日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ブランド価値を考えるーTwitterの「青い鳥」から「X」ー

2023-07-30 20:19:47 | ビジネス

イーロン・マスク氏が「Twitterの青い鳥を削除し、Xへ変更する」と発表してから、約1週間が経過した。
PCなどでは、この発表のあった日のうちに、「青い鳥」から「X」へと表示が変わってしまった。
スマートフォンなども、データ更新などがされると「青い鳥」から「X」へと、順次変わっていっているようだ(Twitter友達からの報告)。
Twitter社を買収した、イーロン・マスク氏が決めたことなので、ユーザーが抵抗することはできず、私の周囲のTwitterユーザーは「Xマークにまだ慣れない」というtweetの他、「やっぱり『青い鳥』の方が良かった」というtweetもある。
どちらかというと「青い鳥の方が良かった」という感想の方が多いような、印象を持っている。

理由を考えると、一つは「Twitter=青い鳥」というアイコンが既に定着しており、新規ユーザーであっても「青い鳥」のマークを見ると「あ~~、Twitterだ」と、認識をしているからだろう。
もう一つは、イーロン・マスク氏が「X」に込めた意味が、十分に理解されておらず、多くのTwitterユーザーにとっては、「アルファベットのX」という認識でしかない、という点だろう。
それが「Xマークを見ると、味気ない」という、感想tweetからもうかがえる。
PCやスマホなどに表示される「アイコン」として、「X」という表記は余りにも印象が弱い、ということなのかもしれない。
特に、スマホの画面上には様々な「アイコン」が並んでいる。
そして、多くのスマホユーザーは、「アイコンの意味」ではなく、「アイコンそのものを直感的にタップし、操作をしている」のではないだろうか?
イーロン・マスク氏からすれば「慣れの問題」ということになるのかもしれないが、この「慣れ」るまでの時間は、案外かかるような気がしている。
それが、「Twitter社=青い鳥」のブランド価値だったからだ。

Twitterユーザーが「X」というアイコンに慣れるまでに、おそらくFacebookやInstagramを展開しているMeta社の「Threads(スレッズ)」や、Twitter社を去ったジャック・ドーシーの「Bluesky( ブルースカイ)」が、新たなブランド価値を創造しながら市場を奪っていく可能性はある。
というのもMeta社が「Threads」を公開してから約1週間程度で、1億人が登録したと言われているからだ。
分散型の「Bluesky」についても、注目度は高く「Twitterからの乗り換え先」として名前が挙がっているのは、Meta社の「Threads」よりも「Bluesky」を上げているIT関連サイトがあるほどだ。
それぞれの特徴を理解しつつ、ユーザーが選択をするということになるとは思うのだが、Twitterの手軽さや日本語での140文字数というのは、実は情報量として多くも無く・少なくもない、という魅力があったように感じている。
だからこそ、「世界で一番Twitterユーザーが多い」と言われていたのが、日本だったのだ。

海外のIT企業の多くは、サービスリリースを先行させつつ、ユーザーと共に修正をしていきながら、ユーザーと一緒にサービスを創っていくという考えがある。
そう考えると、今Meta社の「Threads」やジャック・ドーシーの「Bluesky」に100点満点の満足でなくても、その「サービス向上に参加する」という場を楽しむユーザーたちの参加によって、新たなブランド価値となっていく可能性は高く、その時間もある、ということになる。

イーロン・マスク氏は、「Twitter社の買収によって、SNSだけではなく金融サービスなど様々なサービスを手軽に提供する」という目的を持っているようだが、その前に失ってしまった「Twitter=青い鳥」のブランド価値を回復させることができるのか?という点が、今後の注目となるような気がしている。


ファクトチェックから見えてくる、中国の戦略

2023-07-27 20:35:25 | ビジネス

ここ数日、中国が「経済制裁」とは言わないまでも、日本からの農業水産品の輸入商品について、様々な報道がされている。
Reuters:中国、日本の10都県からの食品輸入禁止を維持 安全上の問題で 

規制ではないが、同様の危険性を韓国も訴えていたと思う。
中国違に至っては、SNSを使って間った情報を故意的に世界へと拡散させている、という。
Huffpost:汚染水がそのまま海に…イラストが拡散⇒「誤り」中国系ウエッブサイトが投稿元か 

