日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「イースター(復活祭)」は、ハロウィンに続くイベントになるのか?

2016-02-29 13:01:54 | トレンド

随分春めいた陽気になってきた。
明日からは3月。3日は「桃の節句・お雛様」がある。
そのためだろう、食料品売り場に行くと「お雛様向けのメニュー」の食材が数多く置かれている。
お菓子売り場に行くと、「ひなあられ」や「ひし餅」などがおかれている。
名古屋(というか愛知県)特有の「おこしもの」や「いがまんじゅう」という、お菓子なども店頭で見かけるようになった。

その一方、今年は「たまご」のお菓子を、目にするようになった。
パッケージを見ると、可愛らしい絵が描かれている「たまご」だ。
どうやら「イースター(復活祭)」向けのお菓子のようだ。
とはいうものの、「イースター」そのものは、キリスト教のお祭り。
圧倒的に仏教徒が多いと思われる日本では、「イースター(復活祭)」と言っても、教会に出向いてキリストの復活を祝うという人は、余りいらっしゃらないと思う。
私にとって「イースター」と言えば、映画「イースターパレード」くらいしか思い浮かばない。
とても身近な祝祭だとは、思えないのだ。

ただ、ここ数年の「ハロウィン騒動」などを見ると、いずれは「イースター」も同様のような「イベント」となっていく可能性はあると思う。
日本での「ハロウィン」は、子どもたちが「お菓子をもらうために仮装をして町を歩く」という一部分だけが、取り上げられイベント化した。
それに対して「イースター」は、映画「イースターパレード」のように、「大人が着飾ってパレードをする」というイベント的要素がもともとある。
それだけではなく、きれいに装飾した「イースターエッグ」を庭などに隠し置き、見つけるという「エッグハント」という遊びもある。
「イースターエッグ」そのものは、生卵を使うためとても手間がかかり、壊れやすい。上述した「イースター向けの卵型のお菓子」というのは、「イースターエッグ」のお菓子版だろう。

何より「イースター」は、「春分の日の後の最初の満月の後の日曜日」と決まっているので、「ハロウィン」とは違い、平日になることはない。
毎年、日にちが変わるのはわかりにくいかもしれない反面、日曜日という点ではイベント化しやすいかもしれない。
それこそ、イースターに合わせ大通りを歩行者天国にしてしまう、という方法もあるだろう。

ただ昨年に見られた「ハロウィンの大騒ぎ」のような、お祭りの由来や意味を十分理解しないまま、イベント化するコトは問題があると思う。
「ハロウィン」の場合は、宗教的要素がほとんどないため、イベント化してもさほど問題にはならなかったと思うのだが、「イースター」は「キリストの復活を祝う」という宗教的要素が強い。
もちろん「春の訪れを祝う」という点では良いと思うのだが、単なる「騒ぐためのイベント」にならないようにすることが大切だという気がする。


「ミドリ安全」が、パンプスを作っていた!

2016-02-28 19:38:35 | マーケティング

これまで穿いていた「パンプス」を穿き潰したので、新しいパンプスの購入を検討している。
実は「パンプス」という靴、なかなか選ぶのが難しい。
黒のシンプルなパンプスは、TPOを考えることなく穿くコトができるので、頻度が高い。
逆に言えば、それだけ多くの女性が普段から穿いている、ということになる。
私の場合、ワイズがD~Eと細いこともあり、市中の靴屋さんでも合うサイズがほとんどなため、ネットを利用するコトが多くなってしまう。

そこで、Amazonなどで探していたら「ミドリ安全」が、パンプスを作っているコトを知った。
Amazon:「ミドリ安全」作業 耐滑パンプス
ユーザーレビューも高く、人気のある商品だということがわかる。

ところで多くの人にとって「ミドリ安全」という会社名を聞いて、何を思い出すだろうか?
おそらく「ガッテン系」の方が穿くような作業靴とか、作業衣などを製造・販売している会社、というイメージがあると思う。
もしくは、特殊な環境で作業をする人達のための、作業衣や作業靴などではないだろうか?
それに対して、女性が穿く「パンプス」は、特別な作業をするために穿く靴ではないし、どちらかと言えば「安全」よりも「デザイン性」が、優先される靴だ。
実際、ヒールが高く、足がきれいに見える工夫がしてあるデザインの靴が多い。
それだけ「歩きにくく、歩く安全性に欠ける」という靴も多い、ということになる。
特に、雨の日の歩道などは滑りやすく、ソロソロと歩く女性の姿を見たことがあると思う。

