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アース製薬、大幸薬品への出資で、見えてくるコト

2016-06-06 21:18:41 | ビジネス

日経新聞に、アース製薬が大幸薬品に出資する、という記事が掲載されている。
日経新聞:アース製薬、大幸薬品に5.78%出資、感染症予防で協力

記事にある通りの趣旨での協力体制、ということだと思う。
そして、このような出資をするコトでの事業協力は、増えてくると思う。
その理由として挙げられるのが、ここ数年社会的問題になっている「海外からの感染症」という点だ。
思い浮かぶだけで、「鳥インフルエンザ(SARS)」、「エボラ出血熱」とか「ジカ熱」など、人の活動範囲がグローバル化しているからこそ、懸念される「感染症」が増え続けている。

もう一つは、医療の分野でも「がん治療」よりも「感染症対策」のほうへと、移り始めていると実感するコトが多いからだ。
確かに「がん」という病気は、「人生の終わり」を思い起させる病気だ。
しかし、早期発見・治療ができれば5年生存率は80%以上という、がん種も少なくない。
抗がん剤を含む化学療法薬の進歩も、目を見張るものがある。
問題となるのは「薬価」と言われているほど、治療という面で考えると「日進月歩」以上の速度で治療方法が増えているのが、「がん治療」だと言われている(様々な「がん医療」に関するセミナーや公開講座に出席しての印象)。
その意味で、「がん」は「長期的に付き合う病気」という、位置づけになってきている。

その腫瘍専門医の先生方が「感染症が、最後に残る問題」だと、指摘されるコトが多いのも事実なのだ。
そう考えると、今回のアース製薬の大幸薬品への資本参加というのは、自然の流れだと思う。
むしろ、家庭用殺虫剤メーカーがウィルスの除菌などを得意とする薬剤メーカーとが事業協力していく、切っ掛けとなるのではないか?と思う。

もちろん市場となるのは、日本だけではない。
むしろ東南アジアを中心としたアジア地域、南米、アフリカなど国外への事業展開を中心に考えているのではないだろうか。
特に、今年はブラジル・サンパウロ リオデジャネイロで開催されるオリンピックに対して、「ジカ熱」の発生によって「感染」への不安が起きている。
「オリンピック」という華やかなイベントに、影を落としそうな感染症なだけに、関係者にとっては難しい対応が迫られる問題だと思う。

「感染症」というと、日本では「インフルエンザ」が一般的だが、世界という視点で見れば、いまだ解明されていない「感染症」は数多く存在すると思う。
「感染症」の怖い点は、「発生してみないとわからない」という部分があり、感染ルートや媒介となる生物などなど、不明な点が多い。
そのような「わからないコト」に対応するためには、近いようで違う研究をしている企業と協力するコトが必要となってくるはずだ。
その始まりが、今回のアース製薬が大幸薬品へ資本協力、という気がしている。