日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

日本企業は、どうなのかな?企業が支援する農業

2010-01-30 19:49:58 | ビジネス
日経新聞のWEBサイトをチェックしていたら、企画コラム「日経biz+」にNY発:キャンベルの農業支援、Help Grow Your Soup(TM)(2010/01/29)という記事が掲載されていた。
「キャンベル」というのは、赤いパッケージのスープ缶詰でお馴染みの「キャンベルスープ」のコトだ。

この記事を読んで少し驚いたコトは、農業大国でもある米国でも農家が減ってきているという事実だ。
それも「専業農家」が大きく減ってきている。
そのことを危惧した「キャンベル」が、米国の農家をサポートするための支援をし始めている・・・というのが、この記事の趣旨だ。

このコラムを読んで気になったことがある。
それは、日本の食品メーカーはどうなのか?という点だ。
一昨年の今頃、世間を震撼させる事件があった。
「毒入り中国製餃子事件」だ。
その後現在にいたるまで、その事実関係や当事者など分らないまま、2年近くたってしまった。
すっかり忘れてしまった感があるのだが、餃子を製造・販売していたJTフーズは実質的な事業撤退を余儀なくされた。
そして、この事件でスーパーの冷凍食品売り場では「製造地」を表示するようになった。
だが、「国内産中心」にシフトするために、食品メーカーが国内の農業支援をし始めた、というニュースを聞いた記憶はない。

もう一つは、「カロリーベースで自給率が40%程度」と言われ、一生懸命「FOOD ACTION NIPPON」を展開してもイマイチ盛り上がらず、現実としては、一部の農業団体が「農業=第7次産業」という位置付けで、新しいマーケットを創り始めようとしているのが現状なのではないだろうか?
現在の農業には、「農作物加工」としての企業参加が無いように思えるのだ。

それに対して、このコラムにあるキャンベルの取り組みはイロイロな意味で、興味深い。
一つは、自国の農業を守るということ。
もう一つは、大手メーカーが「顔が見える国産食品を作る」という点だ。
日本の農作物市場で「生産者の顔が見える」というコトバが言われて久しい。
ただ、殆どの場合生鮮野菜に限られていた。
加工食品となると、パッケージの裏を見る限り国内産のものよりも、外国産のものが殆どだ。

もし、「国内産にこだわって作った加工食品」という「訳あって高い食品」を大手メーカーが作り始めたら、デフレ市場とは違う市場が登場する可能性もある。
そんな視点で、農業を見る企業はないモノだろうか?


iPadに立ちはだかった、商標という壁

2010-01-29 17:09:00 | ビジネス
先日、発表されたアップルの「iPad」。
「電子書籍」の普及を狙っての商品というコトだが、まだまだ日本では難しい問題があるのでは?という気がしている。
一つは「著作権」という問題。
これは、「グーグルの電子書籍化による著作権問題」で、クローズアップされた問題だった(紹介記事は産経新聞「IZA」)。
その後、アマゾンの「キンドル」で、「本の電子書籍化」がより現実的なコトとなり、日本国内の各出版会社が電子書籍の著作管理などの団体を立ち上げる予定となっている(紹介記事は朝日新聞)。
この団体設立の背景には、アマゾンが直接作者に著作権料を支払うようになると、出版社としてはその存在そのもの意義が危うくなってしまう可能性すらあるからだ。

そんなコトよりも、アップル社としては頭を抱える問題が出てきてしまった。
それが、Yahooのトピックス他新聞各紙のWEBサイトに掲載されていた「iPad、富士通が商標登録済み」という内容の記事だ(紹介記事は日経新聞)。

夕方のニュースでは、富士通側が「お金をもらうとか・・・」というお話もされていたが、それにしても、アップル社らしくないというか、事前に調べなかったのか?という疑問がわいてくる。
というのも、普通新商品のネーミングをある程度絞った時点で、「同一名及び類似名の商標登録確認」をするのが当たり前だからだ。
今回の富士通は、訴訟を起こしてお金を儲けるという類の企業ではないが、世間にはこのような方法でお金を儲けている企業が少なからずある。
そのようなコトが無いように、事前に確認するコトは当たり前だと思っていたのだが・・・アップル社には、そのような発想が無かったのだろうか?

