日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

思い込みが、ビジネスチャンスを失わせる

2008-06-30 23:11:52 | マーケティング
先週の夜、テレビを何気なく見ていたらチョッとビックリするような、お話を聞いた。
番組の内容は「オシャレな靴選び」という、女性向けの番組だったのだが、靴選びのアドバイスをする方のお話に、「え!」と思ったのだ。

靴選びのアドバイスをする方は、「シューフィッター」の中でも「マイスター」と呼ばれる人。
最近では、百貨店などの靴売場で「シューフィッター」という、プレートを胸につけている販売員さんも多くなってきたので、ご存知の方は多いだろう。
その「シューフィッター」の中でも、上級指導者的立場にある人が「マイスター」と呼ばれている。
その「マイスター」さんが、「日本人の足は、甲高・幅広と一般にいわれていますが、きちんと測ると幅広ではなく、むしろ幅狭の方のほうが多いんですよ」と、にこやかに話したのである。

このマイスターさんが言うように、「日本人の足は甲高・幅広」だと一般的にいわれている。
実際、靴屋さんに言ってみるとE~2Eくらいが、多く3Eなどが「幅広コーナー」にあることが多い。
しかし、このマイスターさんが言うのが本当なら、D~Eくらいが標準で3Eという方は殆どいないかも知れないのだ。

何故「日本人の足幅が広い」と思われるようになったのか?という、説明もマイスターさんがしてくれた。
その内容もまた、驚きと共にビジネスチャンスはこういうところから生まれるんだ!と、変に関心をした。

拙ブログにきてくださる方は、普段履いているご自分の靴の中を見ていただきたい。
おそらく多くの方の靴は、真平らなのではないだろうか?
女性の場合は、真平らな上に足先が細く尖っていて、ヒールも6cm~8cmくらいあるのでは?
しかし、人の足には土踏まずや足の指など複雑な形をしている。
その形に合わせていないから、靴が幅広足を作りだしてしまっているというのだ。

ここまでの話を聞いて、なるほど!!!と思ったのは、私の足が標準的な足ではないからだ。
整形外科の先生が太鼓判!を押すほどの見事な偏平足尚且つ足幅が狭いという、難儀な足の持ち主で、歩き方が下手!!で、膝下~足首までスムーズに運動していない(=筋肉疲労と筋違いをおこし易い)とまで、言われた足なのである(トホホ)。
そのため、補助となるインソールは必須アイティムとなり、見た目綺麗でヒールの高いパンプスは使用禁止状態となっているのである。

違う見方をすれば、靴を作る過程で「日本人の本来的足型」で作れば、足のトラブルのない靴ということになる。
「日本人の足は『甲高・幅広』」という、思い込みを外してみると、新しいビジネスチャンスが見えてくるのだ。

このようなことは、何も靴に限ったことではない。
「業界の思い込み」が、ビジネスチャンスを潰している可能性があるのだ。
そのことをよく現したのが、今回の靴だったのである。

机の上と現実

2008-06-30 05:30:52 | ビジネス
朝日新聞のWEBサイトに、淀川水系ダム 滋賀県知事、国の被害想定「大きすぎ」という記事が掲載されている。
先週には、「諫早湾干拓の堰き止め門の早期開放」を決定する判決が出た。

「諫早湾の干拓事業」は、当初の事業目的からどんどん変化し、最終的には農地目的となった。
ところが現実は、干拓地の殆どでの農地化は進んでいない。
むしろ、干拓事業による水産被害の方が、問題になってしまった。
名古屋にとって身近な問題は、「徳山ダム」だ。
このダムも当初の事業目的から、その時々で目的が変わり今ではダムそのものの必要性に疑問符がついても、工事がすすみ来月あたりから運用が始まる。
その結果、徳山ダムから水を貰うということになっている。
ところがその水そのものが、必要がなくなってきている。
総事業費のうち、名古屋市も相当負担をすることになっているため、「使わない水代」を名古屋市民も水道代として負担することになる(この物価高にWパンチ!という感じだ)。

