシャンを招聘する企業は、注目を浴びる存在ではない。
ただ、その招聘元によって海外のミュージシャンの多くが、親日家となり日本という国と日本の音楽ファンに好意を持つようになってくれた存在でもある、ということを知って欲しいと思っている。


「所得税」よりも「消費税」減税の方が、効果的な気がする

2023-10-20 22:22:35 | アラカルト

今日、岸田首相が臨時国会の中で「景気対策」の一つとして、「所得税減税」を指示した、というニュースがあった。
Bloomberg:岸田首相、所得税減税検討を与党に指示-経済対策で税収増を還元 

今回の岸田首相の「所得税減税検討」というのは、おそらく今週初めの「非課税世帯に対する給付金」に対する、疑問が多かったからだろう。
「非課税世帯に対する給付金」よりも「所得税減税の方が、効果があるのでは?」ということは、拙ブログでも書いてきた。
まさか「非課税世帯に対する給付金」を観測気球のようにあげ、世間の考えを拾ったという訳ではないと思うのだが、どうも岸田首相の発言は、フラフラしている感がある。

無理を通すよりも、多様な意見を聞きその都度方針を微調整していく、ということは企業でも良く行われることだが、そのような印象もあまりない。
勿論、新聞各社の「内閣支持率」が軒並み「危険水域」と呼ばれる30%を切っている、という状況では、打開策としての「所得税減税」ということも十分に考えられる。
日刊ゲンダイDIGITAL:岸田内閣「若者の支持率」ついに10%!安倍、菅内閣と真逆・・・大醜聞ないのにダダ下がりのナゼ 

ただこの「所得税減税」も1年という期限付きなので、どこまで景気回復の起爆剤となるのか、疑問な点が多い。
むしろ、「消費税」の減税を打ち出した方が、遥かに効果的なのでは?という気がするのだ。
というのも、今日の日経新聞に「世帯に対するエンゲル係数」という記事が掲載されていたからだ。
日経新聞:食費が圧迫、細る家計 エンゲル係数40年ぶりに26%超 

エンゲル係数については、ご存じの方も多いと思う、
収入に対して、食費が占める割合を指す係数のことだ。
収入に対して、食費が占める割合が高い=教育費、趣味や旅行、衣料品に使えるお金が少ない、ということになる。
「食べていくだけで、精一杯。余分なことに使うお金はない」という、生活実感を持って生活をしている生活者が多い、ということでもある。
景気対策というのであれば、食費以外の消費を上げるようにしていかないと、生活者は「景気が上向いている」という実感を持つことは難しい。
何故なら、上述した通り「食べていくだけで、精一杯」という生活者心理であれば、様々な消費活動を制限するようになる。
子どもに対しての教育費であったり、病気になったからと言って病院で診察してもらうことを躊躇するような人達もいるかもしれない。
それらは、最終的に「将来の社会保障費の増大につながる」可能性を含んでいる、ということでもある。
とすれば、現在の消費税の内、食品に関しての軽減措置をするようなコトをしない限り、生活者の「景気実感」は起きないのではないだろうか?

政府にとって、「消費税」は「広く浅く誰からも無条件に得られる税収」だが、様々な商品の物価高騰により、生活者の買い控えが起き始めているというのが、現在であるという認識をしなくては「本気の景気対策」にはならないように思うのだ。


ジェンダーギャップが改善しない理由が分かった気がした‐自民党における杉田水脈氏の起用‐

2023-10-19 17:21:47 | アラカルト

以前から不思議に思っていた、自民党人事があった。
それは、杉田水脈氏に関する起用のされ方だ。
ご存じの方も多いと思うのだが、杉田水脈氏は以前から過激な発言が多く、一部では「炎上商法」のような言われ方をされてきた人物である。
「炎上覚悟」の世論を作り出すような発言ではない。
特定の人達に対して「ウケを狙う」ような発言で、その多くが「社会的責任を持たなくてはならない、政治家の発言とは思えない」という内容のモノだった。
日刊ゲンダイDIGITAL:自民・杉田水脈氏「人権侵害犯」認定ふたたび・・・小沢一郎氏「自民党=利権=差別の党」と痛烈批判 

見出しにあるように、杉田議員が「人権侵害をしている」と認定されたのは、今回が初めてではない。
彼女は、以前「LGBTQは生産性が無い」と発言をし、世間のひんしゅくを買っている。
社会的批判が強かったことから、発言そのものを撤回してはいるのだが、彼女の発言の多くが、その時々に話題となっているテーマに対して、社会からひんしゅくを買うような発言やSNS投稿等をしていることを考えると、あながち「炎上商法」で自分に注目を集めたい、という思考の持ち主なのか?と、感じてしまうのだ。