携帯電話ですら、使いこなせていない私が「ipad」を購入するかどうかは分らないが、興味だけは持った。
何故なら、最近老眼が進み(?)携帯電話のメールが読みにくくなってきたからだ。
本にしても、やや活字が大きい状態で気軽に読めるのであれば・・・何冊も持ち歩く必要が無い分、良いかも?という、気がしないわけではない。

ほっこり和風、それとも戦国武将、意外な組み合わせ?-今年のヴァレンタイン商戦-

2010-01-28 11:11:29 | トレンド
今週あたりから、百貨店では「ヴァレンタイン商品」が置かれるようになった。
もちろんメインは、チョコレートというコトになる。
毎年「手を変え品を変え」で、新作チョコレートを売り出しているのだが、そろそろ限界?なのか、それとも「ベーシックが一番」というコトなのだろうか?余り奇を衒った商品は見かけないようだ。
もちろん、有名ショコラティエ(チョコレート専門の製菓調理師)やパテェシエ(洋菓子専門の製菓調理師)のモノ、海外の有名洋菓子店の「新作」は、目白押しという感じではある。

そんな中、チョッと気になったモノが幾つかある。
サントリーがこのヴァレンタイン商戦向けに発売したのが、チョコレートスパークリングだ。
チョコレートというよりも、「チョコレートフレーバーのサイダー」だ。
色が無色なので、かつて大ヒットしたJTの「桃の天然水」のような、「飲むとチョコレートの味がする」という商品だ。
今年のヴァレンタイン商戦の中では、チョッと異色というか相当奇を衒った感がある。

それ以外に注目したいのは、「和風」とか「歴史モノ」をテーマにした商品が登場したことだ。
それも、チョコレートや洋菓子の老舗メーカーが出している。
「和風」を打ち出しているのは、「モロゾフ」だ。
「はるうた」「花の刻(はなのとき)」のシリーズは、和風味ではなく、「日本の春の花々」をイメージした作りのチョコレートとなっている。
パッケージを開けた時「ほっこり和む」感を狙った商品だ。
「サクラ咲いた」お祝いにも使えるかも知れない。

もう一つは、メリーチョコレートの「TUWOMONO」だ(デジタルカタログページが開きます)。
昨年、チョッと話題になった「歴女(歴史好きな女性)が贈る、ヴァレンタインギフト」というのがテーマのようだ。
個人的には「歴女が贈る」のではなく、「歴史好きな男性に贈る」というイメージなのだが・・・。
と言っても、あくまでも戦国武将たちが中心。
今年は「竜馬」と思っても、坂本竜馬も勝海舟や西郷隆盛、岩倉具視をイメージしたチョコではないのがポイントだろうか?

さてさて、約3週間後男性諸氏の多くはどんなチョコをもらうのだろうか?
最近の傾向は、「友チョコ(女友達同士で交換)」が主流だそうだ。

お手軽朝食はいかが?

2010-01-27 21:18:57 | ライフスタイル
毎日新聞のWEBサイトに、たい焼き:朝食限定 ホワイトソースやトマトソース味で登場へという記事が掲載されていた。

ここ2、3年「鯛焼き」には、新しい流れが出てきている。
以前からある、カスタードクリームやチョコ味という様々な「あん」というのではなく、最近人気になっているのが「白い鯛焼き」だ。
「白い鯛焼き」だけではなく、ピンク色やクリーム色など「カラフルな鯛焼き」が人気になっている。
他にも「プチ鯛焼き」と呼ばれる、一口サイズの鯛焼きも人気があるようだ。
「不況になると、鯛焼きが売れる」らしいのだが、最近の人気は「お手軽和洋菓子」という気がする。