お役所の「机上の論理」というのは、淀川のダム建設や諫早湾の干拓事業などに限ったことではない。
先日は、医療報酬改革で小児科がピンチに陥っている、という報道もあった。
高齢者だけではなく、子供たちの医療も満足に受けられないような状況にあるのが、今の日本の医療行政の実態のようだ。

何故、このような現状とチグハグなコトばかり起きるのか?
いみじくも滋賀県の嘉田由紀子知事が言っているのだが、「現実を見ていない」からだろう。
「一旦走り出したら止まらない」という事業は、ありえない。
徳山ダムなどは、計画から半世紀という時間があったにも関わらず、「事業ありき」で進んでしまい、今では運用前から「お荷物事業」となってしまった。
それなりの投資をするのだから、当然投資に似合うだけの利益がなくては意味がない。
企業であっても、行政であってもそれは同じだ。
「利益」というのは、儲けという意味ではない。
「市民益」や「生活者利益」という意味だ。

「市民益」もしくは「生活者利益」を中心に考えた場合、やはりその現場に行って現状を把握し、何度もリサーチを繰り返す必要があるのだ。
そして「諦める」というコトもまた、大切な判断なのだ。
行政の失敗からビジネスマンが学ぶべき点は、まさにこの点なのだと思う。


雨の日の風景-メンズのレインファッション-

2008-06-29 17:26:13 | ライフスタイル
梅雨らしい、雨が降り続く週末だ。
九州などでは、大雨の影響で災害が起きているようだ。
どうか、お気をつけください。

そんな雨降りの中、週末の買い物に歩いて出かけた。
といっても、近所の大手スーパーだ。
買い物を終えた帰り道のことだった。
すれ違った20代前半と思われる、スーツ姿の若い男性の格好に一瞬目が「・・・???」となった。

「・・・???」というのは、「アレ?」と何?」が一瞬にして目に飛び込んできたからだ。
若い男性が着ていたのは、グレーのスーツ。
ところが膝から下が、やけに派手なチェックだったのだ。
暫し振り返り、「派手なチェック」を確認すると(これがマーケター的かも)、どうやら「アームカバー」ならぬ「レッグカバー」のようだ。
ナイロン製で、足首から膝下までをスッポリと覆っている。

確かに、雨脚も相当激しくなりつつあり、私などは「足がぬれる覚悟」のサンダルで歩いていた。
スーツにサンダルというわけにはいかないだろうし、何より「泥はね」が気になる。
その対策としての「レッグカバー」だったのかも知れない。
しかし、今まで「レッグカバー」なるモノを見たことがない私にとって、その光景は衝撃的(チョッと大袈裟)だった。

もしかしたら、ゴルフをする人向けの商品としてあるのか?と思って、検索してみたのだが、見つからない。
彼の家族オリジナルの「レッグカバー」なのか?
ますます興味が湧いてくる。
地下鉄の駅に着いたとき、その「レッグカバー」は、どうするのだろう?
目的地まで、身に付けたままでいるのだろうか?
様々なことが、頭に浮かぶ。

昨年あたりから、若い女性の間では「レインブーツ」という名の「長靴」が、流行っている。
今年はより進化し、ファッション性も上がっている(値段も上がっている)。
ところが、男性の間ではこのような「レイングッズ」の流行が見られない。
自転車の傘差し運転が、道路交通法で危険運転となってから「レインハット」や「レインコート」の売上が伸びた程度のことだろう(といっても、これらの商品も女性向けが伸びているだけで、男性向けでは余り伸びていないようだ)。
男性が着るステキなレインコートというのも、見かけた記憶が殆どない。
有名ブランドで出しているのかもしれないのだが、庶民が気軽に手にとって着るという範疇では見たことがない。

「レッグカバー」というのは、余りにも意外性に富みすぎているように思うのだが、案外「ニッチ」としての需要があるのかも知れない・・・。
何より、男性が雨の日を楽しむファッションの提案が、あってもおかしくはないだろう。