まず「誤り」の理由に挙げられるのが、今回海洋放出される予定のものは「汚染水」ではなく「処理水」である、という点だ。
そしてHuffpostの記事を読んでいただくと分かるのだが、世界中にある原子力発電所から放出される「処理水」に含まれる「トリチウム」との比較だ。
記事の中の地図を見ていただくとわかるのだが、実は原子力発電所から放出される「処理水」の中に含まれる「トリチウム」の排出量が一番多いのが、中国なのだ。

日本の原発は、「福島第一原子力発電所事故」以来、停止をしている原発が多く、海洋に放出される「処理水」も少なくなっている。
当然「処理水」に含まれる「トリチウム」の量も、減っているということになる。
中国や韓国も、その事実を知らないわけではないと思う。
にもかかわらず、このような「経済的措置」を行うのは、「処理水」の問題ではないと考えるべきだろう。

では、何が関係しているのか?と考えると、この「輸入規制」の前に話題となった「半導体」の輸出管理の問題なのでは?ということになると思う。
Reuters:アングル・半導体装置の輸出管理強化、日本も開始 中国報復に身構え 

中国政府の対応を時系列的に見ていくと、どうやら日本の「半導体装置」の輸出管理強化を受け、日本からの農産品の輸入規制を始めた、と考えるほうが自然な気がするのだ。
そこに、このようなファクトニュースをSNS上で流すことで、「日本は世界の海を汚している!!」とアピールするコトができる。
SNSユーザーの多くが、個人的にファクトチェック(=「情報の真偽を調べる」)をするほどの情報量を持っているわけではないし、何より「福島第一原子力発電所事故」により、欧州特にドイツなどは「原発廃止」へと政策転換をしたくらいの、衝撃的な事故だった。
それだけではなく、欧州では「環境問題」への取り組みも積極的だ。
国だけではなく、市民レベルでの「環境意識が高い」と言っても過言ではないと思う。

そのような世界情勢の中、「日本は原発事故の高濃度の放射性物質を含んだ汚染水を、海に放出する」と、SNSを使ってPRすれば、国際政治だけではなく国際ビジネスの中での立場も厳しいモノになってしまう。
それを狙って、中国がこのような「ファクト情報(=誤った情報)」を積極的にSNSを使って流している、と考える必要があると思う。

ファクトチェックから見えてくる、中国政府の意図をしっかり理解する必要があるように思う。




ビッグモーターの会見

2023-07-26 19:26:01 | アラカルト

昨日行われた、ビッグモーターの社長会見を、ご覧になられた方も多かっただろう。
残念なことに、私は見ることができなかったのだが、その後のメディア報道などを読む限りでは、「謝罪」とは程遠い会見だったようだ。

そもそもこの「ビッグモーター」の事件(というべきか?)とは、何だったのだろう?
契約をしている損害保険会社に対して、不正請求を会社ぐるみで行っていた、というのが、今回の事件ということになる。
しかしながら、昨日の社長記者会見では、「会社ぐるみではなく、社員個人が行っていた」という趣旨の話で終始した、という。

単純に一つ疑問があるのだが、同じ会社から度々不正請求と思しき請求が度々されれば、損害保険会社側も「おかしい」と、気づくのでは?という点だ。
不正請求を受けていた損保ジャパンからは、ビッグモーターへ37人の出向者を出している。
NHK :損保ジャパン ビッグモーターに37人出向”不正知らず”調査へ 

全国でチェーン展開をしている中古車販売店なので、37人という出向者の人数が多いのか?という印象を持たれると思うのだが、おそらく店舗に常駐しているのではなく、各地域の支店のようなところに出向をし、事務処理や事故査定処理をしていたのでは?という、想像がつく。
確かに現場ではないので、個別の事案について厳しい自己査定ができたのか?と言われると、難しい点はあるにしても、事故処理の量や内容を精査することで、ある程度は不正を把握するコトができたのでは?という、気がする。
というのも、以前から保険会社の支払いは厳しい、と言われてきたからだ。
保険金を支払う査定となれば、明らかな支払い要件でない限り、それなりの厳しい調査が入ることがママとしてある、と言われてきた。
そのようなことを考えると、損保ジャパンにも「不正請求」の被害者なのか?という、気がしてくるのだ。