デザイン上大きな変化がなさそうな「パンプス」であっても、「スニーカーパンプス」と呼ばれるような、軽量で歩きやすさを重視したパンプスが、最近人気になっている。
長時間窮屈なパンプスを穿いて仕事をする、というのは、働く女性にとっては「苦痛」でしかない。
そのような「苦痛」から解放する靴が「スニーカーパンプス」と呼ばれる、足を綺麗に見せながら、歩きやすさを考えたソールやヒールデザインの靴だ。

そう考えると「パンプスでも安全性と歩きやすさが必要」ということになる。
元々「安全靴」を作っている「ミドリ安全」からすれば、「(どのような環境でも)滑りにくく歩きやすい靴」というのは、得意分野だろう。
「おしゃれな婦人靴」という視点だけであれば、「ミドリ安全」はパンプスを作ることはなかったと思う。
それを「(雨などで)滑らない歩きやすい婦人靴」という視点で見たとき、初めて「婦人用耐滑パンプス」という発想が生まれ、製品化するコトができたのだと思う。

自社の「安全」という、事業の強みのキーワードから視点を変えるコトで、それまで「異業種」と思われる事業分野を取り込むコトができた、一例だと思う。





そもそも「偶発債務」って何?

2016-02-26 21:40:57 | ビジネス

昨日の午前中に、「シャープが鴻海の傘下に入る」というニュースが出たばかりだったのに、夜には「鴻海が契約保留」というニュースが伝えられた。
その「保留」の理由が、「偶発債務が、3000億円以上ある」ことがわかったためだった。

「債務」という言葉は、よく耳にする言葉だと思うのだが「偶発債務」という言葉そのものは、あまり聞かないような気がする。
もちろん、会計業務などをやっていらっしゃる方にとっては、よく知っていらっしゃる言葉であり、内容だと思う。
そこで気になって調べてみると、「貸借対照表にその内容、金額が注記される、将来一定の条件の下での債務の可能性となるもの」らしい。
M&A用語:偶発債務とは
ということは、シャープ側は「貸借対照表」に「もしかしたら将来債務になってしまうかもしれないモノが、ありますよ。金額と内容はこうなっていますよ」と、注意書きをしていたということになる。
もし、シャープ側が「貸借対照表」に、このような注記をしていなかったとすれば、会計上大問題だろう。
「貸借対照表」というのは、企業のお金の流れや動きを表にまとめたもので、ここで記帳間違いなどがあれば課税などにも問題が起きてくるからだ。

とすれば、「鴻海」側がこの「偶発債務」を見落とした、ということになるのだろうか?
企業間での買収の話というのは、第三者が知る由もないので、なんともいえるコトではない。
シャープの場合、「鴻海」だけではなく政府系ファンドなども、支援として名乗りを上げていた。
当然、支援をする側は「貸借対照表」は、チェックをしていたはずだ。
その中で、シャープ側にとって一番メリットがあると思われた相手が「鴻海」であった、ということだろう。

今回の「鴻海」の買収劇について、個人投資家の山本一郎さんは「シャープ側が悪いわけではない」と、コラムに書いていらっしゃる。
山本一郎:シャープの「偶発債務」問題は、別にシャープが悪いわけではないですよ
このコラムのとおりだとすると、「鴻海」にとってシャープはとても魅力的な買収相手だったのかもしれない。
それは「お金(=貸借対照表に表れている企業の経営実態)」を無視したくなるほど、だったのだろう。
ところが、慌てて「お財布や預貯金通帳、支払い明細を見てみたら(=貸借対照表)、自分が思っていた以上に借金を抱えていた」ので、「イヤイヤ、待て!」ということになってしまった・・・とも読み取れる。

もしかしたらこの買収の話は、「破談」となるかもしれない。
その時改めて、シャープ自身が「自分たちの事業」を見つめなおし、洗い出しながら再建のパートナーを見つけるコトになることのほうが、シャープにとって良いのでは?という気がしている。
問題は、その時間がシャープにあるのか?という点だ。


シャープから考える「強み」

2016-02-25 20:10:21 | ビジネス

シャープが、台湾の「鴻海(ホンハイ)」の傘下となるコトが、ほぼ決まったようだ。
シャープ側としては、買収契約についてはしばらく保留と言っているようだが、政府系ファンドではなく「鴻海」の傘下となり事業の立て直しを目指すことには、変わりないだろう。

