ケイの読書日記

個人が書く書評

曽野綾子「ボクは猫よ」

2012-05-08 16:13:49 | Weblog
 曽野綾子はキャリアの長い著名な小説家だが、作家というより知識人・文化人というイメージの方が強い。
 だいたい、この人の小説を私は今まで読んだことない。

 作者紹介の欄を読むと、1931年東京生まれ。聖心女子大学英文科卒業。すごいなぁ。大変なお嬢様なのだ。
 ローマ法王庁より、ヴァチカン有功十字勲章を受賞。やっぱりなぁ。こういう人はクリスチャンで浄土真宗じゃないんだ。ロザリオや賛美歌が似合う人なんだ。

 タイトルの『猫』に反応して、この本を借りてしまった。もちろん夏目漱石の『吾輩は猫である』になぞらえた作品を書こうという事なんだろう。
 『吾輩は…』の方は、猫の目を通して人間社会を風刺しているが、こっちの『ボクは猫よ』の方は、風刺という間接的なものではなく、直球で批判している。

 でも、そんなに堅苦しいわけでもないよ。適度にユーモアをはさんで面白いです。

 思うに、この曽野綾子さんという人は、すごく真っ直ぐで気持ちのいい人じゃないかな。なんてぼんやり考えていたら、『週間現代』に特別寄稿が載りました。

 亀岡暴走事故死「個人情報漏洩」報道に思う
 曽野綾子「私の違和感」電話番号を教えてはいけませんか?

 そう、18歳・未成年で無免許の男の子達が、夜どおしドライブして疲れ居眠り運転、登校中の小学生の列につっこみ、数人が死亡したあの事件。
 加害者の親が、被害者の遺族に謝罪したいと、学校関係者や警察関係者に名前や電話番号を尋ね、それに応じて情報が漏洩した件。

 曽野綾子が、どういう考え方をするか、というより、こういった事件に真摯に向き合う態度がとても好ましいです。

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