もちろん、一番問題なのは、そのようなことをしたビッグモーター側にある。
そして不正請求の件数や金額などを考えると、現場担当者の一存で行っていたとは言えないのでは?
例え、販売店ぐるみで行っていた、としてもその事実を本社が把握していませんでした、では筋が通らない、というのが、今の企業の在り方だ。

企業のトップがこのように、「現場に責任がある。社員個人が勝手に行っていたコト」ということを、堂々とメディアの前で会見してしまう、という企業トップは、「企業とは」という、「経営」についての基本が分かっていない、ということになるだろう。
元々は、地方の小さな中古車販売店で、家族経営のようなカタチだったのかもしれないが、企業が大きく成長すれば、それに似合うだけの「経営手腕と経営責任」が必要となる。
その覚悟も無く、全てを「現場の社員、一担当者」に責任を負わせるような発言をすれば、社会からは今以上に厳しい糾弾が企業責任者として向けられる。
そのことを理解していない、ということが分かる記者会見だったのではないだろうか?


イーロン・マスク氏の狙いは?

2023-07-25 21:56:02 | ビジネス

昨日、PCでTwitterにアクセスしたら、朝は「青い鳥」のマークだった気がしたのだが、夕方になると「X」と表示され、驚いた。
確かに、既にTwitter社はイーロン・マスク氏のX社に買収され、傘下企業となったため実質的には「Twitter社」そのものは無くなっている。
そして、昨日イーロン・マスク氏自身が、「Twitterの青い鳥、さようなら」という趣旨のtweetをし、順次「X」のマークになっていくということが、明らかになった。
とすれば、昨日の夕方にはPC経由でアクセスをすると「X」のロゴが表示された、というのは相当なスピードで「Twitter」のブランドイメージを消し去ろうとしている、ということだろう。

なぜ、イーロン・マスク氏は躍起になって「Twitter社」のイメージを消し去ろうとしているのだろうか?
既に、ビジネス系のサイトでは言われていることだが、SNSを土台として、様々なネットサービスを展開するためでは?という、野心があるようだ。
イメージ的に違いのは、「LINE」だという指摘もある。

ご存じのように「LINE」のサービスの始まりは、友人同士で自由につながる為の限定的なネットサービスだった。
その後、「LINE Music」とか「LINE証券」、「LINE Pay」など、SNSに限定されないネットサービスを展開するようになってきた。
実際の「LINE」以外のサービスを利用している「LINEユーザー」がどれほどいるのか、わからないが「ソーシャルネットワーク」を手始めに、金融商品やその他ネットサービスを展開したい、という趣旨のことをイーロン・マスク氏自身が話していることから考えると、日本での「LINE」のようなサービスをグローバルに展開したいのでは?という、気がしてくる。
だからと言って、一から立ち上げるとその労力や資金、時間など様々なリスクがある。
そこで目を付けたのが、Twitter社だったのでは?という、指摘だ。
実際、FacebookやInstagramを提供しているMeta社が、先日リリースした「スレッズ」は最初の1週間での登録者数は、1億人を超す勢いがあったが、今では「登録はしたけど、様子見」という人の方が多いようだ。
それほど「Twitter社」が提供してきていたサービスは、市場優位なモノであった、ということになる。

ただ、Twitterを利用している人たちが、イーロン・マスク氏が考えるような「多岐にわたるネットサービス」を利用するのか?というと、やはり疑問なところがある。
それは、上述した「LINE」が展開している金融商品関連事業などを見れば、何となく想像できるのではないだろうか?
「LINE Pay」そのものは、SoftbankとYahooが共同出資した「Pay Pay」へ吸収されている。
そのような事例をイーロン・マスク氏が知らないとは思えないが、果たして思惑通りに事業展開できるのか?、疑問を感じるところでもある。