そんな「鯛焼き人気」に目をつけたのだろうか?毎日新聞の記事は「お手軽朝食」という新しいアプローチだ。
確かに、「朝ご飯を食べよう」というキャンペーンが盛んに行われている。
と言ってもこのキャンペーンは「朝食を食べよう」ではなく、「朝ご飯を食べよう」というのがポイントだ。
確かに、朝食を摂取すると、体だけではなく頭の働きもよくなるという調査が出ている。
だからこそ、このような商品が生まれるのだろう。
何より、「朝ご飯」が食べられなくても、駅近くで手軽に買え、食べられるモノであれば、ある程度同じ効果は期待できる。
そんなトコロに目をつけたモノだとも言える。

この記事を読んだとき、思い出したお店がある。
それは名古屋にある和菓子屋・菓宗庵が「朝飯餅」という、朝食向けの餡餅を販売している(紹介サイトは通販サイト)。
確かに、お餅はご飯に比べ消化がよい。
そして、餡=糖類は脳の栄養素とも言われている。
「消化が良く、脳の栄養になる」となれば、朝ご飯向きのお菓子だといえそうだ。

一昨年話題になった「朝バナナダイエット」のダイエット効果はともかく、朝ご飯代わりにバナナを食べるだけでも良いと、言われできれば「バナナ+牛乳もしくはヨーグルト」となれば、十分朝食代わりになるとも言う。

これから受験シーズン~新社会人と、なかなか朝食が食べられない環境になる人たちがいる。
そんな人たちにとって「朝飯鯛焼き」や「朝飯餅」という、「お手軽朝食」の選択もあるのかも知れない。

冬だから「白」?-「がんばれニッポン」キャンペーン商品-

2010-01-25 12:57:15 | スポーツ
バンクーバーオリンピック開幕まで、あと18日。
世間的には、小沢さんの献金問題だとか、ハイチの大地震などのニュースばかりに目が奪われているように感じるのだが、あと2週間余りで冬季オリンピックが始まる。

オリンピックだけではないのだが、世界規模のスポーツイベントには様々なビジネスが関わっている。
選手が着用するウェアやシューズといった、競技に直接関係するものだけではなく、フィギュアスケートなどで使用される楽曲なども、成績次第では意外なヒットとなる場合も少なくない。
これらのビジネスは、オリンピック競技に関わるモノだが、それとは別のビジネスがある。
それが「がんばれニッポン」キャンペーン協賛企業による、オリンピック関連商品だ。
もちろん、今年南アフリカで開催されるW杯でも、同じ様に協賛企業があり、W杯協賛企業とオリンピックの「がんばれニッポン」キャンペーンが、重複するコトはまず無い。

そして今日、ドラッグストアーに行ったら日清食品の新しい商品が並んでいた。
それがバンクーバーオリンピックキャンペーン3商品だ。
この3商品の共通キーワードが「白」。
クリームシチュー風味のヌードル、白濁したちゃんぽんスープ風味にうどん、ホワイトカレー焼きそばというラインナップ。
どれも「冬季オリンピック=雪=白」という発想というか、イメージなのだろう。

このようなスポーツイベントをキッカケに、売上Upを目指すというのは、不況下ではある程度効果があると思う。
何故なら、今の不況の理由の一つには「心理不況」があるように思えるからだ。
スポーツのように明るい話題が、ある程度消費を牽引する可能性がある様に思っている。


JAL再建の一歩となるか?「JALパック」復活

2010-01-24 22:38:28 | ビジネス
朝日新聞のWEBサイトに「JALパック」復活という内容の記事が掲載されていた。
ご存知の通り、JALが事実上の破綻をし、直後には大幅なリストラ策が発表された。
その一方で、Jリーグチーム清水エスパルスが、無償でJALのロゴをユニフォームの左肩に使うと発表している(紹介記事は静岡新聞)。
旅行代理店の最大手であるJTBも、JALの支援を表明している。
旅行業界だけではなく、様々なJAL支援策が発表されている中での「JALパック復活」というニュースだった。

