幸せになろうね 改め しあわせだね

日々の生活の中のほんの小さな出来事をどう捉えるかで
私達はすぐにも幸せになれるのです。

品のある婦人

2012年01月20日 09時41分30秒 | ひとりごと
 友人から聞いたちょっと素敵な話



 彼女は招かれて信州のホテルに宿泊した。

翌日、チェックアウトを済ませて
ホテルの一階にあるパン屋さんへ立ち寄った。

彼女の目に留まったのは
ちょっと小ぶりのミルクバターパン。
棚には5個並んでいた。
とてもおいしそうだった。


 店内にいたお客様は彼女の他には
年配のご夫婦が一組と
妙齢の品のあるご婦人が一人


年配のご夫婦が先に支払いをすませると
彼女とその御婦人が鉢合わせになる形となった。

彼女はつねづね

「一日一回は見ず知らずの人を幸せにする」

を意識して心がけている。
そこで、その時もすんなりと

「どうぞ、お先に」

と、笑顔で言葉をかけた。
するとご婦人は控えめに微笑みながら応えた。

「いえ、お気になさらないで、お先にどうぞ」




 では、ということで彼女はそのミルクバターパンを注文した。
ところがそれは
奥に取り置きしてある4個と合わせて
ご婦人がすでに買い求めていたのだった。


「申し訳ありません」
と、仔細を説明する店員に

「そうですか、とてもおいしそうだったので、残念ですね。
 でも、仕方ありませんね、それでは他の物を…」

と彼女が応えようとしたとき
ご婦人が後ろから尋ねた。

「おいくつ、おいりようですか?」

「ええ、3つほど・・・・・」


ご婦人は店員に向かって穏やかに言った。

「では3つ、おゆずりしてくださいな」


 もちろん、彼女は恐縮して
一旦は辞退しようとしたが
全く差支えないから気にするなというご婦人の言葉を素直に受けて
有難くそのパンを譲り受けた。


「誰かを幸せにしようとした自分が
 反対にとても暖かな気持ちにさせてもらいました。

 些細なことかもしれませんが
 心に思いやりとゆとりがあってこその行為ですよね。

 人の品とは
 このような優しさの積み重ねが
 創り上げるものなのかもしれません。


 頂いたこの幸せを
 私も同じようにどなたかにお分けしたいと思っています」

そう、彼女は微笑んだ。