因みに、「Twitter」の元となっている「tweet」は、鳥のさえずりを指す言葉であり、その様子から「つぶやく」という意味になっている。
そしてマークとして使っていた「青枠に白い鳥」は、見方によっては「青い鳥」を示しているような、印象があった。
童話などで登場する「青い鳥」は、幸せを表す一種のアイコンであると考えると、本来「tweetをする」ことは「自分の思いをつぶやく」だけではなく、「社会によい影響が与えられるようなつぶやき」をしてほしかったのでは?という、気がしてくる。
匿名とはいえ、人を貶めたり、ストレス発散をするかのような攻撃的なつぶやきをしてほしくなかったのでは?
見知らぬ人とのコミュニケーションツールとして「Twitter」は大きな役割を果たしてきた。
社会的に問題となるようなことも多々あるが、Twitterから新しい商品やサービスが登場したことも確かだろう。
それが、Twitterの魅力だっただろうし、それがTwitterのブランド価値だったのではないだろうか?


内閣支持率が低下し続けても、余裕がある?岸田総理

2023-07-24 19:41:09 | 徒然

昨日、毎日新聞が岸田内閣支持率の記事を掲載していた。
毎日新聞:岸田内閣支持率28% 2カ月で17ポイント下落 毎日新聞世論調査 

この調査は、毎日新聞社が行っている世論調査である、ということ。
もう一つは、今時にしては珍しい?固定電話と携帯電話のショートメッセージサービスなどにより出された数字なので、日本の有権者の意思なのか?と言えば、違う意見を持っていらっしゃる方も大勢いると思う。
このような「世論調査」は、「生活者の傾向を知る為の一つの目安」だと考える必要があるだろうし、「内閣支持率」そのものは、調査する新聞社などによって、その数字が大きく違うことがある。

例えば、朝日新聞・毎日新聞・東京新聞(名古屋では「中日新聞」)などは、自民党政権あるいは与党に対して、厳しい数字を出してくるコトが多い。
一方、読売新聞や産経新聞などは、自民党に対して好意的な数字を出す傾向がある、と言われている。
理由は、いわゆる「保守系新聞」と呼ばれるのが、讀賣・産経(テレビ局でいうなら、日テレ系やフジテレビ系)などで、これらのメディアを好む方々というのは、「保守的な考え」を持っている人達が多いからだ。
逆に、朝日や毎日(テレビ局でいうならテレビ朝日系やTBS系ということになる)、東京新聞などは「リベラル系」と呼ばれ、時の政府に対して厳しい見方をする傾向がある。
その為、今回の毎日新聞の世論調査に関しては、元々「自民党を支持していない人達に対する世論調査」ということになる。

同様の調査を、讀賣新聞でも行っている。
讀賣新聞:岸田内閣支持率35%。6ポイント下落し発足以降最低… 

毎日新聞の世論調査と読売新聞の世論調査とでは7ポイントの差があるのは、このような読者の違いがある為だ。
問題なのは、保守系新聞と言われる讀賣新聞でも、支持率が下がり続けている、という点だ。
しかも、「内閣の危険水域」と呼ばれる30%台の前半に迫ろうとしている。

にもかかわらず、岸田総理は余裕しゃくしゃくという訳でもないのかもしれないが、その表情からは厳しさが感じられない。
「内閣府支持率の内容分析をしていない」ということも考えられるのだが、むしろ対抗勢力となる与党の力が弱いのでは?という気がしている。
この「与党が弱い」という指摘は、様々なところでされているので、納得される方も多いと思う。
共産党やれいわ新選組といった、現政権とも他の野党とも違う考えを打ち出している政党はともかく、他の野党の考えが今の自民党と似たり寄ったり、というか、政党としての独自な考えを打ち出すことができていない為だ。

確かに、自民党という政党は、別名「なんでもあり党」というくらい、政治的考え方が幅広い政党と、言われている。
だからこそ、無所属で当選した国会議員が、自民党と合流することも可能なのだ(最も、最近では自民党を離党し、無所属で当選後自民党と合流するパターンが多いのだが)。
その為、いくら内閣支持率が下がろうとも、対抗馬となる政党が無いため岸田総理は、余裕の態度なのだろう。

もう一つあるとすれば、それはやはり投票率の低下だろうか?
自民党を支えている公明党には、ご存じのように「創価学会」という強力な支持母体がある。
支持母体というよりも、集票団体と言った方が良いかもしれない。
これまで、友好的な関係にあったこともあり、自民党から立候補した議員さんが当選を果たしてきた、という事情もある。
この協力関係が崩れたりすれば、どうなるのか?不安な自民党議員さんもいらっしゃるはずだ。

