日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

「人を思うアイディア」が、企業を伸ばす

2016-06-30 16:40:07 | マーケティング

FBの友人が、とても興味ある動画をUpしていた。
その動画は、ペダルが付いた車いす。
COGY:あきらめない人の車いす
車いすにペダルを付けることによって、脚力をつけるという目的で創られた車いすのようだ。
実際の動画を見てみると、事故などにより下半身を動かせなくなった方だけではなく、生まれつき障害を持った方でも、ペダルを踏み・車いすを自分で動かすことができるようになるらしい。

これまで、「車いすを動かす」ということを考えたとき、使う人が手を使って動かす、車いすを他の人が押すもしくは電動で動かす、という発想でつくられてきた。
車いすを使う本人が、自分の足で漕いで動かすという発想は、なかったような気がする。
この動画を見たとき、「目から鱗」という印象を持ったのは、これまでの発想とは全く違ったアプローチで、障害を持った人の行動を変えている、という点があったからだと思う。

まず第一に、「歩く機能を失っている人がペダルを漕ぐ力がある」とは、思っていないのではないだろうか?
この車いすのアイディアの中心となった、東北大学医学系研究科の半田康延先生が「人が足を動かすメカニズム」の研究があってのことだとは思うのだが、それを研究だけに終わらせずに「(障害を持った)人の行動範囲を広げるためには?」とか「リハビリに結びつけるには?」という、「人を思う」気持ちが発想の素となっているような気がしたのだ。

そして、このような「人を思う」発想というのは、実は日本人の得意な分野なのでは?という気がしている。
随分前に話題となった「痛くない注射針」が、グッドデザイン賞を受賞した。
この「痛くない注射針」をつくる切っ掛けとなったのは、糖尿病に苦しむ子供たちが、インスリン注射をする姿を見て「少しでも注射をする痛みを軽減したい」という、思いがあったと言われている。
そしてこの注射針は、日本国内だけではなく米国デモ販売されるようになっている。
作ったのは、岡野工業という中小企業だ(この話は有名な話なので、ご存じの方も多いと思う)。

企業規模によって、それぞれ得意なことがあるにせよ、「日本のものづくり」の原点というのは、「人を思う」ことから始まっているのでは?という気がしていると同時に、このように何かに特化できるモノを持つことで、企業は伸びるのではないだろうか?