みんなえらい！！

　もう何年も前に苔玉に仕立てた猩々袴（しょうじょうばかま）が今年も咲いた。


気付いたらすでに咲いていて、蕾でルンルンしているところを見逃してしまった

　何か栄養をあげるわけでもなく、生まれた環境には程遠いのに、毎年咲いてくれる。
すごいと思う。
　春が来れば、ただ、淡々と自分の命を燃やす。
おかれた環境の中で精一杯生きようとする。
全く、かなわない。

　そんな気持ちで庭を見渡せばなんと菫も咲いていた。


うちの庭で一番に咲いた子。

　わが娘は25歳なのだが、趣味のひとつが野菜作り。
プチトリアノンと名前だけは立派に付けて、庭の隅っこに小さな畑を作っている。
　しかし、5月頃から11月の終わりまで蚊がぶんぶんの我が家では夏には庭に出る気さえしない。
とにかくその数といったら尋常ではなく、洗濯物を取り入れる間、手足をばたばたさせるタコ踊りをしていても、まあ、ゆうに7，8箇所はさされてしまうほどなのだ。
　おまけに冬ともなればそのトリアノンは完全に前のお宅の日陰となり
作物など育つ筈のない環境なのである。

　それでも彼女はめげずに去年の暮れにそのトリアノンに菜の花を蒔いた。
この地方ではよそのお宅の菜の花はとっくに成長し立派な花を咲かせている。
だのにうちの子達は芽を出すのがやっと
ずっと大きくなれずにいた。
・・・・・と、思っていたらいつのまにか花を咲かせている。


で、でも・・・あまりにひ弱く、茎の太さときたら5ミリ以下、背丈だって20センチに満たない。
咲かせた花もか細くて・・・・・
それでも、一生懸命生き、花まで咲かせたのだ。
健気で、健気で、とても食べる気にはなれない。

本当に、みんなえらいな～～～～～って感動するしかない