それに対して、「浮動票」と呼ばれる特定の支持政党を持たない人達は、投票に行かないことで強力な支持母体を持っている政党に優位な結果をもたらす、ということになっている。
他にも「小選挙区制度」という選挙制度などの問題があるのだが、いずれにしても「有権者が選挙に行かない」と岸田総理は何もせずに、政権を維持できる、と考えているだろうし、それは内閣の大臣たちも同じだろう。

これらの理由が、岸田内閣支持率低下でも岸田総理は余裕を見せることができるのだろう。
悲しいかな、これが日本の政治の姿だと思うと、どこか情けない気がしてくる。


リーダーの役割とは -岸田総理のリーダーシップ考‐

2023-07-20 19:12:24 | 徒然

一部週刊誌に記事として取り上げられている、政治家妻がいる。
その政治家とは、岸田総理の側近の一人と言っても過言ではない、木原副官房長官だ。
その奥様が過去に関わったとされる事件について、一部週刊誌が毎週のように報道している。
報道をしている週刊誌側も、確証となる「ネタ」無しで書いているわけではないはずだ。
週刊誌の手法として、社会の注目を浴びるような「疑問の提示」→「独自調査による記事」等を繰り返し、「世論」をつくっていく。
このことが悪いことなのか?と言われれば、決してそうではない。
いくらSNSにより、報道メディアとは関係のない市井の人達が自由に情報発信ができるようになっても、事実の裏どりや関係者への取材などは、素人ではできないことばかりだからだ。
逆に言えば、大手メディアの存在意義は、そのような「地道な調査と取材」ができる機動力と、発表する公の場を持っていることで、「社会を動かす力」となっているのである。

この事件に関して、木原副官房長官はダンマリを決め込んでいる。
というのも、この事件の前に現在の奥様とは別に世帯を持っている、と雑誌報道をされているからだ。
事件に関わっているとされている、奥様のことで何等かの動きをすれば、当然別世帯の家族についても追及される可能性がある。
「嵐が過ぎ去るのを待って、身をかがめている」というのが、今現在の木原副官房長官だろう。

しかし、このような「ゴシップ」に対して、「どこ吹く風」という態度を決め込んでいるのが岸田総理だ。
過去にも政治家絡みの事件は、数多くあった。
その多くは「贈収賄」と呼ばれるもので、権力を持っているが故にその権力に縋ろうとする人達が、金品を渡し、見返りとして便宜を図る、というモノだった。

しかし今回は、「人の命」に関係する事件だ。
これまでの「贈収賄」とは意味が違う。
確かに「贈収賄事件」により、中心となった政治家の秘書の方が自死をされる、ということは度々と起きているが、「命の重さ」は同じように比べられるものではないにせよ、被疑者として木原服官房長官の妻は事情聴取を受けている、と報じられている、という点では、これまでとは全く異質な事件だと言える。
総理の側近が関係する事件として、木原副官房長官の意思を尊重ばかりしている場合ではないと思うのだ。

考えてみれば、岸田総理には「リーダーシップ」というモノを感じることが、これまでほとんどなかったような気がする。
強力なリーダーシップを発揮したのは、昨年の安倍元総理の国葬位だろう。
今現在進行している「マイナンバーカード」についても、総理からの指示という話は聞いた記憶がない。
これほどまでに、社会を混乱させている事案であるにもかかわらず、デジタル庁に丸投げをしている(ように思える)。
デジタル庁に立ち入り検査が入る、という状況になっても、何のアクションも起こさないのが岸田総理なのだ。
岸田総理からすれば、「自分が総理になる前から始まったことだから、自分は知らない」ということなのかもしれないが、その実「マイナンバーカード」普及の為に「マイナポイント」を積極的に展開し、「健康保険証や金融機関との紐づけ」を行ってきたのは、岸田政権のはずだ。

これまでの岸田総理の政治的判断を見ていると、「リーダーシップとは何か?」ということを、反面教師のように考えることが多々ある。
その意味では、貴重な総理かもしれない。
ただ、これからも岸田総理が政権の中心としているのなら、日本という国のカタチが失われているような気がしてならない。


 


AIのルール作りに、日本は参加できるのか?

