日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

バーゲン体質化しているのは、アパレルだけ?

2016-06-19 19:47:25 | ビジネス

先日、讀賣新聞にアパレル業界に対する「不合理」な商習慣についての記事が、掲載されていた。
讀賣新聞:アパレル業界の不合理な商習慣、改善を・・・経産省

記事にある通り、アパレル業界では短いサイクルで「バーゲンセール」を実施する。
その理由は、商品サイクルというよりもファッショントレンドのサイクルが、短くなってきているからだと思う。
特に、婦人服はファッショントレンドのサイクルが短く、前シーズン流行したものを店頭に並べるわけにはいかない、というのが現状だろう。

実は、数年前ファッショントレンドの発信地の一つである「パリコレ」では、これまでの「春・夏」と「秋・冬」という2シーズンではなく、「春・初夏」「盛夏」「秋・冬」とコレクションの発表を変えようとした時期があった。
理由の一つは、これまでの「春・夏」だけでは「盛夏」には向かないのでは?という考えがあった、と記憶している。
「秋・冬」にしても「真冬」向けのトレンドを発表するほうが、良いのでは?と言われたこともあったようだ。

このようなファッション業界の動きから、アパレル会社はシーズンごとの衣料品を積極的に市場へと送り出してきた。
しかし「在庫」が増えてしまえば、それは「売り上げ=利益」とはならない。
不要となった「在庫」を早く出して、少しでも売り上げにつなげようとすれば「バーゲン」などの方法を取るコト自体仕方のないことだと思う。
ファッション全体が「ファストファッション化」したコトも、アパレル業界全体の「バーゲン体質」になった原因かもしれないが、そもそもそんなにファッションに振り回される生活者が、どれほどいるのだろう?
経済に対して不安がある状況であれば、なおのこと慎重に買い物をする生活者が増えるのも当然だろう。

むしろ問題なのは「バーゲン」が常態化してしまうと、生活者側は「定価」で購入するコトに抵抗感を感じるようになることなのでは。
このような傾向は、何もアパレルに限ったことではないと思う。
ネット通販の大手の一つである「楽天」なども、「バーゲン(や「ポイント倍セール」)」の回数が、以前よりも増えているような気がするからだ。

在庫を減ら目的で「バーゲン」をするのは、一つの手段としてあるだろう。
上述した通り「常態化」することが、問題なのだ。
なぜなら「バーゲン」そのものは、在庫を減らす一つの手段だが、利益をあげるコトにはならないからだ。
バーゲンに頼らない生産体制や、「価格以外で生活者を引き付ける努力」、何より「コスト意識」ではなく「適正価格による利益意識」を企業側が持つ必要があるのではないだろうか?