「せんとくん」の好感度とライバルたち

2008-06-28 13:51:20 | トレンド
朝日新聞のWEBサイトに、「せんとくん」の好感度調査結果が掲載されている。
記事を読んでみると、「せんとくん」の存在感は十二分にありすぎるようだが、肝心の好感度となると・・・。
若年層では、ライバル(?)「まんとくん」に軍配が上がる。
何よりもダークホースとなるような、キャラクターが存在していたことにビックリしている。
それが「なーむくん」だ。


何でも、こちらのキャラクターは寺院親睦団体が作ったキャラクターで、なんと!聖徳太子をモチーフにしている。
「聖徳太子」とは、盲点だった!というか、奈良の文化に大きく関わる最高のキャラクターであることを、すっかり忘れていた。
それだけではなく、この「なーむくん」は基本ポーズのほかに5ポーズがある。

「せんとくん」もいくつかのポーズがあるのだが、あの鹿の角が邪魔になり快活な感じがイマイチしない。

そして仏像+鹿の「せんとくん」は、インパクトは確かにあるのだが、キャラクターとしての「可愛らしさ」「親しみ感」では、聖徳太子の「なーむくん」は、余り話題に上らなかった割には、人気があるようだ。

行政主体で決まった「せんとくん」だが、ひとつのイベントに様々な団体がこれだけのキャラクターが生まれることも珍しい。
できれば、この3キャラクター競演のイベントが見てみたい・・・。

ピンチをチャンスに変える発想

2008-06-27 20:09:50 | マーケティング
昨日、今日あたりが「株主総会集中日」となっていたようだ。
といっても、しばらく前から分散するようになってきたため、以前ほどではないようだ。
そして、昨年話題になった外資ファンドによる「提案」もJパワーズとアデランス以外、余り話題に上らなかったように思う。
そんな中、名古屋の第3セクターの企業の株主総会が行われていたようだ。
企業の名前は、愛知高速交通株式会社
「リニモ」を運行管理している会社といえば、名古屋以外の方でも分かっていただけると思う。

その愛知高速交通株式会社の株主総会が、今日あったというのだ。
一部ローカルニュースで報じられていたのだが、どうやら赤字が止まらないようだ。
当初の1日当たり利用客数が3万2千人程度を見込んでいたようだが、現実はその半分にも満たない。
見込みとなった試算すら、今では何を根拠としていたのか分からないようだ。
沿線にある大学に呼びかけて、何とか学生の利用客を増やすなどの努力をしているようだが、思ったほどの効果はでてはいないようだ。

「リニモ」そのものは、「愛知万博」のために造られたような交通システムだった。
そして「愛知万博」のテーマは、「環境」だった。
その「環境維持」のため、沿線の多くは「市街化調整区域」となり住宅建設もままならない地域となり、名古屋に通勤する沿線住民を当てにできない状況となっている。
もちろん「パーク&ライド」促進のために、駐車場なども作ったようなのだが駐車台数が120台程度では、促進にはならないだろう。
何より、この原油高騰でガソリンが1リットル当たり180円近くもする時代だ、「クルマそのものの利用を控えたい」という気持ちの方が、今の生活者には強いのではないだろうか?

そもそも「リニモ」の利用が低い理由は、法外とも思える値段だ。
全距離8km余りの距離で、最高360円(大人)する。
名古屋市営地下鉄の場合、15km超で320円となっている。
この値段の高さが、ネックになっているのではないか?と、個人的には考えているのだ。
「リニモ」始発となる名古屋市営地下鉄「藤が丘」から「リニモ」に乗り換え利用する人には、それなりの「割引定期」のようなモノが、必要なのではないだろうか?
もしくは、「リニモ」運営会社・愛知高速交通の株主の1社でもある名鉄は、藤が丘~リニモ沿線から住宅地にかけ、バスを運行させている点を考えれば「バス・リニモ利用割引きっぷ(定期券)」などで、自家用車の利用ではなく公共交通機関の利用促進を図るアイディアが必要だと思うのだ。
また、沿線の中心となる長久手町は、「町営バス」を運行している。
最近小さな自治体でよく見かけられる、限られた地域内を100円/回で利用できる自治体が主体となった交通機関である。
その町営バスを、家庭やレストランなどから出る廃天ぷら油などを利用した「エコバス」に切り替えた上、リニモとの「ジョイントきっぷ」などを企画する必要があると思うのだ。

おりしも、ガソリンの値上がりが止まらない状況となっている。
その意味では、リニモ沿線住民にとっては「生活の危機的状況」なのだ。
リニモの運営だけを見て「利用者の拡大」を図るのではなく、生活者の状況を見ることで、ピンチをチャンスに変えることができるのだ。
「第3セクターだから」こそ、その様な発想が必要なのではないだろうか?