20年数年前、シャープ本社へ企業研究のセミナーとして行ったことがある。
当時はまだ「液晶画面」そのものが実験段階のような状況で、当時の技術担当者(だったと思う)の方が「いずれは、壁掛けテレビを創りたい」と、話していらっしゃった。
それから、「液晶のシャープ」となったのは、ご存じのとおりだ。

「液晶技術」というのは、シャープにとって「強み」であったはずだ。
そして「液晶技術」があったからこそ、薄型テレビという市場でプラズマテレビを追いやることもできたのだと思う。
何より「携帯電話」というデジタル機器が登場し、「スマートフォン」へと成長するためには「液晶技術」は、欠かせないものだったはずだ。
もちろん、ノートパソコンの薄型化にも「液晶技術」は、必要だっただろう。

そう考えると、シャープの「強み」である「液晶技術」そのものは、私たちの生活を大きく変えた技術だったと思う。
イノベーション(=変革)的要素も、十分にあったはずだ。
事実、シャープは液晶技術の集積地として「亀山ブランド」を作り、薄型テレビのブランド化を図ったこともあった。

それほど市場的には、優位性を持っていたはずの技術やブランドが、あっという間にシャープを苦しめるコトになってしまった。
それはなぜだろうか?
一つは「商品のライフサイクル」の速さなのでは?と、考えている。
以前の「商品のライフサイクル」というのは、今よりもずっと長かった。
生活者の志向が変われば、それまでの製品に新しい技術を(少し)付加するコトで、十分だった。
ところが今は、テレビの3D⇒4K⇒8Kに象徴されるように、10年経たない間に次々と新しい技術が製品化されるコトが当たり前になってきた。
当たり前になってきただけではなく、そのような技術が付加されても生活者が「欲しい」と、思わなくなってきている。
製品の市場が成熟する前に、商品のライフサイクルが終わってしまうのでは?と、感じるほどのスピードのような感じがある。

もう一つあるとすれば、「ソーラー発電パネル」だったのかもしれない。
そして同じように「ソーラー発電パネル」に力を入れていた、パナソニックは関連会社の「パナホーム」という住宅会社があったために、「住宅とソーラー発電パネル」という販売ルートを持つコトができたのに対して、そのような販売ルートを持たなかったシャープと東芝は、中国勢の猛攻にあってしまった、という気がしている。

「強みに事業を集中させる」ということは、ドラッカーも言うように決して悪いわけではないと思う。
しかし、社会の変化に合わせ「強みを変化させる」コトができなければ、強みがいつの間にか負担となってしまう・・・ということを、シャープは教えているように思う。

 


サンダース候補のような人が、民主党(改名予定)に出現すると日本の政治も変わる?

2016-02-24 14:56:54 | 徒然

アメリカでは、この秋の大統領選に向けての民主党、共和党の代表候補者選びが、始まっている。
共和党では、泡沫候補と思われていたトランプ氏が(思わぬ)善戦をしている。
過激な発言が人気を呼んでいるようだが、政治家としては疑問符が付く気がしてならない。
少なくとも、世界で一番影響力のある立場であるアメリカ大統領が、「過激発言だけで人気」になっている人物でよいのか?という、米国民の良識を信じたい気持ちもある。
ただ、早々にブッシュ氏が候補者辞退をした、というのは良かったかもしれない。

そして民主党(もちろん、米国の民主党だが)の候補者は、2人に絞られたといっても過言ではないだろう。
一人は、初の女性大統領の期待がかかるヒラリー・クリントン氏。
もう一人は、最高齢候補者と言われるサンダース氏だ。
ヒラリー氏の場合、ご主人のクリントン氏の側で「大統領」という仕事を見てきているので、その責任の重さなども十分承知をしているだろう。

一方サンダース氏だが、高齢であるにも関わらず(と言っては、失礼だが)、支持者は若年層に多いと言われている。
その理由の一つが、大学などの授業料の無償化を政策の一つとして挙げている点がある。
「大学の授業料無償化」というのは、サンダース氏の政策の一つなのだが、本丸ともいえる政策は「1%の富裕層に、もっと社会的責任(=高い累進課税による納税)を負ってもらい、経済格差を小さくする」という点だ。
この「1%の富裕層」という言葉で思い出されるのが、数年前にあった「私たちは99%」を合言葉としておきた「ウォール街占拠」だろう。
このときも活動の中心は、学生ローンで苦しむ学生たちであった。
だからこそ、サンダース氏の「大学の授業無償化」というのは、若年層から高い支持を得ているのだ。