ただこの記事を読んだ時、不安に思ったことがある。
それはJALがどれだけ、今の生活者の旅行スタイルを理解しているのか?というコトだった。
「JALパック」というパック旅行が、海外旅行の代名詞のように言われていた頃は、「一生に1回は海外旅行がしたいな~」という感じだったのではないだろうか?
今から、30年くらい前の日本人の海外旅行の感覚というのは、そんな感じだったと思う。
それから、海外旅行そのものが身近なモノとなり、今では「年に1回海外旅行」という人も少なくない。
それほど、海外旅行が特別なモノではなくなってきたのだ。
「JALパック」が無くなった理由も、そこにあったのではないだろうか?

海外旅行のスタイルは、人様々でそれぞれの希望に合わせようとすると、それまでの「パッケージツアー」では対応できない。
だから、ある程度のグレードが保たれたホテル、添乗員の同行・・・至れり尽せりのツアーと、現地で自分スタイルの旅行を格安で楽しめるツアーという棲み分けのために、名前を変えたのでは無かったのではないだろうか?
それを統合するというのは、果たして・・・???というコトなのだ。

今の生活者は、「JALパック」が無くなった頃よりも、もっと多様化している。
それに応えられなければ、意味がなくなる。
何よりも「JALパック」という商品は、JALそのものを象徴するような商品なのだ。
これまでの「ナショナル・フラッグ・キャリアーが作る旅行」という視点から、どれだけ脱却できるのか?その視点があるのだろうか?
そんな不安を持ってしまった、記事だった。


何処で歯車が狂ったのか?

2010-01-23 20:48:02 | ビジネス
トヨタが再び大規模なリコールをするコトになった。
今日の中日新聞に掲載されている、社説でもこのコトを取り上げている。
トヨタお膝元の新聞なので、当然といえば当然なのだが・・・。
その中で指摘されている「トヨタのモノづくり神話の崩壊」という点が、とても気になったのだ。

トヨタといえば、製造業の超優等生だったはずだ。
今回のリコールが米国におけるものだとしても、現地法人工場でも「トヨタ方式」で厳しく管理されていたと思う。
昨年発生した、ブレーキ事故の時、最初はマットの問題だとしていたが、その後リコールを実施している。
この時に感じたことは「トヨタは、モノづくりに対して確固たる自信があるんだな~。そのプライドが後手後手にまわったのでは?」というコトだった。
もちろん、この事件で受けたはずのダメージは大きかったと思う。
と言っても、「対応策の失敗」という点のほうだろう。

それが今回は、設計そのものの問題のようだ。
言い換えれば、「トヨタのモノづくり」そのものの問題といえそうなコトなのだ。
設計者がデザイン重視の設計をしたとしても、試作などをしていく過程で問題が発見されるだろうし、何よりも一つの車種ではないというコトが、この問題の重大さを示している。

もう一つは、トヨタが「モノづくりの基本を、忘れてしまっていたのではないか?」という点だ。
素人目から見ても、クルマの基本は「安全に運転できる車」だと思う。
それに「燃費」や「居住性」、「操作性」が加わってくるのでは?と、考えるのだ。
いくらトヨタがエコカーを開発し、市場をリードしようとしても、それは「トヨタが安全に安心して運転できるクルマを作っている」というコトが大前提にあるはずだ。
その大前提となる「安全に安心して運転できる」が崩れてしまえば、イメージダウンだけの問題ではなく、トヨタという企業の「クルマに対するモノづくり思想」という企業の根幹に関わる問題だと思うのだ。

企業が大きくなり、求められるコト・モノが多くなるにつれ、「モノづくり思想」がおざなりになった結果だとすれば・・・一体何処で歯車が狂ってしまったのだろうか?

