写真は父が愛用した景清の面です。

父の十八番の『景清』の映像は、平成11年以降のものが多く、平成16年には能を舞納めたので、これらの晩年の作品は、老いた盲目を演じるというよりは、まさに父そのものが景清のように見える作品です。

今回『景清』の初演にあたり、私が参考にしているものは、父のもっと以前の、老いと盲目を真似て演じていたものです。

演能後は必ずお酒を呑んで帰える父でした。

「明生、ちょっと降りてこい」

と二階に居る私を呼びつけ、錣引きの型どころや秘伝の謡い方のコツなど居間を舞台に見立てて、「左手引いたら、わざと右足から出るんだよ、次はその逆だ」と酔った身体で動いて見せてくれました。

また「♪かっ あ~げ、きよ~♪(景清これを見て)の謡い方の呼吸はね~、口を横にあけて、息を吸い込むように、そう大飛出のような表情をして謡うといいんだ」とお酒の入った息で教えてくれました。

あの酒の匂い、今でも忘れられないんですね


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コメント
 
 
 
貴重な想い出を・・・ (どうきゅうせい)
2012-02-04 10:12:55
・・・聞かせて下さって、ありがとうございます、代々継承されていく伝統は温かいのだなぁと感じました。(だから、ほんとに、理屈じゃないのよね。)
 
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