「一ぉ~ッ、人の世生き血をすすりー」
「二ぁ~ッ、不埒な悪行三昧」
「三ぃ~ッ、醜い浮世の鬼を退治てくれよう桃太郎ォー」
ご存じ、桃太郎侍の名場面での科白。
般若の面の下からこれが聞こえてきたら、お話もそろそろ終わりだ。
どうして般若なの?
だれか教えて下さいませんか?
「般若」は女性の怒りを表している。
その横顔は面の右側と、左側では違うらしい、
幕から出てくるときは観客に右側を見せるので、怒りの形相が強く、
最後幕にはいるときは、怒りは静まっているので、
左側はやや怒りをおさえ気味に見えるらしいのだが~~
正直、私は判らない。
般若は『黒塚』『葵上』『道成寺』の三曲にのみ使用し、
必ず「祈り」が付く。
山伏や修験者、僧たちに数珠で祈られる、
その、じゃらじゃら、じゃらじゃら擦られる音がいやで、
打杖を振り上げ払おうとする。
その振り方も、私は三曲とも変えているが、これは企業秘密だから、内緒。
表情は曇らせると、怒りを抑えたように見え、
カッと照らすと怒りが爆発したように見える。
演者は前屈したり身体をのけぞらせたりして、その怒りを表現するが
それが女であるということを忘れてはいけない。
どうみても女に見えないようなときは~~
「このへぼ役者!レベルが低い!」と思っていただいて~~結構。
来週には演能レポート「黒塚」白頭についてを更新予定!
ご期待下さい!
般若には祈りがつきものという、ところに興味あります。
修験の勉強をしてみようといろいろ拝見しているうちに、こちらにたどり着きました。
おもしろそうな記事が多いので、以後時々拝見させていただきます。
とりあえずTBさせていただきましたのでよろしくお願い申し上げます。
ではでは
演能レポート「黒塚」を来週にはアップしますので、
ご覧いただきたいと思います。
般若面のお話、興味深く拝読させていただきました。これまで見所で考えたことがなかったのです。幸いにして今のところ、私には、般若面は「憎悪を鬱積させた陰気な女性」にしか見えません。取り分け《葵上》の逆恨みが一番恐ろしく映ります。
本性をあらわにした般若面を考えた人は、一体どんな人物だったのかしらと、時々思います(この一歩手前の『生成』も、なかなか)。右も左も「おっかないっ!」の一言に尽きます。
ところで、冒頭の「『桃太郎侍』はどうして般若面なの?」が、私も気になって仕方がなくなってきました。この数え歌のような台詞は、撮影中何となくに誕生したものらしいのですが、出で立ちについては謎です。それに、悪を般若が斬るのも不思議です。実は桃太郎役のTさんとはお寺とご夫妻行きつけのお店が一緒なので、いつかお会いする機会がありましたら、真っ先にお尋ねしたいと思います。
それから、「桃太郎侍」放映時の私はあまりにも幼くて、この悪役退治の場面くらいしか記憶にないのですが、確か「二つ~」は「不埒な悪行三昧」だったような気がします。
長々と失礼致しました。ほかの頁も、若輩者にはハッとさせられるお話ばかりで、目から鱗です。また拝見させてくださいませ。
追善能の〈江口〉・〈道成寺〉、楽しみにしております。追善の見所にて、私も功徳を積ませていただきます。
みなさまにも、どうぞお健やかにお過ごしください万勢。
ご指摘有難うございます。
簡単に訂正出来るのがブログのいいところですね。
また遊びにいらして下さい。
あ~~粟谷能の会のチケットを持っている方なんですよね~~
お疲れのところを御返事頂戴し、ありがとうございます。
時代劇マニアではないので、幼女の大変アヤしい記憶です(『どなたか助けてたも』な有漏覚えゆえ、冷や汗)。しかも私は再放送組だと思います。
実は「人の生き血をすする」という強烈な台詞もあったような…」などと、只今記憶の大洪水に飲まれております。
偶発演出同様、台詞も放送時によって流動的だったのかもしれません。
はい、粟谷能の会のチケット持っております。
当日は忘れずバッグに入れて、まいります。
T桃太郎侍で育った私と致しましては鮮烈に覚えている台詞、
「一ぉ~ッ、人の世生き血をすすりー」 バサッ
「二ぁ~ッ、不埒な悪行三昧」 カキーン
「三ぃ~ッ、醜い浮世の鬼を退治てくれよう桃太郎ォー」
語呂がいいですから覚えやすいですね。これが正調です。
陸奥院麿様、このたびは粗忽な若輩者に温かいご教示をありがとうございます。
御蔭様で、朧気な遠い日の記憶が鮮明に蘇りました。
「般若面」と申せば、10月8日(日)の〈道成寺〉も、楽しみの演目です。
今回は特に、鐘から現れる後シテを、じっくりと拝見させていただきます。
では、みなさまご機嫌よろ秋。
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