新しいビジネス?からだサイクル

2010-01-21 19:29:12 | ビジネス
昨年あたりから、時々てれびCMで見かける女性向サイトがある。
それが「ルナルナ 女性の医学」という、サイトだ。

拙ブログに来てくださる方の多くが男性だと思われるので、「関係ない」と思われるかも知れない。
だが、この「ルナルナ」のような「体サイクル」をテーマにしたビジネスが、最近目立つよう担ってきているのをご存知だろうか?
通販会社大手の「千趣会」では「プルモア」という会員用の占いサイトを展開しているのだが、その中にある「月と月星座」は、月の満ち欠けと女性の体との関係に注目し、体調管理などと占いを組み合わせた内容になっている。

そして、今日近所のドラッグストアでエースコックの「からだ食堂」という商品を見かけた。
この商品のテーマは「周期で変わる女性のからだとココロのバランスを考えたスープ」だ。
すなわち「体のサイクル」をテーマにしているのだ。

女性の場合、閉経するまではほぼ毎月月経がある(「ほぼ」と書いたのは、体調だけではなくストレスなどで生理不順になることがあるからだ)。
現実には取得している女性がいないと思われる「生理休暇」などがあるのも、女性にとって「生理」というのは、とても重要なコトだからだ。
最近では「PMS(月経前症候群)」と呼ばれる、生理前のイライラ・不眠・乳房の痛みなども女性の間では、意識が高まっている(男性諸氏にとっては、聞きなれない言葉かも知れないが、知っておくと職場などでのコミュニケーションに役立つはずだ)。
このような女性特有の「からだサイクル」に合わせて、ダイエットプログラムを組んだり、携帯電話メールで知らせたり、食べるものの提案をしたりするサービスや商品が、少しづつ登場し始めているのだ。

現在は、「女性向け」という限定市場になっているのだが、これからの医学の進歩のいかんでは男性向けの「体周期ビジネス」も登場するかも知れない・・・と、考えるのだ。
というのも、男性とは無縁と考えられていた「更年期障害」などは、男性でもあるといわれるようになってきた。
それだけではなく、「男性の乳がん」の発症も最近では確認されている。
もちろん、「男性の乳がん」は女性の比ではないのだが、もしかしたら「男性体周期」という研究がされれば、男性版「PMS」のようなモノも見つかるかも知れない。
コレまで「気分屋だから・・・」と言われていたことが、「体周期」によるモノであれば、また違った対処法もできるようになる。

10年先には、「からだサイクル」ビジネスという市場ができているかも・・・???と、思わず考えてしまったのだ。

マネージメントとは

2010-01-19 21:19:37 | 仕事のコツ
先日、FMを聞いていたらオーボエ奏者の宮本文昭がゲストとして登場していた。
クラシック音楽とはチョッと・・・という方でも、一度くらいは宮本さんの演奏を聞かれたことがあると思う。
というのは、今から20年以上前、現在のJTのテレビCMに登場され、オーボエを演奏しておられたからだ。
まぁ、オーボエ奏者とタバコという組み合わせは「・・・???」という気がしたのだが、それでも、印象深く残っているのは演奏が素晴らしかったコトとCMの雰囲気がとても合っていたからだろう。

その宮本さんが、番組でお話されていてとても印象深かったことがある。
それは、オーケストラの第一オーボエ奏者として、小澤征爾さんと一緒に演奏された時の話だった。
演奏された楽曲は聞き逃してしまったのだが、一番盛り上がる場面で小澤さんの指揮がフッと止まったというのだ。
グッと拳を握り締め、その拳をあげたまましばらくそのままの状態でオーケストラはそのまま演奏を続けていた・・・という。
譜面通りなら、ダイナミックで細かなリズムが刻まれるという場面なのに、小澤さんは暫し拳を握り締めたまま、オーケストラのメンバー一人ひとりの演奏に耳を傾け、「自分たちの考え・イメージできる音を十分出し切りなさい」というような、指揮をされたという。