2023-07-19 20:26:12 | ビジネス

毎日新聞のWebサイトに、やや物騒なタイトルの記事があった。
毎日新聞:AI進化に追いつけぬ国際ルール 人類の「絶滅リスク」研究者が警告 

見出しにある「人類の絶滅リスク」となれば、「AI vs人類」のようなSF小説やSF映画のような世界のようにも思えてくる。
AIという道具の使い方次第では、「AIによって人類が絶滅するリスクがある」という警告的な記事だ。
そしてこの「AIという道具の使い方次第」ということは、随分前から指摘されてきたことだ。
そして残念なことに、未だに私たちは「道具としてのAI」との向き合い方について、模索をしている最中といった状況だろう。

その一方で、チャットGPTと呼ばれる「生成AI」等も登場したことで、ますます「人の代わりにAIが行うことがら」が、増えてきそうな勢いだ。
欧米では、チャットGPT に対して様々な規制をかけるような動きがある中、日本では積極的に活用する方向へと向かっているような雰囲気を感じている。
この動きの違いが、今後どのような影響を社会に与えていくのか?は、まだまだ不透明なところだが、個人的には日本の積極的な動きを心配している。
というのも、「マイナンバーカード」すら、満足な運用ができていないからだ。
このようなデジタルツールを使い慣れていない政府が、積極的に「生成AI」についてどれだけの知識を持っているのか、甚だ疑問だからだ。
言葉や流行としての「チャットGPT」や「AI」については知っていても、本質的な理解が十分にされているのか?という、懸念を抱いている。

毎日新聞の記事にあるように、「AI」に関するリスクを研究者が警告し、国際的なルールづくりに動き出そうとしているのであれば、日本政府は積極的にかかわっていく必要があるのでは?
何故なら、国際的なルールづくりの基本が、世界のAI産業のルールとなっていくからだ。

国が「積極的に推し進めたい」という考えを持っているのなら、「世界のルールづくり」の中心にならなくては、様々なリスクを負うことになる。
それは「基本的ルールづくり」を作った国に追従するということであり、ルールを作った国に膨大な利益をもたらすばかりか、ルールに従わざる得なくなった国の社会すら破壊するチャンスを得る、という意味でもあるからだ。

記事中にあるように、中国が積極的であるというのは、国に与える利益だけではなく中国の考えを世界の基準にもっていく可能性を模索している、というくらいの危機感を持って考えた方が良いと思う。
「米国の核の傘の下に守られる平和」等と悠長なことなどと言ってられない、というのが「AI」の問題なのだ。
企業努力では、どうすることもできないほどの重要な問題である、という危機感を日本政府は持っているのだろうか?

 


連日の大雨と熱暑で考えること

2023-07-18 20:17:49 | 徒然

毎日チェックをするネットニュースに表示される「注意報・警報」を見ると、「線状降水帯」が日本列島の西から東北へと移っていっている、ということが分かる。
そしてこれらの大雨だった地域が、連日の猛暑日の地域となってきている、ということも分かる。
もちろん、「線状降水帯」に含まれなかった名古屋などは7月に入ってから夕立のような天気があったり、猛暑を越して熱暑あるいは殺暑と呼んでもよいような暑さが続いている。
このような連日の熱暑にもかかわらず、何故か「梅雨明け」にはなっていない。
中学校の理科では「太平洋高気圧が日本列島を覆うと梅雨明け」と、習った気がするのだが、そのような状況ではない、ということなのだろうか?
新聞に掲載されている天気図を見ると、東海地区などは「梅雨明け」している様にも思えるのだが…。

私が子供のころ、夏休み真っ盛りの7月下旬から8月上旬でも最高気温30度を超す、ということは余り多くなかったような気がする。
それが、連日体温以上の暑さが続いている。
これが「地球温暖化」という呼ぶのだろう、と実感する。
このような連日の暑さに様々なメディアは「室内ではエアコンを適切に使い、熱中症にならないよう注意しましょう」という、注意喚起がされている。
しかし、3人に1人が「エアコンの使用を躊躇している」という。
「エアコンが設置されていない」のではなく、「エアコンを使うことに躊躇する」人が3割くらいいる、ということだ。
その背景にあるのは、高騰している電気料金があるのでは?と、想像している。
それだけではなく、日本の家屋は「エアコンを設置しても、効果的な冷房環境をつくり出していないのでは?」という気もしている。