今朝の朝日新聞に、トマ・ピケティ氏のコラムが掲載されていたのだが、サンダース氏のような政治家の登場というのは、「政治の変革期なのでは」という指摘をされていた。
朝日新聞:(ピケティコラム@ルモンド)米大統領 サンダース氏は新時代を開くか(デジタル会員のみの購読ページ)
というのも、ピケティ氏だけではなくコトラー氏も指摘をしているのだが、現在の米国の税体系は富裕層有利になっている、と言われている。
このような状況をつくりだしたのは、中曽根さんと仲の良かったレーガン大統領の時に始まり、パパ・ブッシュ氏の時により広がり、民主党時代にやや改善されたもののブッシュ氏(こちらは息子の時)に再び広がり、この結果、米国の税収は大きく減り、社会的経済格差が広がったと、ピケティ氏もコトラー氏も指摘をしているのだ。
(中曽根氏以降の自民党も少なからず、この「レーガノミクス」をお手本にしているのでは?と、感じる部分がある。)

とすれば、サンダース氏の登場はピケティ氏が指摘するように、政治の大きな変革期だとも思える。
そして残念ながら、日本の民主党にはサンダース氏のような変革者が、登場していないように感じる。
同じ「民主党」という名前ながら、この違いには残念さを感じざる得ない。
来月あたりには党名変更があるようだが、党名変更よりも今の民主党に必要なのはサンダース氏のような「変革者」なのでは?という、気がする。

 


足元が見えないこともある

2016-02-22 20:57:52 | アラカルト

どこかへ出かけるとなると、お土産を買う方は多いと思う。
お盆やお正月など、帰省先から戻る時もやはり「地元のお土産」は必須だろう。
今回も「地元のお土産」を、買って帰ってきたのだが、これまで買ったことが無い「地元のお菓子」を買ってきた。
どじょう掬いまんじゅう」という、お饅頭だ。

実は、菩提寺のある松江は、もともとお茶の文化がある地域。
「お菓子」というと、お饅頭というよりもお茶菓子のようなお菓子が主流のため、お土産もそのようなお茶菓子を買うことが多かったのだ。
もう一つの理由は、あまりにも身近にある「土産用のお菓子」のため、改めて買う気がしなかった、ということもある。
テレビCMで「見飽きるほど見た」ということも、なかなか買う気にならなかった理由だ。
今回、お土産を買う時間があまり無かったこともあり、失敗がなく手ごろ(と言っては失礼だが)なお土産として、買って帰ってきたのだった。

ところが、差し上げた方から「とても、かわいいお饅頭!」と、評判が良い。
何より「かわいい」という、イメージが全くなかった私には驚きだった。
理由を考えてみると、おそらく私の中では商品名の「どじょう掬い」の踊りなどのイメージがあり、お菓子を見ても「どじょう掬いね・・・」という、印象しかなかったのだ。
ところが、「ひょっとこ」をモチーフとした形状のお菓子は、「どじょう掬い」そのものを知らない人にとっては、「ひっとこ」のコミカルで可愛らしい表情という印象を持ったようだ。
味そのものは、美味しいと地元でも評判だったので、心配はしていなかったのだが、そのお饅頭の形が「可愛い」と思ったことはなかった。

おそらく地元の場合、その商品に対する情報量(テレビCMなど)による「固定的なイメージ」があり、違う見方がができにくいのかもしれない。
ところがお土産をもらう側は、そのような情報量がない分、地元では見落としがちな部分や全く違う商品イメージを持つコトができるのかもしれない。
一般的な和菓子のような「繊細な美しさ」は、情報量などに左右されるコトが無いが、お土産となると全く違うのだろう。
もちろん「お土産用のお菓子」なのだから、地元よりも観光客が購入対象者となるのだから、仕方のないことかもしれないのだが、地元だからこそ、見つけるコトができない魅力というモノがあるが、その経験をしたような気がした。









地域ブランドを育てるには

2016-02-21 21:33:38 | ビジネス

今日、実家から名古屋へ戻ってきた。
帰省中、実家のテレビで見るニュースのほとんどは「ローカルニュース」になる(当たり前だが)。
もちろん、NHKの全国ニュースは放送されているので見るのだが、放送されるニュースの時間のうち全国ニュースよりもローカルニュースのほうが多いのだと、改めて気づかされた。