ブランドを創る努力

2008-06-26 22:54:17 | マーケティング
伊勢にある有名店といえば、「赤福」を思い浮かべられる方が殆どだろう。
伊勢神宮周辺には、いわゆる「お伊勢さん」への献上商品を扱うお店が、いくつもある。
その中のひとつに「伊勢せきや」 という煮鰒を献上するお店が古くからある。
実は、数年に2、3回ここのおせんべいを、メールオーダーする。
そして余り優良顧客だと思えない私宛に、季節ごとのご案内を頂く。
まぁ、お店側からすれば、優良ではないにしても、ある程度のサイクルでリピートする客という認識で、DMを出しているのかも知れないのだが、いつも素敵なDMを作っていることに関心する。

そして今回、チョッと驚く内容のDMを頂いた。
ここのメイン商品は「参宮あわび」という、お伊勢さんに献上してきた煮鰒だ。
そしてその「煮鰒に合うお酒作りをはじめた」という、案内だったのだ(携帯で上手に写真が撮れず掲載できません・・・ごめんなさい)。
ご案内の文からも、その心意気というか、真剣さが感じられるのだ。
日本酒の成り立ちから始まり、選び出した麹米、掛け米に至るまで「伊勢」という土地にこだわり、3年計画で「参宮あわび」に合うお酒作りを始めたという内容になっている。
文末だけご紹介すると
「参宮あわび」に合うお酒を作る為に私たちは、伊勢と縁が深く酒造りにもっとも適するとされるお米を選定し田植えをし、お酒の原料作りから準備を進めています。最後の熟成期間も考えますと今から三年先に出荷の予定とまります」
とある。

もちろん麹米、掛け米などは契約農家で生産したもの。
掛け米に至っては「伊勢光」という、伊勢で生まれ、門外不出の伊勢神宮の御料米を使うという。
その酒作り初年度となる今年は、籾種作りのための田植え作業というのだから、力の入り方も半端ではないように思われる。

今月はこの東海地域では、様々な食品偽装が発覚した。
だからこそ、「伊勢せきや」のような企業姿勢がとても新鮮で、真摯な印象を受けるのだ。
それが、非優良顧客である私であっても「3年後が楽しみ」という、気持ちになるだけではなく、この新しいお酒のブランド作りに参加してみたい!という、気持ちにさせられるのである。

「ブランドを創る努力」の大切なひとつの企業姿勢だ。


実費で(落書き)消しに行って来い!-大学生の落書き-

2008-06-26 12:09:03 | 徒然
今日の朝日新聞のWEBサイトに京産大生もイタリアの大聖堂に落書き 3人の処分検討という記事が掲載されている。
この前には、岐阜市立女子短大の学生が、落書きをしていたと報道があった。
なんとも情けない、大学生たちだ。

「海外旅行で、気分が高揚していた」というのが、落書きをした理由のようなのだが、「旅の恥はかきすて」というトコロなのか?
このような落書きは、何も海外に限ったことではない。
昨年だったか?鳥取砂丘に自分たちのサークル名か何かを書いた、大学生グループもいた。
こちらは「記念に書いた」というような理由だった。
そして、彼らは名古屋大学の学生だった。

こうやって見ると、大学の偏差値の問題ではなさそうだ。
単純に「やっていいこと・悪いこと」が分からないだけの問題のようだ。
私が学生だった頃も、このようなコトを平気でする輩はいた。
だから「今の学生は・・・」などと言う気はない。
ただ、「自分でやったコトには、自分で始末をする」というコトが必要だと思うのだ。

