Yahoo!のトピックスに、「国際的スポーツイベント中継が、地上波から無くなるのかな?」という、記事があった。
東洋経済on-line: 【スクープ】2026年ワールドカップ放送権でFIFAが博報堂と交渉か→「電通外し」へ動いた真因をFIFAに直撃すると意外な狙いが見えてきた
「日本における国際スポーツイベントの仕切り役と言えば、電通」と言われるほど、電通の力は強かった。
特にサッカーにおいては、電通とFIFAのマーケティング会社・ILS社が突然倒産したのは2001年だった。
日韓W杯開催前年の倒産ということで、チケット販売などが混乱に陥った、ということを覚えていらっしゃる方もいるのでは、無いだろうか?
ILS社が倒産した時、電通は既に資金などを引き上げていたため、電通側はILS社との関係を否定することになったのだが、ILS社そのものはアディダス社と電通が共同で設立した、FIFA専用のイベント会社であった、と言っても過言ではない(と、再三言われてきた)。
FIFAにとって、アディダス社と電通は最大スポンサーであり、実質的な運営会社であった、と考えてもよいだろう。
それほど「蜜月状態」であった、FIFAが電通を外しにきている、というのは衝撃的なことだ。
まして、日本サッカー協会と電通、そしてアディダス社との関係は長く、深い。
日本代表の国内外の試合は、電通が仕切ってきた、と言っても良いだろう。
もちろん、FIFA側の言い分もわかる。
FIFAという組織も一枚岩という訳ではなく、むしろ「南米vs欧州」という、組織内での権力争いが常に起きている。
FIFA組織内で圧倒的な権力者であった、ブラッター氏の失脚は欧州役員にとって自分たちの権力拡大のチャンスでもあった。
とすれば、欧州役員にとって南米側に近いとされてきた電通を排除したい、という考えが起きるのは当然のことだろう。
だからと言って、博報堂が日本代表の試合が仕切れない、という訳ではないと思う。
というのも、Jリーグの運営には博報堂が大きく関わっているからだ。
日本代表関連は電通。Jリーグ関連は博報堂。というすみ分けができているからだ。
博報堂に力がない訳ではない。
ただ電通はサッカーW杯だけではなく、オリンピックや国際陸上など、世界規模のスポーツイベントを企画段階で仕切り、放送権などの調整をし、事前イベントなどを行ってきたからだ。
現在開幕中の「大阪・関西万博」も、電通が数々の不祥事発覚により、企画・運営から降りたため、数々のトラブルを解決できていないのでは?という、指摘すらあるほどだ。
今や電通や博報堂といった「広告代理店」は、テレビ局などのスポンサー探しから広告制作などを請け負う企業というよりも、国際的なイベントの誘致から企画、運営、キャラクターデザインの選考、販促企画などなど、実質的な運営母体となっているのだ。
そのことを考えると、FIFAが電通を排除するということは、これまでの電通とFIFAの関係を断ち切る、ということであり、懸念されるのは、むしろこれまでのFIFAと日本サッカー協会との関係が、大きく変わるのではないか?という点なのだと思う。
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