能楽・喜多流能楽師 粟谷明生 AWAYA AKIO のブログ

能楽師・粟谷明生の自由気儘な日記です。
能の世界も個人の生活もご紹介しています!

いわき民報 その2

2008-03-28 13:30:55 | 粟谷明生の日常
いわき民報に第二回の記事が記載されました。
ホームページでもご覧頂けますが、こちらが読みやすいと思い、投稿しました。
ご高覧戴ければ幸いです。

第二回
山崎 
このたび上演される能『羽衣』は名曲であり、数多く演じられておりますが、
その見どころなどは・・・。

粟谷 
『羽衣』はよく演じられる人気曲です。
今回、シテを演じられる友枝昭世さんは、
今能楽界を代表する屈指の能楽師です。
ワキの宝生閑さんは人間国宝で芸術院会員でもいらっしゃいます。
お囃子方も含めて超一流の方々で演じられます。

お二人を中心とした舞台展開と、
お囃子方の奏でる音色や地謡の謡い声などが見どころ、
聞きどころではないでしょうか。

『羽衣』という曲は、みなさんよくご存知の羽衣伝説を題材にしています。
漁夫白龍(ワキ)が天女(シテ)の羽衣を見つけ、持ち帰ろうとすると、
天女は返してほしいと頼みます。

いろいろやり取りがありますが、最後には衣を返してもらい、
天女は喜びの舞を舞って天に帰っていくという話です。

チラシの『羽衣』の下に小さく「舞込」と書かれていますが、
これは特別演出を表していて、天女が天に帰る最後の場面で、
橋掛りをクルクル回転しながら幕に入る演出となります。

名残惜しそうにゆっくり天に昇っていく感じ、
これが今回の見どころの一つです。

「舞込」は友枝家のお家芸でもありますので、
友枝さんの美しさ、舞込の真髄をご覧いただけると思います。

 能はシテ方が面(おもて)と呼ばれる仮面をかけて演じるのも特徴です。
よく「能面のような顔」などと無表情の代名詞のように言われますが、
実際の能では、面が実に細やかな表情を見せてくれます。

今回の『羽衣』でも、天女が羽衣をとられて困惑した悲しみの表情から、
羽衣を受け取って喜びに満ちた表情に変わっていく様子を、
面のちょっとした動きから感じていただけるとよいと思います。

ポスターやチラシにある天女の装束は赤色ですが、
白色系統、紫色系統と、装束にもいろいろあり、
どれを選ぶかは演者の自由になっています。

友枝さんがどんな装束を選ばれるか、これも楽しみです。
また天女の演じ方もいろいろです。

美しい天女、かわいい天女、大人びた艶やかな天女、
それは装束や面にもよりますが、演じ手の体からにじみ出てくるものによって表現されます。

今回の天女はどのような天女になるのでしょうか、
このあたりをご覧いただきたいと思っています。 

以上、

本日、金曜日にその3 「小鍛冶について」が記載されております。
来週には投稿出来ると思いますので、こちらもご期待下さい。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kikawa(平喜多会))
2008-03-29 17:19:24
明生先生、アリオスのチケット一般販売開始の日は
窓口に列ができたそうです。

初めて能を観る友人たちにより楽しんでもらえるよう
簡単な解説を用意したいと考えていたのですが、
先生のお話をそのままプリントさせていただきます。

お能の魅力が、易しい言葉でありながら
充分に伝わってきて
「羽衣」の見どころを読んでいたら
私もワクワクしてしまいました。

 
返信する
お返事 (粟谷明生)
2008-03-30 10:32:54
kikawa様
コメント有難うございました。

新聞記事がお役に立てて、嬉しいです。
金曜日に記載されたと聞いております、
その3「小鍛冶について」も同様に、一緒にご配布して戴ければ、これまた嬉しいです。

今回の白頭は中入り前、常と少し変えてみます、
お楽しみに~~~~
返信する
能舞台のお清め (いわきの若手1/5人衆)
2008-04-01 22:11:56
いわきの能舞台も、香によるお清めの儀をしていただけることになりました。ありがたいことです。
返信する
お返事 (粟谷明生)
2008-04-02 09:39:52
若手様
いわき民報その3を投稿しました
これで完了です、

香がたかれた舞台で~~
当日が楽しみです。
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