世界遺産を傷つけたのだから、謝罪は当然のこと。
「厳重注意」ではなく、アルバイトなどで自分でお金を調達し、実際自分たちが落書きをした大聖堂に行って、自分たちの落書きを消すくらいのコトをしなくては、自分たちのやった情けなく愚かな行動の重大さというコトが、理解できないのではないか?と思うのだ。

決して彼らを、「見せしめ」にするつもりは無い。
だが、最近各所で見られるような文化財や歴史的建造物に対する落書きは、その背景にある文化や敬意というモノを蔑ろにしている、というコトを理解させる為に必要なのではないか?というコトなのだ。
自然遺産などは、その地域に住んでいる人たちとの生活と密着した信仰(宗教ではない)に似たような関係がある。
落書きは、それを蹂躙するような行動でもあるのだ。

「問題になって、初めて自分たちの愚かさに気がついた」というのではなく、「歴史や文化の中から学ぶ」という姿勢を、教育として教えなくてはいけないということなのか・・・。
勉強ばかりできても、これでは情けない・・・。


CMの作り方

2008-06-25 21:59:51 | アラカルト
朝日新聞のWEBサイトを見ていたら、クリエイティブ・ディレクターの佐々木宏さんの記事が掲載されていた。
どうやら今、ギンザ・グラフィック・ギャラリーで、個展を開いていらっしゃるようだ。
今月上旬から始まっていて、今週末までのようなのだが、残念ながら行けそうにない。

「ニッポン応援団長」として、様々な企業を「CMで元気にしたい!」という気持ちが伝わってくるCMを、クリエイティブ・ディレクターという立場で、創り続けている。
私たちが知っている、「そうだ!京都行こう」キャンペーンなどは「絵葉書で十分」というクライアントの言葉に、「ならば、徹底的に絵葉書で京都の良さを伝える」という発想は、その後のシリーズ化や「奈良キャンペーン」へと引き継がれている。
シンプルな映像の中に、削ぎ落とした言葉=キャッチコピーは、ゴテゴテと飾り立てたCMよりも遥かに、印象深く残る。
反対にソフトバンクの「白戸家」シリーズなどは、コミカルで親しみが湧く。
実際、今年のCMの好感度調査・男性部門では、長男役の「予想GUY」さんがNo.1となっている。
「生活者のマインドをつかむ」という点では、実に優れていると思うのだが、それは単に優れた感性を持っているというだけではない。
周囲の人たち(クライアントを含む)に対して、とても謙虚という気がするのだ。

「そうだ!京都行こう」にしても、クライアントであるJR東海からの「ダメだし」のようなコメントから、着想し直し、徹底的に削ぎ落としたCMキャンペーンを作り、成功している。
それだけではなく、「本を読むのも、美術館に行くのも、映画を見るのも・・・」という、くだりでは、「あ!自分と一緒」と思われる方が多くいらっしゃるのでは?と思うほど、特別な「何か」を持った人物ではないように感じるのだ。
もちろん、佐々木さんご自身のもって生まれた感性や感覚、などは私などが真似しようと思っても、できるものではないことぐらい、十分分かっている。
だが、コメントのいくつからから十分ビジネスのヒントとなるモノ・コトがあるような気がするのである(と、同時に反省)。

ギャラリーに行けるチャンスのある方は、「発想のヒントをもらう」つもりで、足を運んでみる価値は十分にあるのでは?

生活の高品質化と企業

2008-06-25 12:16:02 | ビジネス
日経新聞他に、「グッドウィル、派遣事業撤退」という内容の記事が掲載されている。
先日にはフルキャストも日雇い派遣事業の実質的撤退となる、業務停止命令が出されている。
今回のグッドウィルも、二重派遣などが発覚した為の行政処分によるものだ。

現在の日本人労働者のうち、パートなどを含め非正規雇用者の数が、正社員と呼ばれる正規雇用者よりも多い。
結果として、低賃金労働者が多くなり、消費だけではなく社会保障費などについても、様々な問題が起きることとなっている。
「国民年金の支払い率が悪い」=「社会保障制度の崩壊」と、言ってしまうのは簡単だが、本当は「払いたくても払えない」という人の急増という点が、見過ごされているような気がしてならない。
「日々の生活で手一杯」という人に、将来の年金などという余裕はない。
「健康保険ですら、大変な思いをしているのに・・・」という現実があるのではないだろうか?