そして不思議なことに、これほどの失言を繰り返しているのに、なぜか議員辞職をしたりするわけでもなく、逆に自民党内での役職に就いている。
この時点で、「自民党」という政党のおかしさを感じないわけではないのだが、今回の件で何となく彼女を起用し続ける理由が分かったような気がしたのだ。

それは「オジサン(政治家)の本音の代弁者」ということだ。
男性の政治家が、杉田水脈氏のような発言を繰り返せば、当然政治家としての資質を疑われるはずだ。
しかし、女性の場合「女子供の失言位許してやろうよ」的な、社会的雰囲気は作りやすい(と、自民党は思っているように感じる)。
言い換えれば、「社会経験が無い女の戯言」程度にしか、受け止められないだろう、と高をくくっているいうことなのだ。
杉田水脈氏自身がそのことを十二分に理解しているから、このような失言を繰り返しても、何も感じないし、もしかしたら「私はオジサンの本音を代弁しているのだから、党内ではそれなりのポジションを約束されて当然」と、考えているのでは?という、気がするのだ。

それは自民党内でそれなりのポジションを女性が獲ろうとするなら、そのような「役回り」ができなくては、無理なのでは?ということなのだ。
現在の彼女の自民党内でのポジションは、その見返りなのでは?と考えると、納得できるのだ。
と同時に、そのような政治思考を持っているのが与党であれば、いつまでたっても「ジェンダーギャップ指数」が低いこともうなずける。
根本となる「多様性の中から、活発な議論を生み、より平等な社会の形成」などという、発想そのものが無いのだ。

女性大臣が増えても、その女性大臣が「オジサン(政治家)の本音の代弁者」であれば、若く政治に関心のある女性が、政治家を目指すはずがない。
逆に、そのような女性は「オジサン政治家」からすれば、「(自分のいうことを聞かない)扱いにくい」ということになるのだろう。
それは、日本は対外的政治交渉のテーブルについたとしても、相手にされなくなってしまうという危機もはらんでいるのではないだろうか?




知らないところに、大きな市場が隠れている

2023-10-18 22:31:44 | マーケティング

Yahoo!のトピックスのチェックは、1日に数回するのが当たり前となっているのだが、今日、「知らないところに、大きな市場が隠れていたのだな~」と、実感する記事があった。
記事の元となっているのは、私の実家がある山陰のテレビ局のニュース記事。
山陰放送:アイドルの「チェキ会」ピンチ フィルム品薄・品切れ相次ぐ・・・「チェキ不足」深刻 

ご存じの方も多いと思うのだが「チェキ」という商品は、富士フイルムが製造販売している「インスタントカメラ」だ。
富士フイルム:INSTAX”チェキ”カメラ

撮影をしたその場で、写真が出来上がり、余白にメッセージ等を書き込めるようになっている。
私のような昭和世代であれば「ポラロイド」と言った方が、わかりやすいかもしれない。
その「ポラロイド(カメラ)」は、2008年に一度完全撤退をしている。
その後「トイカメラ」のような位置づけで、米国の大型おもちゃチェーン「トイザらス」等で再販売されるようになっている。

実は「チェキ」そのものも、一時期製造・販売が危ぶまれた時があった。
その時救世主(?)となったのが、結婚披露宴や披露宴の二次会だった。
「チェキ」の魅力は、その場で撮影・現像・写真として見られるだけではなく、メッセージ等が書き込めるという点だった。
披露宴等で新郎・新婦と参列者が一緒に撮影をし、その場でメッセージを書き込み、披露宴や二次会終了と同時に、新郎・新婦に手渡すことができる、ということで再び脚光を浴び、注目されるようになったのだ。
同様の場面として「送別会」でも、「撮影したその場でプリント、メッセージが書き込める」として、今でも人気となっている。
というのが、私の知っている範囲の「チェキの市場」だった。

そこに「アイドルの『チェキ会』」なるモノがあるとは、まったく知らなかったのだ。
しかも「チェキ会」の発祥は、ビジュアル系バンドにあるという。
BASEMENT TIME:ヴィジュアル系にあって地下アイドルにあって歌い手にあって声優俳優にあって、ロックバンドにないものってなーんだ? 

