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電子書籍の先駆けとなるか?-大御所作家の無料公開-

2010-05-12 08:18:45 | トレンド
10日、iPadの予約が始まった。
東京のApple Storeでは、予約のための行列が出来た、とニュースで見た。
それほど、注目されている「電子ツール」なのだろう。

そのiPadの最大の魅力は、「電子書籍」だろう。
現実には、日本ではまだまだ難しい状況だ。
もちろん、今でも雑誌やマンガの一部は「立読み」としてネット上で読むことができる。
そのスタンスは、「「立読み」をして、本を買ってね」というコトだ。
全編を読むというコトは出来ない。

そんなコトを気にしながら、新聞のWEBサイトのチェックをしていたら、ベストセラーとなっている五木寛之氏の「親鸞」上巻の無料公開配信の記事を見つけた。
気になって、調べてみると既に渡辺淳一氏の「死化粧」も、既に無料公開配信されているようだ。
もちろん、共に期間限定。

この記事を見て、「ヨシ!チョッとダウンロードをしてみよう」という方も、いらっしゃるのでは無いだろうか?
ただ、気になるのは今回無料公開されている五木寛之の「親鸞」にしても、渡辺淳一の「死化粧」にしても、とても厚い本だというコトだ。
ダウンロード時間はともかく、読み進めるのにはそれなりの時間が必要な本だと思う。

ハードカバーの本であれば、途中まで読んで栞を挟み、持ち運ぶという方法ができる。
電子書籍の場合、栞を挟むことが出来ない。
いくら軽量で、1000冊以上の本が保存できるといっても、実際読み進めるためにはどうなのだろう?と、思ってしまったのだ。
栞そのものが、日本独特の読書文化に根付いたものだとは思わないので、栞機能くらいはあるとは思うのだが・・・どうなのだろう?

そして、今回の文壇の大御所たちの作品無料公開は、出版社としては「本を買ってください」というコトだと思う。
「親鸞」は上巻だけの無料公開だし、「死化粧」も、若年層の「本離れ」に対しての一種の危機感から生まれたモノのように感じる。
「立読み」ではないが、それだけ内容が充実した書籍を無料公開するコトで、書店でハードカバーの本を手にとって、買って、読んで欲しい、という考えがあるのでは?と、推察する。

ところで、拙ブログに来られる方にお聞きしたいのだが、「電子書籍で読みたい本」というのは、どのようなカテゴリーの本なのだろうか?
一部調査では、「資格取得の本」という声があるようだ。
毎年のように改定される資格本であれば、次々と新しい内容にダウンロードするコトで、本を買うコストも過去の本の置き場も気にする必要はないだろう。
毎週・毎月発売されるビジネス雑誌などは、必要なトコロだけを保存し、後は削除し自分だけの資料とするコトも考えられるかも知れない。

「電子書籍」は、もしかしたら「iPadやキンドルで本を読む」というコトではなく、本や雑誌を「自分オリジナルに作り変えるツール」なのかも知れない。