その中で、地元の「大山(「だいせん」と読みます)」の名前を付けた、ブランド鶏肉が偽装されていた、というニュースが随分取り上げられていた。

毎日新聞:鶏肉九州産を「大山都どり」と偽り販売

おそらくこのニュースは、偽装した企業のある京都と鳥取県で取り上げられていたくらいで、全国ニュースにはなっていないだろうな?という、気がした。
と同時に、「地域ブランドを育てる」という難しさも知ったニュースだった。

ここ数年、地方では「6次産業化」という名の元、様々な農畜産品を地元で生産・加工・販売をする動きが盛んになってきている。
そこで必要なことは「地域ブランド」だ。
実際、実家のある米子周辺では「大山」という名前を付けた様々な農畜産品が、販売されている。
ただ、今回偽装された鶏肉は、実はブロイラーで育てられた鶏肉で、おそらく一般消費者からすると九州産であっても、その味の違いなどはわからなかったでは?という、気がしている。
それだけではなく、この偽装した企業が名付けた名前であった、と聞くと「地域ブランド」ではないのでは?という、気もしてくるのだ。

おそらく地元とすれば「大山」という名前を使うのだから、「地域ブランド」として販売をしてくれている、と思っていたのだと思う。
しかし実際の生産者側が、どれだけ販売をするために関わっていたのだろうか?という、疑問を感じたのだ。
「6次産業」として、「地域ブランド」を育てるためには、生産時点で「物語性」のようなモノが必要になる。
「物語性」というと、大げさな感じがするが「どのような自然の中で、どのような思いで生産している農畜産物なのか?」という、「生産者の思い」というとわかりやすいかもしれない。
とすれば生産者側も、販売ルートそのものを他県の業者に任せるのではなく、極力地元の業者を通じて販売ルートを確保(あるいは、限定)したほうが、「品質管理」などの面でも安心ができるはずだ。それは生産者側だけではなく、そのような「地域ブランド」の商品を購入する側にとっても、安心を提供するコトができる。

もう一つは「地域ブランド」そのものを育てるのは、販売事業者ではなく生産者側にある、ということだと思う。
生産者側がいくら「地域ブランド」を立ち上げても、売れなくては意味がない、と言われるかもしれないが、生産者側が生活者側に近づくコトで、「地域」の姿は伝わりやすい。
「地域ブランド」は「商品名を売る」のではなく、その地域全体のイメージを含めた「モノ・コト」を販売することなのだ。
言い換えれば「地域を売る」コトが、「ブランドを育てる」ということに、結びつくのだ。

これまで成功している「地域ブランド」の商品というのは、これらの「物語性」や生産者側が生活者に近づくような、努力を惜しまないところが成功をしている。
「地域ブランド」を育てるのは、あくまでも生産者側とその地域全体の力なのだ。
業者任せで「地域ブランド」が、育つわけではない、ということを改めて教えてくれたニュースだった。


甘利さんと宮崎さん、どちらが政治家として問題なのか?

2016-02-15 15:27:25 | 徒然

今日、安倍さんが異例の謝罪をしている。
毎日新聞:宮崎議員辞職へ:安倍首相「非常に特殊な例、申し訳ない」

確かにこれまでも、女性がらみのスキャンダル議員さんはいた。。
でも、議員辞職をした議員さんというのは、記憶にない。
その昔「大物政治家」と呼ばれた議員さんの中には、女性を囲い(いわゆるお妾さん)、お子さんまでいらっしゃった方がいた。それも一人や二人ではなかったような気がする。
そう考えると、この宮崎さんという議員さんは、辞職するほどのコトだったのか?という、気がしてくる。

おそらく辞職に追い込まれた大きな理由は、「イクメン気取り」で「国会議員の育休取得」を言い始めたのに、その実「イクメン」どころか「女癖の悪い男」だった、ということが露見したからだろう。
「女癖が悪い」コトと、「イクメン」を同列で考えるコトもどうなのか?という気がしないわけではないが、世間的には「イクメン=家族思いで優しい男性」という、イメージがあるコトを考えれば、「女癖いが悪い男が、そんな政策をいうこと自体、おかしいだろう。自分のコトを顧みてからモノを言え」という、反発があっても仕方のないコトだと思う。