このような社会状況が続くと、将来的には年金生活者ではなく生活保護世帯が急増し、結果財政を圧迫してしまうようなコトだって、十分考えられる。
そのような社会というのは、本当に豊かな社会なのだろうか?
これまで「企業ありき」という発想で、日本経済は成り立ってきたようなトコロがある。
「生活の質」という点では、どうなのだろう?
正社員で働けば、連日の残業や厳しいノルマ。
うつ病などの病気による自殺者の急増。
一旦正社員というルートから外れてしまえば、その日の生活のやりくりにも困るような日雇い派遣・・・というのでは、とても「生活の質がよい」とは言えないと思うのだ。

企業にとって究極都合の良い「日雇い派遣」を拡充させることで、確かに企業利益は一時上がるだろう。
その結果、「経営努力をし、企業価値を高めた」と、売り抜け株主からは言われ増配を要求されるかも知れない。
しかし、株の売り買いで自己益を上げるような株主と、実質的な企業利益を作り、ブランド構築に協力してくれる生活者とではどちらが大切なのだろうか?
生活者=ステークホルダーであり、非正規雇用者を含めた従業員が含まれているはずなのだ。

昨日、トヨタ自動車の株主総会が行われた。
そして、年間2000万円を超える役員報酬が議決されたという。
その2000万円に値するだけの仕事を、もちろんしていらっしゃるのだと思うのだが、そのうちいくらかでも非正規雇用者や日雇い派遣者に配分することで、日本の経済はほんの少しでも元気になるように思うのだ。

企業の社会的責任の中には、『社会生活の高品質化』というモノがあるのではないだろうか?
それがひいては将来的社会保障の充実にも繋がるのでは?と考えるのだ。


「どん兵衛」の焼きうどん

2008-06-24 11:25:16 | マーケティング
近所のスーパーに、買い物に出かけたとき「へ~、こんな商品が登場したんだ・・・」と思う商品を見た。
それが、日清食品の「どん兵衛だし焼きうどん(かつお醤油)」「どん兵衛だし焼きうどん(旨みソース・マヨネーズ付き)」だ。
HPを見てみると、昨年4月に既に全国販売されているようなのだが、私の生活エリアでは見かけることがないまま、現在に至ったようだ。

確かに、「焼きうどん」というのも商品ラインナップとして、あってもおかしくはない。
元々日清食品には、「UFO」という「焼きそば」があるのだから。
しかし、「UFO」が誕生してから30年近く経って、やっと「焼きうどん」の登場となるのは、製造過程で何らかの問題点があったからかも知れない。

そしてこの時期は、カップめんの消費は落ちてくるシーズンだとも言える。
まぁ、冷房のガンガン効いている部屋で過ごしている方にとっては、暖かい麺類も良いのだろうが、昨今の「チーム-6℃」に参加している企業では、それほど冷房を効かせてはいないだろう。
となれば、熱い麺類よりも涼しげな麺のほうが、需要は増える。
同じ熱い麺でも、焼きそばのような麺類であればまだ食べやすい。
一番食べたくないのは、ラーメンやかけそば、うどん(カレーうどんは除く)などだろう。
名古屋人なら、味噌煮込みも含まれるだろう。
やはり、冬食べて美味しいと感じる麺類は、夏場は食べたくないモノなのだ。
その意味で、この「焼きうどん」というラインナップの充実により、「どん兵衛」が通年商品となったとも言える。

「カップヌードル」や「UFO」、今回の「どん兵衛」など、次々と新しいテイストの商品を出してきている日清食品だが、このような商品の冒険ができるのも中心となる商品が、キチンとしているからだろう。
「キチンとしている」というのは、軸となる商品のブランド力や市場での信頼度、生活者の認知度といったコトだ。

で、肝心の味なのだが・・・まだ、食べていません。
この点については、後日報告させていただきます。