ケイの読書日記

個人が書く書評

森博嗣 「月は幽咽のデバイス」

2015-05-18 15:17:43 | Weblog
 薔薇屋敷、あるいは月夜邸と呼ばれる、篠塚氏のお屋敷には、オオカミ男が出没するという奇妙な噂があった。
 瀬在丸紅子たちが出席したパーティーの最中、隣のオーディオルームから、衣服が引き裂かれ、身体中血まみれになった女性が発見された。隣のパーティー会場には大勢の人が談笑していて、不審な人物は出入りしていない。しかも、現場は内側から施錠された密室だった。
 いったい誰が、なぜ、どうやって…?!


 大胆なトリックだが、とてもいいと思う。(人によってはアンフェアと受け取るかもしれないが) トリックが優れているというより、謎の提示の仕方が優れている。
 惨殺死体の発見されたオーディオルームには、大きな水槽があり、そこから水が大量にこぼれていた。外の池と繋がっている水槽の水は、なぜこぼれたのか?誰かが水をまき散らした訳ではない。その謎を突き詰めていけば、この大掛かりなトリックが見えてくる…はず。


 しこさんは飲んだくれて、まったく役に立たないが、れんちゃんは、女装に立ち回りに大活躍。そうだ!! れんちゃんは拳法の使い手なんだ! 瀬在丸家の執事・根来機千瑛(ねごろきちえい)が、れんちゃんの師匠。


 話は変わるが、年少組のれんちゃん・しこさんを主人公にしたスピンオフ作品を読みたいよ。どうも、年長組の紅子・林・七夏・保呂草に、私は好意を持ちにくい。特に保呂草が嫌。
 林警部も、いなくてOK。事故死させ、遺影の前で、紅子と七夏をいがみあわせればいいよ。
 そのかわり、機千瑛をいっぱい登場させてほしい。出番が少ないので、フラストレーションがたまります。
 機千瑛と林警部は犬猿の仲だとか。紅子の離婚原因を考えれば納得!機千瑛が林を叩きのめす所なんか、読みたいですね。

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