そしてこの宮崎さんという議員さんは、「話題の中心にいる自分が大好き!」というタイプなのでは?という気がする。
「育休発言」にしても、安倍さんが「一億総活躍社会」などを、言い始めた直後にあったような気がする。
ここ2,3年、自治体の若い首長さんの中には「育休宣言」をし、実際、数日~1、2カ月ほど「育休」を取られる方もいらっしゃった(議会が休会中の時が、ほとんどだったように記憶している)。
そのような流れの中で「イクメン宣言をする自分は、かっこいいな~」というイメージが、好きだったのでは?という印象がある。
というのも、妊娠⇒出産までの時間は、「十月十日」と言われるくらいの時間がある。
奥さんである金子議員のお腹が随分目立つようになってから、いきなり「国会議員も育休を認めるべき」と、言い始めたところで、多くの人は「なんだかな~」と、共感するコトができなかったのではないだろうか?
その挙句、出産間近の奥さんをだますように、自宅に女性を連れ込む・・・というのは、奥さんとしては怒り心頭どころの騒ぎではなかったと思うし、スキャンダルが出た時点で多くの女性から嫌悪されるコトになったのは、仕方ない。
しかし、政治家として法に触れたわけではない。
どちらかと言えば、「家族の問題」だと思う。

一方、大臣を辞められた甘利さんの場合「贈収賄」という、事件性のある理由で大臣を辞められている。
どちらかと言えば、甘利さんのほうが議員辞職をしても、おかしくはないのでは?
にもかかわらず、宮崎さんの「不倫」という話題で、すっかり甘利さんのコトなど忘れ去られてしまった感がある。
本来であれば、メディアを含め継続的に甘利さんの問題を追及する必要があると思うし、事件の解明を進めるような動きがあっても良いと思う。
にもかかわらず、「甘利さんが大臣を辞めたのだから・・・」という、責任を求めないような雰囲気になってきているのは、いかがなものだろう?

メディアはスキャンダルな話題へと流れやすい部分があるのは、ある意味仕方のないことかもしれない。
でも「問題の本質と社会的重要性」を見極めた、世論づくりをする必要があると思うのだ。

お知らせ:明日からしばらく、帰省のためお休みをします。
     週明けには、再開する予定です。



チョコレートにも新しい波

2016-02-13 20:24:31 | トレンド

明日は「バレンタインデー」。
今年は、日曜日になったため「義理チョコ」需要が、随分減ってしまうらしい。
その代わり「逆チョコ」と呼ばれる、男性から女性、友達同士で送りあう「友チョコ」と呼ばれるような、需要が高まっているという。
数年前からは「自分(ご褒美)チョコ」なども、一般的になっているようだ。

このような「贈る相手」への変化だけではなく、最近ではチョコレートの原料であるカカオの産地も、随分変わってきている。
今でも日本のカカオ豆の輸入先として一番多いのは、チョコレートの商品名にもなっている「ガーナ」のようだが、4年ほど前からインドネシアのカカオ豆を使ったチョコレート専門店が京都にオープンし、話題になった。
他にも、ベトナム産のカカオ豆を使ったチョコレートなども登場し始めている。
来年くらいには、本格的に「石垣島産カカオ豆」が、市場に出るという話も聞いたことがある。
試験栽培に協力しているのは、北海道のチョコレートメーカー「ロイズ」だ。

インドネシア産やベトナム産などのカカオ豆を使ったチョコレートの多くは「ビーン・トゥ・バー」と呼ばれ、カカオ豆そのものの味を楽しむ「板チョコ」として、販売されることが多いようだ。
日経新聞:究極の手作りチョコレート カカオにこだわり
ただし、記事中にもあるように「板チョコ」と言えども、決して安いわけではない。
ベトナム産のカカオ豆を使った「マルゥ」というブランドのチョコレートは、2500円程度のものが主流。
これまでのような「フェアトレード」のチョコレートよりも、随分高額な価格設定になっていることも多い。
それは「生産者が自立できる価格」というよりも「生産者が誇りの持てる価格」という、価格設定になっているようにも思える。
「生産者が誇りの持てる価格」というのは、経済的自立の先にある支援ということなのかもしれない。
もう一つは、アフリカを中心としたカカオ栽培では、子どもたちを主な労働力として使っている、という問題もあるのでは?
世界の裏側ニュース:子供の奴隷を使っているチョコレートブランド7社
日本に輸入されるカカオ豆の多くが、ガーナ産なので「子どもの奴隷を使っている」とは言い切れないのだが、指摘されているブランド7社のうち「ゴディバ」のような、日本でも高級チョコレートとして親しまれているブランドがあるコトには、購入者としても考えなくてはならないかもしれない。
そのような、世界的なカカオ豆を取り巻く環境などから、あえて産地を変えメーカー自らがカカオ豆栽培にかかわるようになってきているのが、インドネシアやベトナムのカカオ豆ということになるかもしれない。