というのも今朝の朝日新聞によると、学校のエアコン設置が進む中「暑い教室」の中で授業を受ける生徒さん達が数多くいる。
朝日新聞: 「暑い教室」断熱効果てきめん 生徒協力「エアコン利く」 

「エアコン設置」も急務だが、それより急務なのは「少ないエネルギーで最大の冷房効果を作り出す環境」ということなのでは?という、気がしたのだ。
限られた予算の中で、「断熱効果を上げることで、冷房効果を上げる」ということは、正しい判断だろう。
そう考えると、これまで建てられてきた住宅やマンション、オフィスビルなどはどうなのだろう?
10数年前、「外張り断熱」という言葉をCMで盛んに聞いた記憶があるが、「気密性が高い」住宅は増えても「断熱性」はどうなのだろう?と、疑問に感じたのだ。

昨今のような「熱暑」の環境の中で、多くの人が望むのは「涼しい家」だろう。
それも、エアコンなどに頼らず、自然の中で感じるような涼しさなのでは?
例えマンションのような集合住宅であっても、「熱暑でも自然の涼・真冬でも太陽の暖かさが感じられるような住まい」が、省エネ住宅として基準となっていくのではないだろうか?
余りの暑さの中、そんなことを考えていたのだった。


分かっていたけど、検証されると納得。アベノミクスが失敗した訳

2023-07-14 19:13:04 | アラカルト

「今更だな~」と思いながらも、検証された結果を読めば納得する、ということは間々としてある。
Huffpostに、そんな記事があった。
Huffpost:富裕層への減税は社会のため?いいえ、富むのは富裕層だけでした。最新研究が「トルクダウン」を否定 

この見出しの中に出てくる「トルクダウン」という言葉を、頻繁に聞いたのは「アベノミクス」が話題となり、故安倍元総理が胸を張って「経済政策を打ち出した時」だったような記憶がある。
「トルクダウン」=富裕層に経済的メリットを与えることで、消費が増え、結果として社会全体の経済浮揚策として有効な手法、と言われてきた。
安倍元総理が亡くなられてから、「アベノミクスの失敗」ということが、経済紙などで書かれるようになったが、時すでに遅しの感があった。
日本経済は、この30年でボロボロになり生活者が自由に使えるお金そのものは減り続けている。
理由は、給与そのものが上がっていないからだ。
上がっていないどころか、実質賃金は下がり続けている。

その後を継いだ?現岸田政権においては、もっとひどい状況だ。
経済政策らしきものは、発表されることなく、「異次元」という枕詞が付く「政策」は発表されるものの、肝心な「財源」となると口をつぐんでしまう、という状況が続いている。
そして多くの生活者は「増税以外の方法はないのでは?」と思いつつ、「増税」の言葉もはっきり言わない岸田政権にイライラしている、というのが今の政治に対する社会的な雰囲気なのでは?と、想像している。

Huffpostにある「トルクダウン」という経済の考え方は。決して新しい考え方ではない。
例えば、米国では共和党政治になると、富裕層向けの減税が行われることが多い。
特に、故レーガン大統領の時には、大幅な富裕層向けの減税を行っていた(と記憶している)。
しかし、フランスのトマ・ピケティの「21世紀の資本」によって、富裕層と呼ばれる人たちの多くは、先祖から引き継いだ莫大な資産があり、それを運用することで、より莫大な資産を得るようになっている、ということが分かったのだ。
富裕層の人たちは、元々莫大な資産を持っており、それが雪だるまのように増やしていくことができるが、資産を持たない生活者は増やす原資となるものがないため、「富裕層から税を徴収し、社会保障に充てるなどすることが、社会全体のセーフティーネットとなり、社会全体の経済が潤滑に動きやすい」という、内容だった。

この時既に「トルクダウン」という考えに対して、批判的な論文などがあったはずなのだが、何故か「トルクダウン」という言葉が、経済の活性化の切り札のように、使われていたのが「アベノミクス」だったような気がしている。
にもかかわらず、一時的な株価の上昇などにより、「日本経済が明るい方向へ動き出した」ような、錯覚を起こさせてしまった、というのも事実だろう。
この時所得で豊かになったのは、資産に余裕がある人達がほとんどであり、日本人の多くが信頼をしている預貯金では資産が増えない、ということが分かったのではないだろうか?