タイトルが長いのでわかりにくいと思うのだが、世間の認知度としてはあまり高くないかもしれないが、コアなファンを獲得しているエンタメ業界の方々と考えるとわかりやすいかもしれない。
その人達が、宣伝の一つの方法としてライブ後に「チェキ会」を開き、ファンと一緒に写真を撮ったり、事前にチェキで撮った自分の写真にサインを入れて、手渡しをしたりしている、ということのようなのだ。

「地下アイドル」というと、一時期労働契約等で問題があったりしたが、山陰放送の記事中書かれている、いわゆる「地元アイドル」に関しては、そのような法外な契約で活動をしていない。
これは私自身、「がん検診の啓発イベント」で名古屋の地元アイドル達と数年ご一緒したことがあるのだが、学業優先でアイドル活動そのものは土・日と夏休みや春休みのような長期の休みに限られ、進学等については本人の意思に任せているようだった。
今問題となっているような「ジャニーズ的要素」は、まったくなかったという印象を持っている。
そして彼女たちを支えるファンの多くは、とてもまじめな人達が多く、主催者側の指示を守っていた。

話が逸れてしまったが、ヴィジュアル系バンドや地元アイドル達の活躍の中心は、いわゆる「ライブハウス」なのでライブハウス管理者側の裁量で様々な「ファンイベント」が開催するコトができる。
その一つが「チェキ会」と呼ばれるモノなのだ。
大きな予算を必要とせず(=大手広告代理店等を必要とせず)、ファンにとってはチェキ1枚、1枚が特別なショットである「特別感」を持った特典であり、販促物となっているのが「チェキ会」ということになる。

この「チェキ会」等は、大手メディアが注目し・報道するような類のものではない為、注目されにくい「大きな市場」なのでは?と、考えるのだ。


自民党の経済活性化策

2023-10-17 21:20:32 | アラカルト

自民党の「経済対策案」が、発表された。
Reuters:経済対策の提言、所得税減税は現段階では申し入れをせず=自民党政調会長 

あくまでも「自民党の経済政策提言」ということなのだが、おそらくこの「自民党の経済対策案」が、基本となって「経済対策」として政府から発表されるだろう。
この中で「税収増分を国民に適切に還元すべく実施したい」と岸田さんは、話しているようだ。
その「税収増の国民への還元」は、等しく還元されるわけではないらしい。

Reutersの記事にはなかったが、岸田政権が考えている「適切に還元する」方法は、「低所得者支援」に対する補助金ということらしい。
NHK NEWS WEB:自民 経済対策 低所得世帯支援など提言 所得税減税盛り込まず 

「低所得世帯」と言って、どのような世帯を思い浮かべるだろうか?
シングルマザーのような一人親世帯を思い浮かべる方も、少なくないと思う。
一般的には「非課税世帯」と呼ばれる、住民税等を支払う必要が無い世帯を指している。
住民税を払う必要が無い世帯は、国民健康保険や年金等の減免対象となっている。
すなわち「シングルマザーのような一人親世帯=非課税世帯」という訳ではない、ということになる。

ただ考えなくてはいけないのは、自民党案のように特定の低所得世帯に対する、給付措置の「公平性」という点だ。
確かに「非課税世帯」の生活は厳しいモノがある。
そのことは重々承知しているが、非課税世帯と課税世帯のボーダーラインのような世帯収入で生活している人たちも、少なからずいる、という現実だ。
その人達に対して、手厚い支援がされるのか?と言えば決してそうではない。
住民税や健康保険、年金等の支払金額を決める際、どうしても収入の金額幅があるのは仕方ない。
ただ、経済対策として「広く多くの国民に対して、効果が感じられる政策」というと、特定の「低所得世帯」だけを対象として良いのか?という、議論がされる必要があるのでは?ということなのだ。

「増収分を還元する」というのであれば、「公平に還元する」ということが本来あるべき方法だと思う。
「公平に還元する」為に一番わかりやすい方法が「所得税の減税」だと思うし、生活実感をある程度感じられる方法だと思う。
一番実感できるのは、おそらく「消費税」ではないか?と考えられるのだが、「広く公平に税を払う」という考えを揺るがせない政府としては、「消費税の減税」は、考えたくないコトだろう。

結果として、「低所得世帯=非課税世帯」に対する給付措置という案に落ち着いたのだと思うのだが、この「給付金」そのものの在り方にも疑問を感じている。
というのも「給付金」となれば、当然申請書類が必要になり、申請書類の受付・チェック・振込という手順が必要となるからだ。
当然これらの仕事が発生すれば、その関連企業に余分なお金が落ちる、ということになる。
「仕事をつくる」という意味では、経済効果があるのかもしれないのだが、これまでの政府のやり方を見ると、特定の企業にお金が落ちるだけなのでは?という、気がしてくるのだ。

そのような印象を受ける「経済対策」は、本当に効果があるのだろうか?