もう一つ「ビーン・トゥ・バー」チョコレートに共通するのが、産地で異なる「カカオの個性」を楽しんでもらいたい、というアプローチだ。
コーヒーの産地によって味が違ったりするのと同じように、カカオも産地によって味が違う。その違いを楽しむためのチョコレート、という「お菓子」の楽しみ方とは違う楽しみ方の提案が、今年のバレンタインでされているのも、今年のトレンドのような気がする。

週明け「ゴディバ」ではなく「板チョコ」をもらって、ガッカリされませんように、男性諸氏の皆さま。
「板チョコ」こそ、本命チョコかもしれませんよ(確約はできませんが)。


ライセンス契約とブランド

2016-02-12 20:06:06 | マーケティング

今日のYahoo!のトピックスに「ヤマザキナビスコの社名変更」という、記事がUpされていた。

ヤマザキナビスコニュースリリース:ライセンス契約終了に伴う商号変更等のお知らせ

一昨年(だったと思う)、衣料品メーカーの三陽と英国バーバリー社とのライセンス契約が終了し、バーバリー社は日本法人を立ち上げ、三陽はバーバリー社の代わりに同じ英国の衣料品ブランド・マッキントッシュ(appleのPCのコトではない)との契約を発表している。
最近では、うがい薬の「イソジン」が明治からムンディファーマ社へ、製造販売が移管された(販売に関しては塩野義製薬が行うようだ)。

株式会社明治 プレスリリース:50年以上にわたる普及実績と知見により「明治うがい薬」新発売
ムンディファーマ:「イソジン®」ブランド製品販売提携のお知らせ

現在でも「イソジン」と検索をすると、株式会社明治の「イソジン公式サイト」が表示されるのだが、ライセンス契約終了し、新ブランド名で商品が発売される4月1日からは、「イソジン」から「明治のうがい薬」のサイトとなるのだろう。

このように、長い間日本の企業が育ててきたブランドが、ライセンス契約終了とともに商品の取り扱いが無くなったり、「イソジン」の場合のように親しまれてきたキャラクターが、新しい商品へと引き継がれるというケースがある。
「イソジン」の場合、商品名はもちろんだがキャラクターの「カバくん」に対しての認知度が高く、「うがい薬」と言えば「イソジン」。「イソジン」と言えば「カバくん」という、連想ができるほど親しまれてきたブランドであり、キャラクターであった。
それが「イソジン≠カバくん」となってしまうと、買い手側は混乱してしまう可能性がある。
ヤマザキナビスコにしても、左上にある「赤い三角マーク」のパッケージを見るだけで、「オレオ」だとか「リッツ」=ナビスコの商品だとわかるほど、親しみがあるマークとなっているはずだ。
それほど、定着したブランドやキャラクターの影響は大きい。

ライセンス契約というのは、契約期間中に「ブランドを育てていく」ということが、ビジネスの中心となる部分がある。
もちろん、すでに有名なブランドのライセンス契約の場合は、ライセンス契約により自社のイメージアップを図ったり、認知度を上げるということになるのだが、上述した3社に関しては「ブランドを育て、市場を創ってきた」という部分のほうが大きい。
その意味では、ライセンス契約を終了するということは、企業としてのダメージが大きい。
ただし明治の場合は、キャラクターである「カバくん」を引き続き使うことができるので、逆に販売を担当する塩野義製薬のほうが、一新したブランドイメージを創るのが厳しいと思われる。
ヤマザキナビスコの場合、Jリーグの「ヤマザキナビスコ杯」というスポーツイベントにも影響を与えそうだ。

ライセンス契約というのは、ブランドそのものだけではなくキャラクターなど、日ごろ生活者が目にしたり、耳にしたりする部分での影響が大きくかかわってくる。
だからこそ「ブランド」や「キャラクター(商品マスコット)」などは、「(数字では)見えない資産」と言われるのだ。