岸田総理の無策状況では、経済の回復どころか安定すら危ういのでは?と、感じている。
「異次元政策」を発表するのは、勝手だがその財源となる議論を進めて欲しい。
少なくとも、乾いたぞうきんしか持っていない生活者から、もっと絞れというのだけはやめて欲しい。


「AI」という文字の視点を変えると、違う世界になる

2023-07-12 19:58:35 | アラカルト

日経新聞のWebサイトにある、動画にはなかなか興味深い内容のモノがある。
数日前にアップされた動画に、「AIは人工知能ではなく、異星人の知性だ」という動画があった。
日経新聞: 「AIは異星人の知性」哲学界の若き巨人が鳴らす警告 

詳しい内容については、動画を見ていただきたいのだが、「AI(=Artificial Information)」を「異星人の知性(=Alien Information)」と解釈をしている、という点だ。

略すと同じAI となるのだが、持つ意味は変わってきてしまう。
私たちが一般的に使っている「AI」は「人工知能」と呼ばれる、「Information Technology(=IT)」の技術的革新の中で生まれてきた、デジタル技術だ。
動画の中で、マルクス・ガブリエル教授が何度か話している「二極化」という言葉は、この「デジタル化」によってもたらされてる部分が大きい。
何故なら、デジタルの世界では「1か0」しかない、二進法の世界だからだ。
デジタル化が進むコトによって、人の考え方も二進法(=1か0)になってしまうとは、言い切れない部分はあるが、今の社会で起きていることに影響を与えているのでは?と、感じる点は多々ある。


その一つが「0信仰」のような考え方だ。
2011年に起きた「東日本大震災」による「東京電力福島第1原発事故」によって、多くの人たちが戦々恐々となった。
この時「放射能は限りなく0であってほしい」という、風潮があった。
現実には、様々な物質が放射線を出しており、私たちの生活から「放射能0」は無理なことだった。
にもかかわらず、「放射能が怖い」という理由で、首都圏から転居された方も少なからずいらっしゃった。
他にも、「新型コロナ」の感染拡大で、「ウイルス除去」に熱を上げるような社会的風潮があった。
自然界の中には、様々なウイルスが存在しており、「コロナウイルスだけを除去する(=コロナウイルス0を目指す)」ということ自体、不可能なことなのだ。
「コロナウイルス」の存在そのものが「悪」であり、駆逐されるべきモノ、という考えからの「ウイルス0」ということなのだと思うのだが、上述したように現実的な考え方ではない。

そう考えると、「1・0思考」は、どこか危ういところがある、ということに気づかれると思う。
そして現実に「1・0」という2つの数字によって創られている世界が「デジタルの世界」であり、その技術的進化の一つが「AI=人工知能」ということになる。

やや無理やり感がある、と感じられる方もいらっしゃると思うのだが、「Yes・No(=1・0)」という2つしかない社会というのは、さほど考える必要のな社会だと言える。
違い言い方をするなら、多様性を認めない社会、だともいえる。
マルクス・ガブリエル教授が懸念されているのは、この「多様性を認めない社会」ということのようにも思えるのだ。
それだけではなく、「多様性があるからこそ、社会が豊かになり新しい技術が生まれ発展していく」ことを阻害している社会でもあるのだ。
何故なら、多様性を認める社会はとても複雑で、常に他者と自己との関係を、考えなくてはならないからだ。

「AI」の元となるのは、「IT」だと思うのだが、その「IT」を「Information Technology」と考えるのではなく「Interest Technology(=面白く興味深い知を探る技術)」だと考えれば、「AI」の解釈もまた変わってくるはずだし、そのような視点で「AI」を考えることの方が新しい時代を切り開く力となるような気がする。