宮本さん曰く、「上手な指揮者は、体を大きく使わない」そうだ。
「大きく体を使わない=派手なアクションの指揮をしない」というコトのようなのだが、それはオーケストラの中で指揮者が目立つコトが、良い演奏に繋がらないというコトが間々としてあるからだという。
オーケストラのメンバー一人ひとりは、もちろんプロであり、演奏会のために入念な準備と練習を重ねてきている。
それは指揮者といえども同じ。
ただ、現実として指揮者のいないオーケストラは存在するし、四重奏団などでは指揮者はいない。
では何故、指揮者が必要なのか?といえば、オーケストラの団員一人ひとりの持っている力を引き出し、まとめるために必要なのだという。

このお話を聞きながら、オーケストラの演奏というのは、演奏者一人ひとりが「丁々発止」の演奏をし、それを引き出すために指揮者がいるのかも知れない・・・と、思ったのだ。
そして、それは企業などの組織における「マネージメント」も同じなのでは?と。
マネージメントをする側は、スタッフ一人ひとりが十分力が発揮できるような雰囲気作りをし、チームとしてリードをし、まとめるというコトが重要で、何も「チームの成果=自分の成果」ではないはずだ。
と同時に、どのような立場であっても「プロ」として、十分な準備(=勉強や情報収集、コミュニケーション)を怠らないというコトが、スタッフとして、チームのメンバーとして必要なコトなのでは?とも思ったのだ。

仕事というのは、「プロ」が「丁々発止」で行うコトなのでは、ないだろうか?
「丁々発止」と言っても、喧嘩をするというコトではない。
「自分の持っている力を出し、チームのみんなの力を引き出す」というコトだ。
そんなコトを考えてしまった、オーケストラの話だった。

「仕掛け作り」が必要か・・・

2010-01-18 13:04:56 | ビジネス
日経新聞のWEBサイトに掲載されている企画記事「IT+」に「ものづくり」から「しかけづくり」へ 日本製造業が歩むべき道という記事が掲載されていた。

この記事を読んだ時「何も、製造業だけの問題ではない」と、感じたのだった。
ここしばらく、拙ブログでも「低価格競争」ばかりの市場になりつつあることへの危機感を、エントリしてきた(つもりだ)。
生活者自身も「審美眼」を磨くこと必要性がある、とも書いてきた。
何故なら、何となくだがこの「デフレスパイラル」の中で、「安物買いの銭失い」という感じの消費スタイルが定着し始めているように感じているからだ。
「モノが売れない」というより、「安ければ良い」というコトばかりがクローズアップされ、「本当に必要なモノ」という視点が、薄らいできているのでは?という、危機感のようなモノを感じているのだ。
もちろん、それなりの「品質」も求められてはいるのだが、優先順位としては「価格=低価格」が「質」よりも先のあるのが現状だろう。

そして「質」と言った場合、どうしても「製品・商品」に対して求められているように思ってしまうのだが、本当は「モノを売る現場の質」も同時に求められているはずなのだ。
それが「デフレスパイラル」という言葉で、すっかり「モノの価格」だけが取り上げられ、「売りの現場の質」について、問われることが少ないような気がする。

確かに、「売りの現場の質を上げる」為には、それなりの人材教育が必要となる。
それだけではなく、人材の育成には時間がかかる。
何よりも、今売りの現場で(お客様と)コミュニケーションの取れるスタッフのいる所が、どれだけあるのだろう?と、思ってしまう売り場が数多くある。
「不況だから」という理由で、ビジネスの基本となる人材育成もおざなりになっている様に思うのだ。

だから今必要なことは、「知恵を出す」というコトなのではないだろうか?
「価格」ではなく、お客様とのコミュニケーション力や問題解決力といった、コレまで当たり前のように言われてきた「売りの現場の基本」に立ち返った上で、「ワクワクした仕掛け作り」や「価格競争に巻き込まれないモノ・サービス」と言った「知恵」を出す時なのではないだろうか?